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堀込高樹が語る、KIRINJIらしさを捨ててシーンを意識した傑作

堀込高樹が語る、KIRINJIらしさを捨ててシーンを意識した傑作

KIRINJI『ネオ』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:森山将人 編集:矢島由佳子
2016/08/03
  • 217

やはり、KIRINJIはすごかった。6人編成になってからの純粋なオリジナルアルバムとしては2作目となる新作『ネオ』は、彼らが新たなフェーズに突入したことを明確に告げる傑作である。

RHYMESTERをフィーチャーし、千ヶ崎学のベースがリードする折衷的なアフロファンクに乗せて、人類の進化とラブホの空室を求めてさまようカップルの姿を重ねて描いた大曲“The Great Journey”から始まる全10曲は、まさにどこを切っても新しい、「ネオ」なKIRINJIが詰まっている。多くの曲で堀込高樹以外もボーカルを担当し、バンドとしてのまとまりを感じさせるグルーヴィーな曲調が増え、歌詞も相変わらず冴えている。さらに、エンジニアに新しい人材を迎え、現代的なサウンドへと振り切ったのも大きなチャレンジだ。

そして、これは「変化」であると同時に、KIRINJIのプロデュースも担う堀込高樹が、キリンジとしてのデビュー時から何ら変わることなく、独自のポップスを追求し続けてきたことを表していると言ってもいいだろう。傑作誕生の背景について、堀込高樹にじっくり語ってもらった。

今の音楽シーンの中にちゃんと馴染む、あるいは突出するような、「今聴けるもの」をすごく意識しました。

―『ネオ』、素晴らしい作品だと思いました。アルバムを制作するときはもちろん毎回高いモチベーションで臨んでいるかと思いますが、今回はいつもと違う特別なモチベーションもあったのではないでしょうか?

高樹:3年前に六人になったのはすごく大きな変化だったけど、次はサウンド的にもうちょっとグッと押し上げるような変化がほしいと思いながら制作を始めました。『11』(2014年発売のアルバム)は、六人になってから初めての作品ではあったけど、「『Ten』(2013年発売、二人編成のキリンジとしてのアルバム)の次の『11』」という気持ちで、「これもKIRINJIだよ」と伝えるためのアルバムだったと思うんです。でも次に出すなら、また『11』的なサウンドだと意味がないというか、それだとちょっと物足りないと思ったんですよね。

堀込高樹
堀込高樹

―何か具体的な青写真はあったのでしょうか?

高樹:いや、具体的にどうすればいいかは見えていなくて、とりあえず曲を書くところからだったんですけど、自分一人で全部書いても前と一緒になるから、今回はまず他のメンバー全員に曲を書いてもらったんです。結果的に収録されているのは僕の曲が多くなってしまっているんですけどね。というのも、みんなが書いてくれた曲を聴くと、わりと「KIRINJIっぽい」わけですよ。でも、それはすでにあるものだから、今このグループでやってもしょうがない。「やっぱりKIRINJIっぽいものをやろうとしてもダメだな」って、デモが出揃ったタイミングで改めて確信したんです。

KIRINJI
KIRINJI

―では、「これまでのKIRINJIではないもの」を目指すにあたって、その後どんな部分がポイントになっていったのでしょうか?

高樹:「今聴けるもの」です。今の音楽シーンの中にちゃんと馴染む、あるいは突出するというか。今の新しい音楽と並べて聴いたときに、違和感なく聴こえるように、ということをすごく意識しました。

たとえば、自分の作品のミックスは、スピーカーの音量を上げたときに気持ちよく聴けるものを好む傾向があるんですけど、今の一般的なリスニング環境って、パソコンとか、あるいはコンビニのスピーカーとか、必ずしもいい環境で聴くわけではないですよね。なので、そういう環境で聴いても曲の魅力が伝わるようなアレンジやミックスを心がけました。

堀込高樹

―「今の音楽シーンを意識した」というのはすごく感じていて。ひとつはやっぱり今ってライブやフェスの時代だから、そこを意識したようなフィジカルな曲が多いということと、あとはブラックミュージック寄りのグルーヴィーな曲が多いのも、時代性を感じました。

高樹:グルーヴが聴きどころになってる曲がいくつかありますけど、やっぱりそういう曲はライブでやると楽しいんですよね。今のKIRINJIになってもう3年目で、結構ライブも数をこなしたので、バンドとしてのまとまりもすごく出てきて、自然とグルーヴに意識が向いた曲が増えたんだと思います。

―そこは特別に意識せずとも、自然な流れだったと。

高樹:あと自分が好きな音楽って、やっぱり昔のソウルとかが多いんだけど、「それをそのままやってもね」と思うところがあるわけです。KIRINJIは、ポピュラーミュージックの中にシミュレーショニズムがポンと出てきた後にデビューしてるから、どうしてもそこにとらわれるんですよ。「1970年代のものってこうだよね」とか、そういうこだわりにとらわれている。でも今回は、そこを一旦断ち切ろうという気持ちがあったかもしれないです。もちろん、単純に最近のブラックミュージック、Tuxedoとかマーク・ロンソンとかも好きで聴いてたから、そっちに寄ったというのもあるんですけどね。

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リリース情報

KIRINJI『ネオ』初回限定盤
KIRINJI
『ネオ』初回限定盤(CD+DVD)

2016年8月3日(水)発売
価格:3,996円(税込)
UCCJ-9212

[CD]
1. The Great Journey feat. RHYMESTER
2. Mr. BOOGIEMAN
3. fake it
4. 恋の気配
5. 失踪
6. 日々是観光
7. ネンネコ
8. あの娘のバースデイ
9. 絶対に晴れて欲しい日
10. 真夏のサーガ
[DVD]
・“The Great Journey feat. RHYMESTER”PV
・“ONNA DARAKE!”ライブ
・“真夏のサーガ”ライブ
・“進水式”ライブ
※SHM-CD仕様

KIRINJI
『ネオ』通常盤(CD)

2016年8月3日(水)発売
価格:3,240円(税込)
UCCJ-2138

1. The Great Journey feat. RHYMESTER
2. Mr. BOOGIEMAN
3. fake it
4. 恋の気配
5. 失踪
6. 日々是観光
7. ネンネコ
8. あの娘のバースデイ
9. 絶対に晴れて欲しい日
10. 真夏のサーガ
※SHM-CD仕様

イベント情報

『KIRINJI TOUR 2016』

2016年9月22日(木・祝)
会場:石川県 金沢 AZ
料金:オールスタンディング6,480円(ドリンク別)

2016年9月23日(金)
会場:京都府 磔磔
料金:オールスタンディング6,480円(ドリンク別)

2016年9月25日(日)
会場:宮城県 仙台 CLUB JUNK BOX
料金:オールスタンディング6,480円(ドリンク別)

2016年9月28日(水)
会場:東京都 お台場 Zepp Tokyo
料金:全席指定7,020円(ドリンク別)

2016年10月1日(土)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE 24
料金:オールスタンディング6,480円(ドリンク別)

2016年10月8日(土)
会場:鹿児島県 CAPARVO HALL
料金:全席自由6,480円(ドリンク別)

2016年10月10日(月・祝)
会場:福岡県 福岡イムズホール
料金:全席指定7,020円

2016年10月15日(土)
会場:愛媛県 松山 WstudioRED
料金:全席自由6,480円(ドリンク別)

2016年10月16日(日)
会場:岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
料金:全席自由6,480円(ドリンク別)

2016年10月26日(水)
会場:愛知県 名古屋 ダイアモンドホール
料金:全席指定7,020円(ドリンク別)

2016年10月27日(木)
会場:大阪府 なんばHatch
料金:全席指定7,020円(ドリンク別)

2016年10月30日(日)
会場:東京都 品川 ステラボール
料金:全席指定7,020円(ドリンク別)

2016年10月31日(月)
会場:東京都 品川 ステラボール
料金:全席指定7,020円(ドリンク別)

プロフィール

KIRINJI
KIRINJI(きりんじ)

1996年10月、実兄弟である堀込泰行(Vo,Gt)、堀込高樹(Gt,Vo)の二人で「キリンジ」を結成。1997年CDデビュー。2013年4月12日のツアー最終日をもって堀込泰行が脱退。<兄弟時代>17年の活動に終止符を打つ。以後、堀込高樹がバンド名義を継承、同年夏、新メンバーに田村玄一 / 楠均 / 千ヶ崎学 / コトリンゴ / 弓木英梨乃を迎えバンド編成の「KIRINJI」として夏フェス出演を皮切りに再始動。2014年8月、ニューアルバム『11』をリリース。2015年7月22日にはシングル『真夏のサーガ』、11月11日にはスペシャルアルバム『EXTRA 11』をリリースするなど、バンドならではの新機軸を次々と打ち出した。

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Suchmos“PINKVIBES”

Suchmosがアルバム『THE KIDS』より“PINKVIBES”のPVを公開。山田健人(dutch_tokyo)との久々のタッグとなるこの映像。余裕すら感じるシュアな演奏シーンやふとした表情が絶妙なバランスで映し出される。燃え盛るピンクの炎と、それに向けるメンバーの強い眼差しを見ると、Suchmosがこれからどんな風景を見せてくれるのか期待が高まる。(飯嶋)