CINRA.NET主催『exPoP!!!!!』レポ Omoinotake、イブシネら出演

テクノやトリップホップを昇華した「音の渦」を生んだANYO

去る2月27日、音楽アプリ「Eggs」とカルチャーメディア「CINRA.NET」の共同主催による無料音楽イベント『exPoP!!!!! volume130』が、渋谷のライブハウス「TSUTAYA O-nest」にて開催された。

この日のトップバッターは大阪を拠点にする4ピースバンド、ANYO。メンバーが登場しボーカルの4hoが軽く挨拶をするやいなや、一気に、フロアは音の渦のなかへ。テクノやトリップホップをも昇華している一筋縄ではいかないサウンド。生ドラムと電子パッドを巧みに操る色彩豊かなドラムを軸に、それぞれの楽器が有機的に感応し合い、繊細さと大胆さを瞬間的に横断するアンサンブルを響かせる。楽器隊のアンサンブルに身を委ねるようにステージ中央で踊り、歌う4hoの存在感も力強い。激しくも冷静な演奏から繰り出されるダンサブルかつサイケデリックな音像に、深く深く飲み込まれた。

ANYO『near your ear.』を聴く(Apple Musicはこちら

ANYO(あんよ)<br>2007年大阪にて結成。2011年6月現体制に。2013年9月に裸体とのSplit CDをIMPULSE RECORDSからリリース。2018年7月、『FUJIROCK FESTIVAL'18』“ROOKIE A GO-GO”出演。2020年2月に4曲収録EP『near your ear.』をリリース。3月より東京・大阪・名古屋の3か所のツアーを開催する予定。近年はテクノ、ブリストルサウンド、トリップホップの要素を楽曲に取り入れつつも、それだけには囚われない楽曲とライブパフォーマンスを信条とする。
ANYO(あんよ)
2007年大阪にて結成。2011年6月現体制に。2013年9月に裸体とのSplit CDをIMPULSE RECORDSからリリース。2018年7月、『FUJIROCK FESTIVAL'18』“ROOKIE A GO-GO”出演。2020年2月に4曲収録EP『near your ear.』をリリース。3月より東京・大阪・名古屋の3か所のツアーを開催する予定。近年はテクノ、ブリストルサウンド、トリップホップの要素を楽曲に取り入れつつも、それだけには囚われない楽曲とライブパフォーマンスを信条とする。

クレナズム、台湾でツアー&フェス出演を終えた直後に渋谷へ到着

2番手に登場したのは、福岡を拠点に活動する4ピースバンド、クレナズム。シューゲイザーやドリームポップからの影響を多分に昇華したサウンドを鳴らす彼らは、しかしそれだけには留まらない独自の詩情とポップさがまた魅力だ。その根幹を成すのは、ボーカル・萌映の、聴き手の胸に真っ直ぐ飛び込んでくるような芯のある歌声。饒舌なリズム隊(ベースは多弦のようだ)と、シューゲイザー的なアプローチだけでなく、歌にリリカルに寄り添いもするギター、そんな柔軟なアンサンブルに支えられながら、その純粋さすら感じさせる歌声が遠くへ、遠くへと響き渡ろうとするさまが、とても感動的だった。

クレナズム『In your fragrance』を聴く(Apple Musicはこちら

クレナズム
2018年5月より活動を開始した4人組ロックバンド。大学の同級生で結成。シューゲイザーやドリームポップに影響を受けたサウンドで福岡市を拠点に活動中。活動開始1か月で『りんご音楽祭2018』に出演。『TOKYO CALLING』『MINAMI WHEEL』『SAKAE SP-RING』等全国の主要サーキットイベントにも軒並み出演し、さらに『JFL presents FOR THE NEXT』にも選出。2019年12月18日に、2ndミニアルバム『In your fragrance』をリリース。

時代を超えて継がれる黄金律をロマンチックに鳴らしたevening cinema

3番手に登場したのは、本イベントには2度目の登場となったevening cinema。ニューミュージック、シティポップ、渋谷系、J-POP……そんな日本の大衆音楽の黄金律の系譜を現代的なアプローチで昇華する彼らは、その音楽のなかに批評性と快楽性がどちらも濃密に詰め込まれているところが素晴らしい。演奏では同期も多分に駆使するが、筋力の高いバンドアンサンブルが、生演奏ゆえの迫力をダイレクトにフロアに伝えてみせる。ボーカル・原田夏樹の、繊細さと熱っぽさを兼ね備えた佇まいも魅力的だ。熱狂的なステージングでフロアを盛り上げた彼ら、「今年はできるだけ楽曲をリリースし、活発に動きたい」とMCでは語っていたので、今年は音源にも期待したいところ。

evening cinema『CONFESSION』を聴く(Apple Musicはこちら

昼から王将で飲んできたYONA YONA WEEKENDERSは、聴き手の何気ない日常にも色を付ける

4番手に登場したのは、YONA YONA WEEKENDERS。高橋遼(Key)と西恵利香(Cho)をサポートに迎えた6人編成で登場した彼らが奏でるのは、「夜」と「酒」が似合う穏やかでムーディーなファンキーミュージック。この日は、ボーカルの「磯野くん」が「僕は30歳なんですが、今日は有給をとってきました。昼間から『王将』という居酒屋で飲んでいまして……」と身の上を曝け出すようなMCをしていたが、そんな彼の人柄、そして生活と音楽を自然と結び付けてきた年輪と感性が、バンドの音楽的な魅力にもつながっているのだろう。ささやかに、なだらかに、日常のなかに非日常をもたらすような、その無理のないエスケーピズムがとても心地いい。聴き手に気合いや覚悟を求めずとも、ふっと目の前の景色に魔法をかけてしまうような自然で洗練された、上質なポップスが響いていた。

YONA YONA WEEKENDERS『夜とアルバム』を聴く(Apple Musicはこちら

YONA YONA WEEKENDERS(よな よな うぃーくえんだーず)
磯野くん(Vo)、キイチ(Gt)、シンゴ(Ba)、小原“Beatsoldier”壮史(Ba)の4人で結成されたメロコア・パンク出身の4人組バンド。Vo.磯野くんの表現力豊かな歌声と骨のあるバンドサウンド、長きにわたってアンダーグラウンドなシーンの最前線で活躍した彼らが作りだすステージは必見。2019年11月20日に初の全国流通盤1st EP『夜とアルバム』リリース、それに伴い12月22日には表参道WALL&WALLにてゲストに奇妙礼太郎を招きリリースパーティの開催しSOLD OUT。

フロアの期待が最高潮だったOmoinotake、アンコールが終わるまで大きな歓声が上がり続けた

この日のトリを飾ったのは、島根から上京し、現在は東京を拠点に活動する3ピースバンド、Omoinotake。サポートのサックスを加えた4人編成で登場した彼らは、この日唯一のギターレスバンドだったのだが、音圧などの不足は一切なし。むしろ、彼らがこの日一番のダイナミズムを放っていたといっていい。その要因となっているのは、藤井レオ(Key,Vo)の圧倒的な歌声とメロディの素晴らしさ、そして、それらを見事に活かす細部までこだわられたバンドアンサンブル。中盤に披露された“モラトリアム”などは特に、バンドの持つスケールの大きさを見事に体現する演奏だった。ハンドクラップやシンガロングでフロアと感応し合う場面もあり、30分のステージのなかで、普遍的なポップスを奏でるバンドとしての表現の幅とポテンシャルの高さを見事に見せつけた。きっとこの先、より大きな舞台で、彼らの姿を目にすることになるのだろう。

Omoinotake『モラトリアム』を聴く(Apple Musicはこちら

Omoinotake(おもいのたけ)
島根県出身、藤井レオ(Key,Vo)、福島智朗(エモアキ / Bass,Cho)、冨田洋之進(ドラゲ / Dr,Cho)からなるギターレス、ピアノトリオバンド。中学からの同級生だった彼らが2012年東京で結成。渋谷を中心に活動、ライブを重ね、その人気と実力を形成してきた。特に渋谷のストリートライブではその集客が話題となり、メディアでも取り上げられる。2020年2月19日、3rdミニアルバム『モラトリアム』をリリース。5月には『Omoinotake「モラトリアム」Release One Man Tour』を開催する。

5組それぞれ、様々なアプローチで「バンド」という表現形態に向かうアーティストたちが集まった、この日の『exPoP!!!!!』。人と人とが鳴らす音楽、その繊細さとダイナミズムをこれでもかと堪能できた夜だった。人が集まり、音楽が生まれ、そこにまた人が集まる……そんな幸福な光景が、様々な色彩で花開いていた。この幸福が当たり前ではないとわかっているからこそ、愛おしいと思った。

イベント情報
『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume130』

2020年2月27日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest

出演:
ANYO
evening cinema
Omoinotake
クレナズム
YONA YONA WEEKENDERS

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume131』

2020年3月26日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest

出演:
城戸あき子
miida
and more

料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール
ANYO
ANYO (あんよ)

2007年大阪にて結成。2011年6月現体制に。2013年9月に裸体とのSplit CDをIMPULSE RECORDSからリリース。2018年元旦、6曲入りEP『In My Book』をネットで先行配信開始。同年4月、『In My Book』フィジカルでの販売開始。同年7月、『FUJIROCK FESTIVAL'18』“ROOKIE A GO-GO”出演。2019年元旦、2曲入り『singke[FACT]』を配信限定にてリリース。2020年2月に4曲収録EP『near your ear.』をリリース。東京・大阪・名古屋の3か所でツアーを開催予定。近年はテクノ、ブリストル・サウンド、トリップ・ホップの要素を楽曲に取り入れつつも、それだけには囚われない楽曲とライブパフォーマンスを信条とする。

evening cinema (いぶにんぐ しねま)

ボーカル兼コンポーザーの原田夏樹を中心に、大学在学中の2015年8月に結成。70〜80年代ニューミュージック・シティポップなどを、90年代J-POP的なフィルターを通して再構築したサウンドが特徴。敬愛する岡村靖幸や小沢健二に対するオマージュもサウンドの随所に散りばめられている。2016年1月に自主盤CD『jetcoaster e.p.』をリリース。同年7月、1stミニアルバム『Almost Blue』でLUCK by Ano(t)raksよりデビュー。2020年よりAno(t)raksからのリリースが始まる。

Omoinotake (おもいのたけ)

島根県出身、藤井レオ(Key,Vo)、福島智朗(エモアキ / Bass,Cho)、冨田洋之進(ドラゲ / Dr,Cho)からなるギターレス、ピアノ・トリオバンド。 中学からの同級生だった彼らが2012年東京で結成。渋谷を中心に活動、ライブを重ね、その人気と実力を形成してきた。特に渋谷のストリートライブではその集客が話題となり、メディアでも取り上げられる。ファンの要望が高いストリートライブは今では実施困難に。 インディーリリースながら2017年1stフルアルバム『So far』、1stミニアルバム『beside』がスマッシュヒット。さらに2017年11月、Shibuya Milkywayで開催された『beside』ツアーファイナルワンマンライブは即ソールドアウトを記録。その音楽性に注目され、早くから日本テレビ『バズリズム』などの地上波での出演など、テレビ、FMなどでプッシュされてきた。ソウル、R&B、ヒップホップなどブラックミュージックの系譜からインスパイアされ生み出す彼らのセンス溢れるサウンドメイク、そして繊細ながらも情感を揺さぶる藤井怜央の魅力的なボーカルが、今の時代のカルチャーと相まって、今後最も活躍が期待されるバンドである。2020年2月19日、3rdミニアルバム『モラトリアム』をリリース。5月には『Omoinotake「モラトリアム」Release One Man Tour』を開催する。

クレナズム

2018年5月より活動を開始した4人組ロックバンド、クレナズム。大学の同級生で結成。シューゲイザーやドリームポップに影響を受けたサウンドで福岡市を拠点に活動中。一度聴いたら脳裏に焼きつき、さまざまな情景を浮かばせる楽曲と言葉の強さがある。甘くさわやかな歌声とギターノイズがそれらを一層鮮やかに彩り、淡い世界へと誘う。ライブを重ねる度に急速に進化を遂げ活動開始1か月で『りんご音楽祭2018』に出演。2018年8月には『長崎Sky Jamboree前夜祭』にも出演。『TOKYO CALLING』『MINAMI WHEEL』『SAKAE SP-RING』等全国の主要サーキット・イベントにも軒並み出演し、さらに早耳のFMを中心に評価も高まり、札幌NORTHWAVE、東京J-WAVE、名古屋ZIP-FM、大阪FM802、福岡CROSS FMという全国のFM5局でネクストブレイクアーティストを紹介する『JFL presents FOR THE NEXT』にも選出。さらに“いつかの今頃”がTikTokで約600投稿を記録しティーンエージャーを中心にその時期ストリーミングが大きく進捗するなど、各所でクレナズムが話題に。2019年12月18日に、2ndミニアルバム『In your fragrance』をリリース。

YONA YONA WEEKENDERS (よな よな うぃーくえんだーず)

磯野くん(Vo)、キイチ(Gt)、シンゴ(Ba)、小原“Beatsoldier”壮史(Ba)の4人で結成されたメロコア・パンク出身の4人組バンド。Vo.磯野くんの表現力豊かな歌声と骨のあるバンドサウンド、長きにわたってアンダーグラウンドなシーンの最前線で活躍した彼らが作りだすステージは必見。2018年9月、自主制作盤『誰もいないsea』を会場限定で発売。同月、下北沢ERAにて行われたリリースパーティーでは、深夜イベントながら500杯近くの酒が出るという異例の事態に。2019年4月、レコードストアデイ2019にて1st 7inchシングル『誰もいないsea / 明るい未来』を全国の加盟店にて発売しSOLD OUT。その後アルバム楽曲配信を解禁し、Spotify、Apple Musicなどでは多数プレイリストに選出、再生数は3か月で13万回を突破。メディアや著名人からもピックアップされ自主制作盤ながら各所でO.A.され、「ツマミいらずのグッドミュージック」に中毒者が続出中。2019年11月20日に初の全国流通盤1st EP『夜とアルバム』リリース、それに伴い12月22日には表参道WALL&WALLにてゲストに奇妙礼太郎を招きリリースパーティの開催しSOLD OUT。



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