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旅という名の人生を描く1人電子音楽団 ticklesインタビュー

旅という名の人生を描く1人電子音楽団 ticklesインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2012/05/08
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何度も繰り返されてきた言説ではあるが、インストゥルメンタルの素晴らしい部分のひとつは、言葉によってイマジネーションが制限されないことである。その楽曲が持つメロディ、音像、音色によって、聴く者は無数の映像を思い浮かべ、様々な感情を感じることができる。鎌田裕樹のソロプロジェクト=ticklesが、エレクトロニクスと多彩な楽器を織り交ぜた4年ぶりの新作『on an endless railway track』で描くのは、どこまでも続く線路と、変わっていく景色。それはつまり、旅という名の人生そのものである。この4年間で、以前は3人編成だったticklesはソロプロジェクトへと姿を変え、鎌田にとっては苦難の日々が続いたと言っていいだろう。しかし、本作を完成させ、「やりたかったことを取り戻した」という彼の笑みには、大きな満足感が伺える。そう、線路は続き、人生は続く。ticklesは変化を受け止めながら、それでも、その先を明るく照らそうとしている。

バンドじゃない形で、パンクロックみたいなものが表現できればいいと思っていて。

―最初に音楽に興味を持ったきっかけは何でしたか?

鎌田:小学校5〜6年のときにTHE BLUE HEARTSを聴いて、音楽を聴いて感情が出るっていうのを初めて経験しましたね。

―じゃあ、最初はバンドからですか?

鎌田:そうなんです。中学のときはそれこそTHE BLUE HEARTSのコピーをやって、高校最後ぐらいでオリジナルもやっていました。それと同時にパンクのDJもやり始めたんですけど、(音楽を)受け止めるだけじゃなくて、自分で探して発信する立場になったことで、他のジャンルのものにもどんどん興味を持って聴くようになりました。今打ち込みでやってるのも、バンドと同じ感覚でやってて、自分が一番聴きたいもの、聴かせたいものを、自分で作るっていう感覚なんですよね。

―「tickles(ティックルズ)」って、ちょっとバンド名っぽいですもんね。

鎌田:普通に英語だと「ティックルス」なんですけど、それだとちょっとオシャレ過ぎるかなと思って、「ズ」にするとちょっとダサい感じっていうか、なんかバンド名っぽいなって(笑)。

―「cornelius(コーネリアス)」はオシャレですもんね(笑)。

鎌田:「コーネリアズ」だと印象違いますよね(笑)。

―じゃあ、小さい頃からずっと音楽一本っていう感じだったんですか?

鎌田:いや、高校を出て、遊んで(笑)、映像の専門学校に行きました。

―そっちを仕事にしようと?

鎌田:そうですね。PVとかCMとかを作る学科に行ってました。その卒業制作のときに、音も自分で作ったんですけど、そこからまた真剣に(音楽を)やり始めたのかもしれないです。ただ、作るのが実際の映像なのか、思い描ける映像なのかが違うだけであって、(音楽も)映像的であることには変わりないんですよね。

―じゃあ、その卒業制作を機に、再び音楽の道に戻ったわけですか?

鎌田:その学科からは結局テレビ業界みたいなところに行く人が多かったんですけど、僕はそこにあんまり興味がなくて。もうしばらく自分で好きな物を作りたいと思ってやってたら、ここまで来ちゃった感じですね(笑)。

tickles
鎌田裕樹(tickles)

―「音楽で食べていこう」とかって決心したわけではなく?

鎌田:じゃないですね。今でもそうなんですけど、音楽だけっていうこだわりは特になくて、そのとき自分が表現できる一番ベストなフォームで何かを作りたいと思ってて、今のところは音楽が一番楽しいってことですかね。

―その卒業制作の頃に作った音楽は、現在のticklesに通じるエレクトロニカ寄りのものだったわけですか?

鎌田:そうですね。できればバンドじゃない形で、パンクロックみたいなものが表現できればいいと思っていて。自分がやってることはストレートではないと思うんですけど、そういう気持ちは常々持っていたいです。

―表面的な音やスタイルではなく、内側にはパンクの精神があると。

鎌田:あってほしいと思ってます。自分で「間違いなくある」とかはわからないんですけどね。

2/3ページ:1人しかいないんですけど、何人もいるような楽団みたいなイメージでやってるんです。

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リリース情報

tickles『on an endless railway track』
tickles
『on an endless railway track』

2012年4月25日発売
価格:2,100円(税込)
MOTION± / MOT-004

1. blues on the hill
2. no distance
3. ing
4. liar
5. smallking
6. slalom light
7. build
8. braintrain
9. pianoblack
10. septiembre
11. ratara(iTunesのみボーナストラック)

イベント情報

『REPUBLIC Vol.9 〜映像作家100人 2012 リリースパーティ〜』

2012年5月19日(土)OPEN 13:30 / CLOSE 21:00
会場:東京都 渋谷 WOMB
2012年5月19日(土)OPEN / START 23:30 / END 30:00(予定)
会場:東京都 渋谷 WWW
※ticklesはWOMB会場に出演

イベント情報

contrarede presents
『SCHOOL OF SEVEN BELLS JAPAN TOUR 2012』

2012年6月14日(木)
会場:東京都 新代田FEVER
出演:
SCHOOL OF SEVEN BELLS
tickles

プロフィール

tickles(MOTION± / madagascar)

エレクトロニクスと生楽器を絶妙なバランスで調和させ、力強さと繊細さを自然体で同居させる。湘南・藤沢を拠点に活動を続け、人間味溢れる温かいサウンドを志向するアーティスト、鎌田裕樹による電子音楽団tickles(ティックルズ)。2006年発売のファースト・アルバム『a cinema for ears』リリース後から続けてきたバルセロナやローマ、韓国などを巡ったライブ・ツアーでは、人力の生演奏を取り入れたスリリングでドラマチックなライブ・パフォーマンスで大きな賞賛を得た。そんな数々の経験を経て紡がれた珠玉の楽曲をたっぷりと詰め込んだ待望のセカンド・アルバム『today the sky is blue and has a spectacular view』(2008年)は自身のレーベル<madagascar(マダガスカル)>よりリリースされ、TOWER RECORDS、iTunesを中心にセールスを伸ばし、高い評価を得た。2011年、次なるステップへと進むべく<MOTION±>と契約。ピアノ, シンセサイザー, フェンダー・ローズ, ピアニカ, オルガン, 鉄琴, オルゴール, ギター, ベース等様々な楽器を駆使しながら感情的なメロディーと心地良いリズムを生み出していくスタイルに磨きをかけ、ニュー・アルバム『on an endless railway track』を今年4月25日にリリース。柔らかいビートの上で胸を震わせる旋律が幾重にも交錯していく夢幻のサウンドスケープは、聴く者の心を捉えて離さない。

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ぼくのりりっくのぼうよみ、小山薫堂らからも注目される19歳のハンドパン奏者・久保田リョウヘイの“RISING”のPV。自然に溶け込むような佇まいから生み出される、まるみのある幽玄的なサウンドと情熱的なビートに身をもたげたくなる。演奏はYouTubeを見て独学で学んだらしい。圧巻です。(飯嶋)