コラム

古川日出男×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) 対談(後編)

古川日出男×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) 対談(後編)

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:田中一人

すごいものができたっていうことを確認できる言葉がここにある。それは本当に嬉しいことですね。(古川)

古川:音楽以外の活動も、土作りだっていう実感があるんですか?

後藤:そうですね。自分が作ってる音楽って、音楽だけに接続してると思ってないんです。僕は音楽も文学も演劇も映画も全体的につながっていると思っていて、そういうものをみんなが総合的に楽しめるような豊かな文化の中で、自分の作ったものもいいと言われたい。そういう作者としてのエゴももちろんあって、音楽だけを熱心に聴いてる人に聴かせるっていうのともちょっと違うんです。

―古川さんも本が好きな人にだけではなく、広く届ける視点を持ってらっしゃいますよね。

古川:後藤さんの話を聞いてると、僕の方が子供っぽいですね(笑)。土を作るっていうのは、僕はまだできていないことなので。小説って、すごいものを書くのは簡単なんですけど、世界文学レベルですごいものを書いても、「日本でこれを理解できるの5人しかいないな」ってなっちゃうんです。じゃあどうやってその読者を増やすかっていう、その方法はまだ見えてないですね。

―本と音楽ではまた方法が変わってくるでしょからね。

古川:音楽を聴いてる人とか、演劇をやってる人とか、そういう人たちには結構早い段階で届けられたと思うんですけど、ものすごくプロパーな本読みの中では、一部にはすごく評価されてるけど、一部にはスルーされてしまう。花壇のヘリの方には土がいっぱいあるけど、真ん中には土がないっていう状態で、それをどうしたらいいのかっていうのはここ数年ずっと考えてますね。

後藤:難しいですよね。「細分化」っていう問題もやっぱりあって、「アジカン」って名前だけで、音楽マニアと呼ばれる人たちはスルーしますからね。

古川:イメージは一度つくとどうにもならないですよね。

後藤:はい、年を取るとなかなかドアを開けてくれないんです。なので、そこに関しては「もういいじゃないか」という気持ちがちょっとあって、聴いてもらうことに関しては、若い子にしか興味がないですね。同世代のわかってくれる人には伝わっている実感があるし、若い子はまだ壁すらないから、そういう子たちに届けて、自分がある種の入り口になりたい気持ちはあって。

古川:後藤さんを通過することで、いろんな扉が開けるっていうことですよね。

後藤:そうなんですよ。書籍にたどり着くかもしれないし、『THE FUTURE TIMES』に載っているような科学とか農業かもしれないし、音楽だったら僕の後にあるロックのツリーに登ってもらってもいい。すでにどこかの場所でかたくなに土になってる人たちはもう気にしないというか……まあ、そういう人たちともいつかはきっと地続きになると思うし。

古川:土をいっぱい埋めていけばいいわけですもんね。

後藤:そんな気がしてます。書物の世界はまた難しくて、川の真ん中の流れが重いし、深いし、正しいんだけど、正しくないこともあるというか……。

古川:でも、たいてい異端なものが新しい流れになって残ってるんですよね。夏目漱石だってあの当時は異端だったし、村上春樹さんなんて、誰もがバカにしていた時代から、よくここまで掌を返す時代が来たなと思うから、ホントわからないですけど、メインストリームから外れてるものが改革者になっていくところはありますよね。まあ、そこと比べると自分はそこまで太くないと思うけど、でも異端にいることは悪いことじゃないんだなって気はしてます。

―時代から少し外れているものの方が、結果的に残るものになるという話は途中でも出ましたよね。

左から:古川日出男、後藤正文

古川:結局人って、外れ方は人それぞれだけど、みんな時代から外れていて、その「外れてる」っていう意識が中心にあるんでしょうね。今勝ち組が注目されてるのだって、勝ち組がほとんどいないからだと思うし。だから僕は、その外れてるものに向かって作ってるんだなって気がします。チープな言葉で言えば「連帯」してるんだろうし、そういうことしか小説はできないと思いますね。

後藤:『南無』をどういう人たちがどう読むんだろうって、反響がすごく楽しみですね。

古川:最後の最後まで書いていくと、「ああ、やっぱり作家はバンドじゃないんだな」って思って(笑)。誰かが手助けはしない、ダメ出しもしない。その孤独さの極限がパーソナルに迫ったということは、読者一人ひとりも孤独だし、後藤さんにも後藤さんの孤独があって、それがむき出しで正面に突っ立ってるんだけど、そこにこそ希望が見えたっていうことなのかな。

後藤:やっぱり作品を作るときは、いつもある種の孤独と絶対に向き合わないといけなくて、特に詞に関しては、いつも腹を括ってやってますね。ただ、『ランドマーク』はホントにグワグワの中で書いてたので、初めてバンドメンバーに聞いたんです。「ポップミュージックに乗せる言葉として、これは行き過ぎてないかだけ教えてほしい」って。そうしたら、「お前だったらもっと書けると思う」って言われて、それはすごく嬉しかったですね。やっぱり人生の半分一緒に過ごしてるんで、アジカンっていう一個の共同体、共同幻想が立ち上がってるんです。

―そこは本当にバンドならではでしょうね。

後藤:でも、小説は書けないなって思います(笑)。たまにムクムクと「文章も書いてみたい」って思うんですけど、その度にすごい作品を読んで、打ちのめされて、俺にこの覚悟があるのかって思うと、まだまだ他にやらなきゃいけないことがたくさんあるなって。『南無』からもすごくいい刺激をもらいました。

古川:嬉しいです。さっきの後藤さんの話じゃないけど、すごいものができたっていうことを確認できる言葉がここにある。それは本当に嬉しいことですね。

『古川日出男 × 後藤正文 トーク&ライブセッション』

CINRA.STOREで『南無ロックンロール二十一部経』をご購入いただいた方を抽選で『古川日出男 × 後藤正文 トーク&ライブセッション』にご招待致します。

2013年7月21日(日)17:30スタート予定
会場:東京都 青山 某所
定員:100名(当選者のみ入場可、座席有・自由席)
料金:入場無料(2ドリンク制)
※ご入場時にドリンク代(1,000円)をいただきます

応募に関する詳細はコチラまで

古川日出男『南無ロックンロール二十一部経』
古川日出男
『南無ロックンロール二十一部経』

2013年5月15日発売
価格:2,520円(税込)
単行本:576ページ
出版社:河出書房新社
サイズ:46版(単行本)

CINRA STOREで購入する

『南無ロックンロール二十一部経』刊行記念『古川日出男×柴田元幸トークショー』

2013年5月16日(木)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 東京堂神田神保町店6階東京堂ホール

イベントの詳細はコチラまで

古川日出男『南無ロックンロール二十一部経』
ASIAN KUNG-FU GENERATION
『ランドマーク』通常盤(CD)

2012年9月12日発売
価格:3,059円(税込)
KSCL-2122

1. All right part2
2. N2
3. 1.2.3.4.5.6. Baby
4. AとZ
5. 大洋航路
6. バイシクルレース
7. それでは、また明日
8. 1980
9. マシンガンと形容詞
10. レールロード
11. 踵で愛を打ち鳴らせ
12. アネモネの咲く春に

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V.A.『ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2013』
V.A.
『ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2013』(CD)

2013年6月5日発売
価格:2,520円(税込)
KSCL-2246

1. Loser / ASIAN KUNG-FU GENERATION
2. マイ・ロスト・シティー / cero
3. 適当な闇 / the chef cooks me
4. レインボー / Dr.DOWNER
5. 花束 / 岩崎愛
6. STARS / NOWEARMAN
7. 石川町ファイヤー / PHONO TONES
8. Rapid Reality / RADICAL DADS
9. There's A Change / Sara Radle(ex.The Rentals)
10. SUNNY / シャムキャッツ
11. ストーリー / スカート
12. beautiful world / SPECIAL OTHERS
13. BRAND NEW EVERYTHING / ストレイテナー
14. Misleading Interpretations / Turntable Films
15. WORDS KILL PEOPLE(COTODAMA THE KILLER) / うみのて

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Gotch『The Long Goodbye』
Gotch
『The Long Goodbye』(アナログ7inch)

2013年4月20日発売
価格:1,000円(税込)
ODEP-003

1. The Long Goodbye
2. The Long Goodbye (P's O-parts Remix)Remixed by PUNPEE
※ダウンロードコード付き

The Long Goodbye / 後藤正文 | only in dreams

『ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN CIRCUIT 2013』

2013年6月14日(金)OPEN 17:30 / START 18:30
会場:京都府 京都 KBS ホール

2013年6月15日(土)OPEN 17:30 / START 18:30
会場:京都府 京都 KBS ホール

2013年6月17日(月)OPEN 17:30 / START 18:30
会場:愛媛県 松山市総合コミュニティセンター

2013年6月19日(水)OPEN 17:30 / START 18:30
会場:熊本県 熊本 DRUM Be-9 V1

2013年6月24日(月)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:新潟県 新潟 LOTS

2013年6月26日(水)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:宮城県 仙台 Rensa

2013年6月28日(金)OPEN 17:30 / START 18:30
会場:東京都 水道橋 TOKYO DOME CITY HALL

NANO-MUGEN FES.

ASIAN KUNG-FU GENERATION デビュー10周年記念ライブ『ファン感謝祭』

2013年9月14日(土)OPEN 15:00 / START 17:00
会場:神奈川県 横浜スタジアム

ASIAN KUNG-FU GENERATION デビュー10周年記念ライブ『オールスター感謝祭』

2013年9月15日(日)OPEN 15:00 / START 17:00
会場:神奈川県 横浜スタジアム

10周年記念ライブ開催決定!! 横浜スタジアム 2days | ASIAN KUNG-FU GENERATION

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