二階堂ふみが金魚に変身、石井岳龍×室生犀星の映画『蜜のあわれ』

映画『蜜のあわれ』が、2016年に全国で公開されることがわかった。

作家で詩人の室生犀星による1959年発表の『蜜のあはれ』をもとにした同作は、変幻自在の金魚の姿を持つ少女「赤子」と、老作家の共同生活を描いた作品。老作家とエロティックな会話をし、夜は寄り添いながら寝ることもある赤子役を二階堂ふみ、赤子に「おじさま」と呼ばれる老作家役には大杉漣がキャスティングされている。

メガホンをとったのは石井岳龍監督。撮影は石井監督の『狂い咲きサンダーロード』『爆裂都市 BURST CITY』などにも参加した笠松則通、脚本は『赤×ピンク』『私の奴隷になりなさい』などを手掛けた港岳彦が担当している。撮影は犀星の地元である富山や金沢などを中心に行われている。

なお、同作について二階堂は「原作『蜜のあわれ』を初めて読んだ高校生の時から、映画化するなら絶対に自分がこの赤子という役をやりたいなと思ってました」と思いを明かしている。

※記事掲載時、タイトルの表記内容に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

石井岳龍監督のコメント

原作はプロデューサーから薦められて初めて知りました。室生犀星は好きな詩人でしたが、最晩年にこんな小説を書いていたとは、まったく知りませんでした。くらくらしてとっても楽しいと思いました。金魚や幽霊と小説家がこんなに活き活きと会話をし続けるお話が面白くない筈がないです。 今回は以前からお仕事をしたかったけど叶わなかった初めての方々とたくさんご一緒でき、緊張もしましたが同時に大きな喜びでもありました。
脚本家港岳彦君はじめ初対面スタッフとの仕事は大いに刺激になりましたが、20年ぶりになった撮影の笠松君との久しぶりのタッグもとても嬉しく充実しました。製作陣とも多くの再会があり記念碑的な作品になっています。現場は時間との闘いで日々乗り切るのに必死でした。原作の持つ面白さ、不思議さをいろんな側面からより映画的に豊かにしたいと欲張りました。本格文芸ドラマにファンタジー、エロス、ミュージカル要素なども盛り込まれ、それが目を見張る映像と美術世界の中に描かれます。見どころ満載の、おかしくて切なくて愛しい至福の作品になると思います。

二階堂ふみのコメント

原作「蜜のあわれ」を初めて読んだ高校生の時から、映画化するなら絶対に自分がこの赤子という役をやりたいなと思ってました。私はあの頃の時代の小説のフェチズムがすごく強調されているところがとても好きなんです。ロリータコンプレックス的な要素や女性に対しての憧れであったりとか、色んなものが入り混じっていて。今回の私が演じた赤子はすこし自分自身が子供にかえっているような気がしています。すごく無防備で、愛おしいキャラクターです。高野文子さんの漫画の動きをイメージしたり、知り合いの子供がやっていたことを真似してみたりとか、金魚ってこういう動きするかな・・と手探りでやる作業がとても楽しかったです。人間以外の役をやるのは猫、狸に続いて、実は3回目なんですが、意外と人間以外もいけるな、と思いました(笑)石井監督はとても丁寧な紳士的な方で、俳優部の気持ちを優先させて下さって、やっぱり映画って素敵だな、と改めて感じた現場でした。

大杉漣のコメント

老いゆく作家の儚さ 切なさ 可笑しみ そして あわれ!
そんな人物像に愛おしさを強く感じました。撮影は全編北陸、作品の時代性もありますが、この映画のためにこの場所があったのではないかと感じるほどの素晴らしいロケーションでした。石井岳龍監督は言うまでもなく《映画の人》です。繊細と大胆を行き来する演出は、役者冥利の時間でもありました。室生犀星のリアルな言葉に老いてなお枯れることのない“残酷な蜜”を味わっていただければ嬉しい限りです。

作品情報

『蜜のあわれ』

2016年に全国公開
監督:石井岳龍
脚本:港岳彦
原作:室生犀星『蜜のあわれ』
出演:
二階堂ふみ
大杉漣

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