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変わらないものと、変わったもの salon musicインタビュー

変わらないものと、変わったもの salon musicインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:木下夕希
2011/11/25
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熱心な音楽ファンでなければ、salon musicがFLIPPER'S GUITARのプロデュースなどで渋谷系の形成に大きく寄与していることをご存じではないかもしれない。若い音楽ファンにとっては、Spangle call Lilli lineやアナログフィッシュ、SISTER JETのプロデューサーとしての吉田仁の名前の方が有名かもしれない。それも致し方ないだろう。何せ2002年の『new world record』以来、9年間にわたってsalon musicの新作はリリースされていなかったのだから。しかし、この9年間は、2人がsalon musicを続けるために、もっと言えば、音楽を楽しむために必要な期間だったことは、インタビューを読んでもらえればきっとわかってもらえるはず。そして、このひさびさの新作『Sleepless Sheep』は、羊を数えても眠れないぐらいの不安を抱えたまま生きる僕たちに、何らかのインスピレーションを与えてくれる作品であることも、間違いないだろう。

多分ね、人のをずっとやってたから、心の中でたまってるものがあったんだと思うんですよね。衝動みたいなものが(竹中)

―『Sleepless Sheep』、実に9年ぶりの作品になりましたね。

吉田:9年空いてる実感はなくて、あっという間に時間が経ってしまったという感じなんですよね。

竹中:仁くんはプロデュースで立て込んでたけど、その間私はちょっと体調が悪かったんですね。音楽好きの人って、「このプロデューサーがやってるから聴いてみよう」とか、「この人の新しいアルバムが出たから買いに行こう」とか、そういうのを習慣で何十年もやってるわけじゃないですか?

―はい、僕もやってます(笑)。

竹中:それがちょっとしんどくなってきて、このままだとおばあさんになったときに「音楽HATE!」みたいな感じになっちゃいそうで(笑)、それがすごく嫌で。ここはちょっと一呼吸して、自然に入ってくる音で好きなものを普通に聴こうっていう風にわざとしたんです。それが何年か続いて、すごく楽になってきた頃に、急に(吉田が)「作るぞ」って(笑)。

―音楽を一切拒絶していたわけじゃなく、追いかけずに、自然に入ってくるものだけ聴くようにしてたんですね。

竹中:そうですね。もちろん、仁くんのプロデュース作品とかは聴いてましたし。「聴かねばならない」じゃなくて、普通に聴いて、口は出そうって(笑)。一時期は試聴機も嫌だったんですけど、何年か経つ内に、またショップに行って試聴機も聴けるようになって。

―吉田さんが制作に向かったのは何か理由があったんですか?

吉田:制作モードに入るときって、ある程度まとまった時間が必要で、1~2週間だとそういう感じにはならないんですよね。たまたま2年前の春ぐらいに、一個入ってたプロジェクトがずれたんで、1ヶ月半ぐらい時間ができたんですね。普段ワーカホリック気味に仕事してると、一週間何もしないと「何かやらなきゃ」って思い始めて、試しに3曲ぐらい作ってみて、それで(竹中に)「作らない?」って。

竹中:多分ね、人のをずっとやってたから、心の中でたまってるものがあったんだと思うんですよね。衝動みたいなものが。

写真左から:竹中仁見、吉田仁
写真左から:竹中仁見、吉田仁

―吉田さんはプロデューサーとしての自分と、アーティストとしての自分のバランスってどうお考えなんですか?

吉田:あんまり意識したことはなくて、僕がプロデュースしてるアーティストって、salon musicの音楽性とは違っても、salon musicのことが好きだったり、聴いてるもののベースが、特に60年代から80年代ぐらいは一緒だったりするので、極端にsalon musicと変わってるつもりはないんですよね。

―最近プロデュースされてるバンドで一番若いのっておそらくSISTER JETだと思うんですけど、彼らも古い音楽好きですもんね。それこそ、10代のバンドのプロデュースとかだと変わるかもしれませんね。

吉田:たまにテレビで若いバンドの登竜門的な番組とか見ると、音楽的な蓄積とかボキャブラリーが薄かったり、ないバンドが多いなって思うことがあって。若いって言っても、もう18~19だろって思っちゃうんですよね。自分のその頃を考えると、もっとあった気がするし。

竹中:たぶん今の子たちって、バンドをやってることが第一義で、聴いてることが第一義じゃなかったりすると思う。私たちとかもうちょっと下の世代までは、リスナーから派生してバンドを組むっていうパターンの方が多くなかった? それが今の子たちは、まず楽器を持ってから始めるっていう子が多い気がする。楽曲的にはパターンが一個だったりするかもしれないけど、その子の個性で行くっていう。

―それ、すごくわかります。4年前ぐらいの『MUSIC MAGAZINE』の渋谷系の特集で、小西(康陽)さんが渋谷系の定義を「音楽より自分が好きな人ではなく、自分よりも音楽が好きな人が作る音楽」って言っていたのを思い出しました。

竹中:ああ、そうかもしれない。でも、音楽より自分が好きな人も何人かいましたけどね(笑)。

2/3ページ:ニューウェイブの時代にカセットで音楽を聴いてたような感覚がそこにあったんですよ(竹中)

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リリース情報

salon music『Sleepless Sheep』
salon music
『Sleepless Sheep』

2011年11月16日発売
価格:2,500円(税込)
PECF-1034 / felicity cap-130

1. SLIDER
2. IT'S A LITTLE THING
3. BEDROOM
4. MY STRUGGLE
5. TELL ME YOUR THOUGHTS
6. SIGNS OF WATER
7. RAINCOAT
8. JUST IN THE SUMMERTIME
9. IMMATURE CREATURE
10. RAINSTORM
11. WAKE UP SISTER

プロフィール

salon music

1981年、英国SOUNDS誌ジャパニーズテクノポップチャートで、セルフレコーディングのカセットテープ「hunting on Paris」がNo.1に。82年、英国フォノグラムレコードよりリリースの「Tokyo mobile music」に収録され、のちにシングルカットされる。90年頃から吉田仁は他のアーティストの作品のプロデュースやミックスを多数手がけている。現在までに13枚のオリジナルアルバムをリリース。

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