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「人はさみしい」俳優・加瀬亮が見つめる東京の正体

「人はさみしい」俳優・加瀬亮が見つめる東京の正体

インタビュー・テキスト
内田涼
撮影:菱沼勇夫
2011/10/20

『かもめ食堂』『めがね』『プール』『マザーウォーター』のキャストが再集合した「チーム」による最新作、映画『東京オアシス』が10月22日より公開される。舞台となるのはもちろん東京。チームの顔である小林聡美演じる女優トウコがコンビニ、映画館、動物園で出会った人々との交流を通して、ときに反発し、ときに共鳴しながら自らの心のよりどころを取り戻す姿がアンソロジー形式で描かれる作品だ。トウコがコンビニの駐車場で出会う野菜の配達員・ナガノを演じるのは、チームの「若旦那」加瀬亮。今や海外でも活躍する彼が、東京を舞台に顔なじみが揃った今作を通し、新たに得た感覚、気づいた感情を語ってくれた。

『東京オアシス』イントロダクション
深夜、コンビニの駐車場で買ったばかりのアイスを食べようとしていたナガノ。彼の目に飛び込んできたのは、国道を走るトラックに向かって駆け出す喪服の女・トウコだった。とっさに華麗な「回転レシーブ」で彼女を救うと、今度は「車に乗せてほしい」とせがまれる始末。見知らぬ2人の深夜ドライブ。物語は静かに、しかし何かが動き出す予感とともに幕を開ける。
東京オアシス

ナガノは「どこか心が止まっている」人物

―今回演じたナガノという人物をどのように捉えていますか?

加瀬:ナガノは、どこか「心が止まっている」感じのある人物です。今の人生をどう前進させたらいいのか分からない状況にいる人。もちろん、そういう心持ちは決して特別なものではなく、その点では役柄の気持ちをつかむのにそれほど時間はかからなかったです。突然現れたトウコに対しても、最初は「何だこの人」という疑いの目ではじまります。このチームで演じる青年は、すごくナイーブだったり、優しかったりするんですけど、今回は少しだけ違います。

―小林聡美さんとの再共演はいかがでしたか?

加瀬:ナガノとトウコは赤の他人として出会い、お互い向き合うこともないのに、そっちの方がより「向き合っている」感覚がありました。小林さんとは、いつも以上にストレートな演技や心の交わし合いがあった気がします。小林さんはいつものように軽やかに演じられているのですが、トウコは明らかに心に大きな問題を抱えていて、それはナガノも同じなんです。だからこそ、少しずつ共鳴し合うんですよね。『めがね』や『プール』に比べると、また違う印象のある作品だと思いますが、小林さんとの共演という点では、手応えを感じながら演じることができました。

『東京オアシス』より ©2011オアシス計画
『東京オアシス』より ©2011オアシス計画

場所ではなく「人」に焦点が合わされた作品

―フィンランドを舞台にした『かもめ食堂』をはじめ、『めがね』は与論島、『プール』はタイ、『マザーウォーター』は京都と「場所」に焦点が合わされてきました。今回は東京が舞台なので、改めて東京という場所を見つめ直す機会にもなったと思いますが?

加瀬:東京にはもちろんいい場所がたくさんあるんですけど、東京というものを改めてイメージすることで浮かぶのは、「人」の集合体だということです。舞台が東京になったとたん、人が主題の作品に自然となりました。この感覚はすごく面白いと思いましたね。撮影中、高速道路から光り輝く東京の街を眺めながら「きれいだな」と思っていたんですけど、その光の先には人がいて、その人の生活や人生がある。そんなことを思いました。

『東京オアシス』より ©2011オアシス計画
『東京オアシス』より ©2011オアシス計画

2/3ページ:心地よいさみしさが流れている映画

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作品情報

『東京オアシス』

2011年10月22日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開
監督:松本佳奈、中村佳代
脚本:白木朋子、松本佳奈、中村佳代
出演:
小林聡美
加瀬亮
黒木華
原田知世
配給:スールキートス

プロフィール

加瀬亮

1974年11月9日生まれ。2000年に石井聰互監督の『五条霊戦記』でデビューを果たし、以後、ジャンルや役柄を問わない幅広い活躍で映画ファンを魅了。2007年には主演を務めた『それでもボクはやってない』(周防正行監督)で第31回日本アカデミー賞優秀主演男優賞、第50回ブルーリボン賞、第32回報知映画賞など、数多くの賞を受賞した。また『硫黄島からの手紙』(クリント・イーストウッド監督)など、活躍の場を世界に広げている。

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