台北文創記憶センター(TNHCC)による展覧会『理想居所 in Tokyo』が東京・SHIBAURA HOUSEで7月27日まで開催されている。
昨年に台湾・台北のカルチャーセンター・松山文創園区で開催され、約2万人が来場した特別展『理想居所』(台北展)。「住まい」をテーマに、住空間と台湾社会のつながりや、個人と空間の相互作用を言葉や絵、自らの手で空間をしつらえる体験などを通じて来場者とともに展覧会をつくり上げ、「理想の住まい」とは何かを多様な視点から探った。
台北文創記憶センター初の海外展開となる『理想居所 in Tokyo』は、台湾と日本それぞれの都市、暮らしに根ざした「住まいの記憶」を往還しながら現代における「居所=Home」を問い直すもの。来場者が「選ぶ」というプロセスを通して、自らの感覚を尺度に住まいと暮らしの理想の輪郭を描き出す体験を提供する。企画・構成は台北展に続き、企画会社Plan bと、台湾のライフスタイルブランドであり、新しい住まいの形を提案するAlifeが共同で担当。
Alifeが空間デザインを担当する『理想居所 in Tokyo』では、妹島和世が設計した複合施設であるSHIBAURA HOUSEの3フロアを活用。会場内には数多くの休憩スペースを残し、手を動かして楽しめる仕掛けも随所に配置される。来場者が自然なかたちで台湾、日本それぞれの住まい文化にふれ、理想の住まいを自由に描ける空間になっているという。
来場者を最初に出迎えるのは、真っ白な紙と画材。「家」とは何か、その想像を描くことから展覧会がはじまる。来場者が東京での住まいにまつわるエピソードを自由に書き込める「共感マップ」の隣に掲出された台北の地図では、名もない場所や話題のスポットに刻まれた台湾の暮らしの軌跡を垣間見ることができる。
さらにAlifeの限定セレクトショップ「A Shop」が自販機で登場。「自分らしい生活」というブランド精神をもとに「光が差す瞬間」「香りの記憶」「ひらめき」「祝いや集い」「ひとり時間」「満たされる瞬間」をテーマにセレクトされたインテリア雑貨、香りとボディケア、食の道具など多彩な商品が並ぶ。
2階の「HOUSE」エリアでは、人気ドラマや風水の視点から住まいの個性や価値観の多様性を探るほか、日建設計と協働し、SHIBAURA HOUSEと日建設計東京本社の2か所の会場を活用した特別展示を実施。来場者はインタラクティブな装置やイマーシブ体験を通して住まいと公共空間の境界が曖昧になり、住空間が「コモンズ化」していく現象を体感することができるという。日建設計東京本社での体験展示は予約制。
最上階に位置する「Home」エリアは「ただいま」と帰ってくる家をテーマに構成。在日台湾人の言語学者・黄竹佑による音声ストーリーが流れ、時代とともに変化してきた「住まい」の意味や、人々の想像を見つめ直すひとときが広がる。また、台湾のライフスタイルブランドHOLA和楽家居とのコラボレーションにより、さまざまな家具をミニチュアのシールにして制作。来場者はカードの上に家具のシールを自由に貼ってコラージュ体験ができる。
台湾・台北に拠点を置き、7月に設立10周年を迎えた台北文創記憶センターは、文化・創意産業の推進を目指す台北文創が2015年に始動した長期プロジェクト。「日常のささやかなことを大切にする」をテーマに、これまで「繁体字(Traditional Chinese)」「お米」「ポップミュージック」「朝食店」「広告」など多様な切り口から台湾文化と記憶に光を当ててきた。


画像提供:SHIBAURA HOUSE

画像提供:Plan b

画像提供:Plan b

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