MONKEY MAJIK、活動18年から見えてきた日本愛を歌う

「日本を見つめ直す」ことは、MONKEY MAJIKのアイデンティティーそのもの

仙台を拠点に活動する4人組ロックバンド・MONKEY MAJIKが、3月21日に11枚目のアルバム『enigma』をリリースする。

タイトルの「enigma(エニグマ)」は、西洋語で「謎、不可解なもの」という意味を持つ。2017年4月より『BLUE MOON presents MONKEY MAJIK JAPAN TOUR 2017 -LIVE HOUSE原点回帰-』と銘打った、バンドにとって初の47都道府県ツアーを行ってきた彼らが、そこで感じた「日本のエニグマ」をテーマにしたのが本作だという。

MONKEY MAJIK

カナダ人と日本人のハイブリッドバンドでありながら、活動拠点である仙台、そして日本に対して強い「地元愛」を持つ彼らにとって、「日本を見つめる」という行為は、バンドのアイデンティティーそのものといえる。MONKEY MAJIKのこれまでの歩みを振り返ると、本作は昨年のツアーで得たものだけでなく、彼らが18年間日本を見つめてきて知った「謎、不可解なもの」が詰まっている、いわば「集大成」のような内容であることがわかる。

MONKEY MAJIK『enigma』通常盤ジャケット写真
MONKEY MAJIK『enigma』通常盤ジャケット写真(Amazonで見る

ゴダイゴへのオマージュを盛り込んだ“Around The World”によってできたオリジナリティー

MONKEY MAJIKの歴史は、1990年代の終わり、外国語指導助手として来日したメイナード(Gt,Vo)が、青森で結成した多国籍バンドから始まっている。その後、弟のブレイズ(Vo, Gt)をカナダから呼び寄せ、仙台に移住してTAXと出会い、最後にディック(Ba)を迎えて今の4人編成となった。

活動初期は、WeezerやGreen Day、Oasisなど洋楽のエッセンスをちりばめた疾走感溢れるバンドサウンドを奏でていたが、2006年にテレビドラマ『西遊記』(フジテレビ系列)の主題歌“Around The World”で、バンド名の由来にもなったゴダイゴへのオマージュをふんだんに盛り込み大ヒットを記録する。ちなみにゴダイゴもそのおよそ30年前、堺正章主演のドラマ『西遊記』で主題歌を担当した。

「最初“Around The World”は、もうちょっと生っぽかったというか、アコギだけのシンプルな曲だったんですよ。そこにメイナードが、あの印象的なシンセフレーズを加えたらグッと良くなった。それまでのMONKEY MAJIKにはなかったアプローチでしたね」(ブレイズ)
「『西遊記』の主題歌ということもあって、やっぱり僕らのバンド名の由来にもなった、ゴダイゴの楽曲“モンキー・マジック”を意識しましたね。中国の話だから、ピッチベンド(CINRA.NET編集部注:音程を変更させる機能)とか黒鍵を使えばそれっぽくなるかな、とか(笑)。色々試していくうちに、ああいう仕上がりになりました。打ち込みのリズムや、シンセによるストリングスサウンドも、ディスコっぽい雰囲気をうまく出せたと思います。チャイニーズディスコっていうか」(メイナード)

以前、筆者が彼らにインタビューした時、この曲について二人はそう語っていた(『Tune Gate』インタビューより)。生楽器を基調としつつも、そこに打ち込みの要素を加えたり、細かいエディットやギミックを施したりすることによって、オーガニックな中にもどこか人工的な香りのするサウンドプロダクションを構築。さらに、カナダ人兄弟の歌うカタコト日本語と英語が混じり合った、ツインボーカルによる独特の響きは、MONKEY MAJIKのオリジナリティーとして、以降の作品にも引き継がれていくことになる。

東日本大震災以降変化した、音楽や地域との向き合い方

2007年、津軽三味線の兄弟デュオである吉田兄弟とのコラボ曲“Change”をリリース。これを境にMONKEY MAJIKは、m-floや小田和正、土屋アンナ、SEAMOら様々なアーティストとの共演や、SMAP、藤井フミヤ、山下智久、Every Little Thingなどへの楽曲提供を積極的に行うようになり、その音楽性をさらに広げていく。中でもSEAMOとは、音楽以外のアティチュードの部分で通じ合うものがあったという。

「“卒業、そして未来へ。”(CINRA.NET編集部注:2007年リリース)で共演したレーベルメイトのSEAMOは、名古屋を拠点に活動していて。地元を愛する姿勢が自分たちと似てるなと思ったんです」(メイナード)(『Tune Gate』インタビューより)

そう、MONKEY MAJIKの活動を語る上で、彼らの持つ「地元愛」を欠かすことはできない。特に東日本大震災以降は、音楽への向き合い方そのものも大きく変化したようだ。日本語の歌詞は、主にタックスが担当しているが、そこには被災者への、ひいては日本人へのエールが込められた前向きなものが多くなった。

さらに、例えば小田和正とのコラボ曲“A Christmas Song”では、宮城県仙台三桜高等学校の合唱団の卒業生たちを起用したり、“Walk with me”(2015年リリース、9枚目のアルバム『Colour by Number』収録曲)では、仙台市在住のゴスペルシンガー、ジョン・ルーカス率いる「JL Gospel Family」をフィーチャーしたりするなど、地元との繋がりを常に大切にしているのである。

日本に対するユニークな視点が作る、唯一無二で不可思議な音楽性

そんな彼らは、『enigma』を作るにあたって、「わびさび」や、伝統とテクノロジーの融合など、日本ならではの文化に改めて向き合った。

今作のベースとなるのは“Around The World”で確立したサウンドだが、例えば冒頭曲“Tokyo Lights”の洗礼されたエレクトロ路線や、先行シングル“A.I. am Human”のファンクビートなど、前作『southview』(2016年リリース)で大々的に取り入れたダンスミュージックの要素を今作にも入り込んでいる。

その一方で、キム・ワイルド(1960年生まれ、イギリスの歌手)による“You Keep Me Hangin' On”(1986年)を思わせる、ケレン味たっぷりのユーロビート風アレンジが印象的な“Seiko”や(タイトルもまた、昭和を象徴する時計メーカーと人気アイドルの名前をかけたものだろう)、哀愁たっぷりのメロディーでアルバムの幕を閉じる“のぞみ”などは、昭和を思わせ郷愁を誘う。

さらに、琴の音色をフィーチャーした“Fall Apart”や、和太鼓のアンサンブルが印象的な“Fight This Storm”など、おそらく吉田兄弟とのコラボなどで目覚めた、日本伝統楽器への憧憬も込められているのだ。

こうした日本に対するユニークな視点は、彼らが日本人とカナダ人の混成バンドだからこそ、持ち得たものではないだろうか。そして、その視点の先にある深い愛情は、地元で震災に遭い、復興活動に深くコミットした彼らだからこそ育まれたものであるに違いない。

ゴダイゴへの憧れをカタチにした“Around The World”から12年。彼らならではの発見や出会いを経た結果、他のどのバンドとも比べようのない不可思議な音楽性を獲得したMONKEY MAJIK。「日本のエニグマ」を表現しようとしている、彼らこそがエニグマ的存在なのだ。

リリース情報
MONKEY MAJIK
『enigma』(CD+DVD)

2018年3月21日(水・祝)発売
価格:5,076円(税込)
AVCH-78108/B

[CD]
1. Tokyo lights
2. 40 days
3. A.I.am Human
4. Seiko
5. Is this love?
6. Venom
7. Fall Apart
8. Ordinary Man
9. Fight This Storm
10. ray of Light
11. のぞみ
[DVD]
MONKEY MAJIK “原点回帰” LIVE FILM

MONKEY MAJIK
『enigma』(CD+Blu-ray)

2018年3月21日(水・祝)発売
価格:5,400円(税込)
品番:AVCH-78109/B

[CD]
1. Tokyo lights
2. 40 days
3. A.I.am Human
4. Seiko
5. Is this love?
6. Venom
7. Fall Apart
8. Ordinary Man
9. Fight This Storm
10. ray of Light
11. のぞみ
[Blu-ray]
MONKEY MAJIK “原点回帰” LIVE FILM

MONKEY MAJIK
『enigma』(CD)

2018年3月21日(水・祝)発売
価格:3,240円(税込)
AVCH-78110

1. Tokyo lights
2. 40 days
3. A.I.am Human
4. Seiko
5. Is this love?
6. Venom
7. Fall Apart
8. Ordinary Man
9. Fight This Storm
10. ray of Light
11. のぞみ

イベント情報
『MONKEY MAJIK IN TAIPEI 2018』

2018年4月7日(土)
会場:台北 Legacy Taipei

『MONKEY MAJIK IN SHANGHAI 2018』

2018年4月14日(土)
会場:中国 上海 万代南夢宮上海文化中心 / 梦想剧场 (BANDAI NAMCO SHANGHAI BASE / Dream Hall)

『GREENROOM FESTIVAL '18』

5月26日(土)・27日(日)
※MONKEY MAJIKの出演は5月26日(土)
会場:神奈川 横浜赤レンガ地区野外特設会場

プロフィール
MONKEY MAJIK
MONKEY MAJIK (もんきー まじっく)

カナダ人兄弟Maynard -メイナード-(Vo&G)、Blaise -ブレイズ-(Vo&Gt)のフロントマンと日本人のリズム隊TAX -タックス-(Dr)、DICK -ディック-(Ba)からなる仙台在住の4ピースハイブリッドロック・バンド。



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