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鈴木祥子インタビュー

鈴木祥子インタビュー

インタビュー・テキスト
雨宮まみ
撮影:荒牧耕司
2010/04/10

鈴木祥子の名前を知っている人、知らない人、鈴木祥子の歌を知っている人、知らない人も、このインタビューを読む前に、4月8日にUPLINK RECORDSからリリースされた彼女の新曲”my Sweet Surrender”を聴いてほしい。先に知識を仕入れるのではなく、音楽から入ってほしい。インタビューを書いているのに矛盾したもの言いかもしれないが、”my Sweet Surrender”はそのくらい楽曲の持つ力が強い曲であり、なんの不純物も先入観もなしに聴いてほしい曲だからだ。聴いた上で「この曲は、なんなんだろう?」という衝撃を感じたら、この先を読み進んでほしいと思う。

(インタビュー・テキスト:雨宮まみ 撮影:荒牧耕司)

「穏やかな歌姫路線」ではない、鈴木祥子自身としての表現とは

―新曲の”my Sweet Surrender”を最初に聴いた時、とてもいい歌だと素直に思いました。けれど何か単純にいい歌だという以上のひっかかりを感じて、同時発売になるドキュメンタリーDVD『無言歌〜romances sans paroles〜』を観たら、これは大変な歌だと思いました。鈴木さんが「女性」であるということに大変な葛藤を抱えて表現をしてきたということが、『無言歌〜romances sans paroles〜』からは非常に切実に伝わってきます。

鈴木:女性の「生き難さ」というものは、何も私が特殊な職業だから感じていることではないと思うんです。主婦であろうが、普通に働いている女性であろうが感じることで。私が『無言歌〜romances sans paroles〜』の時、なんであんなにやさぐれていたのかというと(笑)、なにかムカつく言い方をされた時でも笑ってしまう自分がいたんです。内面は怒ってるのに、とりあえず笑ってその場をおさめようとしている、その笑ってる自分がすごく気持ち悪かったんですね。統制が取れてないじゃないですか。怒ってるのに顔は笑ってるという乖離に嫌悪感を感じて「私にムカつく場面で笑うことを選ばせているものは一体何なんだろう」と考えてみたところ、それは「女は笑顔で場を和ませなくちゃいけない」といった社会的な変なプレッシャーだと気づいた。そういうものをずっと教え込まれてきたからそうなっているのであって、自分を責めることはないと思ったんです。

でもこういうことをずっと続けていると、自分が本当に感じていることと、女として背負わされている役割との乖離がどんどん進んでいって、内面が死んでしまうんじゃないかという危機感を感じていたのが『無言歌〜romances sans paroles〜』の撮影の時でした。


―『無言歌〜romances sans paroles〜』の内容は、ある種の人にはとてもショッキングなものだと思うんです。鈴木さんは一見、そういった激しい怒りを持って表現をしている人に見えないところがあって。

鈴木:そうでしょうね。昔、プロデューサーやアレンジャーの方に、「穏やかで優しい歌を歌う歌姫路線」みたいなのを勧められた時があったんですよ。不穏当なことを言わないで耳障りのいいラブソングを歌ったり、ちょっとした女の子の日常みたいなのを歌ったりする、そういう路線を勧められたんですけど、自分はポップスの中でもっと生々しいことを歌ったっていいんじゃないかと思ったし、女だから耳障りのいいことばっかり歌えというのも違うんじゃないかという気がして。

鈴木祥子インタビュー
『無言歌〜romances sans paroles〜』

女性って、男性の10倍から100倍ぐらい容貌が重要視されますよね。私がそういう「守ってあげたい路線」の歌を歌った方がいいよ、と人に言われたのも、見た目がおとなしい感じだったからだと思います。見た目とやっていることに違和感がなければないほど、人はそれを受け入れやすいし、齟齬がない方が受け入れられやすい。私は「おとなしそう」とか「言うこと聞いてくれそう」な感じに見られることが今までとても多くて。

やってることとは関係のない、容貌のことで評価をとても左右される。それは女の人の特殊なところですよね。

―そう思われているところで『無言歌〜romances sans paroles〜』を出すのは、かなり勇気の要ることではなかったですか?

鈴木:観た男性から「あなたの音楽は好きだけど、人間性は大嫌いだ」とハッキリ言われたりもしました。でも、私は音楽と自分を切り離すことは考えられない。自分を音楽からも、女ということからも切り離せない。特に『無言歌〜romances sans paroles〜』を観た人からは「女、女ってこだわらなくても、人間だからいいじゃん、どっちでも」って言われるんですけど「フッ、わかってないね」と思いますね。こういう人にはいくら説明しても一生わからないんだろうという無力感はありますけど、「男とか女とか関係ないじゃん」っていうことの前に、現実に女の生き難さを自分が感じてる限りは、そういう声にめげちゃいけないと思うんです。自分が感じてることを言っていかなきゃダメだという気持ちがありますね。

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イベント情報

『無言歌〜romances sans paroles〜』上映+トークショー

2010年4月11日(日)21:00〜
会場:第七藝術劇場(大阪・淀川区)
料金:一般・専門・大学生1,500円 シニア1,000円
※当日券のみの販売
※上映後、鈴木祥子によるトークショーあり

タワーレコード新宿インストアライブ&サイン会

2010年4月17日(土) 13:00〜
会場:タワーレコード新宿(7Fイベントスペース)
問い合わせ:タワーレコード新宿店 03-5360-7811

『無言歌〜romances sans paroles〜』上映+ミニライブ+トークショー

2010年4月17日(土)、4月18日(日)
会場:アップリンク・ファクトリー(東京・渋谷)
ゲスト:
石井ゆかり(4月17日)
中村うさぎ(4月18日)

『無言歌〜romances sans paroles〜』アンコール上映

2010年5月3日(月・祝)〜5月7日(金)連日15:00より上映
会場:アップリンク・ファクトリー(東京・渋谷)

鈴木祥子NEW SINGLE発売記念ツアー2010
『My Sweet Surrender』
東京公演

2010年5月9日(日)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:吉祥寺ROCK JOINT GB
料金:前売5,000円 当日5,500円(1ドリンク別、オールスタンディング)
チケット取り扱い:GB店頭、チケットぴあ
問い合わせ:GB 0422-23-3091

大阪公演

2010年4月13日(火)
OPEN 19:00 / START 19:30
会場:梅田シャングリラ
料金:前売5,000円 当日5,500円(1ドリンク別、オールスタンディング)
チケット取り扱い:e+、チケットぴあ、ローソンチケット
問い合わせ先:シャングリラ 06-6343-8601

すべての詳細

リリース情報

鈴木祥子<br>
『my Sweet Surrender』
鈴木祥子
『my Sweet Surrender』

2010年4月8日発売
価格:1,500円(税込)
UPLINK RECORDS ULR-021

1. my Sweet Surrender
2. 名前を呼んで〜When you call my name
3. 恋人たちの月
4. 黒い夜 [Live ver.]
5. あたらしい愛の詩 [Live ver.]
6. my Sweet Surrender [karaoke]
7. 名前を呼んで〜When you call my name [karaoke]

鈴木祥子<br>
『無言歌〜romances sans paroles〜』
鈴木祥子
『無言歌〜romances sans paroles〜』

2010年4月8日発売
価格:5,040円(税込)
UPLINK ULD-532

収録作品:
ドキュメンタリー作品『無言歌〜romances sans paroles〜』
ミュージック・クリップ集『名前を呼んで〜When you call my name』
フォトブック

プロフィール

鈴木祥子

1988年、エピック・ソニーよりシングル『夏はどこへ行った』でデビュー以来、14枚のオリジナル・アルバムを発表。日本を代表するシンガーソングライターとして活動を続ける。中学の頃からピアノを習い始め、高校時代になり一風堂の藤井章司に師事しドラムを学ぶ。卒業後、原田真二やビートニクス(高橋幸宏・鈴木慶一)、小泉今日子のバッキング・メンバーを経て、デビュー後は国内では数少ない女性のマルチプレイヤーとしても地位を確立する。またソングライターやサウンドプロデューサーとして小泉今日子、松田聖子、puffy、金子マリ、渡辺満里奈、川村カオリ、坂本真綾など、数多くのアーティストを手がけ、高い評価を得ている。
2008年、デビュー20周年を記念して渋谷CCレモンホールでライヴを開催。2009年には出演・撮影・主題歌を手がけたドキュメンタリー映画『無言歌〜romances sans paroles〜』が公開された。そして2010年、シングル『my sweet surrender』とDVD『無言歌〜romances sans paroles〜』をUPLINK RECORDSより4月8日にリリースした。

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