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『パニックLevel.01』発売記念 MMMatsumoto(『MARQUEE』編集長)インタビュー

『パニックLevel.01』発売記念 MMMatsumoto(『MARQUEE』編集長)インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
写真:柏井万作
2009/08/28

今年で創刊30周年を迎え、昨年末のcapsuleに続いて、MEGの別冊を発刊するなど、精力的な発信を続けている音楽雑誌『MARQUEE』。その“MARQUEE”監修によるコンピレーション・アルバム『パニック Level.01』が発表された。FLUID、immi、1000say、3nd、Sweet Vacation、ニルギリスと、収録アーティストの名前を並べただけでは文字通りPANICを起こしそうなぐらい、ジャンルも形態もバラバラなのだが、重要なのは音楽的な統一感ではなく、その並びから立ち現れてくる編集長MMMatsumoto氏の視点なのであり、その独自の視点は今後の音楽業界にとっての大きなヒントとなるのかもしれない。“MARQUEE”の読者や早耳のリスナーはもちろん、ミュージシャンから業界関係者まで、必読のテキストである。

100万曲ダウンロードできますって言われてもさ、100万曲から選べるほどみんな音楽に詳しくないっていうのが実情ですよ。

―まずはなぜこのタイミングでこのようなコンピを出すことになったのか?という所からお聞きしたいのですが。もちろん『MARQUEE』の創刊30周年というのがあるとは思いますが。

MMMatsumoto:30周年というのはあくまで+αですよね。2004,5年にMySpaceとYouTube、光ファイバーの一般普及とかね、そういうことがあったわけじゃない?00年代最大のというか、人類最大の分岐点がここなんだよ。情報操作がされなくなったっていうね。そこに影響を受けたカルチャーがもう起こってるわけじゃないですか。ネットが及ぼした効果っていうのは、当然音楽にも流れてきてて、それが表れたのが2006,7年ぐらい。そういう中で音楽が急変質していく時期っていうのがあって、いつも『MARQUEE』はそれを捉えたいと思ってるわけですよ。その中でこのコンピレーションの話をいただいたんです。

―ネット社会で膨大な情報量が溢れ返る中で、交通整理をする必要があるという話も以前していましたよね。

『パニックLevel.01』発売記念 MMMatsumoto(『MARQUEE』編集長)インタビュー

MMMatsumoto:情報が多くなってしまった時代っていうのは、コンパイルすること自体が表現になっちゃうわけ。情報が少なかった時代、ジャケ買いとかが流行ってたような時代は、情報を提供することが一つの表現で、それがDJカルチャーを生んだわけだし、橋本徹氏とか小西康陽さんとか、藤原ヒロシとかが時代の象徴だったわけじゃない? 今は情報が多過ぎるから、何らかの方向性を定めて提示しないと、実際には停滞してしまうんだよね。100万曲ダウンロードできますって言われてもさ、100万曲から選べるほどみんな音楽に詳しくないっていうのが実情ですよ。

だから何らかの条件をつけて100曲に絞った方が、有効に音楽が伝達していくんだよね。そういう点でコンパイルすることは大事で、あとは盤にしてもいいし、ネットの中でページを作っても構わない。ただし条件があって、どういうセレクションの基準なのかってことですよね。それを声高に言っていかないと、何なのかわかんなくなっちゃう。まあ、声高に言ってもよくわかんないっていうのが、このコンピのポイントなんですけど(笑)。

―FLUIDとSweet Vacationが一緒に入ってるコンピなんて『MARQUEE』じゃないとあり得ないですよね(笑)。でもライナーノーツで書かれていたように、ネットとフェスという背景があって、リスナーのキャパシティが増えたことが、こういったコンピが成り立つ要因になってるわけですよね。

MMMatsumoto:象徴的だと思うんだ、ネットとフェスっていうのが。新しい背景をバックボーンに出てくるものっていうのは、独特な形をとるわけですよ。同じようなことがね、今から40年前ぐらいにやっぱりあって。その時は通信衛星が活躍したわけだ、あとテレビ。それは西側でしか起こってないんだけどね。要するにアメリカ、イギリス、日本、ドイツ、フランス、そういった国で学生運動が起きた理由は、太平洋・大西洋・インド洋の上空にさ、通信衛星が上がってるわけですよ。それを通じて発信者から受信者へ一方向の流れで同じ情報が流れたわけだ。

だから同時期に学生運動が起こってるわけね。そういう風に情報がワーッて流れた場合に、そういう中で起こってきた音楽がどんな形をしてたかっていうとさ、千差万別なんだよ。今で言うヘビーメタルの原型みたいなものとか、プログレとか、アシッド・フォークでも何でもいいんだけど、つまり一種のウィルスが撒かれたと考えてほしい。一種の細菌が、通信衛星を通じて同時期に流れてしまった、それにみんな侵されてしまったわけですよ。だからジャンルは関係ないんだよ。今もそれと同じで、インターネットを通じて細菌が撒かれたわけですよ。その細菌っていうのはいろんなタイプの音楽に感染してるわけだ。だからこれっていう音楽の形をとらないっていうか、空気とかムードでしかない。

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リリース情報

V.A.『パニックLevel.01』
V.A.
『パニックLevel.01』

2009年8月5日発売
価格:2,300円(税込)
TKCA-7345

1. 2D boys kill your Space / FLUID
2. Go with the flow(feat.Shigeo) / immi
3. Welcoming Morning / pal@pop
4. Heavenly Star / 元気ロケッツ
5. Quadra(Replace MIX) / ザ・ジェッジジョンソン
6. ONE STORY / 1000say
7. Flashpoint / キラーコンドルズ
8. Clockworker / 3nd
9. morning spider / perfect piano lesson
10. Glamorous Buddy / Dr.USUI
(SoftBank 821N GLA TVCM使用楽曲)
11. 水玉病 / アーバンギャルド
12. I Feel So Good ~2nd edition~/ Sweet Vacation
13. Circle / tokyo pinsalocks
14. チックチックチック / ニルギリス

プロフィール

MMMatsumoto

本性:松本昌幸。ペンギン好き?。夢は21世紀少年。熱いヤツです。音楽は本当になんでも聴きます。あ、そうそう『MARQUEE』の編集長。音楽を通じて「0から1へ本当に進むのか?」「0と1って本当に存在するの?」と問い続け、CORNELIUSやBUFFALO DAURHTERに行き着いた1997年頃から国内アーティストをメインに転換。アヴァンギャルドなのにポップとか、横ズレ・不整合が大好物。集中力には自信アリ。誕生日3月5日。プレゼント、随時受け付け中。

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