秘密ロッカーのヒミツ大捜索

秘密ロッカーのヒミツ大捜索 最終話:遂に実現した、秘密ロッカーの「ヒミツ」

最終話:遂に実現した、秘密ロッカーの「ヒミツ」 -連載・コラム:CINRA.NET

あの日、CINRAから突然の呼び出しを受けてから、もう1年が経過した。おもしろ半分で乗り出した謎だらけのパンクバンド「秘密ロッカー」の調査は、プロデューサーのHIROKI氏(Dragon Ash)に振り回されながらも、徐々に核心に肉薄。彼らが拠点とする高円寺での聞き取り調査、生態音響学を専門とする大学教授に依頼しての音源分析、そしてHIROKI氏に連れられてのメンバー宅への訪問(実際は留守中の不法侵入……)と、時間はかかったものの、普通の取材ではなかなか得がたいヒミツを手に入れることに成功した。前回の連載から半年。もはや連載とは言えないほど時間が経ってしまったのだが、決してサボっていたわけではない。本来であれば、昨年末に行われたCINRA主催のライブイベント『exPoP!!!!!』に出演した彼らに直接対面し、満を持して本人にインタビューをしようと目論んでいたのだが……。

秘密捜索メモ#01:遂に実現した、秘密ロッカーとの対面

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2012年12月20日、前回の連載でHIROKI氏が勝手に決めた秘密ロッカーの『exPoP!!!!!』出演が実現すると聞き、会場である渋谷のライブハウスO-nestに向かった。この連載の展開のことも考えて、これまであえてライブには足を運ばず、いざそのときを窺っていただけに期待感でいっぱいだ。会場に着き、中に入って様子を窺うと、どうやらこの日は他のバンド目当ての客が多く、秘密ロッカーにはアウェー感すら漂う雰囲気。彼らの出番は1番手。なんだかドキドキしてきた。

しかし、こちらの勝手な心配をよそに、場内が暗くなり、演奏が始まった瞬間、「秘密ロッカー!!!」と思いっきり叫ぶボーカルのアッコ(横尾明子)。いきなりぶっこんできた! なんだこれは!? とばかりにフロアの視線が一気に秘密ロッカーへと集中する。のっけから激しく動きながら爆音を鳴らすステージ上の4人。ギターをぶんぶん振り回しながら演奏するタモ(森田祐介)、何度も叫び声を出しながら小さい体でドラムを叩き狂うアッキー(野村有希)、他の3人とは対照的に淡々とベースラインを刻むミック(水野正隆)。そして何よりexPoP!!!!!会場風景強いインパクトを残したのは、鬼気迫る表情で歌うアッコの姿。バカでかいとすら感じるバンドの音圧の中でも、まったく飲み込まれることなく突き抜けてくる歌声は、強烈に耳に響いてくる。わずか30分足らずのライブであったが、彼らの激しいパフォーマンスはどんどん熱量を増し、はじめは怪訝な顔で見ていた客たちも、最後には拍手喝采となっていた。

期待に違わぬ実力を披露してくれた秘密ロッカー。ここはやはり、連載の締めくくりとして是非インタビューをしたいと改めて決意し、興奮冷めやらぬままライブを終えた彼らが物販スペースに出てくるのを待った。しばらくして現れたのはボーカルのアッコだ。いよいよ対面のときが近づく。激しくステージする姿を見ていただけに、恐る恐る声をかける。

―あの、はじめまして。ライブ素晴らしかったです!/アッコ:あ、ありがとうございます。/―(あれ? 意外とおとなしい……)実はCINRAでずっと秘密ロッカーを追いかける連載をやってまして、今度インタビューをさせてほしいんですが……。/アッコ:そうなんですね。うん……ごめんなさい。インタビューはちょっと……。/―(え、えーっ!)ダメ……ですか……?/アッコ:インタビューとか苦手なので……。/まさかのインタビュー拒否! そしてこんなときに限って、言い出しっぺのHIROKI氏も来ていない……。その後も「どうしてもダメですか?」と粘り強く交渉したものの、彼女の返事を覆すことはできず、失意のままライブハウスを後にした。

まさかのインタビュー拒否! そしてこんなときに限って、言い出しっぺのHIROKI氏も来ていない……。その後も「どうしてもダメですか?」と粘り強く交渉したものの、彼女の返事を覆すことはできず、失意のままライブハウスを後にした。

どうしよう……。

連載を締めくくる答えを出せないまま年が明け、こちらが途方に暮れているうちに、彼らはセカンドミニアルバム『ヘブンスギル』を2月にリリースした。前回の連載でHIROKI氏が「ミックスしながらグッと来ちゃった」と言っていたように、彼らの持ち味である勢いあふれる楽曲はもちろん、哀愁すら感じさせる“パープーピーポー 〜東京の歌〜”など、前作よりひとまわりスケールの大きくなった姿が現れた作品だ。そして今作も気になるフレーズが至るところにある。<綺麗なままで生きる気はない>(“ヘブンズ・キル”)、<東京がなくなればいい>(“パープーピーポー 〜東京の歌〜”)、<前へ進む為に生きてるわけじゃない>(“同じ夜のうちに”)――何があってこういう歌詞が出てくるのだろうか。彼らのヒミツを解き明かそうとしているのに、時間が経てば経つほど、知りたいことはどんどん増えていく。

そうこうしているうちに、あっという間に時間は流れ、気づけばゴールデンウィークも近づいてきた。「連載どうにかしてくださいよ〜」というCINRAからのプレッシャーも日増しに強くなる。しかし、周辺の人物にはひと通り取材したし、頼みの綱だったHIROKI氏も最近は忙しいのか電話にも出てくれない……。もうインタビューできないとなると、あとはライブくらいしか……ライブくらいしか? そうだ! こうなったらいっそのことライブを撮影して、YouTubeにアップしてしまうのはどうだろう? インタビューは嫌だと言った彼らも、ライブを紹介するのであればOKしてくれるに違いない。我ながら名案じゃないか!

ゴールデンウィークの彼らのライブ予定を調べると、新宿JAMで行われる『JAM FES 2013 〜伝説の100時間超えライブ〜 最後、僕はスピーカーと1つになる』に出演するようだった。突っ込みどころ満載な「100時間超えライブ」についても気になるところだが、本題とはずれてしまうのでスルーさせてもらおう。とにかく意を決した僕は、彼らが出演するという5月2日の深夜、新宿JAMへと向かったのである。

タイムテーブルによると、秘密ロッカーの出演時間は24時40分から。さすがにこんな時間とあって客は若干少なめではあるが、撮影には好都合だ。最前列の端っこに陣取り、緊張とともにライブが始まるのを待つ。ここからはライブの様子を、動画を交えながらお伝えしよう。

『JAM FES 2013 〜伝説の100時間超えライブ〜 最後、僕はスピーカーと1つになる』
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