BOOM BOOM SATELLITES × supercell対談

世代も、音楽活動のスタイルも、登場してきたシーンの背景も、全く違う二人。それでも、確実に通じ合うものがある。そう感じさせる対談だった。今年5月に行われた武道館公演の模様を収めたライブ作品『EXPERIENCED II ―EMBRACE TOUR 2013 武道館―』をリリースしたBOOM BOOM SATELLITESの中野雅之(Programming,Ba)。そして、約2年半ぶり3作目となるニューアルバム『ZIGAEXPERIENTIA』を完成させたsupercellのサウンドコンポーザー、ryo。二人に、それぞれの作品について、そしてそれぞれの音楽観について幅広く語り合ってもらった。かねてからryoはBOOM BOOM SATELLITESの大ファンであると公言してきている。では、彼はその音楽のどんなところに強く惹かれたのか。そして、中野雅之はryoをどう見ているのか。二人のミュージシャンが音に込める「強度」、そしてその背景にあるものを探った。

オーディエンスが最終的に細かい技術的なことをあまり覚えていないというのが理想。(中野)

―お二人は以前に対談をしたこともあるんですよね。

中野ryo:はい。

―なので、今回は出会いの経緯のようなことは飛ばして、まずお互いの作品についての話をできればと思います。まず、BOOM BOOM SATELLITESの武道館について。川島さんの脳腫瘍治療を乗り越えた復活公演にもなったわけですが、中野さんがあの日のライブを終えた時の感触は?

中野:あの日は個人的に特別な日なので、無事に終えられてほっとしました。そもそも、ライブができたということが大きかったですから。

中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)
中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)

― ryoさんも観にいらっしゃってたそうですが、ライブの感想は?

ryo:単純に格好よかった。それがなにより嬉しかったです。しかも、それまで武道館には、そんなに音響がいい印象がなかったんです。でもBOOM BOOM SATELLITESは出音がすごくよかった。何か魔法みたいなことをしたのかな? って思ったんですけど(笑)。

中野:いやいや(笑)。今って、PAやスピーカーの技術がどんどん進化しているんです。ただ、最終的な出音を決めるのは、PAエンジニアの感性と、バンドがコントロールするバランスによるところが大きい。それが噛み合えば、すごく立体的なものになるし、意思疎通がないとただ音が出ている感じになってしまう。僕らの場合は、デビューの頃からずっと佐々木幸生さんというPAエンジニアの人にお願いしているのですが、彼はサカナクションのPAもやっていたりして。

―確かに、非常にクリアで迫力のある音だったと思います。

中野:ただ、僕はオーディエンスが最終的に細かい技術的なことをあまり覚えていないというのが理想なんです。陶酔して、夢のような時間を過ごして、感動だけが残っているというのが一番いいことだと思ってますね。


―ライブ作品の『EXPERIENCED II ―EMBRACE TOUR 2013 武道館―』について、ryoさんはどう感じましたか?

ryo:ここ数か月、ライブ盤のミックスをずっとやっているらしいという噂を聞いていたんですけど……「マジですか?」って思って。

―ライブ作品のミックスを自分でやるミュージシャンってなかなか他にいないですよね。

中野:たぶん、世界で一人だけでしょうね。アマチュアだったらあるかもしれないけれど。

ryo:新作を出すくらいの気合いが入ってるんだろうなと思いました。自分はまず音に耳がいくので、ライブの演奏がよくこのレベルの音になるな! と。歪みもないし、サウンドスケープもすごく綺麗で、特にドラムのキックの音がすごかった。

中野:ライブ盤とはいえ繰り返し聴いてもらえる作品にしたいなと思ったんですけど、いろんなバランスをとり続けるのがすごく大変でした(笑)。でも、この時間のかかり方はよくないですよね……だって、ryoくんはその間にアルバムを1枚完成させてしまったわけだから(笑)。

―単なるライブ盤というより1つの作品を制作するという意識はありました?

中野:もちろん記録がもとになっているし、嘘をつくのは嫌なので、なにかを新しく作ったり、足したりしていることはありません。だけど、1本の映画を観るように、導入からエンディングまでのストーリーは持たせたかった。ドキュメントと芸術とのバランスを一番自分が納得いくところに落とし込みました。

やっぱりryoくんはどこかシリアスにものごとを考える人なんだろうし、そこは音楽に出るから。(中野)

―supercellの新作アルバム『ZIGAEXPERIENTIA』の話に入ろうと思うのですが、まず中野さんはアルバムを聴いてどんな感想を持ちましたか?

中野:今までで一番作風が変わった感じがしましたね。

ryo:それは、ギターでドロップD(ドロップDチューニング。6弦の音を1音下げた変則チューニングで、ヘビーメタルやハードロック、グランジなどで用いられる)のやり方を覚えたことが大きいんです。でも、前回も今回も、方程式は変わってないんですよ。

―方程式というと?

ryo:前回の『Today Is A Beautiful Day』は、ピアノで曲を作っていたし、nagiさんがボーカルで、そこに自分の感性が入ってあの世界観になった。で、今回はドロップDにしたことで、必然的に選ぶべき言葉が変わった。それに、全曲歌ってもらったこゑだちゃんの声が攻撃的な声だったから、こういう作風になったんです。つまりどちらもかけ算なんですよね。

― ryoさんとしては、作風や方向性を大きく変えたというよりも、あくまで音色や楽器や歌い手の変化がもとになっていると。

ryo:そうなんです。

中野:そっか。今回のsupercellのアルバムには1970年代のハードロックに通じるようなテイストも感じたんですけど、ドロップDはどちらかというと90年代以降の新しい音楽に多く使われる手法ですよね。ryoくんは、ギターで作るようになったから作風が変わったと話してくれたけど、実はそれだけじゃない気がする。

ryo:70年代というのは、まさに意識していました。実はPink Floydの『ライブ・アット・ポンペイ』という、昔のコロッセオみたいな場所でやってるライブ映像を観たんですね。そこでマーシャルのアンプを使ってたのが格好よくて、マーシャルのビンテージアンプを買ってきた。それがこのアルバムの始まりなんです。

中野:さらにレスポールのギターをマーシャルで鳴らすと70年代っぽくなるよね。

ryo:なりますね。すごくそれを感じました。

―ぴったりした音色を見つけたことが、今回のアルバムの構想のきっかけになった。

ryo:そうですね。アルバムを作るにあたって、こゑだちゃんというボーカリストにどういう曲調が合っているのかを改めて考えたんです。そこからいろんなギターやエフェクターを集めて、「これならイケる」と思った音色を見つけたところから曲を作り始めました。その音色に誘発されて、言いたいことが後から出てきたような感じです。

― ryoさんは新しいツールや音色を取り入れたことで、自分のどういった部分が引き出されたと思いますか?

ryo:文句が言えるようになったと思いますね。日々思っていることをギターに乗っけて、まくし立てれば、そのまま曲になるようなところがあるんです。あまり考えずに、「バカ野郎!」って言い放って次の言葉にいけるというか。ピアノだとそうはいかないんですけど、ギターにはそういう展開の速さを感じます。

―なるほど。

ryo:自分はそのうち音楽で「笑えるもの」を作りたいんです。でも、本当に格好よくて笑えるものを音楽でやるのは難しい。たとえばMUSEは、あれだけ大袈裟な音楽を真剣にやって、ハイトーンボイスで歌って、すごく格好いいんだけど、思わず笑っちゃうようなところがある。そういうカタルシスを、ギターを入れることによって求めやすくなったと思います。

―ただ、僕がアルバムを聴いた印象では、「笑えるもの」というよりも張り詰めた美しさになっている気がするんです。そこにはryoさんの持っているルーツが色濃く反映されていると思うんですけれども。

中野:性格だよ、性格(笑)。ルーツなんていう大層なもんじゃないと思うな。

ryo:そうです。性格ですね。

中野:やっぱりryoくんはどこかシリアスにものごとを考える人なんだろうし、そこは音楽に出るから。だから今回のアルバムも、これまでと本質的には変わらないよね。聴いている僕にとっては、作風は変わっても、いつもryoくんが作る音楽は憂いがあるし、シリアスだし、切ない音楽を作っている。

―なるほど。この中野さんの分析に関してはryoさんはどうですか?

ryo:いや、なんか、申し訳ないです(笑)。中野さんに語ってもらえるレベルじゃない。

中野:またそういうこと言って(笑)。

絶対に100点はとれないんです。100点を目指してようやく60点ぐらいまでいける。(ryo)

― ryoさんはBOOM BOOM SATELLITESに影響を受けたということですが、改めて、どういうところに惹かれていたんでしょうか?

ryo:最初のシングルからずっと追いかけてきたし、自分の青春でした。もともとバンドでドラムをやっていたので、まずドラムが格好よくて好きになったんです。あの頃The ProdigyやThe Chemical Brothersのようなブレイクビーツのブームがあったんですけれど、BOOM BOOM SATELLITESのほうがもっと格好いいと思った。特に、キックの強靭さとシンセベースのうねりは、それまで聴いたことがなくて、とにかくすごいと思ったんです。バンドでこういうのをやりたかったんですけれど、どうやっても無理でしたね。

―BOOM BOOM SATELLITESの登場した1990年代後半って、ブレイクビーツを使ったロックバンドや、ロック的な手法を持ったテクノアーティストがたくさん出てきた時代だったんです。でも、そういうスタイル的なところより、音の一つひとつを作るところに込められた意志、精神性みたいなところにryoさんも惹かれていたのではないかと思うんですけれども。

ryo:確かに、ビッグビートとか、他のブレイクビーツのアーティストと全然違いましたね。それからようやく5、6年経って、日本だとNumbさんやRiow Araiさんを聴いて、ようやくデビュー当時のBOOM BOOM SATELLITESに近いビート感や音のニュアンスを持ったアーティストが出てきたと思ったんです。当時のRadioheadも、ビートの強靭さという意味ではBOOM BOOM SATELLITESの域まで達していなかった。時代の10年先くらいを走っていたんじゃないかと思います。

中野:またそんなこと言って……(笑)。

ryo:本当に、衝撃だったんです。「うわ、なにこれ!」って。周りの友達とも、一緒に聴いてブレイクのところで叫んだり。ちょうど車の免許をとったばかりで、みんなでBOOM BOOM SATELLITESを聴きながら車で走ったりしましたね。

中野:そんな普通の青春があったんだ(笑)。

ryo:ありましたよ(笑)。大学時代は楽しかったので。

―僕が最初に中野さんにインタビューでお会いしたのが2ndアルバムの『UMBRA』の頃で。当時からBOOM BOOM SATELLITESのやっていることはレベルミュージック、つまり闘争や反抗の音楽であるという話をさせていただいたことがあるんです。

中野:はい。

―ロックがそもそも持っていた精神性とか、ダンスミュージックの快楽性がそもそもどういう背景から生まれてきたかとか、そういうところを全て踏まえて、その上でどこにもない音楽を作ろうとしてきた。

中野:そうですね。我ながら大それたことを考えてるな、とは思いますけどね。

― ryoさんも、音に対して相当突き詰めてモノを作っていると思うんです。そういう意味で通じ合うところはあるんじゃないかと思ったんですけれど、どうでしょうか?

ryo:自分は第一印象をすごく大事にしていて。最初に格好いいと思ったらそれは一生格好よくて、ダサいと思ったら一生ダサい。そのイメージに近づくためにとことんやりたいけど、絶対に100点はとれないんです。100点を目指してようやく60点ぐらいまでいける。その感じが、人から見ると追求しているように見えるのかもしれないですね。

音楽的なムーブメントの背景には、死ぬ気で遊んでるような感覚があったんです。(ryo)

―改めてryoさんが2007年に初音ミクと出会ってニコニコ動画に楽曲を投稿した当時のことについても訊きたいんですけれども。その最初の決断は……。

ryo:いや、何も決断はしてないんです。

―なかば遊びだったということ?

ryo:そうですね。初音ミクのボーカロイドが1万4千円だったので、それくらいは楽しみたかったっていう。「これでなにかをやってやるんだ!」っていう気概があったわけじゃないし、そもそもそういうソフトじゃないですしね(笑)。当時は10万円出さないとDTMソフトが買えないような時代だったので、手が出しやすかったのもあります。

―supercellというプロジェクトは、ryoさんを中心にイラストレーターやデザイナーやシンガーからなるユニットとして成立したわけですよね。そういった参加型の形で音楽を作っていくのは自分の性に合っている感じでしたか?

ryo:それも自分で選択したわけではないですからね。最初に初音ミクのボーカロイドを買って投稿したときに、壁紙サイトから適当にイラストを拾ってきたんです。それを見た人に「著作権的にまずくない?」と言われたんですけど、そのとき描いた本人が連絡をくれてお礼を言われて。それで一緒にCDを作ることになって、コミックマーケットで売ったんですね。それがsupercellの始まりなんです。自然とそういう流れになっていた。

―なるほど。僕は、2007年前後って、すごく象徴的な時代だったと思うんです。初音ミクだけじゃなく、ニコニコ動画も、YouTubeも、SoundCloudも、Ustreamも、Twitterも、音楽とインターネットに関わるいろんなツールとサービスが00年代の中盤に一気に出てきた。今はもうインフラとして当たり前のものになってきていますけれど、最初にそれに触れたユーザーって、それを「遊び場」と捉えていたと思っているんですね。

中野:うん。

―で、これは僕の持論なんですけれども、時代は繰り返すと思うんです。最初は「遊び場」だったものが、結果的にムーブメントになって、時代を変えた。ロックとダンスミュージックの歴史を振り返ると、それが1967年と87年にあった。

中野:サマー・オブ・ラブ(60年代後半にアメリカで生まれた、音楽を媒介に社会構造の変革をめざすヒッピーカルチャーのムーブメント)ってことですか?

―そうです。あれもたぶん、当時の若者は遊び場だと思っていたんじゃないか、と。

中野:そうでしょうね。今となっては政治的な側面から語られることが多いけれど、結局は後付けなわけで。基本的には音楽って、楽しいから聴くものだと思うし。

―セカンド・サマー・オブ・ラブ(80年代後半にイギリスで生まれたクラブミュージックやレイヴカルチャーのムーブメント)は、まさに中野さんにとってリアルタイムの体験だったんじゃないかと思うんですけれども。あれはどんな体験だったんでしょうか?

中野:あの頃はインターネットがなかったから、イギリスから雑誌を通して情報が入ってきていて。でも、東京にいながらそれを感じようと思っても、実際のところは無理だったと思う。

中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)

―というのは?

中野:セカンド・サマー・オブ・ラブというのは、不景気のイギリスにおける若者の不満を、クリミナル・ジャスティス・ビル(レイヴを行うことを取り締まる法案)が規制したっていうストーリーになってるんだけど、僕は、基本的には、音楽とドラッグが作ったムーブメントだと思ってるんですね。それは今のEDMに至るダンスミュージックのルーツになっているシカゴのアシッドハウスにも言えることで。

―そう思った理由はなんでしょう?

中野:実際に外国に行ったときに真実を知ったんですけど、日本からムーブメントを傍目に見ている感じと、現場の温度感が違うんですよね。わりと現場は泥臭いというか、若者が悪い遊びをしてるっていう(笑)。畑の真ん中でやってるようなパーティーで女の子が1人で踊っていて危険な目に遭うような、ワイルドなシチュエーションがたくさんあった。そういう音楽的なムーブメントの背景には、死ぬ気で遊んでるような感覚があったんです。僕はラッキーなことに象徴的なムーブメントを体験したけど、その渦中にいないとわからないことって多いと思いますね。

今までの人生経験の中で、特別に主役になった記憶もないし、今でも「自分の意見を聞いてもしょうがなくないですか?」って思うんです。(ryo)

―確かにそれは日本にいたらわからない話ですね。ryoさんは2007年って、どういう時代だったと思います? 1987年のイギリスとは全然違うし、ドラッグとは関係ない時代だけれど、そのときのインターネット文化にも何らかの熱気はあったんじゃないかと僕は思っていて。

ryo:いやあ、悪い遊びをしてたような感覚は全然ないですね(笑)。確かにニコニコ動画は2007年に使い始めたし、Twitterに関しては、最初に一言目を発してから、全然面白さがわからなくて放置してました。あ、個人的にはその年、アニメをたくさん観ていましたね。

―そうなんですね……。

中野:……ryoくんって、どっか醒めてるじゃん。たぶんね、この人の期待してた答えって、そういうことじゃないんだよ。ryoくんが作ってる音楽って、すごくエモーショナルだから、たくさんその答えを聞きたくなるわけ。そうだよね?

―本当にその通りなんですけれど、中野さんにそこまでインタビュアーとしての心境を代弁していただいて恐縮というか、申し訳ないというか(笑)。

中野:実際、みんな、それをすごく不思議に思うんだよ。ryoくんはボーカロイドを使って音楽を作り始めたけど、今は生のボーカルを使っていて、いわゆるボカロPとの活動とも一線を画している。それにryoくんが作る音楽はとても感情的で、琴線に触れるメロディーや畳み掛けるリズムがあるよね。それがryoくんのどこから出てくるんだろう? っていうのが、みんな気になっているんだよ。

ryo:答えになるかわからないですけど、周りの人からは「お前って影武者っぽいよね」と言われることが多々あって。存在感が薄いとか、あんまり個性がないとか、どこにでもいそうって。今までの人生経験の中で、特別に主役になった記憶もないし、今でも「自分の意見を聞いてもしょうがなくないですか?」って思うんです。自分に価値があると思えないというか、そういう感覚はずっと続いてますね。

中野:社会人を辞めて、プロのミュージシャンになったわけじゃない? その決断はなにがきっかけだったの?

ryo:大学を出て、電気関係の営業の仕事を派遣で6年くらいやってたんです。それが本当にヘビーな職場だったんですよ。タチの悪いお客さんがすごく多くて、クレームがしょっちゅう入って、ときには土下座をすることもあって。それにうんざりしてたんです。そういう仕事が終わった後に、BOOM BOOM SATELLITESを聴くと、染みるんですよ。キックがとにかく強靭で、低音がたくさん入っていて。ヌルい音楽は聴きたくなくて、日々の感覚を忘れられさせてくれる音楽がないとやっていけなかった。横浜で働いていたんですけれど、娯楽といえば、カラオケと飲み屋とパチンコしかない環境で、そういう中で、初音ミクを手にして、モノが作れたというのが大きなきっかけでした。

―なるほど。

ryo:その仕事を5、6年やって、さすがに転職しようと思ったんです。そうしたら効果音を作る会社がエンジニアを募集していて、自分で作った効果音10個とオリジナル3曲を送ってくださいと書いてあった。それがちょうど初音ミクを買った後だったので、オリジナル2曲目で“メルト”を作ったんです。それがああいうふうに評判になったおかげで、転職先が効果音のエンジニアだったはずが、なぜかアーティストになったと思ってるんです。

―裏方感というか、自分が主役じゃない感覚は今も続いている?

ryo:そうですね。制作の現場で、モノを作っているときは、自分もそのチームの一員なんです。自分が全部作った音楽というよりは、そこにある音楽にみんなで取り組むという感じ。だから、たとえば中野さんは本物のアーティストだと思うんですけれど、それに比べて自分はアーティストに要求される高い水準を全然満たしてないというか。アーティストという土俵に自分があげられたときに、恐縮するしかないんです。

日々を忘れさせてくれる音楽の強度というのは、すごく大事だと思ったし、自分が作る音楽にもそれがあってほしい。(ryo)

―でも、ryoさんがBOOM BOOM SATELLITESに熱中していたみたいに、今の10代の人の中にはryoさんに憧れを抱いている人もたくさんいると思います。お二人は、かつての10代だった自分から今の自分を見て、どんな風に思いますか?

ryo:10代の頃は、自分は絶対スーツは着ないし、すぐに死ぬと思ってましたね(笑)。だから今、「まだ生きてるんだ」みたいな感じです。

中野:それはわかる。僕は今は40代ですけど、40代にどうなるとか、考えたことなかったですね。10代のときはとにかくバンドのことしか頭になかったし、姿勢としてパンクミュージックをやりたいと思っていたんだけど、40代になってもエッジーな音楽をやっている人を見出せなかったんですよね。

―目標にする人がいないまま今に至っている。

中野:うん。だからよくファッション雑誌を見ると「格好いいオジサンになりたい」って特集があるじゃないですか。僕はそう思うこと自体が格好いいと思えないんだけど、多くの人がそういうことを思っているってことですよね? だから、最近は世間と乖離して「変なオジサン」になってないか、チェックするようにしてるんです……(笑)。

中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)

―ははははは! 中野さんはロールモデルのない生き方を選んできたということですよね。僕は、ryoさんも結果的にロールモデルのないことをやってきたと思うんですけれども。

ryo:いやあ、どうなんですかねー。

中野:いやいや、ryoくんみたいなアーティストはいないから。自分が望んだかどうかは別として、そういう存在になってるんだと思う。だってryoくんの作る曲を聴きたいと思っている人がいっぱいいるじゃない。

ryo:そうですね……。それは、自分が環境にあまり恵まれなかったというのが大きいんだと思います。

―恵まれなかったというと?

ryo:自分がいた中学とか高校とか、一般社会とか、ろくでもない環境にいると、音楽って本当に救いになるんですよ。中学のときに初めてDeep PurpleやMETALLICA、IRON MAIDENのようなハードロックやメタルを聴いたときに、日々を忘れさせてくれる音楽の強度というのは、すごく大事だと思った。それは、自分が聴いてきた音楽の全てにありますね。格好いいと思うものは自然と繰り返し聴くじゃないですか? そういう感覚が自分の根底にあるから、自分が作る音楽にもそれがあってほしい。それだけのことだと思います。

中野:やっぱり、それって結果として、レベルミュージックになってるんだよ。音楽が救いでありたいって願ってるわけだから。やっぱりryoくんは自分の意志で音楽を作っているし、届けようとしている場所もちゃんとあると思う。

―音楽の強度という話、そこに「救われている」という感覚はすごくわかります。やっぱり、そこが大きいんじゃないか、と。

中野:そう思いますね。僕にとっても、音楽はそういうものだったから。その上で、音楽の作り手に回るか、それを受け手として生きていくかっていう境目はあるし、どっちが優れているわけじゃないって思うけれど、ryoくんが作る側に回った理由はあると思う。だから、選ばれた人なんだよ、やっぱり。

ryo:選ばれた人ですか、格好いいですね……。そう言われても全く実感ないですけど、でもやっぱり、こうやって中野さんと喋れていることに、「すごいな、自分!」って思います(笑)。

リリース情報
BOOM BOOM SATELLITES
『EXPERIENCED II ―EMBRACE TOUR 2013 武道館―』初回限定盤(CD+Blu-ray)

2013年11月6日発売
価格:7,950円(税込)
SRCL-8368/9

[CD]
1. ANOTHER PERFECT DAY
2. HELTER SKELTER
3. BROKEN MIRROR
4. BACK ON MY FEET
5. SNOW
6. EMBRACE
7. FOGBOUND
8. KICK IT OUT
9. NINE
10. STAY
[Blu-ray]
1. ANOTHER PERFECT DAY
2. HELTER SKELTER
3. BROKEN MIRROR
4. DISCONNECTED
5. MORNING AFTER
6. BACK ON MY FEET
7. SNOW
8. EMBRACE
9. FOGBOUND
l0. MOMENTICOUNT
11. EASY ACTION
12. KICK IT OUT
13. NINE
14. DIG THE NEW BLEED
15. DRESS LIKE AN ANGEL
16. STAY
※特典映像付き

{タイトル}

2013年11月6日発売
価格:4,200円(税込)
SRCL-8370/1

[CD]
1. ANOTHER PERFECT DAY
2. HELTER SKELTER
3. BROKEN MIRROR
4. BACK ON MY FEET
5. SNOW
6. EMBRACE
7. FOGBOUND
8. KICK IT OUT
9. NINE
10. STAY
[DVD]
1. ANOTHER PERFECT DAY
2. HELTER SKELTER
3. BROKEN MIRROR
4. DISCONNECTED
5. MORNING AFTER
6. BACK ON MY FEET
7. SNOW
8. EMBRACE
9. FOGBOUND
l0. MOMENTICOUNT
11. EASY ACTION
12. KICK IT OUT
13. NINE
14. DIG THE NEW BLEED
15. DRESS LIKE AN ANGEL
16. STAY

BOOM BOOM SATELLITES
『EXPERIENCED II ―EMBRACE TOUR 2013 武道館―(Complete Edition)』

2013年11月6日からiTunes storeで配信リリース
価格:2,000円(税込)

1. ANOTHER PERFECT DAY
2. HELTER SKELTER
3. BROKEN MIRROR
4. DISCONNECTED
5. MORNING AFTER
6. BACK ON MY FEET
7. SNOW
8. EMBRACE
9. FOGBOUND
l0. MOMENTICOUNT
11. EASY ACTION
12. KICK IT OUT
13. NINE
14. DIG THE NEW BLEED
15. DRESS LIKE AN ANGEL
16. STAY

supercell
『ZIGAEXPERIENTIA』初回生産限定盤A(CD+Blu-ray)

2013年11月27日発売
価格:4,600円(税込)
SRCL-8410〜2

1. Journey's End
2. No.525300887039
3. Mr.Downer
4. My Dearest(Album Mix)
5. 従属人間
6. ホワイト製薬
7. 拍手喝采歌合
8. Yeah Oh Ahhh Oh!
9. 百回目のキス
10. 銀色飛行船
11. The Bravery(Album Mix)
12. 僕らのあしあと(Album Mix)
13. 告白(Album Mix)
14. 時間列車
15. We're Still Here
[Blu-ray]
1. “My Dearest”Music Video
2. “告白”Music Video
3. “僕らのあしあと”Music Video
4. “銀色飛行船”Music Video
5. “The Bravery”Music Video
6. “拍手喝采歌合”Music Video
7. “No.525300887039”Music Video
※描き下ろしイラストブックレット、下敷き付属、クリアボックス仕様

supercell
『ZIGAEXPERIENTIA』初回生産限定盤B(CD+DVD)

2013年11月27日発売
価格:4,400円(税込)
SRCL-8413〜SRCL-8415

[CD]
1. Journey's End
2. No.525300887039
3. Mr.Downer
4. My Dearest(Album Mix)
5. 従属人間
6. ホワイト製薬
7. 拍手喝采歌合
8. Yeah Oh Ahhh Oh!
9. 百回目のキス
10. 銀色飛行船
11. The Bravery(Album Mix)
12. 僕らのあしあと(Album Mix)
13. 告白(Album Mix)
14. 時間列車
15. We're Still Here
[DVD]
1. “My Dearest”Music Video
2. “告白”Music Video
3. “僕らのあしあと”Music Video
4. “銀色飛行船”Music Video
5. “The Bravery”Music Video
6. “拍手喝采歌合”Music Video
7. “No.525300887039”Music Video
※描き下ろしイラストブックレット、下敷き付属、クリアボックス仕様

supercell
『ZIGAEXPERIENTIA』通常盤(CD)

2013年11月27日発売
価格:3,150円(税込)
SRCL-8416

1. Journey's End
2. No.525300887039
3. Mr.Downer
4. My Dearest(Album Mix)
5. 従属人間
6. ホワイト製薬
7. 拍手喝采歌合
8. Yeah Oh Ahhh Oh!
9. 百回目のキス
10. 銀色飛行船
11. The Bravery(Album Mix)
12. 僕らのあしあと(Album Mix)
13. 告白(Album Mix)
14. 時間列車
15. We're Still Here

supercell
『ZIGAEXPERIENTIA』

2013年11月27日からiTunes storeで配信リリース
価格:2,000円(税込)

1. Journey's End
2. No.525300887039
3. Mr.Downer
4. My Dearest(Album Mix)
5. 従属人間
6. ホワイト製薬
7. 拍手喝采歌合
8. Yeah Oh Ahhh Oh!
9. 百回目のキス
10. 銀色飛行船
11. The Bravery(Album Mix)
12. 僕らのあしあと(Album Mix)
13. 告白(Album Mix)
14. 時間列車
15. We're Still Here

プロフィール
BOOM BOOM SATELLITES(ぶんぶんさてらいつ)

1997年ヨーロッパでデビューした中野雅之、川島道行からなるロックユニット。ヨーロッパでリリースされた12インチシングルをきっかけに、UK音楽誌「Melody Maker」をはじめ、多くのメディアに大絶賛される。ヨーロッパ大型ロックフェスティバルの出演や、Underworld、Mobyらとの欧米ツアーを経てライブバンドとしても評価を高め、国内のフェスティバルではヘッドライナーを務める。04年の話題となった映画『APPLESEED』の音楽を担当し、その後もリュック・ベッソン監督の映画「YAMAKASI」やアカデミー賞受賞作品「The Dark Knight」にもメインシーンで楽曲が起用されるなどデビューから現在に至るまで映像クリエイターやアーティストに絶大な人気を誇り、楽曲提供やリミックスのオファーが絶えない。これまでに通算8枚のアルバムをリリースし、今年でデビュー15周年を迎える。

supercell(すーぱーせる)

コンポーザーのryoと複数のクリエーター、デザイナーによって構成された、インターネット発のエンターテインメント・ユニット。2007年音声合成ソフト「初音ミク」を用い、“メルト”“ブラック★ロックシューター”などの楽曲をニコニコ動画に投稿、ryo(supercell)の描く歌詞・曲の世界観が多くのユーザーに支持され、一躍脚光を浴びニコニコ動画上で大きなムーブメントを起こす。2009年、1stアルバム『supercell』でセンセーショナルなデビューを果たし、2010年3月には「第24回日本ゴールドディスク大賞」にて「ザ・ベスト5ニュー・アーティスト」受賞と、名実共に勢いのある今最も旬なアーティストへと成長を遂げた。『君の知らない物語』『さよならメモリーズ』『うたかた花火 / 星が瞬くこんな夜に』の3枚シングルリリースを経て、2011年3月、2ndアルバム『Today Is A Beautiful Day』を発売、オリコンウィークリーチャート3位を獲得し、更なるsupercell旋風を巻き起こしている。



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