シンガポールの次世代バンド・アーティスト。いま注目の4組を紹介

ここ最近、台湾出身のSunset Rollercoasterやタイ出身のPhum Vinphurit(プム・ヴィプリット)など、アジアのインディーズバンドやシンガーソングライターが世界でも注目を集めている。そんななか、南国シンガポールの若手インディーズバンドやミュージシャンも、ぞくぞく世界を舞台に活躍中。今回は、現在そしてこれからのシンガポール音楽シーンを牽引していくであろう、次世代の4組「Sobs」「Subsonic Eye」「Kin Leonn」「Fauxe」を紹介したい。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

人気急上昇中の「アンクール(ダサい)」ポップバンド「Sobs」

シンガポールのインディーズバンドのなかで、現在人気急上昇中のバンド、Sobs。みずからの音楽を「アンクール(ダサい)ポップミュージック」と称し、シンガポールや周辺諸国の音楽フェスティバルに数多く出演している3人組だ。

2017年にリリースしたデビューEP『Catflap』が、シンガポール国内にとどまらず東南アジアやアメリカのインディーズシーンでカルト的な人気に。

Sobs『Telltale Signs』

紅一点のCelineのキュートなボーカルに、ギターのJaredとRaphaelが奏でるメロディとリフ。キャッチーなメロディーと、フワフワとしたドリーミーなアレンジの掛け合わせは、1990年代インディーポップに影響を受けた彼らならでは。

柔らかな印象の音楽とは対照的に、ライブパフォーマンスはいつも熱い。会場は多くのファンで埋め尽くされ、ダイブする人も続出。いかに若者たちに支持されているかがわかる。

2018年夏にデビューアルバム『Telltale Signs』を発売後、2019年1月のジャパンツアーではチケットが完売。日本のFor Tracy Hydeなどシューゲイザー系バンドとの交流も深い。これからもシンガポールから世界に「最高のアンクールな音楽」を発信してくれるのが楽しみだ。

Sobs『Astronomy』

ドリームポップ・シューゲイザー好きにオススメ「Subsonic Eye」

続いて紹介するのは、Sobsと同じレーベル「Middle Class Cigars」に所属するドリームポップバンド、Subsonic Eye。

ボーカル・シンセサイザーのWahidahとギターのDanielが学生時代に出会い、2015年に結成。現在は5人編成になり、SobsのギタリストJaredも加わっている。

2017年にリリースしたデビューアルバム『Strawberry Feels』がBandcampで高評価を受け、その後東南アジアを中心にライブを行うなど精力的に活動。

2018年9月に発表した2枚目のアルバム『Dive Into』では、前作より一回り成長したドリームポップを披露。Jaredが奏でるサイケなギターサウンドの洪水と、作曲担当のDanielが紡ぐ甘いメロディーライン。Wahidahのメランコリーな歌声にベースとリズムが合わさった世界観が聴く者を惹きつける。

Subsonice Eye『Come Around』

「happy music for sad people(悲しみにくれる人々に幸せな音楽を)」をテーマにつくられるSubsonic Eyeの作品は、これからもシンガポールからアジア、そしてアジアから世界のドリームポップ・シューゲイザーファンに広がっていくことだろう。

Subsonic Eye『The Tired Club』

ピアノ中心のアンビエント・エレクトロニカ「Kin Leonn」

「シンガポールのアンビエントボーイ」ことKin Leonn。ピアノ中心のメロディーに、シンセサイザーやギターによるドローンなどを重ね、ミニマルかつオーガニックな世界観をつくり上げるアーティストだ。

Kinはシンガポールの代表的なアンビエントエレクトロニカレーベル「KITCHEN.LABEL」より、2018年末にデビューアルバム『Commune』を発売。「KITCHEN.LABEL」はほかに、アンビエントフォークデュオAspidistrafly、ポストクラシカルな音楽をつくるソロプロジェクトSonicbrat、日本人のピアノとプログラマーの音楽デュオIronomiなども輩出している。

Kin Leonn『Desire #9』『Somewhere』

2019年7月に、シンガポールの芸術センター『エスプラネード』で開催されたデビューアルバムのレコ発ライブは、250席がソールドアウト。楽曲はアメリカのKEXPやイギリスのBBC Radioなど海外のラジオ局でも紹介され話題に。

現在はロンドンで学生としてミキシングとマスタリングを専攻中。過去には、2015年に活動を開始したシンガポールのエレクトロニック・アンビエント音楽トリオ「midst」の中心メンバーとして活動していたほか、ジャンルレスなDJミックスも好評で、シンガポールのエレクトロニックシーンでは期待の若手ミュージシャンとして注目されている。ロンドンでの学びがどう作品に生かされていくのか、今後が楽しみだ。

独創的なミックスを追求するクラブミュージックアーティスト「Fauxe」

シンガポールでは、エレクトロニック系音楽シーンも面白くなってきている。例えば、最先端のクラブミュージックアーティストや映像アーティストが集うコレクティブSyndicateは、シンガポール国内外で活躍するビートメイカーKiatやIntriguantを輩出しているが、今回は最近特に注目度が高まっているFauxeを紹介したい。

独自の感性で、ベースミュージックからヒップホップまで最先端のクラブミュージックをミックスし、唯一無二のサウンドをつくり出しているFauxe。さらには伝統音楽から現代音楽まで、さまざまな要素を貪欲に取り込んだ楽曲とパフォーマンスは、DJイベントや国内外の音楽フェスで多くの聴衆を魅了している。

ルーツをマレーシア系に持ち、多文化主義のシンガポールで生まれ育ったFauxe。そんな彼が、マレーシアでの数か月の滞在制作を経て2018年に発表したのが、アルバム『IKHLAS』(マレー語で「誠意」の意味)だ。

伝統的なマレーシア民謡をサンプリングし、ヒップホップとベースミュージックを融合した実験色の強い作品は、その斬新さで話題に。当初はオンラインとカセットテープのみの発売だったが、好セールスと多くのファンの要望によってレコードでも再発された。

つねに新しい音楽を追求している彼は、2019年から3年間かけて3部作のアルバムをリリース予定。また、ローカルのヒップホップアーティストなどとのコラボレーションリリースも予定している。今後もFauxeの作品、ライブパフォーマンスから目が離せない。



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