『クリエイターのヒミツ基地』

『クリエイターのヒミツ基地』 Volume8 川上 俊(アートディレクター)

『クリエイターのヒミツ基地』 Volume8 川上 俊(アートディレクター)

シンプルさが魅力の仕事場

青山の裏通りにある「artless」の事務所。東京オリンピックの頃にデザインされたマンションで、いつか借りたいと思っていた憧れの場所だったそう。中に入ると、物の少ないシンプルな空間の中に大きな机がひとつ。ここが川上さんのヒミツ基地です。「本当はもっと広い場所がいいんですけどね。あと、建物が古いからとにかく寒いのがネックです。しんどい時はパソコン持ってカフェに移動します」と笑いながら説明してくれました。仕事部屋にも鞄の中にも不要な荷物はなく、必要最低限なものしかないのが川上流。それでは、ヒミツ道具を見てみましょう。

MacBook Pro

MacBook Pro

以前は事務所ではデスクトップ、外出時はMacBook Airと使い分けていたものの、最近はこのノートパソコンに一元化。外出時にデータを移動させるのが面倒になったことが大きな理由だったそうですが、「これに変えたら生活がどう変わるのかな」という好奇心も動機だったとか。「そうやって意図的に環境を変えるのが好きなんです。自分がどう変化するのかを楽しむ感じですね」と川上さん。スペックは購入時に選択できた最大のメモリーとハードディスクにし、これ一台で全ての仕事を行っています。「ちょっと重いんですけど、外出時は常に持ち歩いてます。車での移動が多いし、家も事務所の近所なのであまり苦ではないですね。これはいちばん大きいサイズのMacBook Proだけど、ひと回り大きいともっと作業はしやすいかも」

ペンタブレット

ペンタブレット

最近使い始めたばかりのペンタブレット、Intuos4。「細かい設定が自分でカスタマイズできるし、shiftやcommandキーが手元にあるから、慣れればレイアウトも効率よくできそうです。普段は画像の加工や緻密な作業はほとんどしないんですが、細かいデザインを行う時にはすごく重宝すると思います。Macと相性がいいデザインも好きですね」とお気に入りの様子。特にIntuos4から備わった新機能のタッチホイールは「Photoshopのレイヤー切り替えがすぐにでき、キーボードの横にも付けてほしいくらい」と思うほど便利だとか。

実は川上さん、過去に旧式のペンタブレットを持っていたものの、すぐに使わなくなってしまった経験があるのだそう。「僕がデザイナーを始めたころはまだ手作業で配置する版下の時代だったから、レイアウトは『手でつまんで置く』という感覚。だからペンタブレットだとやりづらい感覚があったんです。でもIntuos4は感度もかなりいいし、違和感なくレイアウトの作業ができます。特にPhotoshopのブラシや消しゴムツールは、手作業と似たような感覚で、マウスよりも断然使いやすいですね」

テーブル

テーブル

この事務所に引越してきた際、知り合いに作ってもらったオーダーメイドのテーブル。部屋の壁と平行になる直線を組み合わせた、こだわりの逸品です。船のような独特の形も、「できるだけ足が目立たないほうがいい」とお願いして考えてもらったのだそう。「でも先端を尖らせすぎちゃったんですよね。そこに引っ掛けて洋服を破っちゃったことがあります(笑)」

砂時計

砂時計

テーブルにある仕事道具以外の唯一のものが、この30分砂時計。プリントされている手描き風の文字が気に入っての衝動買いでした。「スタッフと『30分だけ打ち合わせしようか』という時に使うこともあるんですが、すぐに存在を忘れちゃいますね(笑)。だからほとんどインテリアグッズです」

筆記用具

筆記用具

普段使っている筆記用具は、エンピツと万年筆のふたつだけ。エンピツ自体にこだわりはないものの、グリーンのカバーに店頭で一目惚れし、砂時計と同じように衝動買いしたそうです。川上さんが購入したものは数千円だったそうですが、高価なものではプラチナやゴールドがカバーの素材として使われており、数万円する商品もあるのだとか。万年筆は2年前にプレゼントされたペリカン製です。「エンピツと万年筆を使い分けているのでは特になくて、その時の気分です。でもエンピツを持ったらラフに書きたくなるし、万年筆だと丁寧に書きたくなる。筆記具にはそういう不思議な効果がありますよね」

自然体で柔和な雰囲気ながら、言葉の端々からは仕事へのストイックな姿勢や自分への厳しさが感じられた川上さん。仕事道具の少なさと事務所のシンプルさも、引き算が基本のデザインを仕事とするクリエイターならではなのかもしれません。みなさんも、川上さんの仕事術をぜひ参考にしてみて下さい。

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