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鈴木祥子インタビュー
鈴木祥子の名前を知っている人、知らない人、鈴木祥子の歌を知っている人、知らない人も、このインタビューを読む前に、4月8日にUPLINK RECORDSからリリースされた彼女の新曲”my Sweet Surrender”を聴いてほしい。先に知識を仕入れるのではなく、音楽から入ってほしい。インタビューを書いているのに矛盾したもの言いかもしれないが、”my Sweet Surrender”はそのくらい楽曲の持つ力が強い曲であり、なんの不純物も先入観もなしに聴いてほしい曲だからだ。聴いた上で「この曲は、なんなんだろう?」という衝撃を感じたら、この先を読み進んでほしいと思う。
(インタビュー・テキスト:雨宮まみ 撮影:荒牧耕司)
1988年、エピック・ソニーよりシングル『夏はどこへ行った』でデビュー以来、14枚のオリジナル・アルバムを発表。日本を代表するシンガーソングライターとして活動を続ける。中学の頃からピアノを習い始め、高校時代になり一風堂の藤井章司に師事しドラムを学ぶ。卒業後、原田真二やビートニクス(高橋幸宏・鈴木慶一)、小泉今日子のバッキング・メンバーを経て、デビュー後は国内では数少ない女性のマルチプレイヤーとしても地位を確立する。またソングライターやサウンドプロデューサーとして小泉今日子、松田聖子、puffy、金子マリ、渡辺満里奈、川村カオリ、坂本真綾など、数多くのアーティストを手がけ、高い評価を得ている。
2008年、デビュー20周年を記念して渋谷CCレモンホールでライヴを開催。2009年には出演・撮影・主題歌を手がけたドキュメンタリー映画『無言歌〜romances sans paroles〜』が公開された。そして2010年、シングル『my sweet surrender』とDVD『無言歌〜romances sans paroles〜』をUPLINK RECORDSより4月8日にリリースした。
鈴木祥子 | UPLINK RECORDS
「穏やかな歌姫路線」ではない、鈴木祥子自身としての表現とは
―新曲の”my Sweet Surrender”を最初に聴いた時、とてもいい歌だと素直に思いました。けれど何か単純にいい歌だという以上のひっかかりを感じて、同時発売になるドキュメンタリーDVD『無言歌〜romances sans paroles〜』を観たら、これは大変な歌だと思いました。鈴木さんが「女性」であるということに大変な葛藤を抱えて表現をしてきたということが、『無言歌〜romances sans paroles〜』からは非常に切実に伝わってきます。
鈴木:女性の「生き難さ」というものは、何も私が特殊な職業だから感じていることではないと思うんです。主婦であろうが、普通に働いている女性であろうが感じることで。私が『無言歌〜romances sans paroles〜』の時、なんであんなにやさぐれていたのかというと(笑)、なにかムカつく言い方をされた時でも笑ってしまう自分がいたんです。内面は怒ってるのに、とりあえず笑ってその場をおさめようとしている、その笑ってる自分がすごく気持ち悪かったんですね。統制が取れてないじゃないですか。怒ってるのに顔は笑ってるという乖離に嫌悪感を感じて「私にムカつく場面で笑うことを選ばせているものは一体何なんだろう」と考えてみたところ、それは「女は笑顔で場を和ませなくちゃいけない」といった社会的な変なプレッシャーだと気づいた。そういうものをずっと教え込まれてきたからそうなっているのであって、自分を責めることはないと思ったんです。
でもこういうことをずっと続けていると、自分が本当に感じていることと、女として背負わされている役割との乖離がどんどん進んでいって、内面が死んでしまうんじゃないかという危機感を感じていたのが『無言歌〜romances sans paroles〜』の撮影の時でした。
―『無言歌〜romances sans paroles〜』の内容は、ある種の人にはとてもショッキングなものだと思うんです。鈴木さんは一見、そういった激しい怒りを持って表現をしている人に見えないところがあって。
鈴木:そうでしょうね。昔、プロデューサーやアレンジャーの方に、「穏やかで優しい歌を歌う歌姫路線」みたいなのを勧められた時があったんですよ。不穏当なことを言わないで耳障りのいいラブソングを歌ったり、ちょっとした女の子の日常みたいなのを歌ったりする、そういう路線を勧められたんですけど、自分はポップスの中でもっと生々しいことを歌ったっていいんじゃないかと思ったし、女だから耳障りのいいことばっかり歌えというのも違うんじゃないかという気がして。

『無言歌〜romances sans paroles〜』
女性って、男性の10倍から100倍ぐらい容貌が重要視されますよね。私がそういう「守ってあげたい路線」の歌を歌った方がいいよ、と人に言われたのも、見た目がおとなしい感じだったからだと思います。見た目とやっていることに違和感がなければないほど、人はそれを受け入れやすいし、齟齬がない方が受け入れられやすい。私は「おとなしそう」とか「言うこと聞いてくれそう」な感じに見られることが今までとても多くて。
やってることとは関係のない、容貌のことで評価をとても左右される。それは女の人の特殊なところですよね。
―そう思われているところで『無言歌〜romances sans paroles〜』を出すのは、かなり勇気の要ることではなかったですか?
鈴木:観た男性から「あなたの音楽は好きだけど、人間性は大嫌いだ」とハッキリ言われたりもしました。でも、私は音楽と自分を切り離すことは考えられない。自分を音楽からも、女ということからも切り離せない。特に『無言歌〜romances sans paroles〜』を観た人からは「女、女ってこだわらなくても、人間だからいいじゃん、どっちでも」って言われるんですけど「フッ、わかってないね」と思いますね。こういう人にはいくら説明しても一生わからないんだろうという無力感はありますけど、「男とか女とか関係ないじゃん」っていうことの前に、現実に女の生き難さを自分が感じてる限りは、そういう声にめげちゃいけないと思うんです。自分が感じてることを言っていかなきゃダメだという気持ちがありますね。





















