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『クリエイターのヒミツ基地』 Volume7 梅沢 和木(美術家)

足し算をし続けてきた仕事部屋

壁一面にイラストや作品が貼られ、2台のパソコンが並んでいる自室はまさに「ヒミツ基地」というイメージにぴったり。ごちゃごちゃといろいろなものがある状態が好きで、整理してキレイに見せようという気はまったくないそう。理由は「整えようとすると、必ず隠したりしまったりしないといけないものがでてくるじゃないですか。それが嫌なんです。全部見せたい」から。それは作品も同じで、一度足したものはほとんど引きません。ひたすら足し算を続けた末に生まれる混沌、という作品の雰囲気は、この部屋にも共通していました。

梅沢さんは、両親が営んでいる絵画教室用の制作部屋を借り、アトリエとして使用しています。「小さい頃は親が美術家だというのがコンプレックスでもありました。でもいまは普通に感謝してます。こういう場所・環境があるというのはすごく恵まれているし、ラッキーなことなんです」。絵画教室のアトリエにもお邪魔し、作品にどんなふうにペインティングを施しているかも見せてもらいました。

ネットブック

ネットブック

2年前に買った、小型のノートパソコン。外出時はほとんど持ってでかけ、電車の中などでもウェブに繋いでいます。これを買ってからはネットがさらに身近になったそう。本体は無数のステッカーやデコレーションで賑やかに彩られています。「カオス*ラウンジがきっかけで知り合ったプログラマーさんたちが、みんなパソコンにステッカー貼ってたのを真似しただけです」と梅沢さん。部屋の壁や作品と同じようなカオス状態の一品です。

ペンタブレット

ペンタブレット

マウスからペンタブレットに変えたのは、もう3年ほど前のこと。作業がかなり楽になるという噂を聞き、家電量販店に何日も通って使い心地を試し購入を決めました。毎日膨大な量の画像を保存し、作品にペーストしていく梅沢さんの制作は、作業効率を良くすることが非常に重要です。マウスだと細かいクリックが面倒で、手が動く軌道も大きくなりがちですが、ペンタブレットに変えてから大幅に負担が軽減されたそう。

Web上で見つけた気に入った画像をPhotoshopで加工し、大量に組み合わせることで制作されている梅沢さんの作品。切り抜きや反転、拡大縮小などの調整を直感的に行い、次々と作品に配置されていきます。パソコンには過去に保存した大量の画像がストックされ、合計容量は外付けのハードディスクも合わせて3テラバイト! その全てがペンタブレットの作業により生まれており、すっかり欠かせないツールになっているようです。「マウスだと指や腕が疲れてましたが、ペンだと軽いのでラクなのも嬉しいですね。動作が精密で、感覚通りに動いてくれるのも気持ちがいいんです」

サジクロームペン

サジクロームペン

「裏返して使うと、1ミリメートルの幅さえも太く感じるくらい、細い線がキレイに描ける」というサジクロームペン。中学時代、両親に買ってもらった「漫画家セット」の中に入っていたものをいまでも使い続けています。このペンは、大学時代にモノクロの絵画を描いていた時に主に使用しており、いまでもこれでイラスト制作などをしているそう。ペンはほかにも、コンビニなどで売っているHI-TECの2.5mmもよく使っています。

画材各種

画材各種

またアトリエでは、普段愛用している道具を次々持ち出し、実際にどのように使っているのかを披露してくれました。まずは「筆は色によって使い分けたり、洗う必要があるのが面倒くさい」という理由で使っているペインティングナイフ。手入れが簡単なだけでなく、細い直線が描けるのも気に入っているポイントだそう。次は、作品にツヤや光沢を加えたい時に使用するというラメ糊。100円ショップで大量に購入しています。さらに「最近興味本位で買って、まだ一回も使ってないんですけど(笑)」という鉄筆も登場。先端に絵具を付け、作品に点描を足していきます。「思った通り、結構いいアクセントになりますね。これからいっぱい使いそうです」

パレット靴

パレット靴

キャンバス地の靴をそのままパレット代わりにしているという、驚きのヒミツ道具。イベントやオフ会など野外でキャンバスに向かうことも多く、その際にも非常に役に立っているそう。「でも『汚いから止めなよ』ってみんなに言われるんで、最近はやらないようにしてますよ(笑)」

梅沢和木さんの制作の舞台裏、いかがだったでしょうか。いくらでも足し続けることができ、明確な完成のない彼の作品や、作品を仕上げるだけでは終わらずに議論を生じさせようとする姿勢など、表現活動に関わる方のヒントになる要素が多かったのではないでしょうか。アートの新領域を切り拓き続ける梅沢さんに、ぜひこれからもご注目ください!

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