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日本で2番目に汚い沼のほとりから ハグレヤギインタビュー

日本で2番目に汚い沼のほとりから ハグレヤギインタビュー

インタビュー・テキスト
柴那典
2012/06/21

みんな、ちょっと心に隙間があるやつらなんじゃないかな(小泉)

―たとえば、“ピクニック”のように起伏に富んだ曲調がハグレヤギというバンドのひとつの魅力になっていますよね。それも、理屈じゃなくできるものなんでしょうか?

山脇:そうですね。“ピクニック”を作ったのは3〜4年ぐらい前ですけど、あの時も、ただ単に突き進んだというか、曲のあるべき姿を辿っていったらああなった感じですね。自分が美味しいと思うツボを素直に押してあげたらああいう展開になりました。

―お話を伺っていると、山脇さんは「自分の表現」というものをしっかり持っていらっしゃると思うんですが、そうであるならば、シンガーソングライターとしての音楽活動もあり得たと思うんです。でも、そこでバンドという方法論をとった理由は?

山脇:それは単純に、まず楽しかったっていうのがありますね。でもとりわけ重要なのは、この4人でやっているということ。自分の表現に対して、バンドの力が加わることでパワーも4倍になる。そこの駆け引きが楽しいんでしょうね。

ハグレヤギのライブ写真

―じゃあ、これはギターの小泉さんに訊こうと思いますが、山脇さんが作ってくる曲の原形は、どうやってバンドで完成形に至るんでしょう?

小泉:基本的にはこいつが原曲を持ってきて、それをバンドで合わせることでベースができますね。真ん中にこいつが表現したいことがあって、それを各々の表現力とか個性を足して具現化していくっていう。

―そういうバンドマジックとかグルーヴって、人と人との呼吸だったり、相性だったり、そういうものから生まれるものでもあるじゃないですか。そういった相性の良さを感じますか?

小泉:そうですね。長い付き合いなんですけど、音の好き/嫌いとかそういうことじゃなくて、人間的な空気感が合うというところはあると思います。

ハグレヤギのライブ写真

―ハグレヤギの4人に共通している人間性ってどういうものだと思いますか?

山脇:多分、共通してるものは沢山あると思うんですけど、何かひとつと言われたら、同じものに向かっているという意識でしょうね。同じものを見てるから、曲を具現化できる。

小泉:俺が思うには、結構みんなシャイだったりします(笑)。その名の通り、ハグレヤギなんですよ。だからハグレヤギって付けたわけじゃないんですけど。みんな楽器をやりたくて集まってるんじゃなくて、何かしら言いたいこと、やりたいことがあって、それがたまたま楽器だったという。なんというか、みんな、ちょっと心に隙間があるやつらなんじゃないかなっていう風に俺は勝手に思ってます。

ハグレヤギのライブ写真

自分の肉を引きちぎってそれをどんどん固めていって作品にするような感覚に近い(山脇)

―リードトラックとして“海がくる”という曲がありますよね。これは自分たちの中では、どういう位置にある曲ですか?

山脇:この曲は、ライブをしていく中で代表曲みたいになっていった曲なんですけど、最初は全然そんなつもりはなかったんです。でも、何故かみんなに「いいね!」って言われるようになって。たぶん、考えて作った曲じゃないから良かったんでしょうね。言葉も、メロディも、構成も全部シンプルで、そういうシンプルでありがちなフォーマットになってしまうのは嫌いなんですけれど、自分の意図していないところでそうなったから、強いのかなって。

―この曲って「海がくる」って歌われていますよね。でも、海っていうものが何を象徴しているのかは何ひとつ提示されていない。「何だろう、海って? 何がくるんだろう?」みたいな、そういう曲。そういう意味で、さっき言った「空洞」が一番わかりやすくある曲だと思うんです。

山脇:そうですね。難しい言葉は使ってないし、シンプルな言葉なんだけど、具体的な何かを言うのは回避されてる。逆に2曲目に入っている“おいぼれ鬼”のような曲はすごく説明的な物語の歌詞で、僕はどっちも好きなんですけれど。“海がくる”には説明されてない分、奥行きがあるのかもしれないです。

―ちなみにこの曲は、砂浜で縄に繋がれて目隠ししたメンバーが歩くというミュージックビデオが制作されていますけれども。あのアイディアは自分たちから出てきたもの?

山脇:いや、すべて監督にお願いしました。あの曲に関しては一切のアイディアもないし、才能のあるいい監督が作ってくれるんだったら構わないし、結果すごくよかったと思います。絵と音楽はやっていますけれど、別に全部を自分で作るは必要ないですからね。

―ちなみにジャケットに関してはどういう案から?

山脇:あれはもう完全に僕のエゴです。「俺の顔を表紙にしてくれ」ってとこから始まっていて(笑)。もともとは自分の絵でジャケットを作ろうと思っていたんです。自分で絵を描いてるし、それが自然だろうと。でも、ジャケットのために絵を描こうとしても、全然うまくいかなかった。

ハグレヤギ『ハグレヤギ EP』ジャケット
ハグレヤギ『ハグレヤギ EP』ジャケット

―何故ジャケットのための絵が描けなかったんでしょう?

山脇:そもそも僕が描いている絵っていうのは、何かのために描くっていうよりも、描かざるを得ないから描くっていうものなので。クライアントのために表現するというような才能は欠如しているんだと思います。

―では、この先についてはどう考えています? たとえばこうやってCDをリリースしていく中で、レーベルやファンからの要求に応えなければならない時も来るかもしれません。

山脇:それは僕もすごく考えてますね。今までの僕の絵や曲の作り方は、自分の肉を引きちぎって、それをどんどん固めていって作品にするような感覚に近くて。それは確かにリアリティのあるものができるし、人に伝わるものができるんですけど、身を削ってく作業なので、コンスタントにできることじゃないっていう。

―そうですよね。

山脇:だから、これからの課題としては、もちろん身を削って作るスタンスっていうのは変えたくないし変えないんですけど、いい意味でもっと楽できるように、もっと素直に、余裕を持ってやっていきたい。ライブのパフォーマンスでもそうです。今は必死だし、切実だし、溢れ出ちゃうような形でしか初期衝動っていうものを表現できないけれど、自分なりにそれを再解釈して提示することができたら、もうひとつ先のステップに行けるんじゃないかと思っています。

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イベント情報

ハグレヤギ EP リリースパーティ
『風がふく』

2012年7月15日(日)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 下北沢 GARAGE
出演:
ハグレヤギ
o'valencia!
indigo la End
それ以染に
料金:前売2,000円 当日2,300円

『ASR RECORDS presents Crimson Ballroom』

2012年7月3日(火)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:大阪府 大阪 天王寺 Fireloop
出演:
ハグレヤギ
the crickets
Ain Figremin
Koila
Lambda
タヲロヲトロ
and more
料金:前売1,800円 当日2,300円

壊れかけのテープレコーダーズ 3rd Album『ハレルヤ』レコ発自主企画『摩天楼の下、叫べ、ハレルヤ』

2012年7月23日(月)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 新宿LOFT
出演:
ハグレヤギ(オープニングアクト)
壊れかけのテープレコーダーズ
ズボンズ
おとぎ話
料金:前売2,300円 当日2,800円

リリース情報

ハグレヤギ<br>
『ハグレヤギ EP』
ハグレヤギ
『ハグレヤギ EP』

2012年6月13日発売
価格:1,600円(税込)
PORTRAIT / PONYCANYON ARTISTS / PORT2001

1. 風がふく
2. 海がくる
3. おいぼれ鬼
4. 飛行船
5. ピクニック
6. デンデラノ

プロフィール

ハグレヤギ

山脇紘資(Vo,G)と小泉慶太(G)が、高校時代に、千葉・手賀沼のほとりにある山脇宅ベッドルームで音楽制作をスタートする。2008年、山脇は美大に進学、飯塚拓野と出会い前身のバンド、チキンホテルを結成。2009年、小泉を手賀沼から呼び出しハグレヤギを結成。都内ライブハウスを中心に活動をつづける。ドラマー脱退に伴い、 2011年に小杉侑以(Dr)が加入。2012年、ポニーキャニオンアーティスツ内に自らのレーベル「ポートレイト」を設立。レーベル設立第1弾『ハグレヤギ EP』を6月にリリースする。ハグレヤギの詞曲はすべて山脇のペンによるもの。山脇はハグレヤギの音楽活動と並行して、国内や海外のギャラリーで展覧会を行っている。

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