撮影:片野智浩
柚木麻子の著書『BUTTER』が河出文庫から6月15日に刊行される。
『BUTTER』はイギリスの文学賞4冠、世界累計170万部を記録し、40か国・地域で翻訳出版が決定したベストセラー作品。今回新たに「第7回野間出版文化賞受賞スピーチ『帝国ホテルですてきな立食パーティーを』」「イギリスツアー日記『どんな場所にも小説とカラオケはある』(初出:『文藝』2025年春季号)」が収録される。解説は鴻巣友季子。
ブックデザインはUK版の表紙デザインをもとに名久井直子が新たに構成。刊行を記念して、UK版をもとに名久井がデザインした「BUTTER」ステッカーが期間限定で封入される。電子書籍、オーディオブックも同日6月15日に刊行。
【『BUTTER』】
食、身体、欲望、孤独、ケア――
現代を生きる女たちの痛みと快楽を描き、世界から絶賛された柚木麻子の代表作。
婚活連続殺人事件の容疑者・梶井真奈子と、彼女を取材する週刊誌記者・町田里佳。
二人の対話を通じて、欲望と食と女の生を描き出す傑作長編。
世界が熱狂する衝撃のダーク・スリラー。
【鴻巣友季子「解説」より抜粋】
二〇一〇年すぎから、川上弘美『センセイの鞄』、村田沙耶香『コンビニ人間』、多和田葉子『献灯使』、柳美里『JR上野駅公園口』、小川洋子『密やかな結晶』、川上未映子『夏物語』などの受賞・候補入りやヒットは、日本の女性作家による新時代の幕開けを確実に告げていた。
忘れてはならないのは、こうしたムーヴメントが自然発生的なものではなく、各国の翻訳者と読者に積極的に選ばれた結果だという点だろう。そのなかで『BUTTER』という小説が成功したという事実は、単なる一作のヒット以上の意味をもつ。そこには、現代的なテーマ、例えば、人の欲望、身体性、性差、それらを抑圧する社会機構の問題などが、揺るぎない「声」をもって世界の読者に共有されていく過程が刻印されている。翻訳とは、言語を移し替えるだけではない。世界の読み方そのものを組み替える営みなのである。
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