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ホテルの部屋がギャラリーに? アートフェア京都レポート

ホテルの部屋がギャラリーに? アートフェア京都レポート

田島太陽
撮影:?アートフェア京都実行委員会 / ホテルモントレ京都 2011
2011/06/03

昨年から「100年に1度の不況」と言われていた。その矢先「100年に1度の天災」がやってきた。あらゆる逆境の中で今、日本が活気を取り戻す契機はどこにあるのか。アートは、その答えのひとつになるかもしれない。5月20日から22日に開催されたアートフェア京都の空気を肌で感じ、率直にそう思った。

ホテルの部屋でアートを買う

2回目となる今回は、昨年に引き続きホテルモントレ京都の客室をギャラリーにして開催された。前回はワンフロアを貸し切って展示を行ったが、今年は4階・5階のすべてを使用し、2倍の規模にボリュームアップ。ホテル型としては日本最大のアートフェアとなった。全国から気鋭のギャラリーが60以上集結し、開催前から大きな話題を呼んでいた。

このフェアは、neutron、imura art gallery、mori yu galleryの3ギャラリーが協力して運営する。neutronの代表で、実行委員会を取り仕切る石橋圭吾氏に話を聞くと、イベントとしての成功だけを目指すのではなく「アートを街に根付かせること」を理念にしていると語ってくれた。「京都には古くから伝統工芸の産業があり、新しいものを生み出していく文化もあるため、芸術が根付きやすい土壌があります。国際的にも観光都市として知られていますし、歴史的古都というだけではなく現代アートの街でもあるというブランドが定着すれば、経済的に還元することもできる。京都にはそうした大きな可能性があります。アートフェアは、10年かけてその夢を達成するための一環だと考えています」

ホテルの部屋がギャラリーに? アートフェア京都レポート
石橋圭吾

また、東京で行うアートイベントとの違いを伺ってみると。「東京にはなんでもありますし、イベントをすれば人も集まる。でもそれを地元の人々が注目しているか、アートに関心がない人も呼び込めているかというと疑問です。イベントが終われば忘れられてしまうような一時的な盛り上がりにも意味はあるかもしれませんが、僕たちが目指すのはそれじゃない。京都は人々のネットワークと繋がりが強いし、開催し続けることできっと根付くと信じています。市街地のホテルで開催したのも、多くの人が訪れやすくしたいという工夫のひとつです」

アイデアに満ちた展示空間が楽しめる

取材したのは開催初日である5月20日の金曜日。平日にもかかわらず、オープンと同時にホテルの2フロアはすぐ人だかりになった。人気ギャラリーはなかなか部屋に入れないほどの盛況ぶりで、来場者も学生らしき若者から年配の夫婦などさまざまだった。

入場料は2,000円に設定されているが、5,000円以上の作品を購入すると2,000円が割引されるというデポジットシステムが採用されていることも特徴的。ここにもアートを根付かせる=「見るだけで終わらない」というコンセプトが活かされている。来場者は「せっかく割引制度があるのだから、どれか買って帰ろう」という意識が働くのか、真剣な表情で作品と価格を凝視する姿が多く見られた。購入済みを示す赤いシールが貼られた作品が、初日にかかわらず多く見られたのも印象的だった。

特に人だかりができていたのが、奈良美智や村上隆など国際的にも著名な作家たちの展覧会を多数手がけてきた小山登美夫ギャラリー。担当の方は、「通常の大規模アートフェアよりも、作品との距離感がすごく近いのがおもしろいですよね。ホテルの部屋なので、実際に自分の家で飾ったらどう見えるかもイメージしやすい。来場者にとっては理想的な展示環境だと思います」とフェアの印象を話してくれた。

ホテルの部屋がギャラリーに? アートフェア京都レポート<br>小山登美夫ギャラリー
小山登美夫ギャラリー

ホテルの部屋がギャラリーに? アートフェア京都レポート
neutron
photo:Nobutada Omote

また、neutronは非日常的な雰囲気を持つ金理有の陶芸や、酒井龍一の日本画などを展示。そこがホテルであることを忘れさせるような幻想的な展示スペースを演出し、来場者の注目を集めていた。


「関西では最近立て続けにアートフェアが始まっているので、東京とは違う勢いを感じています。関東以外にもマーケットを広げたいと思って参加しましたが、予想以上の来場者ですね」と語るのは、MISA SHIN GALLERY。美術家の小沢剛氏による、大型の写真作品をベッドの上に置くという大胆な展示を行っていた。

ホテルの部屋がギャラリーに? アートフェア京都レポート<br>photo:Nobutada Omote
MISA SHIN GALLERY photo:Nobutada Omote

ホテルの部屋がギャラリーに? アートフェア京都レポート
Gallery OUT of PLACE

昨年に続いて参加したGallery OUT of PLACEは、所属作家の関智生による個展形式での参加。昨年の経験をふまえ、狭い空間で効率的に作品を見せる工夫だ。「前回は複数名の作品を展示しましたが、スペースの問題でボリューム感が出せなかったのが反省点でした。そこで今年は、今イチオシの関のみに絞ると決め、彼の作風に合わせて暗い色の部屋を選びました」。


限られたスペースでどう展示するのかは、各ギャラリーの腕の見せどころ。部屋によってはユニットバスや窓まで使用したり、ベッドの配置を変えるなどさまざまだった。アイデアに満ちた展示空間を体感できるのも、ホテル型フェアの楽しみかたのひとつ。

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GALLERY APA photo:Yohei Sasakura

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