特集 PR

どこにいようが私は私 LEO今井インタビュー

どこにいようが私は私 LEO今井インタビュー

インタビュー・テキスト
石角友香
撮影:田中一人
2013/06/26

LEO今井というアーティストは面白い。東京とロンドンという2つの都市を故郷に持ち、イギリスでの生活を経て日本に戻ってきた彼は、2006年から日本でのアーティスト活動を開始。都市への憧憬とある種の疎外感のようなものを、ネイティブな言語である英語から日本語に翻訳し、さらに大学院で専攻していた日本古来の表現なども用いて、現代の日本人アーティストには思いもつかないオリジナルな世界を紡いできた。向井秀徳(ZAZEN BOYS)とのKIMONOSでの活動を挟んで4年ぶりに発表したオリジナルアルバム『Made From Nothing』では、セルフプロデュースに初挑戦し、過去最高に重厚なサウンドで、社会の暗闇を丁寧にすくい取っている。「Nothing」――「無」の中で彼自身のオリジナリティーを深く追求し、「どこにいても私は私」と眼光鋭く言い切った彼のアイデンティティーを探った。

歌は得体の知れない夢のような、無の中から出てくるような存在。

―アルバム、とても素晴らしかったです。前作『Laser Rain』と今回の『Made From Nothing』の間にKIMONOSでの活動を挟みましたが、何かその影響はありましたか?

LEO:KIMONOSの制作に関しては、特にタイムリミットもなく、自由にやらせてもらいました。MATSURI STUDIOに向井さんと二人でこもってマイペースに作ったので、そういう楽しさが反映されてる作品だったと思います。だから今回の『Made From Nothing』もわりとその感覚を保ったまま制作できました。

―KIMONOSは2011年の『フジロック』のステージも素晴らしかったですし、KIMONOSを通してLEOさんの認知度もさらに上がったと思うんです。それにも関わらず今作に至るまで沈黙が長かったように思うのですが。

LEO:2011年の末ぐらいから、また自分一人で作品を作り始めようってモードに入って、去年の春ぐらいには、実はある程度曲ができていたんです。でもオリジナリティーに欠けていると思ったので、できていた曲を1回捨ててやり直しました。だから新曲を作るモードに入れなかったというよりは、アルバムの一貫して筋の通ったビジョンを見つけるまでに時間がかかったという感じですね。

LEO今井
LEO今井

―具体的にはどういった部分でオリジナリティーが不足していたのでしょう?

LEO:自分の過去の作品を超越したかったし、単純にもっと上手く表現したいという気持ちが強かったです。さらにいいものを作らなきゃいけないっていうのは表現者としての使命感だと思うんですけど。

―時期的に、震災も関係しているのかなと思ったのですが、そういうわけではなかったですか? 震災以降、自分の表現について悩んだアーティストも多かったですし。

LEO:震災後のことは常に考えるべきですが、それはこの作品とは別のところにあるんじゃないかなと思います。この作品では、ひたすら自分の世界の中にこもって、自分の限界を広げようとしていましたね。とはいえ、作品は日常生活の中から生まれてくるものだから、ため息をつくようなアンニュイな時期もありましたよ。作品を作る上で、グッとくるモチベーションを見つけられない時期はやっぱりつらかったです。それがきっかけになって『Made From Nothing』というテーゼに至ったんだと思います。

―『Made From Nothing』は、「無から生まれた」という意味ですよね。これは、自分を一度クールダウンさせることで歌詞に書かれてるような刺激的な世界が見えてきたということなのか、それとも、日常は単調だけど、考えることで言葉や音が引っ張り出せる、といういわば聴き手への提案なのか、どちらでしょう?

LEO:両方ですね。何にもないところからインスピレーションを待ってる時期でもあったし、あるいは何かを創作するときは、頭をブランクにして1回バカに戻らなきゃいけないのかもと思ったりもしました。でも『Made From Nothing』というタイトルは、歌というものの、性質そのものを表してるようだなと思っているんです。歌は得体の知れない夢のような、無の中から出てくるような存在だから。そういう意味が一番強いかもしれません。

Page 1
次へ

イベント情報

『LEO今井「Made From Nothing」Tour 【独り編】』

2013年8月29日(木)
会場:東京都 吉祥寺 キチム

2013年8月31日(土)
会場:京都府 京都 アーバンギルド

2013年9月1日(日)
会場:長野県 松本 瓦レコード

リリース情報

LEO今井<br>
『Made From Nothing』(CD)
LEO今井
『Made From Nothing』(CD)

2013年6月26日発売
価格:3,000円(税込)
TOCT-29162

1. Tabula Rasa
2. Omen Man
3. Furaibo
4. Tundra Ghost Funk
5. CCTV
6. Doombox
7. My Black Genes
8. Ame Zanza
9. Kaeru St.
10. Akare / Prism
11. Made From Nothing
12. Too Bad / Kubi

プロフィール

LEO今井(れお いまい)

日本・スウェーデン出身。イギリスでの生活を経て日本へ移住。オルタナティヴを基盤にした無国籍な都市の日常を切り取る、ニュー・ウェーブ・シンガーソングライター。その文学的、実験的な作風は、各都市で生活してきたVISITORとしての視点に溢れている。近年は向井秀徳(ZAZEN BOYS)とのユニット「KIMONOS」での活動でも知られる。他に作曲家・作詞家・作詞翻訳家としても活動中。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

PUNPEE“タイムマシーンにのって”

あのPUNPEEがまたやった!!! 昨年発売のアルバム『MODERN TIMES』から初のMVとなる“タイムマシーンにのって”が公開。1度見ただけでも存分に楽しめる作品だけれど、この情報量の多さ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を思わせる時計台のロゴがSEIKOならぬSAYHOになっていたり、車体に『AKIRA』の成田山ステッカーが貼られていたり……ピザなど頼んで細部まで何時間も見ていたい。(井戸沼)

  1. 坂元裕二に密着、NHK『プロフェッショナル』 高橋一生、満島ひかりも出演 1

    坂元裕二に密着、NHK『プロフェッショナル』 高橋一生、満島ひかりも出演

  2. 松尾スズキが描く劇団員&音声ガイドに星野源、阿部サダヲら 『30祭』続報 2

    松尾スズキが描く劇団員&音声ガイドに星野源、阿部サダヲら 『30祭』続報

  3. 磯部涼×細倉真弓『川崎ミッドソウル』 アフター『ルポ 川崎』 3

    磯部涼×細倉真弓『川崎ミッドソウル』 アフター『ルポ 川崎』

  4. 門脇麦、成田凌らが「青春炸裂」 岡崎京子原作『チワワちゃん』場面写真 4

    門脇麦、成田凌らが「青春炸裂」 岡崎京子原作『チワワちゃん』場面写真

  5. 尾崎世界観が岡本太郎を想う。『岡本太郎と「今日の芸術」』展 5

    尾崎世界観が岡本太郎を想う。『岡本太郎と「今日の芸術」』展

  6. 実写ドラマ『I”s』、ヒロイン・伊織役は白石聖 12月から放送開始 6

    実写ドラマ『I”s』、ヒロイン・伊織役は白石聖 12月から放送開始

  7. 渋谷の取り壊し前のビルでアート企画 R・マッギンレー、坂本龍一ら30組超 7

    渋谷の取り壊し前のビルでアート企画 R・マッギンレー、坂本龍一ら30組超

  8. 『A子さんの恋人』近藤聡乃インタビュー 活動拠点のNYで聞く 8

    『A子さんの恋人』近藤聡乃インタビュー 活動拠点のNYで聞く

  9. 杏、岡崎体育、古田新太、東郷かおる子がQUEENを語る NHK『SONGS』 9

    杏、岡崎体育、古田新太、東郷かおる子がQUEENを語る NHK『SONGS』

  10. 麻生久美子VS中村倫也 根本宗子の舞台『クラッシャー女中』で初共演 10

    麻生久美子VS中村倫也 根本宗子の舞台『クラッシャー女中』で初共演