秋赤音がJusticeとのコラボを語る。新しい化学反応はどう導くか

「歌う絵師」秋赤音が、『グラミー賞』受賞ミュージシャンJusticeとコラボレーションを果たす

今年4月、渋谷STREAMにて開催される国際音楽祭『SOMEWHERE,』。その初公演を記念して、メインアクトの一つであるJusticeと、「歌う絵師」として海外からも注目を集めている秋赤音のコラボレーションが実現した。

『SOMEWHERE,』は、フランス・ベルサイユで結成されたインディーロックバンドのPhoenixや、同じくフランスはパリ出身の2人組Justice、カール・バラー(Dirty Pretty Things、The Libertines)、Basement Jaxxら海外トップクラスのアクトを始め、元Creation Recordsのオーナー、アラン・マッギーらが連日出演する音楽祭。会場には、Phoenix主催のイベント『Ti Amo』による華やかなデコレーションが施され、音楽だけでなく映画の上映や、アートインスタレーションの展示なども予定されている。Justiceと秋赤音によるコラボレーションも、その一環として当日も披露される予定だ。

Justice

Justiceは、ギャスパール・オジェとグザヴィエ・ドゥ・ロズネからなる2人組。Daft Punkの元マネージャー、パブロ・ウィンターが立ち上げたレーベルEd Banger Recordsより、2007年に『†(クロス)』でアルバムデビューを果たすと、ハードロック譲りの歪んだシンセとタイトなビート、フレンチポップのケレン味を融合させたエクストリームなサウンドスケープにより「フレンチエレクトロの代表格」としてシーンに殴り込みをかけた。

中でも有名なのは、ロンドンの少年聖歌隊をフィーチャーしたマイケル・ジャクソンのトリビュート・ソング“D.A.N.C.E.”と、日本では DoCoMo携帯のCMに起用され、広く知れ渡った“DVNO”だろう。

その後もマイペースに活動を続け、昨年8月には『Woman Worldwide』をリリース。これは、現時点で彼らの最新作となる『Woman』(2016年)を中心とした過去曲を、パリのスタジオで新たにレコーディングしたベストアルバム的内容。先日行われたグラミー賞では、本作が「最優秀ダンス / エレクトロニックアルバム」にも選ばれた。

「若者特有の焦燥感や苛立ちを、少し生々しくグロテスクかつサイケデリックな世界観として落とし込みたかった」(秋赤音)

秋赤音は、現在はイラストレーターとしての仕事がメインだが、元々はニコニコ動画を拠点に、音楽とイラストを融合させたスタイルの表現を行なっていた。シンガーとしては、2011年に“antinotice”でシングルデビューを果たし、その翌年にはファーストアルバム『ぼろぼろな生き様。』とセカンドアルバム『DRAGONFLY』を立て続けに披露するなど、精力的な活動を行なっていた。

秋赤音:子供の頃からイラストを描くことも、歌うことも好きだったのですが、学生の時にニコ動の存在を知り、両方同時に表現できる場所をみつけたと思いました。当初は「自分さえ楽しければ」という気持ちが強かったのですが、今思い返すと若者特有の「焦燥感」や「苛立ち」、叫び出したい「衝動」などを、少し生々しくグロテスクかつサイケデリックな世界観として落とし込みたかったようです。

秋赤音『亥』
秋赤音『BLEND』

2014年にサードアルバム『SQUARE』をリリースして以降は、主にキャラクターデザインや挿絵、ジャケットのアートワーク、衣装デザイン、ミュージックビデオ制作などを行なっている。

近年の作品『少年少女奇術競』や『ボーンガール』『春の香りに誘われ』などを見ると、国芳やクリムトなどの作風や、恐竜、花札などをモチーフに、独特な色使いと「和」や「神話」などの要素を散りばめた、豪華絢爛な世界観が特徴だ。こうした発想は、どのようにして湧いてくるのだろうか。

秋赤音:音楽を聴いたり映画を見たり、美術の本や服を見たりしているときに浮かびます。意図的にインプットしようとしている時ではなく、なんとなく見かけたものからヒントを得ることも多いですね。特に何かにメモしたり、無理に覚えようとしたりしなくても、ふと思い出してしまうような忘れ難い物事や出来事を中心に、世界観を練ってから作品に落とし込んでいきます。

イラストレーターがアーティストの音楽性に全く新しい角度から光を当てる

ミュージシャンとのコラボでも知られる秋赤音。ニュージーランドのシンガーソングライター、ロードとのコラボでは、真白なキャンバスから次第に絵が完成していく過程を一本のミュージックビデオにするなど、奇抜なアイデアでも話題を集めた。

秋赤音:アーティストとのコラボでは、その人の写真や作品を調べて世界観を見極め、私自身のオリジナリティも活かせるようなアイデアを練っていきます。特に、アーティストが過去に来ていた衣装はだいぶ参考にしていますね。ロードの映像は、以前からたまに録画していたイラストの制作過程が評判良かったので、それを採用しました。

そして、今回は『SOMEWHERE,』のヘッドアクトの一つ、Justiceとのコラボだ。まるでネオンライトが画面の中で激しく行き交っているような、ポップでキッチュ、そしてどこか背徳的な色使い。Justiceの持つケレン味を、そのまま色に置き換えたような見事な作品である。

秋赤音:最近は音楽活動から離れ、イラストレーターとしての活動をメインにしているので、以前に比べると音楽と関わる機会が少なくなってきているのですが、それでもまたこうやって、素晴らしいアーティストに関わらせてもらえるのはとても嬉しいし光栄です。今回の制作中、もちろんJusticeの楽曲をずっと流していたのですが、たくさんのインスピレーションが次々と湧いてきて。ノリノリで描くことができました(笑)。

秋赤音「JUSTICE」イラスト

今年の10月には、都内で個展を開く予定の秋赤音。音楽とイラストレーションは非常に密接な関係があり、例えばアンディ・ウォーホルはRolling Stonesの、ハインツ・エーデルマンはThe Beatlesの、リッチー・バッカーはGreen Dayのイラストを手がけ、全く新しい角度からそのアーティストの音楽性に光を当ててきた。

秋赤音によるJusticeのイラストレーションも同様で、今にも彼らの音楽が聴こえてきそうだ。今回のイベントで、彼女の存在がさらに多くの人に知れ渡ることを期待したい。

イベント情報
『SOMEWHERE,』

2019年4月19日(金)、4月20日(土)、4月22日(月)~4月24日(水)
会場:東京都 渋谷ストリームホール
出演:PHOENIX
料金:12,900円(5Fパーティーエリアでのウェルカムシャンパン付)

2019年4月21日(日)
会場:東京都 渋谷 セルリアンタワー東急ホテル バー
出演:
アラン・マッギー、アレックス・メトリック、80KIDZ
and more
料金:9,800円(フリードリンク付)

2019年4月26日(金)、4月27日(土)
会場:東京都 渋谷ストリームホール
出演:カール・バラー
料金:12,900円(5Fパーティーエリアでのウェルカムシャンパン付)

2019年4月26日(金)、4月27日(土)
会場:東京都 渋谷ストリームホール
出演:
JUSTICE
秋赤音
料金:10,000円(5Fパーティーエリアでのウェルカムスパークリングサケ付)

2019年4月28日(日)、4月29日(月・祝)
会場:東京都 渋谷ストリームホール
出演:Friendly Fires
料金:9,900円(5Fパーティーエリアでのウェルカムスパークリングサケ付)

2019年6月5日(水)~6月7日(木)
会場:東京都 渋谷ストリームホール
出演:Basement Jaxx
料金:9,900円(5Fパーティーエリアでのウェルカムスパークリングサケ付)

プロフィール
秋赤音 (あきあかね)

2011年TOY'S FACTORY から“antinotice”で歌手デビューし、2012年4月に1stアルバム『ぼろぼろな生き様。』、同年11月には2ndアルバム『DRAGONFLY』、2014年には3rdアルバム『SQUARE』をリリース。現在は主にキャラクターデザイン、挿画、ジャケットイラスト、衣裳デザイン、MV制作を手掛ける。『#コンパス 戦闘摂理解析システム』ルチアーノ、マリア、『KILLER B』MV制作。幻冬社『世界の終わりと始まりの不完全な処遇』カバーイラスト、『ちゃんげろソニック2018』イラスト担当。『少年少女奇術競』シリーズ等



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