特集 PR

BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2010

BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2010

金子厚武
2010/12/29

「音楽による異種格闘技戦」をコンセプトに掲げた「BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE(以下、BRM)」。昨年の六本木SUPER DELUXEから、今年は何と国立科学博物館に会場を移し、ライブハウスとも、クラブとも、ホールとも違う、異様な雰囲気の中で、世代もジャンルも異なる3組のアーティストによる即興対決が行なわれた。結論から言ってしまうと、BRMとは誰もが一様に楽しめるエンタテイメントというわけではない。試合終了と同時に拍手喝采を送る者もいれば、「今のは何だったんだろう…」と首をかしげる者もいる。さらに言えば、その試合の最中にアーティスト自身の困惑が感じられる瞬間も時折あった(何せ打ち合わせ一切なしのぶっつけ勝負なのだから)。そして、言うまでもなく、それこそがBRMの最大の魅力なのである。異なる領域のアーティストとの対決によって引き出されるそのアーティストの表現の強度を堪能することはもちろん、アーティスト自身も、オーディエンスも、主催者も、その場で何が起こるのかを誰一人把握できていないというスリリングな緊張感と、その中で訪れる背筋がゾクッとするような一瞬の交錯、BRMとはそんな空間のドキュメントなのである。

では、この日の3番勝負を順に振り返ってみよう。館内を進んだ先にまず見えてきたのは、生物の標本などに囲まれたスペースに置かれたオープンリール式のテープレコーダー。第1戦「AFRA VS Open Reel Ensemble B.R.M set(以下、ORE)」だ。まずはOREの面々が現れ、スクラッチなど視覚と聴覚に訴えるパフォーマンスを軽く披露すると、続いてAFRAが登場。徐々にビートを繰り出し始め、バトルがスタートする。人間の体から繰り出されるビートがその場でアナログのテープに録音され、その再生された音に対してさらにAFRAが別の音を繰り出すという攻防が続き、次第にどちらがどちらの音を出しているのかがわからなっていく。それはまるで「人間」と「キカイ」の境界線が薄れていくような、実に不思議な体験だった。

BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2010

BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2010


続いてフロアを移動すると、巨大な魚の骨が宙にぶら下げられたより博物館らしい雰囲気の中にドラムがセットされている。第2戦「ASA-CHANG VS 康本雅子」である。ASA-CHANG&巡礼の“影の無いヒト”に合わせた2人のバトルは、プレイヤーとダンサーという性格上セッションに近いものだったとは思うが、初めて目の前で見た康本の、普段の生活のしぐさも取り込んだ、そのダンスの枠を超えたダンスに非常に感銘を受けた。

BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2010

BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2010


再び最初のフロアに戻っての第3戦「渋谷慶一郎 VS DJ BAKU」。この日最も「VERSUS」を体現していたのがこの2人だった。まずは渋谷がラップトップでノイズを繰り出し先手を仕掛けると、BAKUが最初はスクラッチで様子を見つつ、徐々にビートを繰り出して主導権を奪おうとする。しかし、渋谷はそのビートに合わせることなくマイペースにノイズを出し続け、なかなか主導権を譲らない。するとBAKUはそのノイズに乗りつつ、隙間を縫うようにビートを繰り出し、徐々に渋谷もそのビートに応じ始め、主導権争いがヒートアップしていく。30〜40分に及ぶ白熱のバトルの末、お互いの熱量が頂点に達すると、2人は示し合わせたかのように徐々に音数を減らしていき、バトルが終了。音が消えるとお互いの健闘を讃えあって握手を交わし、そのストイックながらも熱いバトルに対して、この日1番の拍手が送られた。


BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2010

BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2010

BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2010

こうして、一夜限りの即興対決3番勝負は華々しく終了。それぞれの勝敗は、幸運にもこの場に居合わせることのできた200人のオーディエンスそれぞれの胸に刻まれた。

information

CINRA.NET > 表現者たちが本気でバトル 「BOYCOTT RHYTHM MACHINE」という試み

『BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2010』

2010年12月12日(日)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 国立近代博物館

出演:
渋谷慶一郎 vs DJ BAKU
AFRA vs Open Reel Ensemble B.R.M set
ASA-CHANG vs 康本雅子

記事の感想をお聞かせください

知らなかったテーマ、ゲストに対して、新たな発見や感動を得ることはできましたか?

得られなかった 得られた

回答を選択してください

ご協力ありがとうございました。

Page 1

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

あらかじめ決められた恋人たちへ“日々feat.アフロ”

何かを我慢することに慣れすぎて忘れてしまいそうになっている「感情」を、たった10分でこじ開けてしまう魔法のようなミュージックビデオ。現在地を確かめながらも、徐々に感情を回転させていくアフロの言葉とあら恋の音。人を傷つけるのではなく、慈しみ輝かせるためのエモーションが天井知らずの勢いで駆け上がっていった先に待ち構えている景色が、普段とは違ったものに見える。これが芸術の力だと言わんばかりに、潔く堂々と振り切っていて気持ちがいい。柴田剛監督のもと、タイコウクニヨシの写真と佐伯龍蔵の映像にも注目。(柏井)

  1. 寺山修司に憧れる父さん / 美術のトラちゃん 1

    寺山修司に憧れる父さん / 美術のトラちゃん

  2. オダギリジョー×永瀬正敏 日本のテレビドラマが抱える課題と未来 2

    オダギリジョー×永瀬正敏 日本のテレビドラマが抱える課題と未来

  3. 声優ユニット・イヤホンズが6年目の挑戦と原点回帰を語る 3

    声優ユニット・イヤホンズが6年目の挑戦と原点回帰を語る

  4. テクノポップが解放したもの 幻想の音に生きるコシミハルの半生 4

    テクノポップが解放したもの 幻想の音に生きるコシミハルの半生

  5. 記録映画『素晴らしき、きのこの世界』に窪塚洋介、豊田エリーらがコメント 5

    記録映画『素晴らしき、きのこの世界』に窪塚洋介、豊田エリーらがコメント

  6. 丹地陽子、約20年の画業の軌跡を辿る初画集『丹地陽子作品集』10月刊行 6

    丹地陽子、約20年の画業の軌跡を辿る初画集『丹地陽子作品集』10月刊行

  7. 小松菜奈が表紙の『装苑』11月号 森川葵、塩塚モエカ、伊藤万理華らも登場 7

    小松菜奈が表紙の『装苑』11月号 森川葵、塩塚モエカ、伊藤万理華らも登場

  8. 韻シストが認めてもらうまでの戦いとは?20年の軌跡を全員で語る 8

    韻シストが認めてもらうまでの戦いとは?20年の軌跡を全員で語る

  9. 『セックス・エデュケーション』S2、優しさに貫かれた学園コメディー 9

    『セックス・エデュケーション』S2、優しさに貫かれた学園コメディー

  10. 杉咲花と平野紗季子が遠野を訪問、成田凌が語りのEテレ『きみと食べたい』 10

    杉咲花と平野紗季子が遠野を訪問、成田凌が語りのEテレ『きみと食べたい』