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大城直也監督インタビュー

大城直也監督インタビュー

インタビュー・テキスト
川瀬いつか
2008/02/26

生まれ育った場所(糸満)へ還りたいという、僕の気持ちの表れなのかもしれません

―映画を監督するのは初めてだったということですが、脚本制作から、撮影・編集、全国各地での上映を通してどのように感じられましたか?

『琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。』

大城:実は『琉球カウボーイフィルムス』という映画のプロジェクトに関わるのにあたって、監督という立場にこだわっていたわけではありません。普段はCMの企画・演出の仕事をしていますが、映画を作るにあたり、脚本でもいいし、製作でもいいし、車両部でもエキストラでもなんでもいい。とにかくこのプロジェクトを商品(僕らは沖縄県産品と呼んでいます。)にして、できるだけ多くの人々に観てもらいたいと考えました。結果、脚本を採用してもらい自分で監督することになるのですが、脚本作業が七転八倒の日々で、グタグタと書けない辛さ、泣き言をずいぶん妻に聞いてもらっていました。

監督という立場での上映中の感想は、沖縄も含め、東京、大阪、韓国で観てもらったのですが、一言『この場から逃げ出したい!』でした。たくさんの人に観てもらいたいというプロデューサー的な思いと、『方言だらけのこんな地方映画を、わかってくれるのだろうか?』という感情が交錯した記憶があります。ただ、2007年に韓国のプチョン国際ファッタステック映画祭に招待された上映の際、自分の作品で一番うけて欲しいシーンで韓国の人が大笑いしている顔を見た時、今まで味わったこのない感動を味わいました。

―糸満の伝説の空手家「マサー文徳」を作品の題材に選んだ理由を教えてください。

『琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。』

大城:マサーおじいの話は、父親から昔話のように何回も聞かされていて、僕の生まれた糸満では伝説の人です。今回の映画をつくるにあたってとにかくこだわったのは、自分が映画にして観たいものにすること。自分が観客の一人として、お金を出しても大丈夫だぞ! と思える映画にすることを強く意識しました。あたりまえのようですがとても難しい作業でした、何本ものシナリオがボツになりました。実は最終的に『マサーおじいの傘』以外にもう一本脚本があり、自分はその作品を撮りたいと思っていたのですが、スタッフからは実現するのには技術的な問題や、予算の問題がありすぎるとの意見が続出し、泣く泣くあきらめた後に生まれたのが『マサーおじいの傘』でした。

伝説の空手家という人物ですが、武勇伝がないという不思議さ。戦わない強さ。父親との関係。いじめの問題。いろんなキーワードが生まれてきて、かなり早いペースでシナリオを書き上げました。たぶん自分の中で『マサーおじいの話』が熟成していて、なにかに背中を押されるようにできた作品なのかもしれません。それは生まれ育った場所(糸満)へ還りたいという、僕の気持ちの表れなのかもしれません。

―「マサーおじいの傘」では、少年の心の機微がとても美しい映像で描かれています。全編を通して、日向と影のコントラストや水面の反射、雨の滴など、光がとても綺麗でした。映像的な部分でこだわったところ、また、特に想い入れのあるシーンはありますか?

大城:普段CMの仕事でやっているので、映像トーンというか、光、アングル、などにはこだわりはあるつもりなのですが、今回映像で特に意識したのは「湿度」とか「匂い」なのかもしれません。舞台が1975年ということもあって、僕が記憶する当時の糸満の色と匂いを再現したいと思いました。匂いというイメージに関しては、あまり美しい意味合いではなく、たぶん言いようのない湿気臭というか、建物や路地を支配する、いわば霊気のようなものかもしれません。ちなみに僕が一番好きなシーンは冒頭で、マサーおじいが犬の鳴き声の後に、走り去るシーンです。このシーンにはある意味が隠されていて、一人でいつも笑い転げています。

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作品情報

『琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。』

沖縄県内外で絶賛上映中

プロフィール

大城直也

1965年、沖縄県糸満市生まれ。東京スクールオブビジネスマスコミ広報学科卒業後、CMディレクターとして数多くのCMを手がける。2005年、(株)シュガートレイン共同設立。沖縄県産オムニバスムービー『琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。』にて、『マサーおじいの傘』の監督・脚本を担当する。同作は2007年韓国プチョン国際ファンタスティスック映画祭に正式招待された。

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