ホームレス男と美人局の女が「楽園探し」 内田伸輝監督『ぼくらの亡命』

映画『ぼくらの亡命』が6月24日から東京・渋谷のユーロスペースで公開される。

昨年の『第17回東京フィルメックス』コンペティション部門で上映された同作は、『ふゆの獣』などの内田伸輝監督が撮り続けてきた「他者への依存」というテーマを掘り下げた内容。構想に3年、撮影に1年、仕上げにさらに1年を費やし、スタッフ3人とオーディションで選出された主演2人を中心に制作された。

物語は、気に入らない人々への恨みを半紙に記してテントに貼り付ける日々を送るホームレスの昇と、重久という男に美人局の片棒を担がされている樹冬を中心に展開。自分を捨てた重久が樹冬を刺した場面を目撃した昇が、樹冬に「重久は死んだ」と嘘をつき、一緒に日本から脱出しようと持ちかける、というあらすじだ。

昇役を須森隆文、樹冬役を櫻井亜衣が演じる。今回の発表とあわせて同作の予告編も公開された。

内田伸輝監督のコメント

『14歳の少女と20歳の男が美人局(つつもたせ)で逮捕――。』この作品の発想は、ネットニュースで見たこんな記事からだった。やりくちは変われど、昔からある古典的な手口。カモとなった男と騙した女が手を組んだらどうなるのだろう?そこから恋愛が生まれるのだろうか?そんな所を探りつつ、物語を作り始めた。と同時に撮影に入る2015年は、太平洋戦争終戦から70年目にあたり、聞こえないくらいの足音で確実に近づいてくる気がする新たな戦争の空気を、描いてみたいと思った。戦争とは何かを考えた時、それに至る理由の一つに、領土、領海、領空の奪い合いが戦いの引き金になっていて、まるでそれは、「この島は我が国のものだ!」と主張する国が、「この女は俺のものだ!」と一人の女性をめぐり奪い合う男達の姿にも僕は思えた。恋愛、戦争、奪い合い…。『ぼくらの亡命』は恋愛映画の皮を被った戦争映画にしようと思い、撮影が始まった。

作品情報

『ぼくらの亡命』

2017年6月24日(土)からユーロスペースで公開
監督・脚本:内田伸輝 出演: 須森隆文 櫻井亜衣 松永大輔 入江庸仁 志戸晴一 松本高士 鈴木ひかり 椎名香織 森谷勇太 高木公佑 上映時間:115分 配給:マコトヤ
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