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珍しいキノコ舞踊団と行く『印象派と世紀末美術』展

珍しいキノコ舞踊団と行く『印象派と世紀末美術』展

坂口千秋
撮影:豊島望
2013/10/21

コレクションは美術館の顔といわれます。1894年の近代建築を復元して建てられた三菱一号館美術館のコレクションは、さまざまな変革が立ち上がり、前衛的な芸術活動が活発に生まれ始めた19世紀末の作品を軸にしています。『三菱一号館美術館名品選2013−近代への眼差し 印象派と世紀末美術』展では、このコレクションを中心に、その後の芸術に大きな影響を与えた29人の美術家たちの作品149点を紹介します。

一緒に回るのは、アセロラ体操でお馴染みのコンテンポラリーダンスユニット「珍しいキノコ舞踊団」。場所やジャンルにとらわれず自由でちょっぴり「変」なダンスを繰り広げるキノコさんたちこそ、革新的な世紀末芸術家の精神を引き継ぐアーティストなのです。今回は特別に、名画に絡んだキノコさんたちのパフォーマンスも披露していただきました。120年の時を越えて実現した夢のコラボレーションです!

19世紀末の前衛芸術・印象派にコスプレで挑む!

「今日のテーマはコスプレです!」と言いながら登場した珍しいキノコ舞踊団の伊藤千枝さん、山田郷美さん、茶木真由美さん。ベレー帽にメガネ、手にはパレットと絵筆を持ち、それぞれ絵の先生、日曜画家、美大生、という設定だそうです。普段は友人の展覧会を観に行くことが多いというキノコさんたちですが、実は印象派の絵画もお好きとか。今日はどんなコント、いやコラボレーションを見せてくれるのでしょうか。

展覧会は19世紀後半の印象派の作品から始まります。産業革命以降、急速にパリが都市として発展していく中で登場した印象派は、今でこそ誰もが知る近代絵画の礎ですが、当時は古い様式やアカデミズムと決別し、自らの心象のまま対象を描こうとした芸術家たちによる前衛芸術活動でした。ここではルノワール、モネ、セザンヌ、ピサロといった印象派を代表する画家たちが、さらに新しい表現を模索していた時期の作品を紹介しています。

ピエール=オーギュスト・ルノワール『長い髪をした若い娘(麦藁帽子の若い娘)』1884年 油彩、カンヴァス 三菱一号館美術館寄託
ピエール=オーギュスト・ルノワール
『長い髪をした若い娘(麦藁帽子の若い娘)』
1884年 油彩、カンヴァス 三菱一号館美術館寄託

まず、展覧会のメインビジュアルでもあるピエール=オーギュスト・ルノワールの『長い髪をした若い娘(麦わら帽子の若い娘)』から。この絵のモデルとなった女性は、ボリュームのある髪とちょっときつめの顔が特徴的ですが、彼女を描いた絵は数点しか残っていないことから、どうもルノワールの好みではなかった様子。また当時、印象派の技法で人物を描くことに疑問を感じ始めていたルノワールが、古典的な手法でもある輪郭線を用いて女性の手や顔を描くなど、1枚の絵から読み取れるエピソードがたくさんある作品です。

そして、クロード・モネの『草原の夕暮れ、ジヴェルニー』は、モネが43年間過ごしたジヴェルニー村の風景を描いています。当時、既婚女性とその娘と共にジヴェルニー村に暮らしていたモネの家族は、小さな農村のちょっとしたスキャンダルでした。そのためか、この頃のモネはたびたび制作旅行に出て家に長くいなかったそうです。世間から距離を置きストイックに自然と対峙するモネが、ジヴェルニーの自然の中に実の息子と愛する女性の娘を配置することで、つかの間の安らぎの時間を留めているかのようです。珍しいキノコ舞踊団&名画コラボの記念すべき最初のカットはこの作品の前で撮りました。伊藤さん、どうしてこの絵を選んだんですか?

クロード・モネ『草原の夕暮れ、ジヴェルニー』と珍しいキノコ舞踊団(左:茶木真由美 中:山田郷美 右:伊藤千枝)
クロード・モネ『草原の夕暮れ、ジヴェルニー』と珍しいキノコ舞踊団(左:茶木真由美 中:山田郷美 右:伊藤千枝)

伊藤私、印象派って結構好きなんですよね。明るくて色も綺麗で、特にモネの有名な作品『散歩、日傘をさす女性』が大好きで、ずっと買いたいなと思っていたんです。

と、びっくり発言。最近では、宮崎駿監督『風立ちぬ』のワンシーンでオマージュされているという話題でも有名な同作品。しかし、本展覧会担当学芸員の安井さんから、推定価格は数百億円ほど(!)と聞き……。

伊藤150円の絵葉書を飾っておきます(笑)。私、風を感じるような絵が凄く好きなんですが、『草原の夕暮れ、ジヴェルニー』は、穏やかなひとときを描いているのがいいなと思って観てました。

油絵具は本来軽やかに描くのは難しい素材なので、光や風を表現できるモネの技量は相当なものです、と安井さん。モネが生涯描き続けたジヴェルニーの陽の光は、その後「ポプラ並木」シリーズや「睡蓮」シリーズなど数々の傑作をモネに授けました。

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イベント情報

『三菱一号館美術館名品選2013 −近代への眼差し 印象派と世紀末美術』

2013年10月5日(土)〜2014年1月5日(日)
会場:東京都 丸の内 三菱一号館美術館
時間:10:00〜18:00、金曜(祝日除く)10:00〜20:00、2014年1月3日は18:00まで
休館日:月曜(但し、祝日の場合は開館し、翌火曜休館 / 12月24日は18:00まで開館)、12月28日〜2014年1月1日
料金:一般1,200円 高校・大学生800円 小・中学生400円 一般ペア2,000円
※ペア券はチケットぴあでのみ販売

プロフィール

珍しいキノコ舞踊団(めずらしいきのこぶようだん)

東京を拠点に活動を続けるコンテンポラリーダンスカンパニー。さまざまな空間で立ち上がるダンスを観客と共に体験し、それぞれの場所、それぞれの身体がもっているダンスを探り、楽しむことを主題としている。またジャパニーズカルチャーの代表の1つとして海外のフェスティバルに招聘されることも多く、これまで世界24都市で公演を行っている。2013年3月に世田谷パブリックシアターで新作を発表予定。

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