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毒があるのもうなづける、suzumokuの初期衝動

毒があるのもうなづける、suzumokuの初期衝動

インタビュー
タナカヒロシ
テキスト・撮影:柏井万作
2010/12/10

今年1年でフルアルバムと3枚のシングルをリリースし、年明け1月にも新しいアルバム『ベランダの煙草』のリリースを控えているsuzumokuが、大きな飛躍の時を迎えている。もともとストリートからうたを歌い始めた彼は、安易なラブソングや応援歌など歌わずに、彼自身が感じ取ったリアリティーをありのままに表現することで道を切り開いてきた。日常の美しさを切り取るセンスも素晴らしければ、センセーショナルに社会を批評する毒々しさも痛快で、彼からどんな歌が生まれてくるのか、常に聞き手をワクワクさせてくれる希有なシンガーソングライターだ。そして1月に出るアルバムは、そんな期待に応えるどころか、予想を飛び越え頭にガツンと響いてくる、驚きの傑作アルバムだった。

(インタビュー:タナカヒロシ テキスト・撮影:柏井万作)

いわゆる一般的に知られているラブソングっていうのは、本当にラブソングなのかな? って

―前のアルバム『素晴らしい世界』のリリースが今年の3月で、年明け1月にもう新しいアルバムをリリース。その間にシングルも3枚出して、すごいハイペースで活動されてますよね。まずアルバムに先駆けてリリースされた“フォーカス”についてお伺いしたいんですけど、この曲はどういう経緯でできたんですか?

suzumoku:趣味でカメラをやってるんですけど、そういえば自分の好きなカメラについて、歌を作ったことがなかったなというところから始まって。だいたい作ってみたんですけど、歌詞の内容が全然いまとは違って、フィルムの名前が出てきたり、ものすごいマニアックで。

―カメラオタクに捧ぐ、みたいな。

毒があるのもうなづける、suzumokuの初期衝動
suzumoku

suzumoku:そうなんです(笑)。いちおう新曲できましたって、いろんな人に聴かせたんですけど、「曲の雰囲気はいいんだけど、歌詞が非常にもったいないことになってるな」って(笑)。確かに自分でも、バラードとしてはいい感じのメロディーなんだけど、こうなると歌詞のなかに人間味というものがほしいなと思っていて。そんな時に、「ラブソングにしてみたらどう?」っていう意見をもらったんですね。でも、いままでちょっと敬遠してた部分もあるんですよね、ラブソングっていうのは。

―それはなぜ?

suzumoku:他人の恋愛話を聴いても別におもしろくないなと思っていたので。でも、食わず嫌いかもしれないと思って、ラブソングを意識して、メロディーもちょっと作り直して、歌詞も書き直したんです。「ラブソングの〈ラブ〉っていうのは〈愛〉だよな、いわゆる一般的に知られているラブソングっていうのは、本当にラブソングなのかな?」って思いまして。こう、誰それに会いたいとか、君が好きでたまらないとか。

―「会いたくて会いたくて震える」的な(笑)。

suzumoku:それは「愛」というよりは、「恋愛」の曲なんだろうなと。じゃあ「愛」とはなんぞやと思って辞書で調べたら、「誰それを慈しむこと」と書いてあって。それなら「慈しむ」はどういう事なんだろう? と思って調べたら、そこには「愛すること」って書いてある(笑)。行ったり来たりなんですよね。

―はははは(笑)。

suzumoku:だから自分で考えてたんですけど、「愛」って日常というものに密接に関係しているものなのかなと思って。家族との関係もそうだし、長年連れ添った夫婦も、愛情があるからそこまで一緒に歩んでこれたんだろうと思うんです。だから、「いま隣にいる人」って大切だなと思ったんです。もちろんそれは恋人かもしれないんですけど、「その人とのいま」という関係は、そこに愛情っていうものがあるから成り立っているんだと思って。

―大切な人、ということでもありますよね。

suzumoku:そうですね。だから、これは聴いてくれた人がそれぞれに答えを持ってくれたらうれしいですね。「愛」をテーマに書きましたけど、そこに明確な答えがあるのかと言ったら、そういうことじゃないと思うので。

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リリース情報

suzumoku<br>
『フォーカス』
suzumoku
『フォーカス』

2010年12月1日発売
価格:1,260円(税込)
apart.RCORDS / APPR-1202

1. フォーカス
2. フォーカス(Instrumental)

リリース情報

suzumoku<br>
『ベランダの煙草』
suzumoku
『ベランダの煙草』

2011年1月12日発売
価格:2,100円(税込)
apart.RCORDS / APPR-2007

プロフィール

suzumoku

中学2年でギターを持ち、同時に作詞・作曲も始め、地元静岡のストリートで歌い始める。様々なジャンルの音楽を聞き漁り、音楽性を模索する日々。高校卒業後、楽器製作の専門学校に入学し、ギターやベースの製作に明け暮れる。音楽は完全に趣味にしようと決め、岐阜にある国産手工ギター工場に就職。音楽活動を一旦休止するも再開。ギター職人の道とミュージシャンの道、どちらが本当に進むべき道なのか真剣に考え、06年夏、プロミュージシャンになることを決意。07年1月に上京し、10月にアルバム『コンセント』でデビュー。都内を中心にライブ活動を続ける中、08年からインスト・ジャズ・バンド"PE'Z"との合体ユニットpe'zmokuを結成。ギター&ヴォーカル担当として大抜擢。多くの経験を積み重ね、2010年ソロ活動を本格的に始動し、3月にアルバム『素晴らしい世界』を発表した他、3枚のシングルをリリース。2011年はニューアルバム『ベランダの煙草』と同アルバムを携え、初の全国ツアーをスタートさせる。

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