レポート

女性に人気の『装苑』『箱庭』に学ぶ、ファンが付くメディア作り

CINRA.STORE
インタビュー・テキスト
星文香
撮影:佐藤麻美 編集:柏井万作
女性に人気の『装苑』『箱庭』に学ぶ、ファンが付くメディア作り

話題のスポット「マーチエキュート神田万世橋」にて『東京カルチャーマーケット by CINRA.STORE』開催

オンラインを軸に、これまで500人以上の作家とオリジナル商品を作ってきたセレクトショップ「CINRA.STORE」が、初のマーケットイベント『東京カルチャーマーケット by CINRA.STORE』を4月9日まで開催中だ。

会場は秋葉原駅から徒歩4分の「マーチエキュート神田万世橋」。かつて中央線にあった「万世橋駅」の跡地を改装して造られた趣ある商業施設で、山形の素材を使った伝統料理や和洋折衷料理を提供する人気カフェ「フクモリ」や、北欧の家具や雑貨を扱う「haluta」など約10店舗が入店しているほか、今回の『東京カルチャーマーケット by CINRA.STORE』のような特別企画を開催するイベントスペースを有している。最近ではシャムキャッツが1日店長を勤めた『Anonymous Camp Vol.0』や、台湾クリエイティブを一挙紹介する台湾フェア『台灣品質 ~日常に台湾クオリティーを~』が開催された話題のスポットだ。

今回の『東京カルチャーマーケット』は2会期に分かれて、COETや北欧雑貨・POS+、Sur、HELLOAYACHANなど50以上のブランドや作家が出店。週末には小山健、オカタオカ、大橋裕之などによる似顔絵コーナーや、paper tunes、キム・ソンへのワークショップ、conixによる蚤の市などが行われた。

キム・ソンへによる熊手のコラージュワークショップ
キム・ソンへによる熊手のコラージュワークショップ

ゆるいイラストとシュールな笑いで人気の「ぺぺぺ似顔絵店」
ゆるいイラストとシュールな笑いで人気の「ぺぺぺ似顔絵店」

「ファッションとしての花」をコンセプトに線密なカウンセリングから「その人のライフスタイルの中に溶け込む花」を提案する中目黒の花屋「farver」
「ファッションとしての花」をコンセプトに線密なカウンセリングから「その人のライフスタイルの中に溶け込む花」を提案する中目黒の花屋「farver」

CINRAのスタッフによる蚤の市も
CINRAのスタッフによる蚤の市も

トークイベントのテーマは、『装苑』『箱庭』に学ぶファンが付くメディアの作り方

左から:康あん美(CINRA.STORE)、玉利亜紀子(装苑)、森史子(箱庭)
左から:康あん美(CINRA.STORE)、玉利亜紀子(装苑)、森史子(箱庭)

3月31日にはオープニングイベントとして「メディアのファンってどう作る?」をテーマにしたトークイベントが開催され、女性ファッション誌『装苑』副編集長の玉利亜紀子と、女子クリエイターのためのライフスタイルつくりマガジン『箱庭』編集部の森史子が登壇。「CINRA.STORE」ディレクターの康がモデレーターをつとめ、女性から高い支持を受ける両メディアの運営や企画の裏側に迫った。

康あん美(CINRA.STORE)

創刊から80年の歴史を持つ『装苑』は、文化学園を母体とするファッション誌。時代背景や読者調査を誌面に反映しており、近頃は「ART & TEXTILE」「音楽とファッションとエモーション2017」などファッションとカルチャーが融合した特集も増えてきている。副編集長の玉利は、この理由を以下のように話す。

玉利:私が若い頃は、ファッションが好きな人はアルバイト代を全て洋服につぎ込むという人も少なくない時代でした。しかし、今の価値観は変わってきています。近頃は服だけに限らず、アーティスティックなものやクリエイションに目を向ける読者も増えてきたので、その方々の興味がどこにあるのかということを探りながら少しずつ形を変えていっています。

一方、『箱庭』は今年で5周年を迎えるライフスタイルウェブマガジン。こちらは、アートやデザイン、カルチャーの情報はもちろん、クリエイターのためになるスタディ情報を発信している。そのほか、元々読者であったカメラマンやデザイナーなどが「キュレーター」となり、企画を含めた記事作りをするというユニークな編集体制を取っている。

読者の想像を超える雑誌を作るために『装苑』がしていることとは?

左から:玉利亜紀子(装苑)、森史子(箱庭)

企画のネタ探しについて、『装苑』はさまざまなブランドの新しい情報を見つける者、気鋭のデザイナーを見つける者、音楽やアートなどカルチャーの新情報を見つけてくる者……というように担当を分野で分けている。特集の大枠は12か月分を一気に考えるが、その細部についてはそれぞれの分野のトレンドを反映している。

玉利:例えば「春のファッション」という特集テーマがあったとしたら、一番動くことになるのはもちろんファッションのチームですが、その中にもこの春からデビューしたデザイナーを紹介したり、この春公開となるファッションが素敵な映画とその衣装のスタイリストを取材したり……。それぞれが持っている新しい情報を特集に絡めて提案してもらい、特集のリーダーと編集長が全体を組み立てていきます。

左から:玉利亜紀子(装苑)、森史子(箱庭)

:『箱庭』はウェブ媒体なので、毎月1つ大きな企画を組むというよりも、良いネタを日々集めて少しずつ配信しています。ネタ探しの部分では、常にアンテナを張って歩いていますが、Instagramを中心にSNSを使うことも多いですね。

編集部メンバーはもちろん、キュレーターさんともSNSでつながっていて、みんなが「いいね!」やフォローしているものが良いネタになったりします。もともと『箱庭』読者でもある人たちが集まって作りあげているので、メディアとして世界観の統一につながっているのかもしれません。

左から:玉利亜紀子(装苑)、森史子(箱庭)

雑誌ではアートディレクターを固定で置くことが多い中、『装苑』は1冊ごと、さらにはその1冊の中でも、特集ごとにアートディレクション、デザイン担当が違うのだそう。ここには、彼らならではの明確な意図があった。

玉利:2014年に編集長が変わってから固定のアートディレクターを置かない方針になりました。テーマによって、写真の強さで見せたいのか、グラフィックのデザイン性で表現したいのかが変わるので、それぞれのデザイナーさんの得意分野に応じてお願いをしています。

もちろん、他紙と同じように固定の方にお願いした方が一冊の統一感はありますし、コミュニケーションコストも低いですが、その分想像を超える驚きなども味わえないのかなと思っていて……。それに、私たちは「若い才能の発掘」ということを意識している雑誌でもありますので、売り込みで来ていただいた若手のデザイナーやカメラマン、イラストレーターの方とも積極的にお仕事をさせていただいています。

「まだ顕在化していないものをすくい上げたい」。これは今回登壇した両メディアに共通する意識だった。近頃はメディアが次々に立ち上がり、コンテンツが世に溢れているが、その中でもコアなファンを獲得し続けるメディアには、「何のためにメディアをやっているのか」「これは私たちらしいのか」ということを徹底的に突き詰めて考える編集者の姿があった。

『東京カルチャーマーケット by CINRA.STORE』
『東京カルチャーマーケット by CINRA.STORE』(オフィシャルサイトを見る

4月5日からは『東京カルチャーマーケット by CINRA.STORE』の後期が始まる。後期では、北欧雑貨・POS+、MONOPURIなど15組以上の作家が参加するマーケットを中心に、チーム未完成による蚤の市や、小田島等による似顔絵体験、神尾茉利によるブローチ作りのワークショップなどが開かれる予定だ。

イベント情報

東京カルチャーマーケット by CINRA.STORE
『東京カルチャーマーケット by CINRA.STORE』

2017年3月31日(金)~4月9日(日)
前期:2017年3月31日(金)~4月4日(火)
後期:2017年4月5日(水)~4月9日(日)
会場:東京都 秋葉原 マーチエキュート神田万世橋
時間:月~土曜11:00~21:00、日曜、祝日11:00~20:00(初日は16:00から)
参加作家:
0810
good morning, morning.
HARCOZA
Sur
きたのまりこ
canpachi
PAPER ART WORKS
COET
Farver
ETCHIRA OTCHIRA
伝統茶{tabel}
Rough’N’tumble
ETSUSHI
SUMMER
MUUTS
Lueur
沖田奈央
HELLOAYACHAN
MiOA
MONOPURI
株式会社ホクビ「Qui boon」「HAMICO」
MIDORIKABAN
クールラッシュ
MicroWorks
北欧雑貨・POS+
toba fumihito・tobird
ヌトグラン
conix
チーム未完成
大伴亮介
ロゴゴ
TENUSIS
ぺぺぺ似顔絵店
大橋裕之
堀道広
オカタオカ
おのしのぶ
小山健
山中玲奈
小田島等
北村人
苺一絵(いちごいちえ) by holiday
のでこ
boojil
料金:無料

▼後期ワークショップ

paper tunes
『オルゴール作りワークショップ』

2017年4月8日(土)11:00~、13:00~

クールラッシュ
『お手軽に作るスノードーム』

2017年4月8日(土)15:00~、17:00~

苔むすび
『苔テラリウム制作ワークショップ』

2017年4月9日(土)11:00~、13:00~

神尾茉利
『刺繍でニャンコブローチをつくろう!』

2017年4月9日(土)15:00~、17:00~

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