キイチビールを変貌させた、終わった恋、新しい恋。本秀康と話す

キイチビール&ザ・ホーリーティッツが、2ndフルアルバム『鰐肉奇譚(わににくきたん)』を5月15日にリリースした。飲み会でワニ肉の天ぷらを食べた日に恋に落ちた女性について歌った1曲目“鰐肉紀行”をはじめとして、かつての恋人との別れを綴った痛みの曲や、新たな恋に胸を躍らせる喜びの曲……などなど、前作のリリース以降キイチビールのなかに芽吹いた「喜怒哀楽+それ以外」の様々な感情が、大きく進化を遂げたポップサウンドのなかで花開いている。

そんな本作のリリースにあたり、CINRA.NETではイラストレーター・漫画家の本秀康と、キイチビールの対談を実施。漫画『レコスケくん』をはじめ、本が描くキャラクターたちはその可愛らしい表情がとても魅力的だが、同時に彼の作品には、人間が本質的に持つ切なさや孤独、なにかに取り憑かれてしまった狂気すらも炙り出すようなエグみと繊細さがある。そんな彼とキイチとの対話は、世代やジャンルを超えてもつながり合う表現者としての業と、そして音楽愛に満ちたものとなった。

根本的に僕とキイチくんは似ているんだと思う。(本)

—本さんはキイチビール&ザ・ホーリーティッツのロゴも手がけられていますし、主宰する「雷音レコード」から7インチシングル『パウエル』(2017年)もリリースされているので、ふたりの間には既に深い関係性があるかと思うのですが、そもそも出会ったきっかけはどのようなものだったのでしょう?

:出会ったのは、雷音レコードの即売会にキイチくんが来てくれたときだよね。もう5年くらい前かなぁ。まだバンドもやっていなかった頃だよね。

キイチ:そうですね、まだ大学でジャズをやっていた頃でした。

左から:本秀康、キイチビール(キイチビール&ザ・ホーリーティッツ)

キイチ:僕は、それ以前から本さんのファンで。高校生の頃に、お姉ちゃんが『ワイルドマウンテン』(2004年~2010年にかけて連載)の1巻を買ってきたんですけど、それを読んで「なんて面白いんだ!」と思ったんです。2巻以降は自分で揃えるくらいにハマってしまって。孤独な男の心境というか……孤独なんだけど、「自分が可哀想でかわいい」みたいな男の心境を、菅ちゃん(主人公の菅菅彦)はすべて代弁してくれているような気がしたんですよね。

:初めての出会いからしばらくして、キイチくんがテレビ出演するときに、「憧れの人に会うコーナーがあるから、それに出てくれないか?」っていう打診を、以前から付き合いのあったキイチくんのディレクターの渡邊(文武)さんからいただいたんです。その時点ではまだ「キイチビール」という人が数年前に出会った若者だと僕は気づいていなくて。初めて出会ったときに撮ったツーショット写真を送ってきてくれて、「あのときの子か!」と気づきました(笑)。音源を聴いたらすごくよかったし、それでその番組にも出演することにしたんです。

キイチ:その番組で本さんに描いてもらったバンドロゴを発表して、そのあと雷音レコードから『パウエル』の7インチをリリースすることになったんですよね。

:やっぱり、“パウエル”が距離を一気に縮めてくれた感じがしたね。最初に聴かせてもらったときから、本当にいい曲だなと思って、それでロゴを描くことも引き受けたので。

本秀康が描き下ろしたキイチビール&ザ・ホーリーティッツのロゴ

—本さんが初めて“パウエル”を聴いたときに感じた魅力とは、どのようなものだったのしょう?

:う~ん……もう忘れちゃった。

キイチ:あはははは(笑)。

:だって、キイチくんの音楽性って、この2年間でどんどん進化しているでしょ? それを追いかけていると、“パウエル”を初めて聴いた2年前がすごく昔のことのように思えるんだよね。……でもさ、さっきキイチくんが言ってくれた『ワイルドマウンテン』の主人公って、僕自身なんですよ。そこに共感してくれたっていうことは、根本的に僕とキイチくんは似ているんだと思う。“パウエル”以降も、キイチくんが「新曲できました!」って聴かせてくれるたびに、僕は「わかるなぁ」って思いながら聴いてきたから。それは、キイチくんの素がそのまま曲になっていたからだよね。

キイチ:そうだと思います。

キイチビール
2016年4月にライブ活動をスタートとさせた、東京の5人組ロックバンド・キイチビール&ザ・ホーリーティッツのボーカル。2017年の夏には2つのフェス系コンテストを勝ち抜き、『ROCK IN JAPAN』と『SUMMER SONIC』にいきなり出演。注目度が加速度的に上がる。2019年5月15日、2ndフルアルバム『鰐肉紀譚』をリリース。

「こういう音楽がメインの世の中で、自分は音楽で生きていけるのか?」って、不安になることがよくあって。(キイチ)

:でも最近のキイチくんの曲を聴いると、キイチくんは今まで以上に作家性に目覚めはじめているんじゃないかと思うんです。新譜の『鰐肉紀譚』、最高なアルバムだと思ったんけど、このアルバムを聴いて思うのは、曲作りも、サウンド面も、キイチくんがプロになってきたなっていうことで。

キイチ:1stアルバム(2018年発表の『トランシーバ・デート』)と今回のアルバムは、全く違うなっていう感覚が自分でもあるんですよね。それがなぜなのか、自分ではわからなかったんですけど……。作家性かぁ。

キイチビール&ザ・ホーリーティッツ『トランシーバ・デート』を聴く(Apple Musicはこちら

:前作もすごくよかったけど、「天才が鼻歌で作った」っていう感じの曲がたくさん入ったアルバムだったと思う。でも、今回の『鰐肉紀譚』は譜割りやサウンドもすごく凝りはじめているよね。昔のキイチくんは「いくらでも曲が書けるんです」って言っていたけど、今はどう?

キイチ:もう無理です。「もっと突き詰めたい」っていう欲も出てきたし、許せないことも多くなってきました。前は許せたメロディーでも、今は許せない。聴いたことあるようなものは作りたくないし……曲を作っていくなかで、とにかく今の自分が理想には程遠いんだなと実感することが多くて。それで心が折れそうにもなるんですけど、それを突破するぐらいのバーンッと弾けた曲ができると、「もう最高!」みたいな気分になるんですよね。

:すごくいい変化だと思うよ。

本秀康(もと ひでやす)
1969年京都府生まれ。イラストレーター、マンガ家。1990年よりフリーイラストレーターとして活動。音楽への造詣が深く、音楽誌への寄稿、CDジャケットのイラストレーションも数多く手がける。2014年には7インチレコード専門レーベル「雷音レコード」を立ち上げる。2019年4月25日、新作『あげものブルース』を発表。

—本さんは漫画を描くうえで、ご自身の作家性の目覚めは意識されていましたか?

:う~ん。僕は「ガロ系」と呼ばれる、つげ義春さんや杉浦茂さんのような現代のメインストリームとは違った志向性の作家さんに影響を受けてきたんですよ。ただ、僕はそもそもイラストレーターなので、「本業ではないけど、描きたいから漫画を描く」っていうスタンスで。自分がプロの漫画家であると認識していないんです。

そういうスタンスで生きてきたので、デビューしてからの20数年間は、友達が送ってくれた漫画以外は、全く同時代の漫画を読んでいなくて。でも……すごくマイノリティーな発言になってしまいますけど、僕が好きなタイプの漫画は、どうやら世間では評価されていないんですよね。僕が面白くないと思うであろう漫画ばかりが評価されている(笑)。

キイチ:あはは(笑)。

:でも、キイチくんのように、僕の漫画を評価してくれる人もいるんですよ。そういう人たちの好きな漫画が世間に評価されていないのは、もったいないじゃないですか。それなら僕は、作風を変えないまま評価されなければいけない。そういう意識から、僕の作家性は生まれているような気がしますね。

キイチ:「作風を変えないまま評価されなければいけない」っていうのは、すごくよくわかります。それって、ポップミュージックというものを作る人間の根本にある意思のような気もする。

僕も、世の中で流行っている音楽があまりにも自分の価値観と離れすぎていて、「どうしてだろう?」って思うことがよくあって。理解できないから不思議で仕方がないし、「こういう音楽がメインの世の中で、自分は音楽で生きていけるのか?」って、不安になって落ちることがよくあって。「もう終わりだ!」みたいな……(苦笑)。

:でも、初期のキイチビール&ホーリーティッツの音楽って、「僕は大好きだけど、世の中は受け入れてくれるかな?」っていう感じもあったけど、今回のアルバムは、音楽を熱心に掘っているわけじゃない人たちが聴いても楽しめるような、現代的なグルーヴ感がちゃんとあると思う。そういう部分って、曲作りの段階から意識していたの?

キイチ:う~ん、自分ではあんまり意識していないんですけど……ちょっと聴いてみますか?(と言って、iPhoneの音楽制作アプリ「GarageBand」からアルバム収録曲“鰐肉紀行”のデモを流す)

—曲作りはiPhoneが多いんですか?

キイチ:そうですね。僕、パソコンが使えなくて。……(デモを聴きながら)あ、でも、結構デモの段階からグルーヴィですね。ビートがちょっとヒップホップっぽい。自分でも今気づきました(笑)。

「未完成さ」そのものが、美しさやアートを感じられる部分なのかなって思った。(キイチ)

—今作の耳馴染みのいい質感はどのように生まれてきたのでしょう?

キイチ:僕、ポール・マッカートニーの『RAM』(1971年発表、ポール&リンダ・マッカートニーの作品)にハマっていた時期があって。ああいうふうに、ロックンロールのフレーズとポップの要素を組み合わせたかったんですよね。それが、“鰐肉紀行”のシンプルなギターフレーズとちょっと変な譜割りの組み合わせに繋がっているような気がします。

ポール&リンダ・マッカートニー『RAM』を聴く(Apple Musicはこちら

キイチ:この曲は、歌詞もこだわっていて。1番を繰り返しているだけで、2番の歌詞はないんです。2番の歌詞をつけ足してしまうと、蛇足になってしまいそうで。シンプルに、あまり多くを語らないようにしたんです。

:素晴らしいと思う。たしかに、キイチくんが『RAM』にはまっていた時期ってあったよね……なるほどなぁ。今回のアルバムって、すごくルーツが見えづらいアルバムでもあるよね?

キイチ:そうかもしれないです。今回のアルバムを作っているときによく聴いていたのは、The Beach BoysやThe Zombiesだったんですよね。「どういうふうにしたら、ポップスの型を破れるだろうか?」っていうことを考えるなかで、The Beach Boysの『Smiley Smile』(1967年)やThe Zombiesの『Odessey & Oracle』(1968年)の存在が特に大きくて。

The Beach Boys『Smiley Smile』を聴く(Apple Musicはこちら

The Zombies『Odessey & Oracle』を聴く(Apple Musicはこちら

キイチ:たとえば『Smiley Smile』って、ドーンとした、王道でポップな曲が入っているわけではないじゃないですか。むしろ「作りかけ」感が強いというか……まぁ、実際に未完成なアルバムとしてリリースされてはいるんですけど、僕はその「未完成さ」に完成されたものを感じたというか。

「もしかしたら、自分はこういうのを作りたいんじゃないか?」って思ったんですよね。なので、王道でポップな曲を作らなきゃっていう意識から自分を切り離して、もっと自分の作りたいものを作ろうっていうモードに入っていった……そんな意識の転換が今作を作るうえであったと思います。

—キイチさんが魅力に感じるポップミュージックは、未完成な部分を許容しながらも、魅力に変えているものだった?

キイチ:そうですね。「未完成さ」そのものが、美しさやアートを感じられる部分なのかなって思って。最近、『男はつらいよ』をよく見ているんですけど、サントラもよく聴いていてすごく好きなんですよね。山本直純さんが作る、短くて綺麗なメロディーで、情景が浮かんでくるような……そういうものに惹かれるんでしょうね。

王道な型に当てはめて、「ここで落ちサビが来て、ラストサビでバーンと盛り上がる」みたいな壮大なアレンジを好む人もいるんでしょうけど、僕は、それはやりたくないんです。ちょっと物足りないぐらいで、サッと終わるのがいいのかなって。

:そっかぁ、なるほどな。たしかに今回のアルバムの曲は短いよね。“透明電車が走る”なんて、5分くらいかけてやるようなことを3分でやっていて、驚くんだよ。

キイチ:ありがとうございます。短い時間に、どれだけの情報を入れることができるかが、今の僕の勝負ですね。余計なことは言いたくない。蛇足をなくしたいんです。

“こーかい”は、初めて聴いたときの衝撃が未だに薄れない。(本)

:『Odessey & Oracle』や『Smiley Smile』って僕が一番好きな時期の洋楽なんだけど、今回のアルバムはサイケデリックなサウンドからの影響が強いんだね。たしかにジャケットも、どことなくサイケだもんね(笑)。

キイチ:たしかに(笑)。

:自分の話をすると、僕も今年『あげものブルース』っていう新しい漫画を出したんだけど、それはもともとThe Beatlesの『White Album』(1968年発表の『The Beatles』)を意識して作っていたつもりだったんです。でも最終的には、サイケデリック期のThe Beatlesになったんだよね。

『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)のように、メドレー形式を取り入れた漫画になっちゃって。でも、あの時期の洋楽が好きな人って、ミュージシャンでもメドレーをやりたがる人は多いんだよ。個人的には、いつか、キイチくんが今の音楽性でメドレーを作ってくれたら最高だなって思う(笑)。

The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』を聴く(Apple Musicはこちら

キイチ:実は、次のアルバムは『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』みたいにもっとコンセプチュアルにまとめたいと思っているんです。今回のアルバムは、明確にコンセプトアルバムにはなっていないんですけど、1曲目を“鰐肉紀行”ではじめて、最後の11曲目を、“鰐肉紀行”をポンチャック風にアレンジした“海老肉志向”っていうふざけた曲で締めるっていう点で、一応、コンセプトアルバムっぽくしたつもりで(笑)。次はさらに絡み合った、ちゃんとしたコンセプトアルバムに仕上げたいなと思っています。それは、本さんが言ってくれた「作家性」を、もっと突き進めていくっていうことでもあると思うんですけど。

:今回のアルバムで、僕が一番好きな曲はどれだと思う?

キイチ:えーっと……“終電でまた会おうぜ”とか?

:それもすごくよかった。でも、僕が一番好きなのは“こーかい”。“こーかい”は、初めて聴いたときの衝撃が未だに薄れない。歌詞もメロディーも歌い方も、最後に向かってめちゃめちゃになっていくところが、毎回鳥肌が立ちます。

キイチ:ありがとうございます。“こーかい”と、さっき言った“鰐肉紀行”は、アルバムのなかでも1時間くらいでパッとできた2曲なんです。“こーかい”は元カノと別れたときの曲で、“鰐肉紀行”は新しい彼女と出会ったときの曲で……なんかあるんでしょうね(笑)。

「ふたりの男女がいる」っていう景色を、すごく美しいものだと思ってしまっている。(キイチ)

:ここでキイチくんの彼女の話をしようかどうか迷うけど(笑)、確実に、このアルバムは彼女の存在がひとつのカラーになっているよね。

キイチ:そうですね。このアルバムはレコーディングを2回に分けているんですけど、7インチシングルで出した“こーかい”“今夜浮かれたい”“透明電車が走る”“平成がおわる”を去年の8月くらいに録っていて、それ以外の曲を今年の1月に録ったんです。

その2回のレコーディングの間に、元カノと別れて、新しい彼女と出会っているので、モードが全然違うんです。アルバム1枚のなかで陰影がすごく濃いというか……振り切っちゃっているんですよね(笑)。なのでまぁ、時系列に曲が並んでいるわけではないんだけど、僕はそのときのテンションが曲に出るので、一応、物語的にはなっているアルバムなのかなっていう気がします。

キイチビール&ザ・ホーリーティッツ『鰐肉紀譚』を聴く(Apple Musicはこちら

:“鰐肉紀行”って、キイチくんがワニの肉を食べに行ったお店で、新しく彼女になる女性に出会ったことで生まれた曲なんでしょ? 実は、そのワニの肉を出すお店に、僕も津田大介さんとU-zhaanに連れていかれたことがあるんだよ。でも、僕はワニの肉をテーマにして漫画を描こうとは思わなかったから……これがクリエイターとしての差かなぁ(笑)。

キイチ:いや、問題はワニの肉を食べたかどうかより、恋に落ちたかどうかです!(笑)

—(笑)。改めて、キイチさんの曲は女性との関係性を歌う曲が多いですね。

キイチ:そうですね。最近は、だんだん直接的に書くことが恥ずかしくなってきたんですけど……。でも基本的には、「ふたりの男女がいる」っていう景色を、すごく美しいものだと思ってしまっているので。

:キイチくんって、Instagramとかでも彼女との関係を包み隠さず出すじゃない? そういう赤裸々な活動はThe Beatlesからの影響?(笑)

キイチ:違います(笑)。……でも、丸見えですよねぇ。

:実は、キイチくんがインスタで新しい彼女との関係をチョロチョロと出しはじめたときに、「これ、大丈夫なの?」って軽く注意したことがあるんです。そのとき、キイチくんは「気をつけま~す」なんて言っていたんだけど、結局、控えるどころか、むしろエスカレートしていって……実は、ちょっと落ち込んだんだよ。「俺は旧世代なんだなぁ」って(笑)。

キイチ:すみません……(笑)。でも「隠す必要もないかなぁ」って思って。

:それでいいんだよ。ロックはこうあるべきだと思う。まぁ一番びっくりしたのは、ライブハウスで、出番を終えたキイチくんが膝の上に彼女を乗せて、他のバンドを観ていたときだけどね(笑)。

キイチ:あはははは!

「こういうことを体験したよ」「こういうことを思ったよ」っていうことを伝えたいから、僕らは作家をやっている。(本)

:端から見ていると、キイチくんと今の彼女の関係って、ポール・マッカートニーとリンダ・マッカートニーみたいだなって思う。ジョン・レノンとオノ・ヨーコには思想があるけど、ポールとリンダには思想はないんだよね。ただ、じゃれ合っているっていう(笑)。キイチくんの彼女も漫画家だし、お互いクリエイターっていうところも似ているよね。

あと、バンドメンバーや運営サイドが、キイチくんの赤裸々な活動の仕方や、彼女との関係によって音楽性まで変化していくことを受け入れてくれているのも、いいことだなって思う。チェンジしながらよくなっているって判断してくれているんだろうね。

キイチ:そうですね。みんな、僕の変化を快く受け入れてくれています(笑)。

:……でも、最初に言った『ワイルドマウンテン』の主人公だけじゃなくても、たとえば『あげものブルース』も、ほとんど体験談で。やっぱり、自分の身に起こったことしか作品にできない。思うことがいっぱいあって、「こういうことを体験したよ」「こういうことを思ったよ」っていうことを伝えたいから、僕らは作家をやっているんだよね。

キイチ:うん、そう思います。そういうものだけが自分を満たしてくれるというか。どれだけ偽りのものが評価されても、きっと空洞のままなんですよね。

—ちなみに、“なんでも知ってる女の子”は、今お付き合いされている女性のことが歌われているんですよね?

キイチ:うん、そうですね。彼女は僕が今まで出会った人のなかで、一番エネルギーがギラギラと出ている人なんです。音楽や映画のことも、なんでも知っていて。僕が必死で「さすがに、この映画は見てないだろう」と思うようなものを探し出しても、「あぁ、あれね」みたいな感じで……「マジかよ」みたいな(笑)。スペイン語も話せるんですよ(笑)。知識が豊富で、考え方に芯があって、強い人なんです。僕は、いつも弱気になってしまうので、その芯の強さに惹かれるんですよね。

—憧れの対象となるような女性なんですね。

キイチ:まさに、僕の憧れです。

:じゃあ、キイチくんはポールだけど、彼女はリンダというよりは、ヨーコ的な存在なんだね(笑)。

キイチ:うん、そうかもしれないです(笑)。

リリース情報
キイチビール&ザ・ホーリーティッツ
『鰐肉紀譚』(CD)

2019年5月15日(水)発売
価格:2,300円(税込)
KBHT-0006

1. 鰐肉紀行
2. 今夜浮かれたい
3. Tシャツ
4. こーかい
5. 日照りになれば裸になって
6. 平成がおわる<album take>
7. 透明電車が走る
8. 軽めな二人
9. なんでも知ってる女の子
10. 終電でまた会おうぜ
11. 海老肉志向

イベント情報
『キイチビール&ザ・ホーリーティッツ 2ndフルアルバム「鰐肉紀譚」リリースツアー』

2019年6月7日(金)
会場:宮城県 仙台 LIVE HOUSE enn 3rd
ゲスト:FINLANDS

2019年6月9日(日)
会場:北海道 札幌 Spiritual lounge
ゲスト:さよならミオちゃん

2019年6月20日(木)
会場:福岡県 the voodoo lounge
ゲスト:バレーボウイズ、yound、ハチマライザー

2019年6月22日(土)
会場:愛知県 名古屋 CLUB ROCK‘N’ROLL
※ワンマン公演

2019年6月23日(日)
会場:大阪府 Shangri-La
※ワンマン公演

2019年6月29日(土)
会場:東京都 渋谷 WWW X
※ワンマン公演

リリース情報
『あげものブルース』

2019年4月25日(水)発売
著者:本秀康
価格:1,080円(税込)
発行:亜紀書房

プロフィール
キイチビール&ザ・ホーリーティッツ
キイチビール&ザ・ホーリーティッツ

2016年4月にライブ活動をスタートとさせた、東京の5人組ロックバンド。ライブ会場といくつかの店舗/通販サイトにて枚数限定で販売された1stEP「俺もハイライト」/1stミニアルバム「世の中のことわからない」がいつしか全国的に評判になり、完売し、各地のライブハウスを賑わす存在に。2017年の夏には二つのフェス系コンテストを勝ち抜き、ROCK IN JAPANとSUMMER SONICにいきなり出演。注目度が加速度的に上がる。2019年5月15日、2ndフルアルバム『鰐肉紀譚』をリリース。

本秀康 (もと ひでやす)

1969年京都府生まれ。イラストレーター、マンガ家。1990年よりフリーイラストレーターとして活動。その後95年にマンガ家としてもデビュー。音楽への造詣が深く、音楽誌への寄稿、CDジャケットのイラストレーションも数多く手がける。2014年には7インチレコード専門レーベル「雷音レコード」を立ち上げる。マンガ『たのしい人生完全版』(青林工藝舎)、『レコスケくん』(ミュージック・マガジン)、『ワイルドマウンテン』(小学館)、『アーノルド』(河出書房新社)、絵本『まじかるきのこさん』(イースト・プレス)など著書多数。



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