レポート

THREE1989ら、5組の注目株が鳴らした苛立ち、笑い、野心、喜び

テキスト
天野史彬
撮影:相原舜 編集:山元翔一
THREE1989ら、5組の注目株が鳴らした苛立ち、笑い、野心、喜び

刺々しさのなかに毒気とユーモアを忍ばせるシンガー、サクマリナ

9月27日、CINRAと音楽アプリ「Eggs」の共同主催による無料音楽イベント『exPoP!!!!!』が、渋谷のライブハウスTSUTAYA O-nestにて開催された。

トップバッターとして登場したのは、サクマリナ。

サクマリナ
サクマリナ

アコースティックギターを抱えて1人ステージに登場した彼女のギタープレイは、まるで体と楽器が同化しているかのようにしなやか。そして、そんな自在に緩急を操るギターの上で歌われる言葉は、まるで苛立ちや退屈や欲望を率直にぶつけてくるように刺々しい。

サクマリナ

毒気とユーモアが混じり合ったMCもシニカルで、「『たまに椎名林檎に影響受けてるでしょ?』って言われるんですけど、あれすっごいムカつくんです。なので、椎名林檎やります」と言ってはじまった“ギブス”のカバーも素晴らしかった。強烈な才能を感じさせるニューカマーだ。

サクマリナ
サクマリナ

ジャンルレスで自在、「現代のポップス」を地で行くペンギンラッシュ

2番手に登場したのは、名古屋出身の4ピースバンド、ペンギンラッシュ。

ペンギンラッシュ
ペンギンラッシュ

1曲目の“ルサンチマン”では4つ打ちを基軸にしたダンスビートを響かせ、2曲目の“Dolk”はニューウェイブ風ファンク、続く“マタドール”は艶やかなジャズ歌謡……と、曲ごとに目まぐるしく変化するサウンド。そして、その全てを見事に自分たちのものにしながら「ポップス」として響かせる懐の深さに、とても現代的な音楽の在り様を感じさせられた。

ペンギンラッシュ
ペンギンラッシュ『No size』を聴く(Apple Musicはこちら

音楽を説明するときに、もはや「ミクスチャー」という言葉が通用しないほど、様々なジャンルが織り交ざっていることが前提となっている現代のポップス。ペンギンラッシュは、そんな今だからこそ生まれるべくして生まれたポップスの形だと言えるだろう。

ペンギンラッシュ

多彩なサウンドを乗りこなしながら、バンドのフロントに立つ望世(Vo,Gt)の存在感もまた、この先の様々な可能性を感じさせるものだった。

望世(ペンギンラッシュ)
望世(ペンギンラッシュ)

超本格ファンクなエンタメ集団、ディープファン君

3番手に登場した7人組ファンクバンド、ディープファン君。

ディープファン君
ディープファン君

彼らは、確かなテクニックに裏づけされた超本格ファンクに乗せて、笑いと内省、メッセージとナンセンスが入り混じったエンタメ性溢れる独自のステージングを展開する。

スルガアユム(ディープファン君)

バンドの筋力の高さを感じさせるグルーヴィーな演奏、そしてステージ上をキレッキレに動きながら歌い踊る、チャンサキとスルガアユムのダブルボーカル。踊るのはこの2人だけではない、アベユーセー(MPC)も渡邉光平(Gt)もキレッキレだ。

左から:スルガアユム(ディープファン君)、チャンサキ(ディープファン君)
左から:スルガアユム(ディープファン君)、チャンサキ(ディープファン君)
左から:アベユーセー(ディープファン君)、スルガアユム(ディープファン君)
左から:アベユーセー(ディープファン君)、スルガアユム(ディープファン君)

奏で、歌い、踊り、たまにMCでわけのわからないことを言いながら、バンド全体が生き物のように躍動する7人。そして、そんなステージ上の7人の「とにかく楽しもうぜ!」というムードが、フロアにも伝染していくのが手に取るようにわかる。

スルガアユム(ディープファン君)

スルガがステージ前方にいた男性をハグしはじめるなどカオスなステージだったが、楽しくて踊れるのだから仕方がない。ディープなファンクとディープなファン(楽しさ)に満ちた、華やかでバカバカしく、でも切実であたたかいパフォーマンスだった。

ディープファン君
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イベント情報

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume113』

2018年9月27日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest

出演:
THREE1989
STEPHENSMITH
ディープファン君
ペンギンラッシュ
サクマリナ

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume115』

2018年11月29日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest

出演:
eill
んoon
youheyhey
Rude-α
Quentin
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

サクマリナ
サクマリナ

1998年9月28日生まれ。3歳からピアノを始め、幼い頃から音楽に囲まれた環境で育つ。中学、高校、大学と音楽学校に通い、大学在学中にバンド活動を開始。現在は弾き語りを中心に都内で活動中。

ペンギンラッシュ
ペンギンラッシュ

名古屋出身。2014年、高校の同級生であった望世(Vo,Gt)、真結(Key)を中心にFUNKやJAZZを作法としたJ-POPの開拓を目指そうと結成。2017年に2人をサポートしていた浩太郎(Ba)とNariken(Dr)が正式加入し現4人体制に。タワーレコードが未流通&デモ音源をウィークリーランキング形式で展開する「タワクル」企画、名古屋パルコ店にて2017年4月から現在まで、1年以上TOP5に毎週チャートインするという驚異的な支持を得続けている。昨今のバンドサウンドとは一線を画す、ジャンルレスなアンサンブル、独自のメロディライン、言い換えるならば現在のPOPsシーンに存在しない「違和感」で構成されるJ-POP。これはまさに中毒必至。

ディープファン君
ディープファン君

スルガアユム(Vo.)、アベユーセー(MPC)を中心に結成。当初ユニットのような形態で活動をしていたが、二人ではライブの際のノルマが払えず、現在のバンド編成に。これまでマイペースに音源をオンライン公開し、一部の奇特なブラックミュージック·ファンから注目を集めてきたが、2017年、FUJIROCK FESTIVAL'17の「ROOKIE A GO-GO」への出演を果たす。そして2018年6月、親交のあるKan INOUE(STMWLL / WONK)や岩手・花巻のヒップホップ・クルー・BIG-RE-MANをフィーチャーし、欲望の限りを尽くした初のミニアルバム「PRIVATE BLUE」をリリース。今年こそは日本のブラック·カルチャー·シーンの夜明けを宣言する予定。

STEPHENSMITH
STEPHENSMITH(すてぃーゔんすみす)

2013年、福岡にて結成。ルーツミュージックとしてのR&B、ソウルをオルタナティヴな感性で現代に昇華させる、メンバー全員が1993年生まれのトリオバンド。「リンゴ音楽祭」、「CIRCLE」などのイベントに出演の後、2017年上京。「スロータッチ」なるテーマを掲げ、都内ライブハウスを中心に積極的なライブ活動を展開。2018年5月には「豪雨の街角」「手放せ」「放蕩の歌」の新作3曲を3週連続配信リリース。Spotifyにて全曲、10以上の公式プレイリストにリストインするなど大きな話題を呼ぶ。また同月、Suchmos、D.A.Nなどブレイクアーティストを輩出したシリーズ・イベント「NEWWW @ 渋谷WWW」に出演、圧倒的な歌唱力と緊張感溢れる演奏で、詰め掛けた多数の音楽ファンとメディアから大絶賛を受けた。年内のアルバムリリースを目指し、絶賛レコーディング中。

THREE1989
THREE1989(すりー)

全員が1989年生まれの3人組バンドTHREE1989(読みは「スリー」)。Shohey(Vo)の圧倒的な歌唱力と美声、Datch(DJ)が生み出す、時にアッパーで時にディープなグルーヴ、Shimo(Key)の様々な楽器を使いこなす高いアビリティを駆使しパフォーマンスを行う。1970~80年代のR&B、ジャズ、ロックなどに感銘を受けたメンバーが創り出す、現代的なサウンドの中に当時の懐かしさを感じる、ニューノスタルジックな楽曲が特徴。

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