バンコクから東に車を走らせること2時間、パタヤ郊外のゴルフ場『Siam Country Club』で2017年12月14日から4日間に渡って開催された『Wonderfruit Festival』。2014年にスタートし、今年も総計で13,000名の参加者が募ったこのフェスは、その格別な雰囲気の良さが評判を呼び、アジア各地から多くの参加者が押し寄せます。木曜~月曜の朝まで夜通し続くパーティーは、どこを切り取っても刺激的かつハイブリッド! 今回は、3日目の『Wonderfruit Festival』の様子をレポートします。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
1:MUSIC
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Wild Beasts (Living Stage)
今年のラインナップはテクノの大御所Richie Hawtin、UK Hip Hopシーンを牽引するRoots Manuva、 凄腕ドラマーJojo Mayer率いるelectronicaバンドNerve、UKロックバンドWild Beastsなどの海外からの出演者に加え、タイからはレゲエ~Dubの大御所T-boneのGapi、シティーポップバンドのGym and Swimやエレクトロ・ポップを聞かせるソロ・ユニットのCyndi Seuiといった、タイの音楽を全く知らない人でも確実に踊らせてくれるバンドが出演。
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Nerve (Living Stage)
会場内にはステージやDJブースのあるバーが10数カ所あり、日が暮れるとあちこちで小さなパーティーが盛り上がりを見せます。ちなみに一つ隣のステージまでは歩いて3~4分ほどの距離感。色々と覗きながら、自分好みの音楽を探すことができます。
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この日、メインステージLiving Stageで最初に出演したのは、タイや世界各地の伝統楽器を使うサイケデリックなタイのインストバンドYAAN。前回は小さなテントでの出演でしたが、今年は世界的なプロデューサーHowie Bによる若手バンドをプロデュースするプロジェクトに選出されるなど、大きく飛躍し、今回はメインステージでの出演となりました。
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Yaan (Living Stage)
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Yaan
バンドの紅一点、パーカッション担当のKickyさんにお話を聞いたところ、彼女は初回から参加しているとのこと。『Wonderfruit Festival』について伺うと、「出演アーティスト達はよくキュレーションされていて、今まで知らなかったアーティストでもライブを見てファンになることがいっぱい。タイのバンドも、ここでは確実に良いショーを見せてくれます」と話してくれました。
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solar stage
『Wonderfruit』でハイライトの一つとなるのが、夕方のSolar Stage。ここは『Burning Man』のステージも手がけるGregg Fleishmanによるデザインで、蜂の巣のような立体構造の中心部が演奏を行うステージ。空中には、公式のドローンや凧など様々なモノが飛んでいたり、フラフープやジャグリングを楽しむ人など、このステージ周辺には常にフリーキーな雰囲気が漂います。
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UKの若手シンガーソングライターIzzy Bizuのソウルフルな歌に浸りながら、上に登って日没を眺めたり、皆思い思いに贅沢なひと時を過ごす人たち。そして、日が沈むと同時に行われるファイヤーショーも幻想的で見逃せません。
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izzy bizu (solar stage)
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2:FASHION
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肌見せスタイルに着物を羽織ったり、羽飾りの付いたインディアン風ヘッドドレスやフェイスペインティングといった非日常的ファッションを思いっきり楽しむのがWonderfruit流。Wonder Salonと名付けられたエリアには、コスチュームショップ、ヘアサロン、ボディーペインディングショップなど、その場でフェス仕様にドレスアップできるお店が揃います。
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Wibwabwub
中でも、ガールズバンドYellow FangのPraewaさんが出店しているグリッタータトゥー(ボディージュエリー)のサロンWibwabwubは一晩中客足が途絶えません。初回からお店とバンドの両方で参加する彼女に、このフェスの魅力を尋ねてみました。
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Praewa (yellow fang)
「Wonderfruitは24時間アメージングで、期待以上の予想外な体験ができるのが魅力。毎日朝から夜までがパーティーです。バンコクではナイトクラブは朝まで営業できないので、パーティーに行っても深夜2時とかには帰ることになります。でも、ここならみんなで踊っていて気が付いたら朝日が出てた、なんてバンコクではできない体験ができるし、みんなのエネルギーを感じます」
3:ART
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Alex Face
会場にはユニークな建築やオブジェの他に、タイ人ビジュアルアーティストWit Pimkanchanapongによるインスタレーションや人気グラフィティーアーティストAlex Faceの作品など、見所がたくさん。
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Wit Pimkanchanapong
タイ東北部のイサーンからラオスにかけての伝統音楽であるモーラムをテーマしたのが、タイの工芸品でもあるタイシルクで有名なブランド・ジムトンプソンによるMolam Bus。設計は日本とタイで活躍する遠藤治郎さんによるもの。バスの横ではモーラムバンドが演奏し、まるで日本の夏祭りのような雰囲気に。
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All Thidsa
バスの車内はエキシビジョンスペースとなっており、写真と文章でモーラムの歴史を振り返ります。展示は英字新聞Bangkok Postで「World Beat」を連載する、ワールドミュージックのスペシャリストでコラムニスト兼カメラマンのJohn Clewleyさんによるものでした。
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John Clewley (Molum Bus)
「このバスは、元々ジムトンプソンの工場で作業員用に使っていたもの。古いけれど、もちろん動くよ。こういうタイプのバスは労働者が毎日使う乗り物だし、銀色の金属がギラギラして派手な感じがイサーンの労働者の音楽でもあるモーラムの展示にぴったりだと思ったんだ。普段はお寺や学校などに移動して展示しているんだけれど、ここではいつもは見てもらう機会のない、若者たちに見せることができるから良いね」
4:FOOD
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『Wonderfruit Festival』では、フェスの醍醐味のひとつであるグルメも充実。バンコクで人気のイタリアンレストラン『Peppina』やタイのオーセンティックにこだわるダイニング・バー『Tep Bar』、アメリカ版料理の鉄人のシェフによる『Morimoto』を筆頭した有名店の味がいただける他、若い農家たちが産地直送の素材を調理する『Thailand Young Farmars』では、ローカルグルメやタイの薬用酒ヤードンや昆虫のスナックといったタイならではのグルメにもチャレンジできます。
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そんな中、異彩を放っていたのが、日替わりでアジアを代表するトップシェフがコース料理を提供する『Theater of Feasts』。この日は、名実ともにアジアトップのレストランとしても名高いバンコクの『Gaggan』のシェフが、友人のシェフたちを招いてコラボレーションした特別ディナー。そのシェフの中には、福岡の『La Maison de la Nature Goh』のシェフ、福山剛氏の名もありました。
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Gagan,Sühring
インド・タイ・スペインのフュージョン料理を250席分、目の前で見事に捌く様子を見ることができるのも、ここならではの体験。こちらは連日とも完全予約制で即完売となっていました。
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Gagan (theater of feasts)
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なお、会場ではRFIDを内蔵した決済機能付きのリストバンドを使用するシステムとなっており、完全に現金のやりとりはないキャッシュレスの世界。最初に専用ブースでトップアップして、支払いの際は店員さんがスマホをリストバンドにかざすだけ。待ち時間も少なく想像以上に快適な体験でした。
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5:LIFESTYLE
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来場者は、バンコクからの日帰りの人やパタヤに宿泊して会場まで通う人も多くいますが、会場では持ち込んだテントや車で宿泊する以外にも、家具付きキャンピングカーやエアコン付きテントが用意されており、身一つで気軽にグランピングを楽しめます。そして会場内には、朝から夜まで様々な有料・無料のワークショップが用意されており、ヨガや瞑想のクラスや、ハーバルバーム(タイのハーブで作られる軟膏剤)やタイのお菓子作り体験ができます。
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workshop (sawasdee craft)
託児所もあり、ファミリー向けプログラムも充実しているので、小さい子連れの家族にも好評で、バリやパンガン島といった遠方からやってきた家族にもたくさん出会いました。
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また会場内で会ったのは、若者たちのファッションアイコン的存在であり、HereNowのキュレーターも務めるelectroデュオユニットx0809のNotepさん。この日は、Jam Factoryが主催するイベント「Knack Market」の名を冠したテントに出演ということで、先日まで訪れていたインド・カシミール地方で揃えた衣装をコーディネート。
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notep
「Wonderfruitはただの音楽フェスではなく、アートとタイの伝統文化、そしてライフスタイルを提案するフェスティバル。TEDのようなスピーチ’Scratch Talks’で環境問題を学んだり、タイの伝統工芸のワークショップに参加したり。360度どこを見渡してもインスパイアされるもので溢れているし、このフェスに来たら賢くなる感じがします」
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もともと『Wonderfruit Festival』を始めたのはPeteさんと俳優・ミュージシャンのJay Montonさん。父親が環境保護活動をするのを見て育ったPeteさんが、大人になり社会にとって意味のあることを始めたいと考えたときに、友人のJayさんを誘い、環境・社会問題へのポジティブでクリエイティブな解決方法を提案するプラットフォームとしてこのフェスをスタートさせたんだとか。
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jay monton
会場内は廃棄物を可能な限り排出しないスタイルで、各ステージや屋台、デコレーションやゴミ箱、食器などは全てプラスチックを排除した再利用できる自然素材で作られています。また、サスティナビリティーにこだわり、様々な分野で地元のコミュニティーと連携して運営されていました。
ハイブリッドなタイカルチャーが垣間見れる『Wonderfruit Festival』
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どこを見てもスタイリッシュで非日常感を味わえる『Wonderfruit Festival』。今回紹介した以外にも見所が山程ありますが、会場はコンパクトなので遊園地のアトラクションを回るようにステージやバーを渡り歩くと、すぐに気分にぴったりの場所が見つかります。また、全体的に採算を度外視したような快適な設備が揃い、普通の夏フェスはハードに感じる大人や小さな子供でも快適に過ごすことができるのが嬉しいところ。ぜひ、気の合う友達や恋人、家族、ペットと一緒にどうぞ。
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