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音楽を、やめた人と続けた人

顔も見たくなかったもん。 「このままならもう関係したくない」って言った。

―聞けば聞くほど、よく解散しなかったですね。

恒松:だんだんと対処法も分かってきたんだよね。08年ぐらいには俺も病気から復活してきたんだけど、ナカノくんがどんな爆弾を投下しようが、こっちがしっかりしてれば振り回されずに済むだろうと思って。それを伊藤さんとずっと話してた。

―PBLが解散しなかったのは、その2人の頑張りによるところが大きいんですよね。

恒松:うん、今でもそれが一番デカイと思ってますね。

伊藤:セカンドアルバムが作れなかったこととか、クラッチをクビにしようとしたこととか、メジャーの話がダメになったこととか、ナカノさんのお陰で解散しそうになったことはまだまだ他にもあったけど、今年の頭でとことんやり終わったのかな。

恒松/伊藤

―そうだった。あまりにも事件が多すぎて第2話では触れられなかったけど、メジャー話がダメになった後、何とかひとつにまとまって前を向き始めたPBLだったのに、今年の頭にも1度、解散危機があったんですよね。お客さんを呼べなかったことでイベンターにバンドを否定されて、ナカノくんはまた前後不覚に陥って。みんなも対処法を心得てたつもりだったのに、これは危なかったという。

伊藤:そうそう。遂に「(バンドを)やめたいと思ってる」って言ったんですよ、あの人。しかもズルいのが、「やめたいと思ってる」までしか言わないとこ。こっちに「じゃあやめろ!」か「やめないで頑張ろうよ」ってセリフを委ねてきて。でも、向こうから「やめたい」って絶縁状をつきつけられたら、「なんとか一緒に頑張ろうよ」なんて言えないもん。でもやめたくないし…、本当にズルい! それで私、ブチ切れた。

恒松:しかも「1人でやってくから」みたいなことまで言ったもんだから、これまで散々我慢してきたけど、さすがに俺もキレた。

伊藤:ようちゃんがナカノさんに殴りかかろうとして、クラッチが何とかそれを止めて…。

恒松:友達のお店じゃなかったら確実に殴ってた。それくらいムカついてましたね。止めてくれたけど、クラッチも怒ってて目つきはハンパなかったし。伊藤さんはもう泣きじゃくってて。

恒松/伊藤/倉池

伊藤:メジャーの話がダメになったのもナカノさんが原因で、それでももう一度みんなで頑張って行こうって決めた矢先に「やめたいと思ってる」だもん。結局変わらないんだなって。そしたら今度は、「伊藤さんは結婚して家庭を持つことも出来るし、クラッチはデザインの道に進むってことも出来るし、ようちゃんは音楽でうまくいくだろうし。みんな生きる道があるのにバンドは進まなくて、俺に責任がのしかかってきて…」とかわけの分かんないこと言いだして。自分のことしか考えてないんだよ。わたしはもう、その時点で本当にうんざりだなって思った。こんなんだったらやってく意味ないし、やりたくもないって本気で思ったし。うまくいかなくても何とかひとつずつ乗り越えてきたのに、それももう全部台無しで。でも、これまで応援してくれた人たちのことだけは裏切りたくなくて、どうしようもない気持ちになって。

―結局のところ、理由は何だったんですか?

倉地:よくよく話を聞いてみたら、「ライブに人が来ないのはCDを出してないからで、何でCD出せないの?」ってことなんですよ。でも、その頃はまだ曲も足りてなくて、まずはもっといい曲を作らなきゃいけない時期で。それなのにナカノくんは我慢ができなくて、「そんなんだったら俺、ひとりでやる」って言っちゃったから、みんな本気でキレて。もう収拾がつかなかったから、その場はお開きにしてナカノくんは帰って。

倉地

―ナカノくんだけじゃなくて、全員が「もういいや」と思ったという、かつてない解散危機ですね…。それで仕切り直しのミーティングでうまく話がまとまった?

恒松:いや全然。みんな考えてきたことをまず話して、俺は「もうなんでもいいから止まるのだけは勘弁してくれ。頼むから進めてくれ」って感じでした。でも伊藤さんは決別に近いようなことを言ってたよね。

伊藤:顔も見たくなかったもん。「このままならもう関係したくない」って言った。

倉地:俺はやめる理由はないと思ってたから、「なんでいつもそういう風になるの?」って訊いたら、「もう俺よくわかんない…」みたいになっちゃって。それで「ちょっと外の空気吸ってくる」って散歩から帰ってきたら、晴れ晴れとした顔で「すいませんでした。やります!」って言ったんです…。

―なんで!?

恒松:「空が晴れてたから」とかわけの分かんないことを言ってた。

―ええー!

倉地:もう呆れるしかなくって。みんな本当にもういいやって感じになったと思う。そこで危険を感じたレーベルスタッフがまた場を散会させて、3回目のミーティングをすることになって…。

―危なかったですね…。それで3回目は?

倉地:レーベル側から「バンドをやるのかやらないのか、そこを答えて」という問いかけがあって、それに対しては全員「やる」だったんです。それぞれにいろんなしこりは残ってたけど、それについて話をしても何にも進展しないのはみんな分かってたから、とにかく開催が決まっていた主催イベントについての話をして。とりあえずナカノくんは歌だけに専念するってことが決まったくらいで、そのまま今に至ってますね。

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