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「obla( )t」レーベル発足記念 谷川俊太郎トークショーレポート

「obla( )t」レーベル発足記念 谷川俊太郎トークショーレポート

テキスト・構成
小山ひとみ
撮影:小林宏彰
2010/10/01

「詩を本の外にひらいていく」デザインレーベル「obla( )t(オブラート)」。9月7日、レーベル発足記念のトークショーが青山ブックセンター本店にて開催された。満席の会場では、会社帰りのOLやサラリーマンをはじめ母親と一緒に来場する子供の姿も。世代、性別、国籍を超えて多くのファンに愛される詩人、谷川俊太郎氏を中心に、obla( )t(オブラート)の同人たちによるプロダクトの解説や今後の展望など詩の新たな可能性が語られた模様をレポートする。

デザインレーベル「obla( )t(オブラート)」とは?
メディア自体を詩的な操作対象にしたデザインレーベル。本の世界に閉じ込められていた詩の仕事を、プロダクト、空間、情報技術の場で展開する。活動は期限を設けない継続的なもので、同人である詩人の谷川俊太郎氏の作品を皮切りに、様々な作品発表を予定している。
obla()t | オブラート

(テキスト・構成:小山ひとみ 撮影:小林宏彰)

詩が立体的になり、「浮彫り」みたいできれいだなと(谷川)

松田:今日は京都からSkypeで参加していただくイチハラヒロコさんを含め4名でトークを進行していこうと思っています。まず、私たちが掲げている obla( )tについてお話をしたいのですが、よく「obla( )tって何ですか?」「obla( )tって誰ですか?」という質問を受けるのですが、そこははっきりさせないでおこうという思いがあるんです。コアメンバーはいるのですが、同人的に柔軟に進めたいんですね。

「obla( )t」レーベル発足記念 谷川俊太郎トークショーレポート
(左から:松田朋春、谷川俊太郎
、杵村史朗
、Skypeで参加するイチハラヒロコ)

谷川:僕は詩を書き始めてお金をもらえるようになってから、次第にただ原稿用紙に詩を書き連ねるだけではつまらないと思うようになったんです。紙から離れて、まずは「詩を声に出す」ということから放送劇の脚本に携わるようになりました。それから、記録映画の脚本も書きました。別に自分から積極的に売り込んだわけではないのに、詩以外の仕事を受注するようになったんですね。映像と言語の組み合わせや言語の音声化といった、若い頃からの考えの延長線上に今のobla( )tの考えがあるといえます。

杵村:松田さんから「詩は言葉ですが、それをプロダクトにするんです」というお話があったとき、正直よく分からなかったんですよね。

谷川:まさにオブラートに包まれていたんですね(笑)。

松田:確かに、モノとして作り上げないとよく分からないと思うんです。実際にそのモノを見ていただいた方が分かりやすいと思いますので、早速プロダクトの紹介をしたいと思います。

まず、こちらのプロジェクターに写っているのが、obla( )t01の『Poemicro(ポエミクロ)シリーズ』です。谷川さんと話を進めていくうちに「顕微鏡のガラスの詩集」という案がでてきました。それがこのプロダクトのはじまりだったんです。この場合、何で見るのかというのが非常に大事で、見るための顕微鏡を決め、その顕微鏡で見える大きさの原稿用紙を決め、そして谷川さんにその原稿用紙の中で詩を書いていただいたんです。子供から大人までが楽しめるように対象を5歳から45歳までを10歳ごとに区切り、五編の詩を書いていただきました。ちなみにこの詩はガラス以外では公開しないオリジナルの詩になっています。

「obla( )t」レーベル発足記念 谷川俊太郎トークショーレポート

谷川:詩ってもともと平面的なものだから、それがガラスの上で立体的になって「浮彫り」みたいになるときれいだなって思ったんですよね。

松田:一文字が0.2ミリでできていて、漢字の場合はつぶれてしまったり、隣とくっついてしまったりと技術的に非常に難しい作業だったそうですが、それはそれで味があるという谷川さんのお言葉を生かしてそのまま作り上げていったんです。

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プロフィール

谷川俊太郎

1931年東京生まれ。1952年『二十億光年の孤独』(創元社)でデビュー。
詩作のほか、絵本、翻訳など幅広く活動している。読売文学賞、日本翻訳文学賞、野間児童文芸賞、萩原朔太郎賞、鮎川信夫賞ほか受賞多数。

杵村史朗

株式会社セガ・エンタープライゼスを経て、2000年独立。
東芝,KDDI,SONY,NECへのプランニング支援、倉木麻衣、B’zなどミュージシャンのDVDメニューインターフェイス、JustinDavis、東電パートナーズなどC.I.デザイン、マーサー・ヒューマンリソースコンサルティング、ティップネス等の広告、ゲーム分野ではアートディレクターとして参加したプロジェクトが文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門推薦優秀作品やシーグラフ・アジア・フィルムフェスティバル選考作品に選ばれる。

イチハラヒロコ

1963年京都生まれ。1985年京都芸術短期大学(現京都造形芸術大学)ビジュアルデザイン専攻科修了。
1988年より言葉や文字をモチーフに作品を制作。豊田市美術館、水戸芸術館、東京都現代美術館、京都国立近代美術館等で作品を発表する一方、百貨店の工事仮囲いや、スケートリンクに文字を描くなど、屋外展示も多数。大阪の布忍神社に「恋みくじ」を設置したり、イギリスとオランダのショッピングセンターで「万引きするで。」と書かれた紙袋を2,000枚配布するパフォーマンスをするなど、その活動はユニーク。

松田朋春


1964年東京生まれ。グッドアイデア株式会社代表。
イベント、商品開発、広告企画、出版、アートプロデュースなどに携わる。2005年愛・地球博公式アートプログラムでプランニング担当。「ランデヴー プロジェクト」「ダイアログ・イン・ザ・ダーク・タオル」「はっぱっぱ体操」「ピノキオプロジェクト」でグッドデザイン賞受賞。著書「ワークショップ−偶然をデザインする技術」(共著・宣伝会議)。(株)ワコールアートセンター/スパイラル チーフプランナー。立教大学観光学部非常勤講師。

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