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どこから来て、どこへ行く? 転校生インタビュー

どこから来て、どこへ行く? 転校生インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
2012/04/25

今までは自分だけの転校生だったのが、みんなが関わって転校生っていうプロジェクトになって、それにはすごく戸惑いがあったんです。でも、そのお陰で「私は音楽を続けていいんだな」って思えるようにもなったんです。

―「転校生」っていう名前はいつから使ってるんですか?

水本:最初は別の名前だったんですけど、もっとテーマみたいなものをつけたいと思ってて、あるとき人から「転校生っぽいキャラだよね」って言われたんです。文字の並びとかも、漢字3文字で簡潔で、でも意味を成してて、これはいいなと思って。

―ちなみに、最初はなんていう名前だったの?

水本:「#00FFFF」っていう、HTMLのカラーコードで、このぐらい(アー写、およびジャケット)の水色を指してるんですけど、意味わかんないんで、転校生に改名しました。

―「転校生」がしっくり来たんだ。

水本:転校したことないので、そう言われることもなかったんですけど、初めて言われて「なるほど」と思って。しっくり来た感じはありましたね。

―でも、周りを信じずに音楽を続けてて、それこそレーベルから声がかかったときはどう思った?

水本:最初はものすごく戸惑いましたね。「CD作りませんか?」ってメールが来て、普通に嘘だと思って、お金を巻き上げられると思ったんですけど、電話したりして、どうやら本気っぽいなって。

―それで、一緒にやることになったんですね。

水本:今までは自分だけの転校生だったのが、みんなが関わって転校生っていうプロジェクトになって、それにはすごく戸惑いがあったんです。でも、そのお陰で「私は音楽を続けていいんだな」って思えるようにもなったんです。

―だからこそ、熊本を離れて、こっちに来ようと?

水本:最初は「東京でライブをしませんか?」って言われて、それで東京に来たときに初めてレーベルの方たちとお話をしたんです。もともと熊本にいると不便だなって思ってたんですけど、その時に、熊本と東京の最低賃金の差を教えてもらって(平成23年度は熊本が647円、東京が837円)、「これは東京でバイトをして暮らした方が、お金がたまるんじゃないか」って。それだったら、レーベルに声をかけてもらってるし、東京に行かない理由はないなと思って。

―で、東京に出てきたと思ったら、実は埼玉だったんですよね(笑)。山あり谷ありだね(笑)。

私が曲を作るときは、基本的に怒ってたり、怒りが込められてます。

―aiko以降、今の転校生の音楽のベーシックにあるのはどんな人たちからの影響ですか?

水本:1番好きなのはLily Chou-Chouで、あとはSUPERCARとかSIGUR ROSとか。ちょっとポストロックっぽい感じのものが好きなんです。ただ、自分はポップなものがやりたいので、そういう面ではaikoさんとか、安藤裕子さんとかが好きです。

―ニコ動とかもバックグラウンドにあると言えますか?

水本:特定の何かに影響を受けていることはないんですけど、初音ミクを使った曲の大半が同じ雰囲気を持ってたりして、そういうところに影響は受けていると思います。

―ちなみに“パラレルワールド”って、そういうニコ動とかネットがテーマの曲だったりするんですか?

水本:いや、そんなことはないです。

―そっか(笑)。歌詞に「ストロボライト」って出てくるでしょ? あれが椎名もたくんの曲名から来てるのかなって思って…でも、さっきの話からすると、SUPERCARからか。

水本:そうです。その曲も知ってますけど、知ったのはこの曲を作った後ですね。

―じゃあ、実際には“パラレルワールド”はどんなことがテーマになってるんですか?

水本:テーマというか、これは私の中でひとつのお話を作ったんです。説明すると、たぶんものすごくハテナが浮かんでしまうと思うんですけど…

―ネットとかニコ動って話を出したのはつまり、この曲はある種の逃避願望がテーマになってるのかなって思ったからなんだけど。

水本:そうです、そうです。私もそう思って書きました。

― “東京シティ”とかもそういうところが根底にあるのかな?

水本:その曲は、どこか別の場所に行くことで、何か自分が変われたらいいなっていうぐらいの、そういう心境の曲ですね。ただ結構これは…投げやりな感じなんです。あんまり希望は持ってなくて、「変わるんじゃないか」くらいの気持ちで。

―“人間関係地獄絵図”とか、タイトルだけ取るとどぎついけど、そういう投げやりな気持ちというか、攻撃的な気持ちがある?

水本:私が曲を作るときは、基本的に怒ってたり、怒りが込められてます。例えば、“空中のダンス”は、歌詞にも「だれも気付けない」とか「だれも見ていないさ」ってありますけど、自分が泣いたり笑ったり怒ったりしても、誰も見てないし気付かない、そのどうしようもない状況というか、その感情をどこにぶつけたらいいのかっていうのが怒りに変わって、それが出てきちゃってるみたいな感じですね。

―それは「気付いてほしい」とか「見てほしい」とはまたちょっと違うわけだよね?

水本:基本的に、私の曲は突き放してる感じがあって、客観的に見てる感じがあると思うんです。「気付いてほしい」っていう気持ちよりも、そこに行き切った後の感想みたいな、「こういう風に思っていました」という感じなんですよね。

4/4ページ:私が音楽をやらなくなったら、みんなが必要としてくれなくなるっていう感覚はあります。

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リリース情報

転校生『転校生』
転校生
『転校生』

2012年5月2日発売
価格:2,300円(税込)
EASL-0011

1. 空中のダンス
2. 人間関係地獄絵図
3. 東京シティ
4. エンド・ロール
5. ほうかご
6. 家賃を払って
7. ドコカラカ
8. 傘
9. パラレルワールド
10. きみにまほうをかけました

CINRA.STOREで先行配信販売中!

プロフィール

転校生

熊本県出身埼玉県在住、水本夏絵によるソロ・プロジェクト。「わたしの音楽がひつじなら、わたし自身はオオカミだ」

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