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『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム』展を、Omamezと巡る

『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム』展を、Omamezと巡る

島貫泰介
撮影:相良博昭
2015/08/10

国立新美術館で開催中の『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム』展は、その名の通り、日本で生まれた多彩なポップカルチャーコンテンツを紹介する展覧会です。全8章で構成された会場内には、1989年以降のカルチャーを彩ったコンテンツからセレクトされた全130作の映像、原画、資料、体験可能な実機、関連物などがずらりと並んでいます。

お父さんお母さんから子どもまで、幅広い世代が連日訪れている同展を、今日は気鋭のアニメーション制作ユニット「Omamez」と巡ることになりました。弱冠21歳、現役美大生でもあるPiさんとMina Ohmatsuさんが生まれたのは1994年。鳥山明の国民的漫画『ドラゴンボール』の連載終了、『新世紀エヴァンゲリオン』が最初にテレビアニメーション放送されるわずか1年前です。ちなみに筆者である私は1980年生まれ。ポップカルチャーに対して、それぞれに異なる遠近を抱えた取材メンバーは、今展覧会からどのような発見(あるいは再会?)をするでしょうか。

なぜ「1989年以降」の漫画、アニメ、ゲームを展示するのか?

案内してくださったのは『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム』展を企画構成した、国立新美術館主任研究員の室屋泰三さん。一般的に、大学で美術史や美学などを学び学芸員・研究員の道に進むケースの多い美術館にあって、工学系大学出身という異色の人物です。1967年生まれの室屋さんは、74年放送の『宇宙戦艦ヤマト』や79年放送の『機動戦士ガンダム』に洗礼を受けたオタク第二世代。つまり室屋さんにとって89年以降のコンテンツを扱う今展覧会は、自分自身のオタクな半生をたどるのと同じ時間の流れを共有するものだと言えるでしょう。

ところで、なぜ今回の展覧会は89年から始まるのでしょうか? その後のSFに多大な影響を与えた『ヤマト』や『ガンダム』は70年代の作品ですし、日本初の国産連続テレビアニメ『鉄腕アトム』の放送開始は63年です。

室屋:日本の漫画史、アニメ史などをすべて扱おうとすると、あまりにも膨大で「とてもじゃないけど展覧会に収まらない!」というのが一番の理由です。展覧会のスタートに89年を選んだのにも理由があります。その年の1月に昭和天皇が崩御し、昭和から平成へと元号が改まりました。また2月には「漫画の神様」とも言われる手塚治虫が亡くなっています。日本の近現代史的にも、文化史的にも大きな年である89年をスタート地点に、そこから現在までのコンテンツを概観することで見えてくる変化を考えてみたかったんですね。

左から:Pi、Mina Ohmatsu
左から:Pi、Mina Ohmatsu

会場入り口には、「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム*テクノロジー*社会*文化の60年史」という長大な年表がパネルで紹介されています。食いつき気味で年表をガン見するOmamezの二人は、やはり90年代以降の作品が気になるようです。ワイワイと盛り上がりつつ、第1章「現代のヒーロー&ヒロイン」へと進みます。

漫画やアニメの世界で活躍するヒーロー&ヒロインたちが、我々に与えた影響

第1章は、三角柱の展示壁が立ち並ぶ空間構成が特徴です。1つの展示壁ごとに一作品が紹介され、キャラクターイメージ、作品解説、作品によって起きた現象・影響の3つがセットになっています。展示スペースの奥まで進み、パッと後ろを振り返ると現れる、うずまきナルト(『NARUTO -ナルト-』)、セーラームーン(『美少女戦士セーラームーン』)、勇者(『ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち』)、鹿目まどか(『魔法少女まどか☆マギカ』)などの人気キャラクターが一堂に会した風景は圧巻です。そのなかでOmamezが特に反応したのは、二人が生まれた94年に『週刊少年サンデー』で連載開始した『名探偵コナン』。Mina Ohmatsuさんが今も活躍するコナンと出会ったのは、子どもの時に通っていたピアノ教室だそう。

Ohmatsu:教室の先生が単行本を集めていて「大人も子どもも読む漫画なんだな」って思ってました。連載も20年以上続いてるし、アニメや映画も小さい頃からやっていたのですごく親しみがありますね。子どもの頃は殺人シーンとかを「めっちゃ怖い!」って思ってたんですけど、でも読むのはやめられなくて(笑)。あと、むごい殺人事件を小学生のコナンが解決していくというのが、現実に置き換えるとけっこうきわどくておもしろいなと思ってました。Omamezも、普通はタブーとされるような描写を気にせずに作品にしちゃおうと思っているんですよね。

第1章「現代のヒーロー&ヒロイン」展示風景

第1章「現代のヒーロー&ヒロイン」展示風景
第1章「現代のヒーロー&ヒロイン」展示風景

二人はアメリカ製のカートゥーンアニメーション、そのなかでも特に『ビーバス&バットヘッド』『ホーム・ムービーズ』のような悪ガキ&ダメな大人の日常を描いた作品に影響を受けて、アニメーション制作を開始しました。デビュー作の『Pimples』、現在シリーズが進行中の『Pillow Pets』など、ゲップ、うんこ、下ネタ、動物ネタなど、良識ある人が眉をしかめるようなモチーフを多用して、ダルさが魅力の脱力系ストーリーと作品世界を創造しています。


海外アニメの専門チャンネル「Cartoon Network」で育ったという二人にとって、この展覧会に並んでいる純国産アニメや漫画は、身近にありながらも、ちょっとしたパラレルワールドとして映っているのかもしれません。

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イベント情報

『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム』

東京会場
2015年6月24日(水)~8月31日(月)
会場:東京都 六本木 国立新美術館 企画展示室1E
時間:10:00~18:00(金曜は20:00まで開館、入場は閉館の30分前まで)
休館日:火曜
料金:一般1,000円 大学生500円
※高校生、18歳未満の方および障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料


兵庫会場
2015年9月19日(土)~11月23日(月・祝)
会場:兵庫県 神戸 兵庫県立美術館
時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)


プロフィール

Omamez(おまめず)

武蔵野美術大学映像学科在籍中のPiとMina Ohmatsuによるアニメーターユニット。カートゥーン調のキャラクターたちが繰り広げる、ブラックユーモア溢れる日常を描く。2014年、NYLON×SONY MUSIC主催の『JAMオーディション』にてグランプリを受賞。『Pimples』や『Pillow Pets』といったアニメーションのシリーズをYouTube上で公開中。

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