秘密ロッカーのヒミツ大捜索

秘密ロッカーのヒミツ大捜索 第3話:これってもしや、家宅侵入!? 遂にヒミツに肉薄する

秘密ロッカーのヒミツ大捜索 第3話:これってもしや、家宅侵入!? 遂にヒミツに肉薄する -連載・コラム:CINRA.NET

CINRAからの特命を受け、謎だらけのパンクバンド「秘密ロッカー」について調査を進めてはや半年。ネット上では極端に情報が少ない彼らの尻尾を掴もうと、1stミニアルバムのプロデューサーを務めたDragon AshのHIROKI氏のもとを訪ねるところから始めたものの、「簡単に教えたらおもしろくない」という理不尽な理由により、秘密ロッカーの拠点である高円寺をひたすら歩きまわらされたのが第1回。そんな当てにならないHIROKI氏に懲りて、日芸(日本大学藝術学部)で生態音響学の研究をする川上教授に秘密ロッカーのCDを分析してもらったのが第2回。間接的な情報ながら、徐々に秘密ロッカーの「ヒミツ」が露わになってきた。そして、そろそろ直接本人たちの話が聞けないかと次なる一手を考えていた10月某日、HIROKI氏から突然「いまから事務所に来い」と呼び出しが! またしても波乱を予感させる秘密ロッカーのヒミツ捜索第3回!

秘密捜索メモ#11 秘密ロッカーは変な音が出るギターを使ってるらしい(壊れてるだけじゃないか……?)

呼び出しを受け、向かった先は都内某所にあるDragon Ashの事務所。それにしても「いまから来い」だなんて、もしやHIROKI氏に無断で川上先生に分析を依頼したのがマズかったか、もしくはこの連載でHIROKI氏を若干悪人扱いしていたことが気に入らなかったとか、あの人マジで怖そうだから、怒らせたらマグロ漁船にでも乗せられてしまいそうだ……。とにかく機嫌を損ねないように急いで行かなければ。

小雨降るなか小走りで事務所に到着し、きれいなお姉さんの案内でスタジオに連れられると、待ち構えていたHIROKI氏が開口一番。

秘密のCD、分析してもらったらしいじゃん。
タナカ

―す、すす、すいません!(あわわ、怒ってるよ!)

HIROKI

HIROKI:なに謝ってんだよ?

タナカ

―い、いい、いや、なんでもないっす!(あれ、怒ってるんじゃないのか?)

HIROKI

HIROKI:あれ、なかなかいい目の付けどころだったよ。やるじゃん。

タナカ

―あ、ああ、あざっす!(おぉー、なんか誉められた!!!!!)

HIROKI

HIROKI:今日来てもらったのは、これからタモ(森田祐介:ギター)の家に行って、2人で打ち合わせするから、ついでにタナカくんにも会わせてやろうと思ってさ。

タナカ

―おおお、マジっすか! ぜひご一緒させてください!

予想外なHIROKI氏からの提案により、ついにメンバーと直接遭遇するチャンスが降ってきたのである。はやる気持ちを抑えつつ、タクシーで都内某所にあるタモ邸へ出発。微動だにしないHIROKI氏を横目に、ひたすら無言で車に揺られること数十分。どこにでもありそうなアパートに到着した。

(ピンポ〜ン)
………。(ピンポ〜ン、ピンポ〜ン、ピピピピンポ〜ン)
………。 ―あれ、反応がないっすね? HIROKI:おかしいな。さっき、これから行くからって連絡したばっかだったんだけど……。お? 鍵開いてるじゃん。ちょっとタナカくん、中に入ってみてよ。
タナカ

―えええ! ダメですよ。不法侵入じゃないっすか!

HIROKI

HIROKI:大丈夫、大丈夫。

タナカ

―いや、ちょっとそれは……。

HIROKI:いいから入れって。
タナカ

―わわわ、わかりました!

まさかの不法侵入!? とりあえずHIROKI氏に言われるがままタモ邸に入ると……あれ? 意外と普通。正直、もっと小汚い部屋かと思っていたけど、きれいとまでは言えないまでも、すっきりとした部屋だ。そしてやっぱり部屋には誰もいないようだ。

タナカ

―HIROKIさーん、やっぱり誰もいないみたいっす。

HIROKI

HIROKI:おー、そうか。じゃあ、中に入って待ってようぜ。

タナカ

―えっ、さすがにそれはマズいですって。

HIROKI:何がマズいんだよ?
タナカ

―いや、マズくないっす、マズくないっす!

(部屋の片隅にあるギターを見つけて)このギター、ボロボロっすね。
HIROKI

HIROKI:あぁ、それね。あいつ、ライブでいつも暴れてぶつけたりしてるからな。レコーディングのときも大変だったんだよ。まあヒドい状態で、あるポイントを弾くとシタールみたいな音が出たり(笑)。このギター、1万円で買ったらしいんだよ。壊れてもまた同じ1万円のギター買ってくるだけっていう。でも、さすがにレコーディングで使うのは厳しいから、「どうする?」って言ったら、安いけど愛着はあるから修理したいと。

タナカ

―それ、直すお金で新しいギター買えますよね(笑)。

HIROKI

HIROKI:そうなんだよ。結局直すなら新しいの買ったほうがいいからって、直さなかったんだけど、あいつ新しいの買う気もなかったから、サミックっていうメーカーの人におれが連絡して、ギターを送ってもらって。

タナカ

―じゃあ、レコーディングは新しいギターで?

HIROKI

HIROKI:基本はそうなんだけど、“パラディソ”はダメなほうのギターを使ってて。すごいおもしろいコード弾いてるなと思って、「なにそのかっこいいコード、俺にも教えてよ」って言ったら、普通にメジャーコード弾いてるだけだったという。ギターが壊れてるから変な音が出てるだけで(笑)。「これじゃないと出ない音だね」って、ダメなほうのギターを使ったんだよね。

タナカ

―1万円のギターが名器に!

HIROKI

HIROKI:しかもあいつ、変なこだわりがあって。それまで赤いギター使ってたから、気を利かせておんなじような赤いヤツを送ってもらったんだけど、その赤の上から赤のスプレーを塗るの。なんの意味があるんだよ! って(笑)。なんかスプレーがちょっと垂れてる感じじゃないとダメらしく、赤の上に赤を塗ったっていう。で、ピックガードは白いんだけど、そこにも赤い塗料が散ってるなと思ってよく見たら血だった(笑)。さすがに「気持ち悪いから拭いてくれ!」って。

―わっ、これ血なのか!
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