新世代ロックの雄、lostageインタビュー

筋肉ムキムキの大男に抱きつかれたら気が気でないが、強靭かつ優しさのあるロックミュージックに包まれるのは幸せだ。高揚感と安心感が同時にやってくる。これこそロックの醍醐味なのではないかと思いもする。

2度目の登場になるlostageというバンドは、新作『GO』で、そんなロックの醍醐味を見事にパッケージしてみせた。少なくともこれは、一行でサラリと書くほど簡単なことではない。ところが彼らは、この半年でサラリとやり遂げてしまったのだ。「新世代ロックの雄」という冠は、彼らにこそふさわしい。ただいま絶賛好景気、lostageのボーカル・ベースの五味岳久に話を聞いた。

新しく恋が始まったみたいなね。そんな時にはやっぱり、開けたアルバムしかできないじゃないですか。

―ニューアルバム『GO』をリリースするわけですが、これは大傑作アルバムだと思いました。日本のロックで世界に通用しそうなものって少ないですけど、今作は「これが日本のロックです!」と胸を張って言える作品だと思うんです。

五味:嬉しいです。今までになかった感じのことをやりたかったんで、半分不安もあったんですよね。

―でも、『GO』というアルバムタイトルの通り、今のlostageの前向きな姿勢がしっかりと表れていますよね。聴き手と共感したり、一緒に感動していこうとするバンドの想いが伝わってきました。

lostageインタビュー

五味:今作は特に、CDを聴いてくれる人に感動してもらいたいと思って作りました。ぼくら自身、またバンドがやれて、音楽で色んな人と繋がることができたし、作った曲で感動することもできたから、そういう喜びをみんなにお裾分けしたかったですし。

―前作からギターリストが変わって、「変化していこう」という意識が高まっていたと思うんですが、今作はそうした一連の変化が大きな成果をあげましたね。

五味:そうですね。前のギターが辞めるって言った時はどうなるかと思いましたけど、結果的にはメンバーチェンジでいい方向に進めていると思います。

―清水さんが辞めるって聞いた時は、外から見てても「大変だな…」って思いました。

五味:その時は実際、「終わった」みたいな感じにもなったんですよ。

―恋愛みたいだ。

五味:もうまんま恋愛ですよ。清水が辞めるときは、彼女にふられたような感じだったし。俺はもう、「あんなに人のこと好きになることなんてないわ!」って気持ちになって。そこから新しいメンバーが見つかって、新しく恋が始まったみたいなね。そんな時にはやっぱり、開けたアルバムしかできないじゃないですか。

―バンドが楽しくて仕方ない、って感じですね。

五味:活動すらできない状況が一転して、ライブもできるし、録音もできるし、やったぞ! というポジティブなエネルギーが爆発した感じはありました。だから今回で3枚目のアルバムだけど、自分たちとしてはファーストアルバムみたいな感じですね。

―メンバーのやりたいこととか、楽しんでやっている感じが詰め込まれていて本当にファーストアルバムみたいです。内容もバラエティーに富んでいますが、今作ではミドルテンポでメロディーが美しい曲も増えましたね。

五味:歌の比重をもっと上げたいと思ったんです。自分自身、繰り返し何度も聴く音楽って、良いメロディーがある歌ものだったりするんですよ。演奏やサウンドがかっこ良いという理由で聴く音楽もあるけど、そういう作品は聴くタイミングを選ぶことも多かったりして。

「今更それを歌う必要はないだろ」っていうことを、今ならもう歌ってもいいと思えるようになりましたね。

―アルバム後半、もの凄く良い曲が並んでいてビックリしました。“SURRENDER”は本当に名曲だし、その次の“風を抱いている”も印象的で。“風を抱いている”に代表されるように、今作ではこれまで以上に「伝わりやすい歌詞」を意識していますよね。



五味:ベタというか、「今更それを歌う必要はないだろ」っていうことを、今ならもう歌ってもいいと思えるようになりましたね。それを歌っても、俺は間違ってないと思えた。

lostageマネージャー:次、マストで!
五味:え、マストなの?

―確かに前作でも歌詞に変化は感じられましたけど、今回は「変わった」というような違和感すらなく、スッと言葉が入ってきました。五味さんが納得して書けている、ということなのでしょうか?

五味:そうですね。「こういう歌詞を書いたほうが売れるから」っていう嫌々な理由じゃなくて、自分の中で納得して書けている実感はあります。ただ、歌詞は意識したというより、自然に変化していったんですよ。バンドのサウンドが外に向かって開いていく感じが、こういう歌詞を呼んできたんじゃないかなって。

―そうか、いつもサウンドが決まってから歌詞を書くんですね?

五味:サウンドと歌のメロディーがほぼ決まってからですね。曲が歌詞を呼んでくるような感じで決まります。

―それですごく、「歌詞の自然な変化」という話に納得がいきました。でも、歌詞から書くことはないんですか?

五味:歌詞から書く作り方はやったこともないし、わからないですね(笑)。どうやってるんですかね?

lostageインタビュー

―「こういうメッセージを伝えたい」っていうところからスタートしている人が多いように思いますね。

五味:そうですよね。「見せたい風景」が相当に明確なら、歌詞からしか作れないかもしれないですね。ぼくたちの場合はまず音ありきだと思っていて、言葉の意味はプラスαの要素だと思っているんです。もしぼくが言葉でなにかを伝えたいと思ったなら、詩を詩として発表する方にいくと思う。

―五味さんの歌詞はそういう方面でも評価されるくらいですから、それはそれでたのしみですが、だからこそ、歌詞から書いた曲を聴いてみたいと思っちゃうんです。

五味:今までやってないことだから面白そうだし、チャレンジしてみたいですね(笑)。

lostageマネージャー:次、マストで!

五味:え、マストなの?

―すごい曲ができちゃいそうじゃないですか。「やる!」ってもう原稿に書いときますね(笑)。

五味:はい、頑張ってみます(笑)。

今だからこそあえてそこをやってやろう、と思ったんですよね。「ギターソロはダサい」みたいな考え方への反骨精神っていうか。

―前作は「変化」をテーマにしていたわけですが、今作『GO』も、間違いなくその延長線上にある作品ですよね。

五味:そうですね。それまでっていうのは、「lostageってこういうバンドだよね」という枠を自分たちで作ってしまっていて、それを取り払ったのがこの前のミニアルバムだったんです。そこで新しい可能性を試してみて、「自由にやっても大丈夫だ」って思えたんですよね。だから今回の『GO』でも、それまで自分たちでNGにしちゃっていたネタを、これもやれる、あれもやれるという感じでさらに取り込んでいきました。

lostageインタビュー

―そうやって自分で自分を狭めちゃう危険性って誰にでもあることだと思いますけど、「もっと自由にやればいいじゃん」と背中を押してくれたのが、中野さんだったわけですね。

五味:そうですね。中野のそういうキャラクターにぼくや他のメンバーも影響を受けて、「じゃあこれは?」という新しいアイディアを出しやすくなりましたね。チャレンジ精神が出たというか、「これは無いでしょ」というものが無い状態でスタートできた。だから、自分たちの好きな音楽やルーツがそのまま出ている作品ができたんじゃないかなって。

―メンバーに共通している音楽的なルーツはどういったものなんですか?

五味:ニルヴァーナ、ソニック・ユース、スマパンとか、そういう90年代のオルタナ・グランジムーブメントあたりの音楽ですね。でも、それ以前にハードロックも聴いていました。ぼくとか中野とかドラムの岩城とか、ま、田舎育ちというのはあって…。

何事も続けていくのは大変だと思うけど、諦めなかったらどうにかなるんですよね。

―いやいや!(笑) 都会でもハードロックを通ってきている人は多いと思いますよ。

五味:田舎の中学生って、みんなハードロックを聴いているイメージがあったんで(笑)。それでまあ、今回はまっ白な状態からのスタートだし、もう一回聴き直してみて。ハードロック的な音楽って馬鹿にされがちですけど、先入観を無くして聴いてみたら、「ここでギターソロくるだろ」ってところでちゃんと来てくれたり、面白いと思えることがたくさんあったんです。今になってやっとハードロックの良さが理解できてきました(笑)。

―『GO』が「世界に通用するロックサウンド」だと思えたのは、まさにそういう王道的なロックミュージックの気持ち良さがあったからなんです。いい歌メロがきて、その後の間奏で泣けるギターソロがくる、とか。

五味:今だからこそあえてそこをやってやろう、と思ったんですよね。「ギターソロはダサい」みたいな考え方への反骨精神っていうか。

―やっぱり根底にはアンチな精神があるんですね(笑)。これは変な言い方ですけど、邪道も王道も分け隔てなく楽しめる器の大きさが出てきて、lostageの音楽がさらに面白くなってきていると思いました。

五味:何事も続けていくのは大変だと思うけど、諦めなかったらどうにかなるんですよね。その結果ぼくたちも、恥ずかしくてやれなかったことがやれるようになったりして。そういう変化があるから、バンドって面白いと思います。

lostageインタビュー

―続けていくことと、変わっていくこと、どちらももの凄い体力を使うことだと思います。以前お話を伺った際に「音楽を続ける原動力」という話になって、五味さんは「『わからなさ』が最大のテーマというか、それがわかっちゃったら音楽を辞めて別の事をやると思う」と仰っていました。やはりその部分に変わりはありませんか?

五味:変わりはないと思いますね。ただ、わからないにしても、わからないからぐずぐず文句を言ったところで、そこからは何も生まれないんだって気付いて。わからないんならどうすればいいのか? というところを考えられるようになってきましたね。自分にできることはなんだろう? って。

―なるほど。

五味:誰にでも悩みとか不満はあると思うんですけど、悩んでいても解決しないですからね、結局。間違っててもやってみればそれなりのリアクションはあるし、そこからわかることもある。だから、行動に移すことは大切かなって思います。

―これだけの作品を作り上げたlostageが、これからどんな音楽を生み出していくのか楽しみです。

五味:ぼくも、これからどんな感じになっていくのかまだわからないんです。ただ一つ言えるのは、今まで作ったいついつのなんとかみたいなアルバムをまた作っても仕方がないと思うから、これまで作品としてやってないことをやりたいと思います。

―4月からは怒濤のツアーが始まりますね。

五味:そうですね。全国各地を回るんですけど、初めていくところもあるので今から楽しみです。ライブの現場はその時その時で違うし、その時なりの楽しみ方があると思うので、しっかりお客さんに届くよう頑張りたいと思います。

リリース情報
lostage
『GO』

2009年3月25日発売
価格:3,000円(税込)
TOY'S FACTORY TFCC-86289

1. SF
2. サーカス
3. SUNDAY
4. 噂
5. あめんぼ
6. CAT WALK
7. 路地裏
8. SURRENDER
9. 風を抱いている
10. X
11. 点と線
[DVD](初回限定)
ロストエイジのたからさがしツアー2008 @Shibuya Club QUATTRO LIVE映像

イベント情報
『lostage GO TOUR』

2009年4月8日(水)
会場:下北沢SHELTER
問い合わせ:SHELTER 03-3466-7430

2009年4月29日(水・祝)
会場:松本ALECX
問い合わせ:ALECX 0263-38-0050

2009年4月30日(木)
会場:HEAVEN`S ROCK 熊谷VJ-1
問い合わせ:VJ-1 048-524-4100

2009年5月2日(土)
会場:柏ALIVE
問い合わせ:ALIVE 04-7143-2088

2009年5月5日(火・祝)
会場:旭川CASINO DRIVE
問い合わせ:CASINO DRIVE 0166-26-6022

2009年5月6日(水・祝)
会場:札幌KLUB COUNTER ACTION
問い合わせ:COUNTER ACTION 011-222-1413

2009年5月8日(金)
会場:弘前 亀HOUSE
問い合わせ:亀HOUSE 0172-39-1362

2009年5月9日(土)
会場:山形Sandinista
問い合わせ:Sandinista 023-622-8962

2009年5月10日(日)
会場:仙台BIRDLAND
問い合わせ:BIRDLAND 022-266-2581

2009年5月12日(火)
会場:LIVE HOUSE FEVER
問い合わせ:FEVER 03-6304-7899

2009年5月13日(水)
会場:横須賀かぼちゃ屋
問い合わせ:かぼちゃ屋 046-824-4335

2009年5月21日(木)
会場:清水JAM JAM JAM
問い合わせ:JAM JAM JAM 054-366-2026

2009年5月23日(土)
会場:滋賀U★STONE
問い合わせ:GREENS 06-6882-1224

2009年5月24日(日)
会場:奈良NEVERLAND
問い合わせ:GREENS 06-6882-1224

2009年5月26日(火)
会場:神戸VARIT.
問い合わせ:GREENS 06-6882-1224

2009年5月28日(木)
会場:岡山PEPPER LAND
問い合わせ:夢番地岡山 086-231-3531

2009年5月29日(金)
会場:広島 NAMIKI JUNCTION
問い合わせ:夢番地広島 082-249-3571

2009年5月31日(日)
会場:福岡 SPAIRAL FACTORY
問い合わせ:TSUKUSU 092-771-9009

2009年6月24日(水)
会場:club SONIC いわき
問い合わせ:club SONIC 0246-35-1199

2009年6月26日(金)
会場:渋谷 Club Quattro
問い合わせ:HOT STUFF 03-5720-9999

プロフィール
lostage

奈良県出身の4ピース・ロックバンド。ボーカル・ベースの五味岳久とギターと五味拓人の五味兄弟を中心に01年に結成。07年7月にTOY'S FACTORYからメジャーデビュー作となる2nd Album 『DRAMA』リリース。全国ツアー、数多くの海外バンドとの共演、大型ロックフェスへの出演など精力的に活動を行うも、2008年1月18日にギターの清水雅也が脱退。08年2月、ギターリストとして中野博教が加わり、同年9月にミニアルバム『脳にはビート 眠りには愛を』をリリース。09年3月25日、サードアルバム『GO』をリリースする。



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