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なぜSpangle call Lilli lineはここまで自由に活動できるのか

なぜSpangle call Lilli lineはここまで自由に活動できるのか

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作

自分がホントに聴きたいアルバムを作るんだったら、僕は他人の曲でコンピを作ると思うので(笑)。

―『New Season』に続いて10月には『Piano Lesson』も発表されるわけですが、同時期に全く違うサウンドの作品を発表するのもスパングル流のスタンダードになってきましたね。

藤枝:結果としてはそうですね。『New Season』みたいなアッパーな作品があって、その反面『Piano Lesson』ではギターが一切鳴ってないし、静寂の方が多い。ただ録音の時期が違って、『Piano Lesson』は2年前ぐらいに録ってるんですよ。

―あ、そうなんですね。

笹原:僕が写真展をやった時に、ピアノメインでアコースティックライブをやったんですけど、それが良かったから、そのまま録音もってことでスタジオに入って。

藤枝:そこからミックスにも半年ぐらいかけたんですけど、その時に『dreamer』みたいな、ポップなバンドサウンドに行きたいっていう気持ちが急に出てきたので、1回お蔵入りにしてたんです。でも、今回これぐらい真逆の作品とあわせてリリースするんだったらいいかと思って(笑)。

―それをやっちゃうのが面白いところですよね。

なぜSpangle call Lilli lineはここまで自由に活動できるのか

藤枝:リスナー体質なんだと思うんですよね。ピアノのアルバムも聴くし、ロックも聴くんだから、自分のバンドはロックしかやらないとかじゃなくて、そういうモード全部を自分の作品として作りたい。ただ、バンドでやると、僕以外の2人の感覚もあって、自分が想像してたものじゃない感じに仕上がるのがいいなって。自分がホントに聴きたいアルバムを作るんだったら、僕は他人の曲でコンピを作ると思うので(笑)。


―じゃあ、基本的には2年前に録ったものをそのまま使ってるわけですか?

藤枝:ミックスでかなりバージョンアップはしていて、今の自分の気分的に、かなりミニマルな感じになっています。だから、2年ぶりに2人に「この曲順でどうかな?」ってアルバムの音源をデータで投げたら「なにコレ?新鮮!」とか「この音源、忘れてた!」って反応が返ってきて(笑)。

大坪:録音した時よりも、いい感じに変わってて、でも声は2年前のままなので懐かしい感じでした。

藤枝:録音した後はずっと聴いてなかったから、大坪さんは、録音時のイメージしかなかったんですよね。

―それが2年経って形を変えて現れたと。

笹原:「こんなのいつ作ったの?」みたいな気分です。知らない間に新しい自分の作品ができてるっていう(笑)。

バンドって続けば続くほどホントは楽になっていくはずなんです。

―今日話して改めて思いましたけど、本当にスパングルは活動が自由ですよね。さっきの『Piano Lesson』の話にしても、「お前何勝手にそんなことやってんだ!」ってなってもおかしくはないわけじゃないですか?

藤枝:そういうのはなくなりましたね。十何年やってて、同時期に活動してたバンドがどんどん消えていくのを間近で見てきて、「こういうやり方はダメだ」って思ったりもして。なるべくバンドが気持ちよく好き勝手にやりながらも、シーンからそんなに無視もされずに存続するには、バンド=人生(生活)ってなっちゃうとキツいと思うんですよ。僕らは生活的にも自立してるので、それさえ崩れなければ、バンドって続けば続くほどホントは楽になっていくはずなんです。

―いろんな経験や知識が身につくし、積み重ねてきた歴史がバンドの今を後押ししてくれる部分もあるでしょうからね。

藤枝:かといって十何年同じことをやってますってわけでもなく、新鮮さも常にあるし、長くやればやるほど色んなことが受容できるようになって…最終的にメンバーが45人増えて、48人になることだってあるかもしれないし(笑)。

―SCLL48(笑)。

笹原:そしたら金子さんもメンバーに入りますか? 取材もバンド内でできちゃうっていう(笑)。

藤枝:実際僕の中ではメンバーもレーベルの人もイコールの存在というか、その方がうまくいくんです。音楽のクオリティを下げずに、ひよらずに、それでいてある程度世の中のモードとも向き合って、どんどんやりたい感じにはなってきてますね。

―それができてる人はなかなかいないですよね。

藤枝:でも、USのインディーとかで、そこそこセールスも人気もあるんだけど、普段は消防士で、自宅のガレージでレコーディングしてますってバンドとかいますよね。それぐらいの感じでいいと思うんですよ。普通に生活があって、音楽は自分たちのペースでやってて、でもたまにナショナルチャートに入るようなものを作れてるみたいな。そうじゃないとキツいと思います、限られた期間で結果を出すとかっていうのは。

―日本だとtoeがそれに近い状態で活動できてるバンドかもしれないですね。

藤枝:そうですね。それが地に足の着いたってことだと思うんです。新しいもの、いいものを作るっていうキツさはもちろん常にあるんだけど、数字で勝負するっていうキツさはなくて、「ここに向かって、こういう風に進んでいかなきゃいけない」っていうルールに乗る必要もないし。「来年このホールが埋まってないといけないよ、君たち」みたいなのはどう考えてもキツいでしょ?

―特に今って音源が売れなくなってライブに比重が傾いてると言われる中、事情があるとはいえ「ライブ活動休止します」と言えちゃうスパングルっていうのは、他のバンドからすると羨ましい限りじゃないですかね。

藤枝:でも、頭のいい子たちは既存のやり方じゃなくても、今はネットを使えば自分たちで活動できることに気付いてるし、自分たちでやった方がいいんじゃないかってことも多分気づいてると思うんです。

―じゃあ逆に、今のスパングルが抱えてる課題ってありますか?

笹原:…演奏力かな。

大坪:それは今に限らず、永遠のテーマでしょ(笑)。

笹原:夏の暑い時期にリハに行くのは嫌だとか…

藤枝:それ課題なのか?全国のバンドマンにぶっ飛ばされるよ(笑)。

―(笑)。クリエイティブな面での課題はもちろんあるにしても、バンドの運営とかに関しては問題がないってことの裏返しですよね。

笹原:はい(笑)、それぐらい些細な悩みしかない、ということです。

4/4ページ:迷いがなければ絶対それをやるべきだし、迷いがあれば変えればいいと思うし、それが通用するっていうか、そういう自由さはある気がしますけどね。

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リリース情報

Spangle call Lilli line『New Season』
Spangle call Lilli line
『New Season』

2011年9月7日発売
定価1,600円(税込)
felicity / PECF-1030 cap-126

1. seventeen
2. for rio
3. summer's end
4. utashiro ~instead of song~
5. cast a spell on her (Seiichi Nagai remix)
6. dreamer (YAKENOHARA DUB)
7. roam in octave (shinjuku june 2011 version)

Spangle call Lilli line『Piano Lesson』
Spangle call Lilli line
『Piano Lesson』

2011年10月5日発売
価格:2,300円(税込)
felicity / PECF-1033

1. an
2. "telephone"
3. cast a spell on her
4. inc.
5. limi side schedule
6. nano
7. soto
8. sugar

プロフィール

Spangle Call Lilli Line

1998年結成。メンバーは大坪加奈、藤枝憲、笹原清明の3人。 今までに10枚のオリジナルアルバムなど数々の作品をリリース。様々なコンピレーションアルバムなどにも参加。大坪による「NINI TOUNUMA」名義ソロ作品や、藤枝&笹原による「点と線」名義でのリリース、国内外のアーティストの作品への参加など、サイドプロジェクト等も活動中。

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