
大橋裕之×ひらのりょう対談 素敵な「音楽」との出会い方
- インタビュー・テキスト
- 九龍ジョー
- 撮影:大槻正敏
コンビニでふと聴いていいなと思った曲。テレビの歌番組。映画の主題歌。音楽誌のレビューやインタビュー。FacebookやTwitterのタイムラインに流れてきたYouTube動画。好きなミュージシャンの音楽的ルーツ……音楽との「出会い方」はいろいろあるけど、友人や恋人、家族から薦められたり、誰かと共有した音楽って、思い出と共に、いつまでも残っていたりするものだ。
漫画家・大橋裕之とアニメ―ション作家・ひらのりょう、ジャンルは違えど活動の中で、共に音楽やミュージシャンと関わることの多い二人の作家は、これまでどんな人たちを通して音楽と出会ってきたのか。カセットテープが友達の間を行き交う時代から、デジタルデータがネット上を行き交う時代まで、その間にはいつも「人」という存在がいた。SNSを通して、お互いのお気に入りの音楽を聴きあうことの出来るiPhoneアプリ「ATTACCA」。今回はお二人に、これまでの人生やご活動の中で「人」を通して知ることが出来た、思い出の曲を「ATTACCA」のプレイリストとして用意して頂き、それにまつわるお話を伺った。
ATTACCA(アタッカ)|音楽で話そう
iTunes App Store - Attacca 音楽で話そう
はじまりは、やっぱりテレビから
―まずはお二人の音楽との出会いから伺えればと。1980年生まれの大橋さんからどうでしょう?
大橋裕之
大橋:僕はテレビですね。最初はアニメの主題歌で、歌っている人も含めて意識するようになったのは歌番組。『ザ・ベストテン』とか『夜のヒットスタジオ』を小学校低学年ぐらいから親と一緒に見ていました。あとはドラマの主題歌も。『教師びんびん物語』の主題歌(田原俊彦“抱きしめてTONIGHT”)をカセットテープに録音したりしてましたね。
ひらの:テレビから録音してたんですか?
大橋:当時はテレビの音声だけをラジカセのマイクで録音してましたね。だいたい親の声が入っちゃって……(笑)。
―たしかにそういう時代がありましたよね(笑)。大橋さんよりもぐっと若い、1988年生まれのひらのさんの場合、音楽との出会いはどんな感じですか?
ひらの:僕もやっぱりテレビですね。小学校の頃、『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』がすごく流行ってたんですよ。
大橋:ポケットビスケッツとブラックビスケッツ。
ひらの:そう、初めて行ったライブがポケットビスケッツの武道館ライブだったんです。「100万人署名運動」(100万人分の署名が集まったらポケットビスケッツの新曲が発売されるという番組企画)のときも、クラスでガンガン署名を集めてましたね(笑)。
ひらのりょう
―今思えば、ある意味アナログなソーシャルネットワークでしたね(笑)。大橋さんも音楽のことでクラスで盛り上がったりは?
大橋:1990年前後『イカ天』とかのバンドブームがちょうど小学校3、4年の頃だったので、かなり盛り上がってましたね。僕はユニコーンが好きで、あとはジュンスカ、リンドバーグ、爆風スランプ……とか。友達と録音したテープの貸し借りをしてました。ダビングを繰り返してすっごく音の悪くなったテープが回ってくるんですよ(笑)。あと、ブルーハーツは熱かったですね。ブルーハーツに影響されて、楽器はできないんだけど、名前だけ決めてバンドみたいなことをして。
ひらの:なんて名前なんですか?
大橋:「ピンクハーツ」(笑)。
ひらの:むちゃくちゃいい名前じゃないですか(笑)。
大橋:クラスのブルーハーツファンからは「ホント、やめろ」って怒られました(笑)。あと、自分のクラスではなかったんですけど、林間学校で“リンダ リンダ”にあわせて「ランバダ」を踊るっていう演し物をしてるヤツらとかいました。
―とんだミクスチャーですね(笑)。
大橋:他にも演し物で、バンドネタを使うグループは多かった記憶がありますね。
ひらの:僕も演し物じゃないんですけど、小学校の頃、友達と「男のテープ」っていうラジオ番組を真似したテープを作ってました。
大橋:あ、それネットにも上げてましたよね? あれ、むちゃくちゃ面白い(笑)。
―ディスクジョッキー的なことをしてたんですか?
ひらの:オリジナルソングを作って、みんなで歌ったりしてます(笑)。あと勝手にCMを挟んだり。文化放送の雰囲気から影響を受けてましたね。
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カセットテープからCDの時代へ
イベント情報
- 大橋裕之出演イベント
『共感百景』 -
2012年12月1日(土)OPEN 16:30 / START 17:00
会場:東京都 下北沢 北沢タウンホール
出演:
劇団ひとり(MC)
東直子(特別顧問)
東京03・豊本
光浦靖子
レイザーラモンRG
安部コウセイ(HINTO)
大橋裕之
鈴木圭介(フラワーカンパニーズ)
西加奈子
and more
料金:3,000円
リリース情報
- 音楽で話そう『ATTACCA』
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iOS5以上のiPhone、iPod touch、iPadに対応
料金:無料
販売元:Recruit Holdings Co.,Ltd.※インタビューでご紹介した、以下のプレイリストを「ATTACCA」で試聴することが出来ます
大橋裕之 思い出の曲プレイリスト
1. Solo un dia / ZNR
2. It Feels Good / NRBQ
3. I LOVE YOU / カーネーション
4. Blue Jay Way / ザ・ビートルズ
5. とんぼ / 長渕剛
6. リンダ リンダ / THE BLUE HEARTS
7. 抱きしめたい / はっぴいえんど
8. 今すぐKiss Me / LINDBERG
9. A Hard Day's Night / ザ・ビートルズ
10. Sun Sun Sun '95 / ウルフルズひらのりょう 思い出の曲プレイリスト
1. Go Go Round This World! / FISHMANS
2. パパ / 早川義夫
3. モタコの恋愛必勝法 / オシリペンペンズ
4. ファックミー(前野健太 with 石橋英子) / 前野健太
5. MY FOOLISH HEART / 吉井和哉
6. 家の中で花火 / 双葉双一
7. リトルメロディ / 七尾旅人
8. ファイト! / 中島みゆき
9. Letters / 宇多田ヒカル
10. 赤色エレジー / あがた森魚
※あがた森魚“赤色エレジー”は、現在iTunes Storeにないため、ATTACCAで試聴することは出来ません
プロフィール
- 大橋裕之
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1980年、愛知県生まれ。漫画家。2005年、自費出版誌『謎漫画作品集』を発表。2010年〜2012年、『モーニング・ツー』にて『シティライツ』を連載。単行本に『音楽と漫画』(太田出版)、『シティライツ』(講談社)、『夏の手』(幻冬舎)などがある。
- ひらのりょう
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1988年、埼玉県生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科卒業。お化けや恋、日々生きている時間からあふれた物事をもとに、映像、アニメーション作品を制作。