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この時代の「アート」の在り方 音楽家・高橋英明インタビュー

この時代の「アート」の在り方 音楽家・高橋英明インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:迫田容満
2010/09/15

「表現には色んな形があっていい」。それが音楽家・高橋英明の基本スタンスである。様々な名義を使い分けての現代音楽とエレクトロニカを横断した音楽活動、レーベル運営、映像制作、ダンサーとのコラボレーション、そして2007年に上演され、イギリスの音楽雑誌『WIRE』に掲載されるなど、海外でも話題を呼んだメディア・アート『our
link(アワーブリンク)』などなど。これらの多彩な活動の背景にあるのは、高橋の飽くなきアートへの探究心はもちろん、前述の明確なスタンスがあってこそであり、それは環境の変化が著しい現代社会において、どんな芸術分野に携わる者にとっても、今改めて問い直すべき命題だと思う。4月に発表されたdeep frame名義の最新作『日々のはざま』のリリース・ライブを終え、次なる展開を控えた高橋に話を聞いた。

(インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:迫田容満)

クラシック音楽も電子音楽も分け隔てなく育った幼少期

―音楽の原体験はクラシックだそうですね?

この時代の「アート」の在り方 音楽家・高橋英明インタビュー
高橋英明

高橋:そうですね。クラシックはずっとやってて、その後に冨田勲さんのシンセサイザーの作品とか、YMOとかを聴いて、電子音楽も並行してやってました。祖父が電気工学をやっていた絡みもあって、昔から家に製品化されなかった試作品のメディアが転がってたんです。磁気テープのカード式の録音機とか。

―サッカーボールを蹴ってみるような感じでそういうものに触れてたんですね。

高橋:僕の幼少期だとまだMTR(マルチトラック・レコーダー/録音機)ってめちゃくちゃ高かったんですけど、小学5年生のときに親に拝み倒して買ってもらいました。何か記録しないとエネルギーがもったいないって当時すごく思ってて。「今やんなきゃ、今残さないと意味がない」って言って(笑)。

―その頃から曲を作ってたんですか? 最初は録音すること自体が楽しかった?

高橋:どっちもありましたね。有名な曲を自分でアレンジしてみたりしてたんですけど、マネをして作っても意味がないってどこかでわかってて、それで自分で曲を作れるようになりたいと思って中学から作曲を習い始めました。

―クラシックと電子音楽は高橋さんの中で住み分けがあったんですか?

高橋:僕にとっては両方同じパレットにある感じなんですね。いまだに仕事としてもどっちも使っていて、アコースティックなものも作るし、エレクトロニカも作るし。

この時代の「アート」の在り方 音楽家・高橋英明インタビュー

アイディアは音楽からだけだと飽和してしてると思うんです。新たな切り口を探すには、飽くなき追求をすべきだと思ってて。

―その一方で絵も習ってたんですよね?

高橋:父親が意識的に音楽だけじゃなくて美術とかにも興味を持たせようとしてたと思うんですけど、そこの先生が自由で、絵を描くだけじゃなくて、何をやってもいいところだったんで、アクリルのオブジェをよく作ってました。その影響があるのか、いまだに曲を発想するとき視覚的な要素から変換することってすごく多いんですよね。例えば、キュビズム的なものがあったとしたら、多面的に見える要素とか、影に見える要素は音でいえばどういうことだろう? って考えてみたり。音楽自体からの影響ってダイレクトになっちゃうじゃないですか? 一回変換を挟むっていうのは、聴いてない世界を自分の中で作るってことで、それがすごく面白いですね。

―アカデミックに作曲を学びつつ、そういった発想もあるっていうのが面白いですね。

高橋:例えば(ヤニス・)クセナキスとか、乱数表を用いたり、コンピュータを使ったりしつつそれを音楽にしてるんですけど、ああいうアイデアって今の人たちは自然に取り入れざるを得ないっていうか。音楽が始まってからすごい歴史があって、調性音楽だけで言いっても300年近くなってるので、音楽からだけのアイディアだと飽和してると思うんです。新たな切り口を探すには、飽くなき追求をすべきだと思ってて。

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リリース情報

deep frame<br>
『日々のはざま』(CD+DVD)
deep frame
『日々のはざま』(CD+DVD)

2010年4月22日発売
価格:3,000円(税込)
aiding / AID008

1. lontano
2. color of tears
3. 透徹の朝
4. 雪花
5. white trees
6. チャイのみち
7. やさしいまなざし
[DVD収録作品]
1. color of tears(Director : Hideaki Takahashi)
2. 透徹の朝(Director : Robert Glassford)
3. white trees(Director : Andrew Thomas & Yu Fujii)
4. やさしいまなざし(Director : Lena Lenzen)

プロフィール

高橋英明

音楽家。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。同大学大学院修了。これまでに、mjuc 、deep frame、nature blunt、名義でリリースがある。また2007年にはメディアオペラour
linkを公演しイギリスの音楽雑誌『WIRE』に掲載されるなど海外からも大きな注目を集めた。今年5月には自身が監督をした映像作品を含むCD+DVD『日々のはざま』をリリース。ダンスや映像など多分野のアーティストとのコラボレーションも多数ある。2002年より音楽レーベルaidingを主宰。

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