POLA×スマイルズが送る「雑誌ページができるまで」イベントレポ

POLAとスマイルズのタッグで取り組む、これまでにない実験的なトークセッション

2018年7月3日、初夏の雰囲気が漂う夕暮れどきの中目黒。駅の雑踏から少し離れた高架下のレストラン「PAVILION」で、ある実験的な試みが行われた。化粧品メーカーのPOLAと、スープ専門店「Soup Stock Tokyo」やセレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」などを手掛けるスマイルズによるコラボレーション企画『POLA TALKER’S MUSEUM × MEET@TALK』だ。これは、さまざまな分野で新たな試みを続けるアーティストをPAVILIONに迎えて、「Playful Crossover」をコンセプトにトークセッションを繰り広げるというもの。

 

今回が第3回目となる本イベントは、毎回趣向を凝らした、POLAとスマイルズの掛け算だからこそ成立する特別な催しとなっている。第1弾では「~触れればテープが歌い出す~」をテーマに、Open Reel Ensembleと小林うてなの2組のアーティストを呼び、オープンリール式テープレコーダーがどのような原理で音を奏でるのかを解説しつつ、演奏者と参加者が一体となり、全員でひとつの楽曲を作り上げた。続く第2弾のテーマは「フルーツのある日々」。創業77年の老舗果物屋「フタバフルーツ」の三代目社長・成瀬大輔とともに、フルーツが全ての料理の主役となる一夜限りのフルーツコースを仕上げた。大胆なテーマ設定、そしてセンセーショナルな内容に、多くの人が感性と好奇心を強く刺激されただろう。

『POLA TALKER’S MUSEUM × MEET@TALK』第1弾「~触れればテープが歌い出す~」
『POLA TALKER’S MUSEUM × MEET@TALK』第1弾「~触れればテープが歌い出す~」(サイトで見る)(動画をみる

『POLA TALKER’S MUSEUM × MEET@TALK』第2弾「フルーツのある日々」
『POLA TALKER’S MUSEUM × MEET@TALK』第2弾「フルーツのある日々」(サイトで見る)(動画をみる

本イベントを手がけるPOLAの岡村建弥は、このような大胆で刺激的なイベントを開催するに至った思いを次のように話した。

「化粧品メーカーが主催するイベントと聞くと、『肌を美しくするにはどうしたら?』とか『化粧品をうまく使うには?』といった内容を連想する方が多いかもしれません。しかし、私たちが本当に提供したいのは女性が心身ともに満たされて笑顔になる瞬間。たとえば、アートやカルチャーに対する造詣が深くなることで、より豊かな日常を過ごせることを知ってもらいたい。そのための場がこのイベントなんです」

本イベントを手がける、POLAの岡村建弥
本イベントを手がける、POLAの岡村建弥

そしてもう一人、本イベントを手がけるスマイルズ・PAVILIONの齋藤クリフ悠は、次のように続ける。

「私たち自身が未体験のことをテーマとして取り上げているので、本番を迎えるまではどうなるのかがわからない。でも、だからこそ良い意味で毎回ドキドキしています。お越しいただいたみなさまにも、これまでにない驚きや感動を提供したいと思って取り組んでいます」

左から:岡村建弥(POLA)、本イベントを手がけるスマイルズPAVILIONの齋藤クリフ悠
左から:岡村建弥(POLA)、本イベントを手がけるスマイルズPAVILIONの齋藤クリフ悠

雑誌『PLEASE』編集長・北原徹を迎え、紙面制作を生公開

そして、この日開催された本イベント第3弾のテーマは「ひとつのページができるまで」。イベント中に、雑誌『PLEASE』の実際の誌面をライブで作成するというもので、モデルのヘアメイク・スタイリング、撮影を行い、どのような行程を経て雑誌のページが完成するかを白日のもとに晒していくという。アンバサダーを務めるのは、過去に『anan』や『POPEYE』などを手掛け、現在はファッション誌『PLEASE』の編集長を務めるマガジニスト兼フォトグラファーの北原徹。その手腕を間近で見られるということもあり、今回のイベントに参加した人々の表情はどこかソワソワしていた。

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まずは、モデルのヘアメイクとスタイリングがはじまった。それと同時に、北原の口から今回の撮影の趣旨が次のように語られた。

「今日の撮影のためにロケハンをしたとき、裏の入口にある電話ボックスを見てインスピレーションが浮かびました。アメリカの小説家レイモンド・カーヴァーの作品に『Where I’m Calling From(ぼくが電話をかけている場所)』という作品があるのですが、そのタイトルから自分なりにイメージを広げて撮ろうと」

北原徹
北原徹

この北原のイメージを体現するために、男女の外国人モデル1名ずつが選ばれた。彼らを被写体にPAVILIONの5か所で公開撮影を実施し、さらに撮影データをその場でアートディレクターへ渡してレイアウトを組んでいくという。「実は僕もアートディレクターがレイアウトを組む現場に立ち会ったことはありません。だから、みなさんと一緒に初めてアートディレクターの仕事を見ることになります」と北原が微笑む。

阿吽の呼吸で進んでいく撮影とデザイン

すべての準備が終わり、撮影はスタートした。撮影ポイントごとの撮影時間はおおよそ20分。その度にモデルは衣装やメイクを変え、それを北原が撮影していく。

メイク中の様子

メイク中の様子
メイク中の様子

この日のメイクはすべてPOLAのアイテムが使用された
この日のメイクはすべてPOLAのアイテムが使用された

北原徹

撮影中の様子

撮影中の様子
撮影中の様子

一般的な雑誌は、まず編集者がページのイメージを伝えるためのラフを書き、写真をある程度選定してから渡すと思います。普段の『PLEASE』は僕が写真をセレクトして、それに基づきラフをつくり、デザイナーに渡します。でも、今回はそういった行程はなくて、僕が撮ったものをすべてアートディレクターに送ります。全部渡すというのはスリリングで、「この写真でいきたい」と思うこともあるのですが、当然のごとく弾かれることも(笑)。

僕がセレクトすると、「服が見えているかな」などの言語的な意味も考えてしまうので、梅沢くんがデザイン視点だけでセレクトすることで強さを作ってくれると信じています。「みんなで選んで良いものを」という考え方もあると思いますが、誰もが良いものって誰も気に留めないものであると思う。エッジがなくなっちゃうんですよね。だから、一人のデザイナーが写真を決め込んでいくページがあっても良いと思います。それが逆におもしろいとも思います。

そう説明しながら、北原は撮影した写真が収められたUSBを即座にアートディレクターである梅沢篤に渡す。創刊号から北原とタッグを組むだけあり、阿吽の呼吸でやりとりは進む。

左から:北原徹、梅沢篤

編集していく様子がスクリーンに映し出される
編集していく様子がスクリーンに映し出される

梅沢篤

梅沢は、渡された写真データにひと通り目を通すと、感性に訴えかけてくる数枚をセレクトし、すぐにレイアウトへ。その迷いのない判断には自信があふれていた。こうして10ページ分のページレイアウトが組み終わった。

「このように前代未聞なことをやらせてもらえる機会をいただけたことに感謝しています。誰もやってないことはやらないのが常識的にも当たり前だと思いますが、僕らはパンクですから(笑)。こんなパンクな出来事を見ていただき、今日の体験がみなさんのこれから先の人生においてどう役立つのかわからないですが、何かを変えるきっかけになれば嬉しいです」と北原は締め括った。

3時間余りの間に繰り広げられた一幕は、2018年9月に発売を予定している『PLEASE 9号』に掲載されるそうだ。

第4弾も開催決定。POLAとスマイルズだからできるものを

さて、この『POLA TALKER’S MUSEUM × MEET@TALK』は、今後も継続的に開催していくことが決まっている。第4弾はどのような形での展開を予定しているのだろうか。あらためて、今回のイベントの仕掛け人であるPOLAの岡村建弥とスマイルズの齋藤クリフ悠に尋ねた。

「これまでの3回の経験を踏まえ、これまで以上に参加者が一歩踏み込んだイベントを企画したいと思っています」と齋藤。それに対して岡村は「イベントに参加された方からは『生きてきた20年間でいちばん楽しかった』とか『アートに対して新たな気づきがあった』とか、とても嬉しい声をいただいています。それは私たちが目指しているものでもあるので、これからもPOLAとスマイルズの両者だからこそできる企画を展開していきたいですね」と続ける。

第4弾は10月30日(火)に開催が決定した。日本のソウルフードである「鰹節」にスポットを当てたイベントを絶賛企画中だそう。その後も、第5弾を11月、第6弾は12月に開催が決まっているという。今後も、独自の視点から生まれる新たなイベントに期待していきたい。

 

イベント情報
『MEET@TALK』

アート、音楽、ファッション、フードなど毎回異なるテーマやジャンルをもとに「ART」「LOVE」をエネルギーに日々新たな挑戦を続けるアーティストを選定しコラボレーション。PAVILIONを舞台に、これまで誰も経験をしたことがない新しい形の「トークショー」を繰り広げる。

『POLA TALKER'S MUSEUM』
「出会いから一歩前へ」

アートやテクノロジーを中心に分野を絞らずに自由な発想で企画した対話セッションやワークショップ。美しくあるための感性を刺激する体験を提供します。

『POLA TALKER’S MUSEUM× MEET@TALK vol.3』
『1つのページができるまで』

2018年7月3日(火)
会場:東京都 中目黒 PAVILION
ゲスト:北原徹(PLEASE編集長)

『POLA TALKER’S MUSEUM× MEET@TALK vol.4』
『鰹節』

2018年10月30日(火)
会場:東京都 中目黒 PAVILION
※イベント内容公開、及び参加者募集は9月25日(火)開始予定

プロフィール
北原徹

マガジニスト、フォトグラファー。過去に『anan』『POPEYE』『クロワッサン』など数々の雑誌に携わる。2016年にファッション誌『PLEASE』を創刊。現在は編集長として同誌の制作に携わっている。また、フォトグラファーRay and LoveRockとしても活動中。

岡村建弥 (おかむら たつや)

1988年生まれ、徳島県出身。徳島市で60年以上続いた洋装店にて生まれ育つ。関西学院大学法学部卒業。2011年ポーラに入社。入社後4年間、北関東地区の販売促進業務に従事。2016年より本社顧客戦略部にてCRM戦略策定、2018年より現在所属する市場接点開発部にてPOLAの魅力をリアルなブランド体験を通して多くの方に知って頂くためのイベントの企画運営を担当。

齋藤クリフ悠 (さいとう くりふ ゆう)

1987年 イギリスブリストル出身。PAVILIONサービスマネージャー。法政大学大学院建築学専攻卒の経歴を持ちながら、幼い頃から働きたかった飲食店での勤務を決意。大学の時より好きだったアートの展示などによく足を運んでいたある日、PAVILIONの前をオープン2日前に通りがかる。この出会いでスマイルズが運営することを知り、転職を決意し現在に至る。



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