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『SONGBOOK』にみる、職業作家としてのキリンジ

『SONGBOOK』にみる、職業作家としてのキリンジ

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏木ゆか
2011/10/13

「ちょっとあげるの勿体ないかも…」って思ったら完成っていうか、そういうハードルは設定してます。(泰行)

―他の人が書いた詞を歌うことに関してはいかがですか?

泰行:あくまで企画盤なので、「この歌詞は自分の思ってることと違う」とか、そういう葛藤は全くないです。ただ、メロディを提供してる側として、歌詞の乗せ方は人によって違うから、「自分と違うな」って感覚になったりはしましたね。

―そういうのって新鮮に感じたりするんですか?

泰行:うーん、そこは思い入れのある曲を提供している分、ちょっとがっくりしちゃうときもあります。とはいえ、今回は気に入ってるものをチョイスしてるんで、もう一回自分たちでやって、この曲の魅力をもう一回自分たちで伝えるっていう、そういうことに意味があると思いますね。

―「思い入れのある曲を提供している」とのことですが、提供するにあたっての基準ってあるんですか?

堀込泰行

泰行:「ちょっとあげるの勿体ないかも…」って思ったら完成っていうか、そういうハードルは設定してます。「キリンジに」っていうリクエストで来てるわけですから、「キリンジと同じ基準のものをください」ってことだと思うんです。コンペに出す曲とかだったらまた違うと思うんですけどね。コンペだったら、ももいろクローバーみたいな曲をチャチャッて作るかもしれない(笑)。

高樹:チャチャッとは作れないよ、あれ(笑)。


―今アイドルとかアニメの曲提供はコンペがすごいっていう話はよく耳にしますが、そういうものに興味ってあったりします?

泰行:音楽的には興味はないですが…儲かりそうだなっていう(笑)。

高樹:面白いとは思いますけどね。ももクロとか、とてもじゃないけど普通の人には作れないでしょ? それはすごいと思いますけど、自分の心に響く音楽かっていうと、そうではないかな。アニメの音楽も確かにクオリティは高いけど、独特の臭みというか、ムードがあるじゃないですか? 「この歌すごくよくできてるけど、なんか違和感あるな」っていつも思うし、きっとその違和感が肝なわけですよね。僕はそこにピンと来てない人間なので、だから、僕らがコンペに出しても使われないと思います。「ぼんやりした曲だな」で終わっちゃうんじゃないですかね(笑)。

王道メロディというか、もう一回そういうのをやろうかなって気にはなりましたね。(泰行)

―『BUOYANCY』のジャケットが「ミュージック・ジャケット大賞2011」にノミネートされてますが、『SONGBOOK』のジャケットもユニークですよね。

泰行:毎回デザイナーと相談しつつ決めるんですけど、今回はあまり時間もなかったので、アーティスト写真を撮ったときにその場でアイデアを決めて、その場で写真も撮ったんです。一応、デザイナーが事前に作ったアイデアもあったんですけど…

高樹:元々レコード会社のスタッフとデザイナーで話し合ったものがあったんですけど、ちょっと考えオチっぽくて、「もうちょっと感覚的に、パッと見て面白いと思えるものの方がいいんじゃないですか?」って話になって。それでこのアイデアが出て、コンテもその場で書いてくれて、これだったら今できるなって。

―どういうコンセプトなんですか?

高樹:我々が提供した曲なんだけど、女の人が歌ってるのが多いじゃないですか? だから、顔が女性っていう案もあったんですけど、それだとAPHEX TWINみたいで気持ち悪いから(笑)、こういう感じに女性性を全面に出して、なおかつ我々の存在感もあるっていうことだと思うんですね。

―パッと見て、「あ、The La'sだ!」って思っちゃいました(笑)。

高樹:ああ、今言われて気づいた! The La'sだなあ、これ(笑)。唇がアップのジャケも結構ありそうですけど、だからといって股間のアップじゃあね(笑)。あ、でもMONTROSEのアルバムにあったか…

泰行:あとサンタナの弟(ホルヘ・サンタナ)も。

高樹:まあ、それだとあまりにもストレート過ぎるなって(笑)。

―ですよね(笑)。では最後に、『SONGBOOK』を作ったことで、今後の活動に関して何か見えたことはありましたか?

高樹:今ってレコーディングスタジオで何時間も粘って制作するスタイルじゃなくなりつつあって、わりと買いやすい値段でいい感じの機材が出てて、昔だったらスタジオじゃないとできなかったことが家でもできるんですよね。そういう風に今までと制作のやり方がどんどん変わってきてて、それに慣れるためっていうとなんだけど、「ここまで家でできるな」とか、そういう制作のスタイルを試行錯誤することはできましたね。

泰行:“ハルニレ”とか“若葉の頃や”とか、ちょっとスタンダードっぽいニュアンスがあると思うんですけど、ひさしくキリンジでそういった感じのものがなかったので、王道メロディというか、もう一回そういうのをやろうかなって気にはなりましたね。ちょっと実験っぽいものが続いたんで、そういう広がりのあるものを入れてもいいんじゃないかなっていうのは、自分でやって改めて思いました。

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リリース情報

キリンジ『Connoisseur Series~KIRINJI「SONGBOOK」』
キリンジ
『Connoisseur Series~KIRINJI「SONGBOOK」』

2011年10月19日発売
価格:2,625円(税込)
COCP-36926/7 / 日本コロムビア

[DISC1] -COVER SIDE(キリンジによるセルフカバー)
1. jelly fish(My Little Lover提供曲)
2. ロマンチック(土岐麻子提供曲)
3. ハルニレ(Keyco提供曲)
4. 髪をほどいて(bird提供曲)
5. 若葉の頃や(畠山美由紀提供曲)
6. わたしの青い空(藤井隆提供曲)
7. お針子の唄(南波志帆提供曲)
8. それもきっとしあわせ(鈴木亜美提供曲)
[DISC2] -FORMAL SIDE(提供曲集)
1. わたしの青い空 / 藤井隆(作詞・作曲:堀込高樹)
2. 髪をほどいて / bird(作詞:bird 作曲:堀込高樹)
3. ロマンチック / 土岐麻子(作詞:土岐麻子 作曲:堀込高樹)
4. ハルニレ / Keyco(作詞:Keyco 作曲:堀込泰行)
5. 若葉の頃や / 畠山美由紀(作詞:中納良恵 作曲:堀込泰行)
6. somewhere in tokyo / 古内東子(作詞:古内東子 作曲:堀込高樹)
7. 愛が私に教えてくれたこと / 松たか子(作詞:松本隆 作曲:堀込泰行)
8. それもきっとしあわせ / 鈴木亜美 joins キリンジ(作詞:堀込高樹 作曲:堀込泰行)
9. プールの青は嘘の青 / 南波志帆(作詞・作曲:堀込高樹)
10. 春の嵐 / ミズノマリ(作詞・作曲:堀込高樹)

イベント情報

『KIRINJI LIVE2011』

2011年10月19日(水)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 SHIBUYA-AX

2011年10月20日(木)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 SHIBUYA-AX

2011年10月25日(火)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:大阪府 梅田 AKASO

料金:全公演5,775円(ドリンク別)

プロフィール

キリンジ

1996年10月、実兄弟である堀込泰行(VO/Gt)堀込高樹(Gt/Vo)の二人でキリンジを結成。97年インディーズデビュー後一躍脚光を浴び、翌98年、メジャーデビュー。卓越した二人のシンガーソングライターを配するグループならではの上品に練り上げられるメロディーとオリジナリティー溢れる詞世界は今やワンアンドオンリーな存在。また、詞曲に留まらず、兄弟ならではのハーモニーと多種多様な音楽的造詣を思わせるサウンド・プロダクションは多くの音楽ファンを魅了し続けている。藤井隆、SMAP、松たか子、坂本真綾など多くのアーティストへの楽曲提供も多数。昨年、2010年9月1日、通算8枚目のオリジナルアルバム『BUOYANCY』を発売。その後年を跨いで行われたキリンジ史上最長の全国24箇所25公演のツアー『キリンジTOUR2010-11』の成功も記憶に新しい。そして、今年、2011年。3.11を経て制作した震災チャリティーシングル『あたらしい友だち』を7月20日に限定配信し、10月19日には初のセルフカバー含む2枚組の提供曲集『SONGBOOK』を発売。同日には『KIRINJI LIVE2011』もスタート。

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