The fin.×FLAKE RECORDS なぜ今、アジア戦略が重要なのか?

The fin.がフルアルバムとしては3年3か月ぶりとなる新作『There』を、3月14日に発表する。活動の初期から国外に目を向け、世界各地でライブを展開したのち、2016年9月にはイギリスに移住。ロンドンでのレコーディングにJamiroquaiやRadioheadの作品に関わるブラッドリー・スペンスが参加していることなど、断片的な情報は伝わってきていたが、バンドを取り巻く詳細な状況は伝わっていなかったように思う。しかし、このインタビューを読んでもらえれば、The fin.がこれまでの日本のバンドとは全く違う境地にいることがわかるはずだ。

そんなバンドの歩みを語るうえでうってつけの人物がいる。BuzzFeedが選ぶ「あなたが死ぬ前までに訪れるべき魅力的な世界のレコード店 27選」(2013年)に選ばれた大阪・堀江のレコードショップFLAKE RECORDSの店長・和田貴博だ。レーベル「FLAKE SOUNDS」の運営や、海外バンドの招聘なども行い、国内外の音楽シーンの動きを見つめ続けている和田は、The fin.にとって古くからの理解者なのである。The fin.のボーカル・Yuto Uchinoと和田の対談から、この国の音楽が向かうべき道が透けて見えると言っても過言ではないだろう。

(The fin.の)最初の自主制作盤はうちだけで400枚近く売れてて、それは結構な記録なんですよ。(和田)

—和田さんとThe fin.の親交のきっかけは、どういったものでしたか?

Yuto:デモCDをFLAKEに持って行ったのが最初だと思います。

—『Glowing Red On The Shore EP』(ライブ会場とFLAKE RECORDS含む一部店舗で販売された初の自主制作音源。2014年より全国流通)よりも前?

Yuto:そうです。あのEPに入っている曲を何曲かCDに焼いて渡しました。

和田:「売ってくれ」って持って来たんやっけ?

Yuto:いや、リリースするつもりはなく、ただ聴いてもらいたくて持って行きました。DAWAさん(和田の愛称)に知ってもらうことは、最初の目標のひとつだったんですよね。自分のなかで「音楽をちゃんと知ってる人」として一番有名なDAWAさんに認めてもらえれば、自信もつくなって考えてて。

左から:和田貴博、Yuto Uchino(The fin.)
左から:和田貴博、Yuto Uchino(The fin.)

『Glowing Red On The Shore EP』収録曲

和田:でも、The fin.の音源はYutoがデモを持ってくる前にSoundCloudで聴いてたんですよ。WallflowerとかJuvenile Juvenileっていう周りの若いバンドが教えてくれたんやけど、「これはすげぇな」って思ってた。最初の自主制作盤はうちだけで400枚近く売れてて、それは結構な記録なんですよ。そのあと、いろんなレーベルから声かかるようになったんよな?

Yuto:そうですね。でも、その頃は尖りに尖ってて、「メジャーレーベルと契約なんてするわけない」と思っていて……当時俺らは、音楽業界のことなんて何もわかってなかったんですよね。だから海外のレーベルとやりとりをしていて、音楽が世の中に発信される流れを知ってるDAWAさんに、どう活動すべきかを相談してました。

Yuto Uchino

—和田さんが最初にThe fin.の音源を聴いたときは、どんな印象でしたか?

和田:最初から他のバンドとは目指してるところが違うし、英語もしゃべれるし、音楽的なクオリティーも段違い、という別格の存在という印象でした。The fin.のCDが自分の店で売れれば、バンドにとってプラスになるのはもちろんだけど、「こういう音楽が世の中に広がれば、もっといいシーンができるんちゃうかな?」って思っていたところもあって。だから正直に言うと、「The fin.はいいぞ!」って積極的に発信することによって、お店の価値も上がるんじゃないかという考えもありました。

Yuto:俺らもFLAKEに来るお客さんに知ってもらいたかったから、そこはWin-Winですね(笑)。実際にCDがFLAKEで売られているというのは、ダイレクトに届いてる感じがして嬉しかったし、ネット上で起こっていることとは違う喜びがありました。

『Glowing Red On The Shore EP』収録曲

—いわゆる「洋楽的」なバンドはこれまでもたくさんいましたけど、The fin.のように実際に並べて比較しても遜色のないバンドは、なかなかいないですよね。

和田:そうですね。でも僕ら自身もそこを明確に聴き分けられてるわけではなくて、自分の感覚を信じてるだけで。「なぜホンマの洋楽っぽく聴こえるのか?」を分析するのは嫌なんですよ。

Yuto:日本人はそういうことを気にしがちだけど、日本人が思う「洋楽っぽい」という感覚は海外の人とは違うし、日本人が「これは売れるぞ」って思う感覚にもズレがあったりするんですよね。そうやって日本人的な視点にはある種のバイアスがかかってるから、俺らは洋楽に対する見方も、邦楽に対する見方も、最初からあまり意識し過ぎないようにしてました。

「だいたい日本人は売れてから来るけど、もうそれじゃ遅い」って言われたんですよ。(Yuto)

—現在の所属である「HIP LAND MUSIC」と契約するにあたっても、和田さんからアドバイスがあったのでしょうか?

和田:納品の度に契約周りの話は聞いていて、その頃から海外での活動を考えた話はしてました。だから「HIP LANDから話が来てる」って聞いたときは、サカナクションとかEGO-WRAPPIN'とかがいるデカい事務所だけど、LITEとかをちゃんと海外目標でやってるし、「バンドのやりたいことをやらせてくれる感じはあると思うで」っていうのは言ったかな。

和田貴博

Yuto:それが契約のひとつの決め手になりました。DAWAさんは新人をたくさん見てきてるから、すごく冷静にアドバイスをしてくれて。活動初期の頃、DAWAさんから「今、一時的に盛り上がってるファンはすぐいなくなるから」って言われたんですよ。そのおかげで、「ちゃんと聴かれ続ける音楽をやっていかないと」という意識で活動することをずっと心がけてきました。

—海外での活動について、当時はどんな話をしていたのでしょうか?

和田:具体的なことは全然。ただ、「行け」「やれ」って言ってただけ(笑)。結局「海外で活動したい」って言うやつはたくさんいても、行くやつってほとんどいないんですよ。だからThe fin.がホンマに海外進出したのはすごく嬉しくて。しかも引越しまでしちゃったって、ヤバいじゃないですか?(2016年9月より、The fin.は音楽活動の拠点をロンドンに移している) 向こうでまだ火がついてるわけじゃないのに、それでもバンドごと行くなんて、大きな決断をしたなって。

Yuto:背水の陣っすよ(笑)。一人失ってるくらいやし(2017年5月、Takayasu Taguchiが脱退している)。

和田:でも、そういうチャレンジをレーベルが後押ししてくれるのもすごい。売れてから向こうに行くパターンはあるけど、The fin.はそんなんじゃないからな。

Yuto:それは向こうの音楽業界の人にもすごく評価されました。「だいたい日本人は売れてから来るけど、もうそれじゃ遅い」って言われたんですよ。実際、アジアのスターがイギリスにライブしに来たところで、観に来る人は限られているみたいで。「ホントにいい音楽だったら、前評判とか日本での成功とか関係ないから」というのはよく言われてましたね。

左から:Yuto Uchino(The fin.)、和田貴博

和田:前にビデオを撮りに海外に行ったのは、留学やっけ?

Yuto:あれは旅行です。『京都学生祭典』(2010年)という祭りのバンド大会で優勝してもらった50万で行ってきました。

和田:結構な額やなあ。アジカンの後藤は10万しか出さへんのに(笑)。(ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が創設した新人賞『Apple Vinegar Award』の賞金のこと。坂本龍一の出資分と合わせて賞金は計20万円になる)

メンバ―でイギリスに旅行した際に撮影されたミュージックビデオ

今、アジアはちゃんとビジネスできるチャンスがあるし、ビジネス以上の経験値も得られる。(和田)

—海外に拠点を移したのはどうしてだったんですか?

Yuto:海外に行きたいと思った一番のきっかけは、3年前の『SXSW』(毎年3月にアメリカで行われる、音楽祭・映画祭・インタラクティブフェスティバルなどを組み合わせた大規模イベント)です。

アメリカツアーを回って、海外のシーンのすごさを肌で感じたことで、自分が尊敬できる人たちが作っているシーンや環境に身を置きたいなと思って。もっといいバンドになるにはそうすべきだと思ったし、自分の目指しているものや理想は海外にあるってことをメンバーにも伝えたら、だんだんそういうモードになっていったんです。

和田:じゃあ、なんでイギリスやったん?

Yuto:イギリスに拠点を移す前に、現地のマネージメントもレーベルも決まってたからですね。1stアルバム(『Days With Uncertainty』)を全部デジタルEPに切り出してリリースしたら、それが上手いこといって、イギリスに行けばマネージャーがいるし、ライブも組める、という基盤ができあがったんです。あとは、一度みんなで旅行に行ってるから、「住むならイギリス」っていう漠然としたイメージもあって。

Yuto Uchino

—和田さんは昨年Juvenile Juvenileのツアーで中国に行かれたそうですが、現在のアジアの音楽シーンをどのように見ていますか?

和田:アジアはストリーミングがめっちゃ力を持っているんですよ。自分に近いところだと、滋賀の「揺らぎ」というバンドは、まだ日本では全然知名度ないんですけど、台湾ツアーをしてたり、中国のレーベルからリリースしてたりします。そういう可能性がここ2年くらいで急に伸びたと感じているから、日本のバンドにとっては新しいチャンスの場だと思いますね。

—確かに、アジアでライブをする日本のバンドは増えましたよね。

和田:中国は、ライブに来る若い子って、ちょっとハイソなお金持ちの層が多くて、チケット代も日本に来るアメリカやヨーロッパのバンドと一緒のような価格なんですけど、それでもお客さんは入るんですよ。

現地のイベンターの人たちが頑張ってくれてるのも大きいと思うけど、それはすごく健全やし、アジアのシーンはビジネスとしても成立しているんです。ちょっと前まではtoeとかmouse on the keysくらいしか成立してるバンドはおらんかったと思うけど、今はちゃんとビジネスできるチャンスがあるし、ビジネス以上の経験値も得られる。

和田貴博

アジアの音楽業界って、日本だけが切り離されてる。(Yuto)

—The fin.は、アジアではどのような状況なのでしょうか?

Yuto:アジアは行った途端に手応えがあって、台湾とタイは800人キャパくらいの会場が初回からソールドアウトでした(2015年7月)。2回目も全部ソールドアウトで(2016年3月)、中国は去年2月に初めて行ったんですけど、1200人と800人の会場がソールドアウト。今年3月にまた中国8か所回るんですけど、それも1000人キャパとかで、全部ソールドアウトしてます。

和田:ヤバいな、なんばHatch(大阪・心斎橋にある1500人規模のライブハウス)くらいが売り切れてるんや。日本だと「1回観たし、もういいや」って感覚がある気がするんやけど、あっちは、一度来た人がまた来てくれるし、広まってもいくから、2回目以降で状況は格段に変わるよな。

3月9日に北京で行われた『The fin. Tour 2018』より
3月9日に北京で行われた『The fin. Tour 2018』より

3月10日に上海で行われた『The fin. Tour 2018』より
3月10日に上海で行われた『The fin. Tour 2018』より

和田:それに向こうでは、メディアが煽ってブレイクするっていうのではなくて、リスナーが自分からバンドを探して、リスナー主体でシーンの盛り上がりが生まれてるわけやん? ちゃんと音楽のよさに反応してフィードバックがあるというのは、すごくピュアな気がする。

Yuto:そうですね。それに、アジアの音楽業界って、日本以外は密につながってるんですよ。日本以外はみんなが協力して、ツアーを一緒に組んでたりするのに、日本だけが切り離されてる。だからDAWAさんみたいな海外に目を向けている人がアジアのシーンとつながったら、めちゃめちゃ強いと思うんですよね。

—新代田FEVERの店長・西村(仁志)さんをはじめ、アジアに目を向けて行動に移している人が増えつつある印象はあります。

和田:西村さんはタイのラインを作ってるし、台湾にはブッダさん(寺尾ブッダ。ライブハウス・月見ル君想フの店長)がいますしね。そういう動きがちゃんと出てきたのはここ2年くらいかもしれない。それまでアジアに興味を持ってる人自体が少なかったですから。でも今は、アジアの音楽のクオリティーはめっちゃ上がってて、韓国のアーティストはアメリカにもガンガン行ってるんですよね。そういう点では、大半の日本のアーティストって負けてると思う。勝ち負けじゃあないけど。

—The fin.のアジアでの成功が、日本のバンド人気の火つけ役になれば。

和田:希望ですよ。ホントにそう思います。

 

日本の音楽業界って上層部だけでビジネスが回ってる気がしてて……。(和田)

—イギリスでのレコーディングはいかがでしたか?

Yuto:ブラッドリー・スペンスとアレキサンダー・ベイツケという第一線でやっているプロデューサーと一緒に音楽を作れたのは、中高の頃の自分の大きな夢がひとつ叶ったなって思ってます。

和田:誰の作品をやってる人なん?

Yuto:ブラッドリーはRadioheadの『In Rainbows』(2007年)とかで、アレキサンダーはエド・シーランの最初の頃の作品とかを手がけています。俺らをやる前に手がけた作品がUKで1位を獲ったらしくて、制作中にメールが来たんですよ。そしたら「お、すごいやん」くらいな感じで、そのまま次の作業してて(笑)。

それってめっちゃかっこいいじゃないですか? だって、音楽のことしか気にしてないわけだから。彼らは音楽をよくすることや、表現そのものに対してすごく貪欲なんですよね。日本にいると、どうしても「どうやって売るか」ということばっかり考えさせられるところがあるから。

和田:どうやったら面白いプロモーションできるかみたいなことって、音楽の話じゃないもんな。

和田貴博

Yuto:最近プロデューサーから、「Spotifyで聴いたよ。次出すときはやらせてくれ」みたいなメールをもらうことが増えて、わりと有名な人からも連絡が来るんですよ。向こうの業界関係者は、みんなそうやって音楽主体で考えてる。

俺らは別に売れてないし、Spotifyで少しずつ聴かれるようになってるくらいのレベルなのに、アーティストにわざわざメールして、「毎日聴いてるよ」みたいなことを言ってくれて。みんな音楽がめっちゃ好きなんやなっていうのを感じるんですよ。

和田:自分で売り込んできといて、ギャラがめちゃくちゃ高いとかってわけじゃないんやろ?

Yuto:全然、すごく安いと思う。

和田:そういうことは儲かってるからできるのかもしれんけどな(笑)。日本って上層部だけでビジネスが回ってる気がしてて……僕らはそういう事情もわかっちゃうんで、全然面白くないんですよね。

Yuto:だからこそGotchさん(ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文)みたいな人はすごいなって思う。アジカンの成功で手にした知識とか経験を次の世代に伝えようとしてるじゃないですか?

—途中で話に出たように『Apple Vinegar Award』をはじめたり、常に行動していますよね。

Yuto:そうそう。前にスタジオへ遊びに行ったときに、「日本には『グラミー賞』みたいなアワードがないから、あったほうがいいと思う」って話されてて、それを実際にやってるからすごいなって思います。

和田:Gotchは純粋に音楽が好きで、ちゃんと行動してるから偉いと思う。

Yuto:それこそ俺、中学の頃にスペースシャワーTVで見た『NANO-MUGEN FES.』で知った海外のバンドを、iTunesで買ったりしてて。だから、『NANO-MUGEN FES.』をやらなくなったのはすごく残念で。あのイベントに出るのはバンドのひとつの目標だったんですよ。

—音楽性は違うけど、アジカンからつながってるものがあると。

Yuto:Gotchさんは日本人が誰もやってないところに行こうとしてますよね。そのアクションには海外の経験も活かされているだろうから、俺のロールモデルのような存在なんです。

Yuto Uchino

アジア行って、アメリカ行って、イギリス行って……ってやってたら、正直3年でもまだ足りない。(Yuto)

—新作の『There』は3年3か月ぶりのフルアルバムになりますね。

和田:まだ2ndアルバムやねんな。日本のバンドやったらもう3枚くらい出しててもおかしくないやろ。

Yuto:普通やったら、それくらい出してますね(笑)。Yogee New Wavesとかnever young beachとか、俺らよりあとに出てきたバンドがみんなメジャーデビューしてたりしますからね。でも、俺らは1枚アルバムを出して、それをどれだけ広めるかに時間をかけてきた。日本だけでやってたら、リリースして、ツアー回って、終わりってなりがちだけど、アジアへ行って、アメリカへ行って、イギリスへ行って……ってやってたら、正直3年でもまだ足りないですからね。

和田:でも外国のバンドはそれが普通やもんな。ワールドツアーしてたら、1~2年はかかる。

—それによってアジアではさっき話したような成果が出て、次は欧米ですね。

Yuto:やっとこの間配信したシングル(“Snow(again)”)が、UKとUSのSpotifyで「New Music Friday」に入ったんですよ。

和田:世界中で膨大な数の曲がリリースされるなかで、ちゃんとピックアップされてる時点ですごいよな。

—力を持ってるプレイリストに入るかどうかがすごく大事になっていますよね。だから、ストリーミングはチャンスかもしれないけど、偏りも生みかねない。

和田:そこはすごく微妙なところな気がしています。バズによる可能性はめっちゃ大きくなってるけど……今のアメリカのヒップホップは、1日でスターが生まれるみたいな感じでしょ? 17歳とか18歳が、一瞬で爆発しちゃう。

Yuto:その辺のヤンキーが急に大スターになるみたいな。

和田:そうそう。あれはちょっと怖いなって思う。

—いろんな問題は孕みつつも、The fin.はチャンスに手をかけているわけですよね。

和田:Madison Square Garden(アメリカのコンサート会場、収容人数は約2万人)とかWembley Arena(イギリスのコンサート会場、収容人数は約1.2万人)でやるときは行くで(笑)。

Yuto:そのときは招待します(笑)。

Yuto Uchino

—『There』というタイトルには、どんな意味があるのでしょうか?

Yuto:アルバムを包括するようなタイトルをつけたかったんです。俺は自分が育った小さいコミュニティーを抜け出して、音楽で生きていくというひとつの夢を叶えることができて、この数年は音楽を通じて実際にいろんな世界を見てきた。いろんな人と話をして、自分が何を表現したいのか、自分のスタンスみたいなものを確認できた実感があって。

人って、イマジネーションのスペースを持つことが大事だと思うんです。想像力を働かせることができたからこそ、カルチャーとか文明を進化させられた。作品を作るにあたって、自分が生きてきたということをこの世に残せるとしたら、そういうことかなって考えたんです。イマジネーションするスペースとか、何かに手を伸ばす感覚――そういう自分が音楽を通して描きたいものを、全部ひっくるめて『There』と名づけました。

The fin.『There』ジャケット
The fin.『There』ジャケット(Amazonで見る


The fin.『There』収録曲

いい曲を書いていれば、絶対誰かが見つけるから。(和田)

—今日は国内外のいろいろな話をしていただきましたが、和田さんは今後FLAKE RECORDSを通じて音楽シーンとどのように向き合っていこうとお考えでしょうか?

和田:何も背負いたくないし、楽しいことで食えてるんで、とにかくこれを続けたい……っていうのを表向きには言いながら、ちょっと責任を感じる部分もあって。たとえば、僕がこの10年間で招聘した海外バンドは50~60組いて、「もしそれがなかったら」って思うと、ちょっとくらいは自分のやったことに意味があったのかなって思ったりするんですよ。

Yuto:俺みたいな人間が他にもいっぱいいると思うし、DAWAさんは必要とされてますよ。

和田:でも、そこの役目を自分から引き受けちゃうのは嫌なんよ。海外のバンドを呼んでツアーやると、日本のバンドから「次は自分たちも一緒にライブやらせてください!」ってめちゃめちゃ言われるけど、他人のアクションに乗っかるんじゃなくて、まずはバンド主体で動いてみろって思う。

和田貴博

和田:あと、これからストリーミングがメジャーになっていったら、僕らみたいな役割は必要なくなるんじゃないかと思っていて。「あの店でプッシュされてるから」よりも、プレイリストの力のほうが大きくなったときは、「個のブランド力」が問われることになりますよね。ジャスティン・ビーバーがフックアップしたから、ピコ太郎が売れるみたいな。

でも、そういうことって間を飛ばしまくってるわけですよ。そこにはすごく危機感があって、だったら、僕自身がブランド力を持った存在にならないといけないのかなというのは、日々思いながらやってます。

—Yutoくんからは、あくまで実感として、これから日本のバンドが世界を目指すうえで必要だと思うことを話してください。

Yuto:そうですね……いい曲を書くこと。

和田:うん、いい曲を書いていれば、絶対誰かが見つけるからな。

Yuto:偉そうに言い過ぎかな……俺、いろんなミュージシャン敵に回してる気がする(笑)。これだけ日本を二の次にした姿勢で活動して、日本のミュージシャンはどう思うんやろ?

和田:日本のミュージシャンが憧れるような存在になればええやんか。

 

リリース情報
The fin.
『There』(CD+ZINE)初回限定盤

2018年3月14日(水)発売
価格:3,300円(税込)
RDCA-1055

1. Chains
2. Pale Blue
3. Outskirts
4. Shedding
5. Afterglow
6. Missing
7. Height
8. Heat (It Covers Everything)
9. Vacant Sea
10. Through the Deep
11. Snow (again)
12. Late at Night
13. Alone in the Evening (1994)

The fin.
『There』通常盤

2018年3月14日(水)発売
価格:2,500円(税込)
RDCA-1056

1. Chains
2. Pale Blue
3. Outskirts
4. Shedding
5. Afterglow
6. Missing
7. Height
8. Heat (It Covers Everything)
9. Vacant Sea
10. Through the Deep
11. Snow (again)
12. Late at Night
13. Alone in the Evening (1994)

イベント情報
『The fin. Tour 2018』

2018年3月8日(木)
会場:中国 成都 Little Bar Space

2018年3月9日(金)
会場:中国 北京 YugongYishan

2018年3月10日(土)
会場:中国 上海 Mao Livehouse

2018年3月11日(日)
会場:中国 杭州 Mao Livehouse

2018年3月13日(火)
会場:中国 南京 Ola Space

2018年3月14日(水)
会場:中国 武漢 VOX

2018年3月15日(木)
会場:中国 広州 T-Union

2018年3月16日(金)
会場:中国 深圳 B10 Live

2018年3月18日(日)
会場:香港 Eaton Workshop

2018年3月21日(水・祝)
会場:埼玉県 熊谷 Heaven's Rock VJ-1

2018年3月24日(土)
会場:タイ コーンケン TOEY Freshtival 2

2018年3月25日(日)
会場:タイ バンコク Voice Space

2018年3月31日(土)
会場:台湾 台北 Legacy

2018年4月2日(月)
会場:フィリピン マニラ 19 East

2018年4月4日(水)
会場:福岡県 The Voodoo Lounge

2018年4月6日(金)
会場:大阪府 梅田 Shangri-La

2018年4月7日(土)
会場:愛知県 名古屋 Jammin'

2018年4月13日(金)
会場:東京都 渋谷 WWW X

2018年4月14日(土)
会場:北海道 札幌 Spiritual Lounge

プロフィール
The fin.
The fin. (ざ ふぃん)

Yuto Uchino、Ryosuke Odagaki、Kaoru Nakazawaからなる兵庫・神戸出身バンド2010年頃に活動開始。シンセ・ポップやシューゲイザーからチルウェイヴやドリームポップを経由したサウンドスケープが特色で、初期から海外を視野に入れた活動を展開。2014年に『Days With Uncertainty』を発表。翌年には初の海外ツアーを開催。2016年3月に『Through The Deep』をリリース。2018年3月14日、2ndアルバム『There』を発表する。

和田貴博 (わだ たかひろ)

1973年生まれ、大阪府出身。大阪・南堀江のレコードショップFLAKE RECORDS代表。愛称は「DAWA(ダワ)」。シフトレコードなどのショップスタッフを経て2006年に独立、開業。新譜の洋楽レコードをメインに、交流のある邦楽アーティストの新譜も取り扱う。店内にある商品のポップ原稿を全て自らで手がけ、自主レーベル「FLAKE SOUNDS」を主催し、さらに自主イベント『TONE FLAKES』のオーガナイズに、イベントDJまで仕事は多岐に渡る。FLAKE RECORDSは関西の音楽発信の場としても注目され、海外でも「あなたが死ぬ前までに訪れるべき魅力的な世界のレコード店 27選」にも選出されている。



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