『嘘じゃない、フォントの話』

連載『嘘じゃない、フォントの話』(supported by モリサワ) 第10回:文字が動き出す。ー「組版」の世界ー

 第10回目 文字が動き出す。―「組版」の世界―\
突然ですが、書籍や雑誌で長文が並んでいる様を思い出してみてください。ページ一面にビッシリと並ぶ文字。本によって、文字の大きさや使われているフォントも様々です。たとえば子ども用の絵本であれば、大きくて優しい文字が1ページにゆったりと組まれていることが多く、反対に新聞ではところ狭しと堅そうな文字が並んでいます。今回の連載では、文章の読みやすさや性格を生み出している「文字組み=組版」の世界を紹介します。
(テキスト:CINRA編集部 協力:株式会社モリサワ) 連載『嘘じゃない、フォントの話』(supported by モリサワ) 第10回目 第10回:文字が動き出す。―「組版」の世界―\nをdel.icio.usに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加 連載『嘘じゃない、フォントの話』(supported by モリサワ) 第10回目 第10回:文字が動き出す。―「組版」の世界―\nをlivedoorクリップに追加 連載『嘘じゃない、フォントの話』(supported by モリサワ) 第10回目 第10回:文字が動き出す。―「組版」の世界―\nをlivedoorクリップに追加

組版の役割とは?

単語と単語の間にスペースがある英語と違い、日本語は切れ目が無く、文字で埋め尽くされています。それではなぜ、文字で埋め尽くされたページを長時間読み続けることができるのか。そこには、文字情報を人に伝達するために生まれた「組版」のノウハウが詰まっています。切れ目無く並んでいる文字を気持ちよく読者に読ませること、そしてその文章が読者に理解され、また自然に読者の中にイメージが湧き立つよに導くために組版は重要な役割を担っています。

リュウミン 9ポイントベタ組 じゅん 11ポイントベタ組
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組版の主な要素

文字は情報を伝達するために、ルール通りに並べられて初めて意味を成します。そして文字をどんなルールに基づいて並べるかによって、相手に伝わる情報やイメージはまったく違うものになります。そのルール作りともいえる「組版」は、どんなことを決めていくのでしょうか。決める主な要素は、書籍、雑誌、チラシなど制作物によって異なります。今回は文字組みの代表格と言える「書籍」の例を次の図で紹介します。

組版の要素図

判型(仕上がりサイズ)に対して、版面の占める割合、すなわち「天」「地」「のど」「小口」の空き量が重要です。文字中心の書籍は、判型に対する版面の比率は60%ぐらいが一般的ですが、同じ内容の本でもこの余白の取り方だけで印象は大きく異なります。また、版面、すなわち本文の文字組みも、どんなフォントを使うか、文字サイズ、行長、行送りなどをどの程度にすれば読み易いかを考え、決めていくことも重要です。これらの一つでもバランスが取れていないと何か読み辛いと感じる本になってしまいます。

「ベタ組」こそが、フォントの真骨頂

子どもの頃、升目が並んだ原稿用紙に作文を書いた記憶がある方も多いでしょう。実はこの升目が、組版を考える上でとても重要な要素になっています。日本語のフォントはこの升目に合わせてデザインされており、文章として文字が並んだ際に美しく見えるようバランスを整えられています。

日本語の組版はとても特殊で、「ひらがな/カタカナ/漢字/数字/欧文/約物・印物」など役割の異なる文字が混在しています。これらをうまく組む方法として、まずは升目に一文字づつ、規則正しく並べる「ベタ組」が基本になります。一行に並べる文字数がひらがなが多い行も漢字か多い行も同じに組ことにより、1文字1文字を目で追うことなく、リズム良く読みことができます。

  • ベタ組みで組んだ場合
  • ベタ組みで組んでいない場合
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