elePHANTMoon主宰 マキタカズオミインタビュー

一見日常的な生活の中にどろりとした非日常を紛れ込ませながら、あたかもそれが日常だといわんばかりの説得力を持つ独特の劇空間。elePHANTMoonは、舞台上が現実ではないことを良く知っているのだろう。故に、圧倒的なリアリティを持って物語が迫ってくる。 2008年8月末に行われる15 minutes made vol.4へ参加など精力的な演劇活動の他、9月には映像作品の発表を予定しており、今後益々注目されることは間違いない。本日は映像作家であり、elePHANTMoonの作・演出家、小劇場界の“鬼才”マキタカズオミさんにお話を伺った。

とりあえず押し付けはするんですけど、押し付けても押し付けても、
その人が持ってるものが出るんですよね

―elePHANTMoonという集団名はどういう風に名付けられたんですか?

マキタ:斉藤和義というアーティストの、Theme of ELEPHANT MOONという楽曲があるんです。それが凄く好きで、それから取ってます。elePHANTMoonは僕と、今は止めてしまったもう一人の始めた集団で、二人とも偶然その曲が好きだったんです。

―上演する作風なども定めた上で「ファントム」という言葉を強調させたんですか?

マキタ:後付になりますが、そういうのはあったのかもしれない。でも、基本的にあんまり深く考えていないんです。見た目重視でかっこよければ良い、気づく人が気づいてくれればいいようなところです。最初字面を見た時に「ファントムって入ってるよねえ」って。で「ちょっと大きくして強調しようよ」と。

―当時始めたときは、映像集団として旗揚げされたんですよね? 演劇作品を作るまでの経緯をお伺いしたいのですが。

マキタカズオミインタビュー

マキタ:映像を作っていこうとして始めました。集団を立ち上げる前はCMの製作会社に勤めていたんです。でも自分には、映画だったり、ストーリーがあるものをやりたいという思いがあって。その会社で二年程CMやTVのオープニング映像等を作っていたのですが、やっぱり違うなという思いが強くなってしまったんです。それで、映像は映像でもやっぱり「物語」を作りたい、と、ちゃんと伝えて辞めさせてもらった。でも辞めたはいいんですけど、じゃあ、その時一緒にやってくれる知り合いもいなかったから、ぼーっとして。まあちょっと映像からしばらく離れてみようと、パン屋さんに。

―映像と演劇の間にパン屋さんが。

マキタ:本当に映像から離れてみて、そのまま二年くらい空白の時期があります。でも、ちょこちょこと頼まれた映像を作りだして、知り合いも出来てきて… パン屋さんの知り合いとか…

―パン屋さんの知り合いが。

マキタ:はい(笑)。 映像を手伝った時に建築の勉強をしていた奴と知り合ったんです。そいつと、作品を作りたいという話になって、それでちょっと久しぶりにやってみようかと。最初は『elePHANTMoon short film』という名前で、そいつが美術を担当して、僕が本を書いて映像を撮るっていうスタイル。それで短編を四本くらい作ったんですよ。でも、映像だと美術があんまり活きなかった。舞台美術を担当したらもっと力が発揮できるだろうということで舞台を始めました。そこからずっと舞台をやってますね。でも一回目の後に、そいつは抜けちゃったんですよね。ちゃんと就職するって言って辞めちゃって。

戯曲を書いている時点で、もう絵は浮かんでいるんです

―映像作品から舞台作品に移行する時に、映像と舞台の違いは感じましたか?

マキタ:一番手間取ったのは、舞台はセリフで進めなくちゃいけないっていう部分です。基本的に映像をやる時はもう、セリフはほとんど無い。映像では日常を撮って、ちょこちょこっと喋って、重要な所は映像表現で持っていく。舞台だとやっぱり喋んなきゃいけない。一時間半なりの上演時間を、ずっと喋りながら続けていくっていうのはしんどかったですね。

―それは脚本と戯曲の違いみたいな。

マキタ:そうですね。演出もそうですし。「ここ、表情だけで言葉いらねえじゃん」って思っちゃうんですけど、それだとお客さんに伝わらないから喋らないといけない。それに合った言葉を選んだりするっていうのが結構きつい。正直、今でもそうなんですけど。

―そこらへんはもう演出されている時に、自分で気付くんですか? 「これは伝わらねえ」みたいな。

マキタ:いやもう、戯曲を書いているときに気付くというか。戯曲を書いている時点で、もう絵は浮かんでいるんです。演出の時も自分の思っている絵を、役者に伝える。

―じゃあ完璧な絵が頭に浮かんでて。

マキタ:それに近づけていくっていう作業なんです。

―それに対して、役者が出すものが完璧に思い通りにいかないというか、逆に自分の想像を超える時っていうのはありますか?

マキタ:ありますね。それが楽しみでしょうがない。とりあえず押し付けはするんですけど、押し付けても押し付けても、その人が持ってるものが出るんですよね。そこを絶対に逃さないように気をつけています。「あ、今のこれがこの人の持っている質なんだな」と。それが出た時には、それでOK。でも、何もかも押し付けているわけじゃなくて、伝えるのはニュアンスだけなんですよ。ニュアンスさえあっていれば、どんどんセリフを変えてもいいとは言っています。

マキタカズオミインタビュー

―(音楽の)ライブ映像も撮られていますが、ライブの映像にも撮る人の目線というか、演出、編集が入っていますよね。ライブと舞台の違いはありますか?

マキタ:どうなんだろう、初めて質問されましたね。ほぼ一緒ですね、生ですからね。演奏してるかしてないかぐらいで、あんまり違いはないだろうと思います。舞台は、ストーリーのある映像作品より、生のライブとかの方が近いんじゃないですか?

―音楽の編集、例えばライブ映像を編集するときに、一番見せたいところっていうのはあるんですか?

マキタ:曲やバンド、アーティストにもよりますが、もうCDがクソなんだけどライブが滅茶苦茶かっこいい人とかは、その部分がちゃんと伝わるように撮る。歌をちゃんと聞かせる人だったら顔を撮ったりとか、撮る対象に合わせて変えますね。

―PVを作られる時は?

マキタ:プロモーションビデオの時には、曲からです。向こうからこういう感じって注文される時もありますが。基本的には、曲、歌詞から発想して作ります。あとは、どっかで使えたら良いなっていう映像のアイデア、ネタが幾つかあって、イメージが合う曲のときにそれを使ってみる。基本的に自分の作品とは思って作っていないので、ライブ、特にプロモーションビデオなんかは、音楽がメインなので、自分が出ないように作りますね。

―今後は演劇が活動の中心になってくるのでしょうか?

マキタ:そうですね。elePHANTMoonとしての活動は今のところ舞台しかないですね。今は演劇を頑張ろうかなと。変な話、まだどういうものかわからないので面白いですね。映像だったら、進め方もわかるし、こうやったらこういう風に出来るんだろうなっていうのがわかる。でも演劇はまだわからないので。ライブの映像等は個人の活動です。

―面白みを吸い尽くすまではやるよっていう。

マキタ:そうですね。ちょっと、わからないうちはやろうかなっていう感じです。まあ、ずっとわからない気はするんですけどね。なんだろう、一つをわかってもまた別のものがあるんじゃないかっていう気はしています。

―今後のご活躍も期待しております。本日はどうもありがとうございました。

イベント情報
『15 minutes made volume 4』

2008年8月28日(木)~31日(日)
公演時間はオフィシャルウェブサイトを参照
会場:池袋シアターグリーン BOX in BOX THEATER
出演:
elePHANTMoon
あひるなんちゃら
横浜未来演劇人シアター
青春事情
アイサツ
Mrs.fictions
料金:前売2,000円 当日2,500円(全席自由・日時指定)
チケット:Mrs.fictionsウェブサイトから予約受付中
問い合わせ:Mrs.fictions 070-5083-1597 info@mrsfictions.com
Mrs.fictions

プロフィール
マキタカズオミ

1978年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、映像制作会社に就職。CMやTVドラマのオープニング映像を手掛ける。退社後、2005年に友人数名とelePHANTMoon結成。演劇活動を開始する。現在はフリーのディレクターとしてミュージックビデオやライブビデオを製作している(過去に木村カエラ、mihimaru GT、奥田民生、Bonnie Pinkなど)。



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