特集 PR

音楽を、やめた人と続けた人

連載『音楽を、やめた人と続けた人』  〜PaperBagLunchbox 空白の5年とその後〜 第3話:もがき苦しみ罵り合い、それでもやめないバンドマンの覚悟をdel.icio.usに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加 連載『音楽を、やめた人と続けた人』  〜PaperBagLunchbox 空白の5年とその後〜 第3話:もがき苦しみ罵り合い、それでもやめないバンドマンの覚悟をlivedoorクリップに追加 連載『音楽を、やめた人と続けた人』  〜PaperBagLunchbox 空白の5年とその後〜 第3話:もがき苦しみ罵り合い、それでもやめないバンドマンの覚悟をlivedoorクリップに追加 (2010/11/18)
第3話:もがき苦しみ罵り合い、それでもやめないバンドマンの覚悟

前話で綴った「PBL空白の5年」は、確かに壮絶でドラマチックだった。姉の死に心を失い、焦ってはメンバーをクビにしようとし、決まるかと思われたメジャーレーベルとの契約も、結局はナカノが原因で消滅した。しかしそれでも諦めきれずに奮起してみると、驚くほど順調に「因縁のセカンドアルバム」は完成し、上昇気流に乗ることができた。気がつけば状況は整っていたのだ。  ことあるごとに迷走してきた問題児・ナカノヨウスケ以外のメンバー3人に取材をしてみれば、PBLが解散せずに、流れをつかめた理由がわかってくる。メンバーみんな、ナカノヨウスケのことが嫌いみたいだけど、そんなことは大して重要じゃないのだ。そしてなぜ僕は音楽をやめ、PBLは今まだ音楽を続けているのか、少しだけその答えが見えてきた取材でもあった。

倉池/恒松/伊藤 進もうとすればいいのに、「ダメなんだダメなんだ!」って部屋にこもっているのがきっと心地よくて。

―5年間、すごく大変でしたね。ナカノくん本人も「俺は人間として最低なんです」って言っていたように、彼の言動に振り回された5年間でもあったと思うんですが、実際どうだったんですか?

伊藤:「わ〜!!俺、最高!!!」ってなった後に、「ダメだ俺なんて…」ってなる。アップダウンが激しくて、同じことをずっと繰り返してるんですよ、ナカノさんは。最初は慰めもしたけど、それに甘えて何度も同じようなことして、その度にバンドが解散しそうになる。そりゃ腹が立ちますよね、正直。

恒松:俺やクラッチ(倉地)はナカノくんに対して冷たいけど、伊藤さんはちゃんと向き合うから、特にケンカが激しかったんですよ。

伊藤:すぐにケンカして言い合いになる。それで家に帰ったあと、ナカノさんからすっごい長いメールが来る。うわーって思いながらも何とかそれに返事を返すと、今度は3倍位のメールがどーーんと戻ってきて…。それでもう、私がうへぇーってなる(笑)。

伊藤

―うわぁ、大変そうだ。

恒松:ナカノくんは、ちょっとしたことを拾い上げて、自分流に解釈した上で、ものすごい再構築をして膨らませるんですよ。その過程で、こちらが意図していないような、とてつもない何かが彼のなかに出来上がってる。

倉地:俺もナカノくんからバンドをクビにされた時に、呼び出されて何度も2人で話したんだけど、その時に言われたことはトラウマレベルで…。

伊藤:その時のこと、絶対に教えてくれないもんね。多分すごいこと言われたんだと思うけど…。

倉地:今まで誰にも言ったことない。とにかく、なんでそんな事に考えが及ぶんだろう? って内容だったんです。あれはホントに信じられなかった…。

―なるほど…。恒松くんもやっぱり腹を立ててた?

恒松:俺は、俺も完全にダメな時期だったから最初のころの方のことはほとんど覚えてないんですよ。

―恒松くんも病気だったんですよね。どんな感じだったんですか?

伊藤:始めて発症したのは満員電車のなかだったよね。ようちゃんの手だけ見えてたんだけど、その手がどんどん真っ白になっていって。びっくりして取りあえず途中下車したら、ずっと「ハァ、ハァ」言ってた。それがあってから薬を飲み始めるようになったんだけど、そしたら今度は、起きてることがままならなくなっちゃって…。ずっと部屋で落ちてる感じ。それでも、スタジオ練習があるときだけは何とか起こして連れてきて。

恒松:だからその時は俺も全く機能してなかった。実務的には。

―理由はなんだったんですか?

恒松:それが、未だに分からないんです。「不安」が襲ってきちゃう感じで、今でも飛行機とかは怖くて、薬を飲んでぶっ倒れているうちに着く感じ。「分からない」ってこと自体が不安要素だったから、それから少しずつ活動できるテリトリーを広げていって、「ここは大丈夫だ」っていう場所を増やしていって。

恒松

伊藤:心の病気なんだよね。ナカノさんもそうだし、クラッチもそう。その頃はナカノさん以外の3人で一緒に住んでたから、私もやられそうになった。

―そっか。じゃあ、ナカノくんの気持ちも理解できるところはあったの?

伊藤:う〜ん。苦しいのはわかるけど、肯定は絶対にしなかった。バンド4人で頑張るって決めた以上はやらなくちゃいけないでしょ? でも頑張るのって大変で、誰だって苦しいのは嫌だから、安全な場所に逃げ込んで安心しようとする。ナカノさんもそうで、進もうとすればいいのに、「ダメなんだ、ダメなんだ!」って部屋にこもっているのがきっと心地よくて。頑張らなくちゃいけなくなると、何とか後退する理由を探しているように見えちゃう。そっちのほうがラクだし、みんなが優しくしてくれるから。そういうのが、最初の頃はずっと続いてたかな。

―苦しいのも分かるから、余計苦しかったでしょうね。でも、全員の足並みが揃わないとバンドが前に進まないっていう。

伊藤:うん。だから「すぐそういう所ばっかりに逃げてんじゃない!」って言うんだけど、ナカノさんも「そんなんじゃねぇよっ!」って逃げを認めようとしないし。もう本当にそんなことの繰り返しで、ちょっとずつ進んでは解散の危機を迎え、立ち直ってはストップしてた。

PAGE 1 > 2 > 3 > 4

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

突然少年“火ヲ灯ス”

教室でも放課後でも負け続けたこと、弱さ故に大事な友達も傷つけてきたことーー振り返るほど情けなさでズタズタになってきた自分達の青春を全部吐き出しながら、だからこそ今まで裏切らず側にいてくれた人を離さず抱き締めて生きていきたいのだと表明する1stアルバムが『サンキュー・マイ・フレンド・アンド・マイ・ファミリー』だ。ブッチャーズ、eastern youth、NUMBER GIRLを抱き締めて離さない号泣ファズは変わらぬまま、アルバムタイトルの通り「誰に何を歌いたいのか」に重心を置いた結果としてバンドサウンドが撚られ、歌がグッと前に出た。汗と唾を撒き散らす激情の成分はやや減ったが、あなたと友達になりたい、友達との絆を目一杯歌いたい、だからまずは自分達が素っ裸になってあなたと向き合いたいという意志がスウィートなメロディに乗って突き抜けている。「たったそれだけ」をたったひとりに伝えるためにもんどり打つ、バンドの核心がそのまま映し出されたMV。端からライブの中核を担ってきた名曲がさらに躍動している。(矢島大地)

  1. 『天空の城ラピュタ』ムスカのサングラス&パズーのゴーグル型眼鏡、商品化 1

    『天空の城ラピュタ』ムスカのサングラス&パズーのゴーグル型眼鏡、商品化

  2. ワンピース麦わらの一味が高校生に、カップヌードル新CM 楽曲はバンプ 2

    ワンピース麦わらの一味が高校生に、カップヌードル新CM 楽曲はバンプ

  3. 『ロッキン』第4弾でスピッツ、くるり、あいみょん、Juice=Juiceら51組 3

    『ロッキン』第4弾でスピッツ、くるり、あいみょん、Juice=Juiceら51組

  4. Vampire Weekendを紐解く6つの視点 オロノ、角舘健悟らが綴る 4

    Vampire Weekendを紐解く6つの視点 オロノ、角舘健悟らが綴る

  5. 椎名林檎、新AL『三毒史』収録曲“鶏と蛇と豚”PV公開 監督は児玉裕一 5

    椎名林檎、新AL『三毒史』収録曲“鶏と蛇と豚”PV公開 監督は児玉裕一

  6. 光石研&松重豊&鈴木浩介が故郷の福岡をノープランでドライブする旅番組 6

    光石研&松重豊&鈴木浩介が故郷の福岡をノープランでドライブする旅番組

  7. 『スパイダーマン』新作、トムホやゼンデイヤら4人のキャラポスター公開 7

    『スパイダーマン』新作、トムホやゼンデイヤら4人のキャラポスター公開

  8. 王舟と夏目知幸のフレンドシップ。アドバイスで心の花を咲かせ合う 8

    王舟と夏目知幸のフレンドシップ。アドバイスで心の花を咲かせ合う

  9. 福山雅治×石田ゆり子 映画『マチネの終わりに』に伊勢谷友介、桜井ユキら 9

    福山雅治×石田ゆり子 映画『マチネの終わりに』に伊勢谷友介、桜井ユキら

  10. tofubeatsが音楽を続けてきたわけ。その道を極めることの面白さ 10

    tofubeatsが音楽を続けてきたわけ。その道を極めることの面白さ