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Suchmosの軌跡、彼らが変えた音楽シーン。夢の横浜スタジアムにて

『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM』
テキスト
金子厚武
編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
2019/09/18
Suchmosの軌跡、彼らが変えた音楽シーン。夢の横浜スタジアムにて

デビュー当時から掲げていた夢が叶った日

9月8日、Suchmosがワンマンライブ『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM』を開催した。横浜はバンドにとって地元であり、まだ6人が何者でもなかった頃から目標に掲げていた横浜スタジアムでのワンマンライブは、彼らにとって、そして、場内を埋め尽くしたオーディエンスにとって、メモリアルな1日となったことは間違いない。

この日は台風の接近に伴い、開催自体が危ぶまれ、実際当日も時折強い雨が降ったが、ライブ中は比較的穏やかな天候で、演目を変更することなく、2時間半に及ぶ熱演を展開。同日の夜中には強い雨風が吹き荒れたことを思えば、奇跡的な開催だったと言える。

撮影:Shohei Maekawa
撮影:Shohei Maekawa
撮影:Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama

3~4年前と同じ、この日のYONCEのファッションが象徴するもの

ライブはSuchmosらしいジャムから始まり、序盤は“YMM”や“Alright”といった初期曲を中心に構成。YONCEはトレードマークであるadidasのジャージと(おそらくはLevi'sであろう)ジーンズという格好で、ブレイク当時を連想させつつも、短髪に顎ひげを生やし、その表情ははっきりと精悍さが増している。

この格好はバンドの名前を一躍世間に知らしめた“STAY TUNE”のミュージックビデオと同じで、JamiroquaiやOasisといったイギリスのバンドと、Nirvanaをはじめとしたアメリカのバンドの影響を兼ね備えた、Suchmosの独自性を証明するもの。音楽とストリートファッションが新たな蜜月を迎え、「このジャンルならこの格好」という縛りなく、フラットにあらゆる音楽を愛し、自由なスタイルを楽しむ時代を象徴しているとも言える。

CINRA.NETにて初のYONCEインタビュー記事「Suchmos、男としての生き様をブラックミュージックに込める」(2015年7月7日)より(撮影:田中一人)
CINRA.NETにて初のYONCEインタビュー記事「Suchmos、男としての生き様をブラックミュージックに込める」(2015年7月7日)より(撮影:田中一人)

日本の音楽シーンにおいて、Suchmosの登場が変えたこと

Suchmosが『Essence』でデビューした2015年という年は、星野源が『YELLOW DANCER』、ceroが『Obscure Ride』、ペトロールズが『Renaissance』を発表し、日本の音楽シーンの風向きがはっきりと変わった年である。そして、翌2016年に“STAY TUNE”がラジオやインターネットを通じて広く聴かれ、2017年リリースのアルバム『THE KIDS』はインディーズながらビッグセールスを記録した。

『THE KIDS』リリース時のYONCEインタビュー記事「Suchmosが夢見る成功は、まだ先にある。次世代への意識を語る」(2017年1月25日)より(撮影:田中一人)
『THE KIDS』リリース時のYONCEインタビュー記事「Suchmosが夢見る成功は、まだ先にある。次世代への意識を語る」(2017年1月25日)より(撮影:田中一人)

個人的に、今でも印象的なのが、『THE KIDS』のリリース当日に行われた新木場スタジオコーストでのceroとの2マンで、あの日高城晶平(cero / Vo,Gt,Flute)はMCで「Suchmosが出てきてくれたおかげで、自分たちのやるべきことがはっきりした」と語っていたこと。ceroは2010年代後半に爆発した「シティポップ」ブームの基盤を(結果的に)作り上げたバンドであり、ここからさらにマスへとアプローチするのか、それとも、自分たちの理想とする音楽をひたすら追求するのか、その岐路にあった。そんな中、強い上昇志向を持って登場したSuchmosに前者の役割を託し、後者の道を選ぶ、そのきっかけがあの日だったように思うのだ。

翌2018年にceroは『POLY LIFE MULTI SOUL』という傑作を作り上げ、Suchmosは年末の『紅白歌合戦』に出場。「シティポップ」という言葉の良し悪しはここでは置いておくが、この言葉に関連付けられる現在の日本の豊かな音楽シーンは、彼らがインディとメジャーの境界を超えて、それぞれの道を歩んだことが、その背景として大きく関係しているはず。ライブの前半を締め括った“STAY TUNE”を聴きながら、そんなことを思った。

撮影:Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
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イベント情報

『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM』

日程:2019年9月8日(日)
会場:神奈川県 横浜スタジアム

プロフィール

Suchmos
Suchmos(さちもす)

YONCE(Vo)、HSU(Ba)、OK(Dr)、TAIKING(Gt)、KCEE(Dj)、TAIHEI(Key)の6人グループ。2013年1月結成。ROCK、JAZZ、HIP HOPなどブラックミュージックにインスパイアされたSuchmos。メンバー全員神奈川育ち。Vo.YONCEは湘南・茅ヶ崎生まれ、レペゼン茅ヶ崎。バンド名の由来は、スキャットのパイオニア、ルイ・アームストロングの愛称サッチモからパイオニアとなるべく引用。2019年3月27日にニューアルバム『THE ANYMAL』をリリース。9月8日には、結成当初から公言しつづけてきた、地元・横浜スタジアムでのワンマンライブ『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM』を開催した。

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