メジャーでやる意味って何だ? Sugar's Campaign×tofubeats

まずは、大阪。Avec AvecことTakuma Hosokawaが高校時代に結成した3ピースバンドを母体に、大学のサークル仲間だったSeihoのサポート参加をきっかけとして、2011年に2人組のユニットSugar's Campaignを結成。2012年にYouTubeで公開した“ネトカノ”が音楽好きの間で大きな話題を呼んだ。そして、神戸。ネットを拠点に活動し、こちらも2012年に発表された“水星”がアンセム化していたtofubeatsは、2013年にアルバム『lost decade』をリリースし、同年ワーナー内の「unBORDE」からメジャーデビューを果たした。ふたたび、大阪。それぞれのソロ活動を経て、遂に“ネトカノ”がパッケージとしてリリースされると、今度はSugar's Campaignがビクター内の「SPEEDSTAR」からメジャーデビュー。1月にファーストアルバム『FRIENDS』を発表する。

こうして関西在住の次世代ポップスの旗手2組が共にメジャーへと活動の範囲を広げたことは、現在起こっている日本のポップシーンの地殻変動を明確に象徴している。昨年10月に発表されたtofubeatsの『First Album』と、Sugar's Campaignの『FRIENDS』は、クラブミュージックをベースとしたポップスという音楽性のみならず、その感性という意味においても、間違いなく「今」を代表し、「未来」を提示する作品だと言っていいだろう。となれば、この2組に対談のオファーを行うことも、もはや必然の流れ。取材日が12月24日でお互い旧知の仲ということもあり、最初はクリスマスパーティー気分だったものの、いざ対談が始まればほぼノンストップで、熱のある対話を聞かせてくれた。

「音楽は相対的なものや」っていうのが僕たちの根本にあるんですよね。バンドは主観が強いじゃないですか?(Seiho)

―Sugar's Campaignのお二人がケーキも買ってきて、すっかりパーティーモードなようなので(笑)、せっかくだからそれぞれのクリスマスの思い出話を聞かせていただきましょうか。

tofubeats:2013年の『unBORDE Xmas PARTY』で、初めて森高(千里)さんとライブでご一緒したんです。でも、森高さんが出てくる前に、『unBORDE Xmas PARTY』初出演にして機材トラブルで音が止まってしまって、「このイベントもう来年出られへんな」って思ったんですけど、翌年も出られてホントよかったなと(笑)。

Seiho:クリスマス……何も思い出ないなあ(笑)。

左から:Seiho、Avec Avec、tofubeats
左から:Seiho、Avec Avec、tofubeats

―こんな格好してる人が(笑)。では、本題に移らせていただきます。Sugar's Campaignとtofubeatsは共に関西の出身で、ネットとの接点が強く、プロデューサーとしてポップスを作っているということなど、共通点が多いと言っていいかと思います。実際、シンパシーのようなものは感じていますか?

tofubeats:実はやってることはそんなに被っていないんですよね。今でこそ「クラブミュージックでポップス」という共通点はありますけど、Sugar's Campaignの二人はミニマルとかも作ってるし、それぞれやってることが違うからこそ、逆に話してて面白いんです。

Seiho:もっと近いやつらとは、あうんでわかっちゃうから話さなくていいんですけど、トーフくん(tofubeats)は自分たちが考えてる範囲とは違うところまで考えてるから、話してて面白いんですよ。向かってる先は一緒やけど、別のルートで行ってるから、その分それぞれのメリットやデメリットを話せるって感じかな。

―Takumaさん(Avec Avec)は実際に出会う以前からトーフさんが気になる存在だったそうですね。

Avec Avec:僕はもともと高校と大学でずっとバンドをやってて、ライブハウスシーンにいたんです。

―Sugar's Campaignは3ピースのバンドとしてスタートしてるんですよね?

Avec Avec:そうです。でもその一方で、アニソンとかJ-POPのリミックスをニコニコ動画にアップしてたんですけど、インターネットとバンドでの活動は別だと考えてたんです。ネットの方は遊びというか、バンドだとできない欲求不満を解消するためにやってた感じで。でも、京都のイベント『ボロフェスタ』でトーフくんと初めて一緒になって、「あ、同じなんや」って気付いたんですよ。ロックのノリにあんまり馴染めなかったから、トーフくんみたいにすべての音楽を客観的にフラットに聴ける人らがすごいかっこいいなって思ってたんです。

Seiho:僕らにとって重要なのってそこで、客観的に見るっていうか、「音楽は相対的なものや」っていうのが根本にあるんですよね。でも、バンドは主観が強いじゃないですか? だからこそ、カリスマ性が生まれるんですけど、僕らはそこを相対的に見て、その上でどう遊べるかが重要っていうか。

Avec Avec:トーフくんはそれをやってたから、すごく楽しそうだなって思ったんですよ。

Sugar's Campaignが買ってきたショートケーキ

―相対的な視点を持つ上では、やっぱりインターネットの存在が大きいと言えますか?

Seiho:インターネットが相対的に見えやすくしてるってだけかな。

tofubeats:インターネットをやってても相対的な視点を持ってない人は結構いますからね。「自撮り」は主観じゃないですか?

Seiho:でも、「変顔」は相対やんな。

tofubeats:そこを楽しんでるか、飲まれてるかの違いっていうのはありますね。僕らが一緒にいる理由は、そこじゃないですかね? 「相対的」をわかってる人たちが集まってる……あー、「わかる」とかって、自分で言っといて嫌なんですけど(笑)。

Seiho:でも、「わかる」って主観の話やん? 「客観的視点」を「わかる」って現象、めっちゃ面白くない?

Avec Avec:フロイトみたいな話になってきた(笑)。

tofubeats:こういう話で、いつも4時間ぐらいしゃべってるんですよ(笑)。

今、個人的な体験をすることってすごく難しいじゃないですか? 聴く人が少しでも個人的になれる仕組みを作りたいと思ったんです。(Avec Avec)

―Sugar's Campaignは2012年にYouTubeに公開した“ネトカノ”によって、まず音楽好きに知られる存在となりました。曲のタイトルに「ネット」という言葉が入っているのは、いわゆる「インターネット以降の音楽シーン」という意味で非常に象徴的だったと思うのですが、どこまで意識的なネーミングだったのでしょうか?

Seiho:もともとは“T.O.Y.S.”っていうタイトルだったんですよ。でも、発表する直前にBibio(イングランド在住、スティーヴン・ウィルキンソンによる1人ユニット)がまったく同じタイトルの作品を発表して、「被った!」と思って。

Avec Avec:それで、「じゃあ、もっとインパクトのあるタイトルにしよう」と思って、最初は“付き合っていた前の彼女”っていうアイデアもあったんですけど、それはダサすぎるし。“モトカノ”ってアイデアも出たんですけど、それもリア充感が強すぎたので、“ネトカノ”にしたんです。


Seiho:あのPVはさっき言ってた主観と客観のバランスをすごく気にして作ってるんです。渋谷系以降の人たちが学生ノリで撮ったビデオの、女の子に対する下心がありつつ、でも音楽に対しては誠実っていう、その両方が入り混じった嫌な感じを意識してて。僕はそうやって男子の目線で作ったんですけど、あれを見た女の子は「登場する女の子の視点になれるから好き」って言うんですよね。結局僕らが意図してることがあっても、作品は広がっていくものというか。

tofubeats:それがポップスってことですよね。

―“ネトカノ”は2014年に2年越しでパッケージとしてリリースされたわけですが、あのジャケットと、トーフさんが2013年に出した『university of remix』のジャケットが似てると思ったんですよね。どちらも女の子をアイコンとして置きつつ、あらゆるカルチャーがフラットになった「ネット以降」を表しているように見えて。

Sugar's Campaign『ネトカノ』ジャケット
Sugar's Campaign『ネトカノ』ジャケット

tofubeats『university of remix』ジャケット
tofubeats『university of remix』ジャケット

tofubeats:“ネトカノ”のジャケットはSeihoさんが実際に住んでいた部屋だそうですけど、僕のジャケットは捏造ですからね。僕の場合、女の子なんて家にあげてしまったら、それこそ悪趣味な下心が写真に出てしまう気がして(笑)。なので、ホントはツインテールじゃない子にツインテールのヅラを被せて、自分の部屋からドラムマシンとか機材だけを持ち出して、白い壁をバックに撮るっていう、超フィクションなんです。Seihoさんはそこをちゃんと開陳しててすごいですよね。

Seiho:あれを撮った意図は、「ネトカノ」という言葉をより複雑にしたかったんです。シングルで出したときに、レターセットをつけたのもそういう意図で、なるべく相対的に受け取ってもらうために不確かなことをするというか。「こう捉えられるやろうな」というものの逆をあえて置いてみて、そこから広がる向こうの世界の話を勝手にしてもらう。もちろん自分たちの意図はあるけど、それは点ではなく面で、その端々に石を置いておくみたいな感じで。

Avec Avec:今、個人的な体験をすることってすごく難しいじゃないですか? 例えば昔だったら、「このアーティストを知ってるのは自分だけ」って思えたけど、今はネットで検索したら、そのアーティストの立ち位置とかまで全部わかっちゃう。そういう中で、端っこに石を置いて、幅を広げてあげることによって、聴く人が少しでも個人的になれる仕組みを作りたいと思ったんです。

メジャーにきた一番大きな理由は、自分たちだけでやって20代には届けられるけど、50代にはどうしても届けられなかったから。(Seiho)

―2013年のトーフさんに続いて、Sugar's Campaignも2014年末にメジャーデビューを果たしたわけですが、トーフさんは実際にメジャーの内側で1年間活動してみて、音楽業界の変化をどのように感じられましたか?

tofubeats:僕は大きな変化の瞬間に立ち会いたいからこそメジャーに来たところがあるんですよね。「バーンってビルが倒れるのを特等席で見たい」みたいな。その後の荒野は『北斗の拳』みたいな世界で、ああいう世紀末感ってちょっとワクワクするじゃないですか? それを味わいたいって5~6年前から言ってて、だから逆に言うと、意外とすぐには変わらないもんだなって思ってて。

―最初に変化の予兆を感じたのって、何のときでしたか?

tofubeats:Napster(1999年に開始された、ネットを通じて個人間で音楽ファイルの交換ができるアプリケーション)が入ってきたときには、「これはもうCDで食っていく時代じゃないな」って思ったんですけど、でも速攻サービスが終わってしまって、ただ今度はSpotify(欧米を中心に展開されている音楽ストリーミング配信サービス)が食い込んできてる。そうやって変わっていくのが面白いなって。そのときに当事者でいれば、何年か後に「いやー、あのときはいろいろあってさあ」って言えるじゃないですか。だから「変えたい」とかじゃなくて、「変わるのを見たい」って感じですね。

tofubeats

―Seihoさんは今のメジャーのレコード会社というものをどのように見ていますか?

Seiho:八百屋さんは八百屋さん、魚屋さんは魚屋さんみたいな感じで、音楽業界には音楽業界で食いつないでいて職がなくなったら困る人がいるわけだから、そんなにすぐに大きくは変わらないんじゃないかなって。「もうメジャーの音楽業界はダメだ」とか言う人って、「風俗なんてダメだから、風俗産業は潰せ」って言ってる人と同じに聞こえるっていうか。僕はそこで生きてる人がいるなら、自由にさせてあげればいいんじゃないかなって思うんです。僕としては、会社が変わっても変わらなくても、自分が作る音楽は変わらない。アーティストはどこにいようと自由ですから。

―では、Sugar's Campaignがメジャーを選んだのは、どういう理由が大きかったのでしょうか?

Seiho:一番大きいのは、自分たちだけでやって20代には届けられるけど、50代にはどうしても届けられなかった。そこまで届けるには、ノウハウを持ってる組織の力が必要で。そのために対価を払って、メジャーと契約するっていう、それだけの話かなって。

tofubeats:商売ってことですよね。僕は商売が結構好きで、商売の内側が変わっていくのを見るのが好きなんですよ。最近もワーナーの社内で異動があったんですけど、そういうのを見ててめっちゃ楽しくて。

Seiho:悪い人間やで(笑)。まあ、だから僕は「メジャーの仕組みがダメだから潰そう」とも思ってないし、「自分たちの世界を守ろう」とも思ってない。

tofubeats:僕のことを「メジャーを潰そう派」だと思ってる人がいるみたいなんですけど、そこはちょっと誤解というか、潰そうと思ってたら契約してないですからね。結局「ここに関してはいいけど、ここに関してはよくない」っていう、その積み重ねでしかないと思うんですよ。内側が変わっていくって話にしても、「そこはよくないからやめよう、そこはいいから残そう」っていう、その積み重ねで会社ができてるわけで。だから、そういうことも相対で見てもらいたい。さっきの話とも通じてきますね。

僕らがよく言うのは、「劇団を作りたい」ってことなんですよ。僕らはフロントマンになることには興味がなくて、脚本を書いて、それを演じる主役が1曲ごとに存在してるんです。(Seiho)

―Sugar's Campaignとtofubeatsの楽曲はどちらもゲストボーカルを迎えるスタイルですが、手法は一緒でも、目的は違うのかなって思うんですね。

Seiho:僕らがよく言うのは、「劇団を作りたい」ってことなんですよ。これも主観と客観の話に通じますけど、バンドの場合は、やっぱりフロントマンですべてが決まるんです。フロントマンが女好きやと、女好きのイメージを持つバンドになるし、フロントマンがなよっとした童貞だったら、そういうイメージのバンドになる。僕らはフロントマンになることには興味がなくて、脚本を書いて、それを演じる主役が1曲ごとに存在してるんです。『FRIENDS』ではakioが多くの曲でボーカルをとってますけど、彼のパーソナリティーは関係ないんですよ。

Avec Avec:劇団の看板俳優ってことですね。

―曲という演目ごとに、いろんな役を演じていると。

Seiho:ボーカルのレコーディングをするときにTakuma(Avec Avec)が面白いのが、ボーカルがボーカルらしいことをすると怒るんです。

Avec Avec:エモくなったり、ナルチシズムが入ると、引いてしまうんですよね。

Seiho:だから、咳き込んでたり、歌えてなかったのを、わざと使うんです。

―そうやって主観を排除した方が、ポップスとしての力が増すということでしょうか?

Avec Avec:僕はそう感じてます。

Seiho:ボーカルがボーカルらしくいると、1人のために歌ってなくて、複数のために歌ってることが多いんですよね。でも、Takuma(Avec Avec)がいいと思うボーカルは、マスに向かって歌ってるような感じじゃないので、そこが彼の思うポップス像に近いんだと思います。

tofubeats:絞った方がその先が広がるってことですよね。

Seiho:そうそう、だから、スタジアムで「みんなー!」って言ってるようなボーカルじゃない。めっちゃ小さい部屋で、隣にいる人に歌ってるみたいな感じ。

左から:Seiho、Avec Avec

―では、Sugar's Campaignが劇団であるなら、tofubeatsは?

tofubeats:僕は人選も含めて、火曜日夜10時くらいからのテレビドラマをやろうとしてる感じですね。ただ、僕は結果として表に出てますけど、ホンマは脚本書くぐらいの位置がいいんですよ。

Seiho:絶対嘘やで。脚本家とか言いながら、コメンテーターとしてガンガン昼の番組に出るタイプや(笑)。

tofubeats:いやいや(笑)。でも結局、人に頼んで0か100のものがあがってくるのを待つよりも、自分でやって65の方がいいんですよ。その上で、『First Album』に関しては、藤井(隆)さんとか森高さんを呼んで、夜10時のテレビドラマみたいな作り方をしつつ、たまには深夜ドラマもやるみたいな感じでokadada(tofubeatsと旧知の仲であるDJ・トラックメイカー)ともやったりしてる。J-POPっていうもの自体、例えるならテレビじゃないですか? 僕が思ってるメジャーはそういうものだったんで、そこをやれたらいいなって。

森高さんとやる曲として“Don't Stop The Music”を作ったとき、「俺こんな曲書くんや」って自分で思いましたもん。(tofubeats)

―Sugar's Campaignの『FRIENDS』っていうタイトルには、さっき名前の出たakioさんをはじめ、「友人たちと作ったアルバム」っていう意味も入っているのでしょうか?

Avec Avec:海辺の喫茶店の名前みたいにしようってことで、もともと『たんぽぽ』にしようとしてたんですよ(笑)。

Seiho:でも、『たんぽぽ』って、サブカル女子のシンガーソングライターとかもつけそうでしょ?

Avec Avec:それが嫌で、『FRIENDS』だったら、アメリカの映画っぽいっていうか……。

tofubeats:有名コメディードラマじゃないですか(笑)。もうメジャーだから、何にしろサブカルではないですけどね。

Seiho:だから、「友人と作った」という意味合いで取ってくれてもいいし、僕とTakuma(Avec Avec)の関係を表してると思う人もいるかもしれないし。“ネトカノ”にしてもそうですけど、タイトルとか歌詞は思うように受け取ってくれればよくて、いろんなニュアンスで取れるように、抽象的な単語として存在させてる感じです。

―つまりは、友人と作ることにこだわっているわけではなくて、今後はトーフさんのように知名度のあるアーティストの人を招くこともあり得ると。

Avec Avec:それはあると思います。

Seiho:ただ、パブリックイメージの強い人が来たときに、僕らがどう対応できるのかっていうのは、今のところわからないんですよね。例えば、バツ2の歌手が来たときに、それに寄せてしまった曲を作るのか、それとも全然違う役柄を与えるのか、それはまだわからない。

tofubeats:だからこそ、それをやってみてほしいですね。森高さんとやる曲として“Don't Stop The Music”を作ったとき、「俺こんな曲書くんや」って自分で思いましたもん。でも、そういうのがメジャーでやる面白さかなって。

Seiho:そこは僕らも楽しみたいですね。


始まることのワクワクと、終わることの悲しみを包括して感じてしまっている状況を作るのが、Sugar's Campaignのテーマなんです。(Seiho)

―最後に、『FRIENDS』のテーマについても訊かせてください。トーフさんはよく「音楽の役目はエスケーピズム」だと言ってらっしゃって、CINRAの以前の取材でも「終わりがあるからこそ美しい」ということをおっしゃっていたかと思います。

tofubeats:それもやっぱり今日の話とつながるところで、終わりをちゃんとやると、相対になるっていうのがあるんですよ。『FRIENDS』で僕が一番興奮したのはシャッフルビート(リズムパターンの一種)で終わってるということで、『lost decade』もラストの曲はシャッフルビートを使ってるんですけど、そうするとカーテンコール感が出て、「あ、これ舞台だったんだ」って思えるんですよね。僕はあの感覚がめっちゃ好きで、何ならあれを全曲やりたいぐらい。エスケーピズムに関しても、別世界に行って、ちゃんと現実に帰ってくるっていうのが重要で、舞台に没入して、終わって、劇場を出て、日常に戻ってくるところまでを音楽でやりたい。なおかつ、その距離が遠ければ遠いほど面白いんです。

tofubeats

―Sugar's Campaignの“ホリデイ”には<それでも終わり急ぐのかい>という歌詞も出てきますが、やはり「終わり」を意識していると言えますか?

Seiho:“ホリデイ”の歌詞はもともとSugar's Campaignの3ピースバンド時代にベースだった小川リョウスケが書いてるんですけど、僕たちは生まれてきて死ぬってことを理解してるじゃないですか? 金曜日のパーティーに出かけるときも、月曜の朝には仕事に行かないといけないことを理解してる。この始まることのワクワクと、終わることの悲しみを包括して感じてしまっている状況を作るのが、ずっとSugar's Campaignのテーマなんです。

Avec Avec:それって言葉で言うと「せつない」とかですけど、でも実際はいろんな気持ちの複合じゃないですか?

tofubeats:それを言葉では言えないから、曲を作ってるんですよね。

Avec Avec:そう。だからいろんな捉え方をしてほしくて、さっき言った「生まれて死ぬことがわかってる」ということと同じで、子どもが大人になるっていうのも、それが悲しいのか何なのかわからないからこそ、僕らにとっては大事なテーマなんです。

Seiho:子どもがイメージする大人って、現実には存在しないんですよ。大人が懐かしむ子どもも、現実にはいない。それってめっちゃキモいけど、その現象を作れるのがポップスなんです。僕が一番人と話してて面白いと思うのって、頭の中にずっとあったことが、初めて言葉として出てくる瞬間なんですよね。みんなが頭の中で持っているはずなのになかなか出せないことを生み出すのが、僕らの仕事っていうか。

左から:Seiho、Avec Avec、tofubeats

tofubeats:少なくとも音楽は、5分ぐらいでそれを説明できるときがあるんですよね。

Avec Avec:でもSeihoは、それを削って削って、「1本の線でできるんちゃうか?」って言ってるんですよ(笑)。

―どういうことですか?(笑)

Seiho:最終的には、シャッって(手を振る)描いた1本の線ですべての感情を表すことができる日が来ると思ってやってるんです。僕の中ではもう表現できてるんですけど、それをなるべくわかりやすく人に伝えるためには、音楽ぐらいにレベルを落とさないとっていうのが現状なんですよね(笑)。

リリース情報
Sugar's Campaign
『FRIENDS』初回限定盤(CD)

2015年1月21日(水)発売
価格:3,672円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VIZL-767

1. ホリデイ
2. ネトカノ
3. It's too late
4. となりタウン
5. MEMORY MELODY
6. Big Wave
7. 夢見ちゃいなガール
8. カレイドスコープ
9. Shopping Center
10. 有名な映画のようにラブリーな恋がしたい
11. 香港生活
12. パラボラシャボンライン
※オリジナルコミック付属

Sugar's Campaign
『FRIENDS』通常盤(CD)

2015年1月21日(水)発売
価格:2,700円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VICL-64276

1. ホリデイ
2. ネトカノ
3. It's too late
4. となりタウン
5. MEMORY MELODY
6. Big Wave
7. 夢見ちゃいなガール
8. カレイドスコープ
9. Shopping Center
10. 有名な映画のようにラブリーな恋がしたい
11. 香港生活
12. パラボラシャボンライン

イベント情報
Sugar's Campaign
『Sugar's Campaign単独公演~FRIENDSリリパ~』

2015年3月19日(木)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:東京都 代官山 UNIT

2015年3月20日(金)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:大阪府 心斎橋 SUN HALL

料金:各公演 前売2,800円 当日3,300円

リリース情報
tofubeats
『First Album PVC Vol.1』(アナログ7inch)

2015年2月14日(土)発売
価格:1,296円(税込)
JS7S091

[SIDE-A]
1. 衣替え feat. BONNIE PINK
[SIDE-B]
1. 20140803、way to yamate

リリース情報
tofubeats
『First Album PVC Vol.2』(アナログ7inch)

2015年2月14日(土)発売
価格:1,296円(税込)
JS7S090

[SIDE-A]
1. Come On Honey! feat.新井ひとみ(東京女子流)
[SIDE-B]
1. poolside feat. PES(RIP SLYME)

リリース情報
森高千里with tofubeats
『森高豆腐』

2014年12月17日(水)からiTunes Storeで配信リリース
価格:1,800円(税込)

tofubeats
『First Album』通常盤(CD)

2014年10月2日(木)発売
価格:3,240円(税込)
WPCL-11992

1. 20140809 with lyrical school
2. #eyezonu
3. poolside feat. PES(RIP SLYME)
4. Come On Honey! feat. 新井ひとみ(東京女子流) & okadada
5. ディスコの神様 feat. 藤井隆
6. おしえて検索 feat. の子(神聖かまってちゃん)
7. CAND\\\LAND feat. LIZ
8. 朝が来るまで終わる事の無いダンスを(Album version)
9. Populuxe
10. zero to eight
11. framed moments
12. content ID
13. Her Favorite feat. okadada
14. Don't Stop The Music feat. 森高千里(Album Version)
15. way to yamate
16. 衣替え feat. BONNIE PINK
17. ひとり
18. 20140803

プロフィール
Sugar's Campaign (しゅがーず きゃんぺーん)

「Avec Avec」ことTakuma Hosokawaと「Seiho」ことSeiho Hayakawaの2人による新世代都市型ポップユニット。ゲストボーカルを招く形でポップソングを制作している。岡村靖幸、久保田利伸、トッドラングレンや、ポンキッキーズ、1990年代アニメなどに強い影響を受け、上質なJ-POP・シティポップを目指し2011年結成。2012年1月「ネトカノ」を YouTube にて公開。すぐさまネット、クラブ、インディーロック界隈をはじめ、各所で話題に。2年の時を経て、2014年8月2日に先行でHMV Record Shop渋谷店限定でアナログ盤「ネトカノ」をリリースし、予約完売。更に、渋谷PARCO主催の女子クリエイターが集まるカルチャーイベント「シブカル祭。2014」のテーマソングにも大抜擢。音楽面だけでなく、カルチャー面からも注目を集めている。1月21日には待望のメジャーデビュー1stフルアルバム『FRIENDS』をリリースする。

tofubeats(とーふびーつ)

1990年生まれ。神戸で活動を続けるトラックメイカー / DJ。学生時代からインターネットで活動を行い、ジャンルを問わず様々なアーティストのリミックスを手掛ける。2013年、“水星 feat.オノマトペ大臣”を収録したアルバム『lost decade』をリリース。同年、森高千里らをゲストに迎えたEP『Don't Stop The Music』でメジャーデビュー。2014年10月2日(豆腐の日)に、豪華ゲストアーティストを招いたメジャー1stフルアルバム『First Album』をリリース。制作だけではなくDJとしても活躍中。高校生時代に『WIRE08』へ出演したことを皮切りに、様々なフェスティバルやイベントに出演。2014年7月にはイギリスのラジオ局BBCのプログラム『BBC Radio1Xtra Diplo and Friends』に日本人として初出演。8月には森高千里 with tofubeatsとして『SUMMER SONIC 2014』に出演する等、国内外で話題となっている。



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