特集 PR

ドレイク、サニーデイ、callmeらの「プレイリスト」を使う新表現

ドレイク、サニーデイ、callmeらの「プレイリスト」を使う新表現

callme『Please callme! -20152018-』
テキスト
柴那典
編集:矢島由佳子
2018/07/05

ストリーミングの普及によって起きる「マーケティングの変化」よりも大事なことがある

Spotify、Apple Music、LINE MUSICなど、日本でもいよいよストリーミングが普及のフェーズに入りつつある音楽シーン。そこで起こっているのは、単なる音楽業界のビジネスモデルの変化だけではない。音楽の届け方やパッケージングのあり方が再構築されてきている。「プレイリスト文化」の勃興が起こっている。

特にSpotifyでは、数多くのプレイリストが公開され、次々と更新されている。よくあるジャンルやカテゴリーに基づくセレクトだけではない。「集中したいとき」や「ドライブしているとき」などリスナーの状況に合わせたもの。アルゴリズムを用い、ユーザーの好みの楽曲をリコメンドするもの。メディアと連携し、チェックすべき新曲を紹介したり特集ごとにセレクトしたもの。もしくは様々なユーザーが自発的に作っているオススメ曲の一覧。それら全てがリスナーにとっての新しい音楽との出会いのきっかけになる。多くの識者が「曲を広めていくためには、プレイリストがこれまで以上に大事な役割を担う」と声を揃える。

でも、それはあくまで、マーケティングやプロモーションの話。言ってしまえば、そこまで大事なことじゃない。もっと重要なのは、それによってアーティストの表現がどう変わっていくのか。それによって、音楽自体の内実にどんな可能性が生まれるか、だ。

ドレイクが昨年発表した、重要な試みを振り返る

よく言われるように、誰もが好きな曲をピックアップして並べることができるプレイリスト文化の勃興によって「アルバムというフォーマットは解体され、意味を失う」のだろうか。

筆者は、その答えはノーだと思っている。むしろ、今起こっているのは「アルバムの再定義」だ。アーティストにとっても、自分自身の楽曲集を「アルバム」として届けるのか、「プレイリスト」として届けるのか、その選択が可能になっている。新しい音楽の届け方の可能性が生まれている。

たとえばドレイクは2017年3月に新作『More Life』を「アルバム」ではなく「プレイリスト」として発表した。プロデューサーのNineteen85は「Drakeは常に周りに目を向けているんだ。常に周りが音楽的に何をやっているかをアンテナを張っていて、新しい音楽やアーティストを世界に紹介する気持ちが強いんだ。そういう意味で『プレイリスト』と呼んでいる」(Playatuner記事より)と説明した。

おそらく当時は「アルバムじゃなくてプレイリスト」と言われても「?」と思う人がほとんどだっただろう。筆者もそうだった。しかしそこから1年と少しが経ち、Nineteen85が語っていた内容が少しずつ腑に落ちるようになってきている。ドレイクが意図した「アルバム」と「プレイリスト」の区別、両者の違いに少しずつリアリティが生まれてきている。

ドレイク『More Life』(Apple Musicはこちらから

ドレイクの意図した「プレイリスト」とは、Nineteen85が言うように「新しい音楽やアーティストを世に紹介するためにコンパイルした」ものだ。他者を紹介し、ポップミュージックの文脈を提示する。そこに自分の音楽を交わらせる。『More Life』はジャンルも地域もバラバラな音楽性の曲が集まり、多くの気鋭のアーティストがフィーチャリングされ、アフリカなど様々な地域で起こっている新しいポップミュージックの潮流が参照されていた。

これに対しての「アルバム」とは「自分の作品性を構築し提示するためにコンパイルした」もの。すなわち、楽曲の連なりによってアーティスト自身が発信するひとつのまとまった世界観やテーマ、ストーリーを表現した、従来だったら「コンセプトアルバム」と言われていた類のものだ。そこにおいては曲数の多さや分数の長さはあまり関係しない。カニエ・ウェストが新作『ye』を7曲入りの「アルバム」として発表したのもその象徴と言っていいだろう。つまり、そこにはクローズドな「アルバム」とオープンな「プレイリスト」という対称性がある。

Page 1
  • 1
  • 2
次へ

リリース情報

『Please callme! -20152018-』
callme
『Please callme! -20152018-』

2018年7月4日(水)配信
※イベント会場限定盤は2018年7月18日(水)より発売
1. Confession
2. In my dream
3. I’m alone
4. Way I am
5. Hello No Buddy
6. Precious
7. Sing along
8. My affection
9. All I need
10. It’s own way
11. Hello No Buddy(Aiobahn remix)
12. I’m alone(有機酸 remix)
13. In my dream(Chocoholic remix)

  • AppleMusicで聴く
  • プロフィール

    callme
    callme(こーるみー)

    RUUNA、MIMORI、KOUMIの3人組ガールズポップユニット。作詞作曲、ダンス振付、英語など、それぞれの得意分野を活かし楽曲やパフォーマンスをセルフプロデュースするクリエイティブユニットとして活躍。リーダーのRUUNA、ダンスを得意とするKOUMI、作曲を得意とするMIMORIの3人が一体となったクオリティーの高いダンスと、鬼才トラックメーカーRumb(残響レコードからアルバムをリリース)とコラボレーションする楽曲の創造性溢れるパフォーマンスが魅力。海外からの注目も高く、2018年7月8日にはフランスで行われる『Japan Expo』への出演が決定している。

    SPECIAL PR 特集

    もっと見る

    BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

    もっと見る

    PICKUP VIDEO 動画これだけは

    PUNPEE“タイムマシーンにのって”

    あのPUNPEEがまたやった!!! 昨年発売のアルバム『MODERN TIMES』から初のMVとなる“タイムマシーンにのって”が公開。1度見ただけでも存分に楽しめる作品だけれど、この情報量の多さ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を思わせる時計台のロゴがSEIKOならぬSAYHOになっていたり、車体に『AKIRA』の成田山ステッカーが貼られていたり……ピザなど頼んで細部まで何時間も見ていたい。(井戸沼)

    1. 小出祐介が問題提起、日本語ポップスにおける「歌詞の曖昧さ」 1

      小出祐介が問題提起、日本語ポップスにおける「歌詞の曖昧さ」

    2. 『紅白歌合戦』会見にあいみょん、DAOKO、YOSHIKI、キンプリ、刀剣男子ら 2

      『紅白歌合戦』会見にあいみょん、DAOKO、YOSHIKI、キンプリ、刀剣男子ら

    3. BiSHが6人全員で振り返る、この夏出演した17本もの音楽フェス 3

      BiSHが6人全員で振り返る、この夏出演した17本もの音楽フェス

    4. Hi-STANDARD元スタッフによる『SOUNDS LIKE SHIT』レビュー 4

      Hi-STANDARD元スタッフによる『SOUNDS LIKE SHIT』レビュー

    5. FINAL SPANK HAPPYが示す「新男女関係」 結成半年を振り返る 5

      FINAL SPANK HAPPYが示す「新男女関係」 結成半年を振り返る

    6. 星野源『POP VIRUS』特典映像は全11曲スタジオライブ&ニセ明の創作密着 6

      星野源『POP VIRUS』特典映像は全11曲スタジオライブ&ニセ明の創作密着

    7. 遠藤ミチロウが膵臓がんを公表、現在は自宅療養中 7

      遠藤ミチロウが膵臓がんを公表、現在は自宅療養中

    8. RADWIMPS新ALにTaka、あいみょんら 小松菜奈&神尾楓珠出演の新曲PV公開 8

      RADWIMPS新ALにTaka、あいみょんら 小松菜奈&神尾楓珠出演の新曲PV公開

    9. 『情熱大陸』で諫山創に密着 『進撃の巨人』ラストネームに挑む様子を映す 9

      『情熱大陸』で諫山創に密着 『進撃の巨人』ラストネームに挑む様子を映す

    10. 土屋太鳳×北村匠海の「TAOTAK」が『春待つ僕ら』主題歌担当、PV公開 10

      土屋太鳳×北村匠海の「TAOTAK」が『春待つ僕ら』主題歌担当、PV公開