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恋愛よりも強い関係を求めて 美波×ジュリー・ドレフュス×小島聖

恋愛よりも強い関係を求めて 美波×ジュリー・ドレフュス×小島聖

インタビュー・テキスト
萩原雄太
撮影:西田香織

山口淑子が抱える孤独とイサムの孤独が結びついたとき、それは単なる恋愛以上のものになると思うんです。(美波)

―イサムは、日本人とアメリカ人とのハーフとして生まれ、アイデンティティーの問題を強く意識した人生を送っていました。脚本を拝見すると、今作でもイサムの抱えたアイデンティティーの葛藤が1つの大きなテーマとなっているように感じます。特に、フランスと日本のハーフである美波さんや、フランス人でありながら、アメリカなどでも活躍するジュリーさんは共鳴する部分もあるのでしょうか?

美波:アイデンティティーについては常に考えていましたね。どこにも居場所がない感じ……というか。

ジュリー:私は逆で、ほとんどアイデンティティーの悩みはありません。コミュニティーに入りたいという気持ちがあまり強くないので、根を深く張らなくても全然大丈夫なんです。

ジュリー・ドレフュス
ジュリー・ドレフュス

―日本に長く暮らし、日本語もペラペラなジュリーさんは、てっきり、日本人と外国人の間で苦労されているのかと思っていました。

ジュリー:日本の他に、アメリカやイギリスにも長く滞在しましたが、そもそも自分のことをフランス人として意識することもあまりないんです。フランスよりも日本の方が住みやすいですしね。日本はサービス精神があるし、食事も美味しい、夜遅くに女性が1人で帰っても安全です。ただ、夏は暑いので嫌(笑)。この舞台がなかったらフランスに帰っていると思います(笑)。

―『iSAMU』では、物語の中心にイサムを取り巻く三人の女性が登場します。それぞれ、自分の役柄については、どのように感じていますか?

小島:私は、現代に生きる女性を演じるのですが、私自身37歳で、演じる役の年齢ととても近いんです。女性として気楽に生きてきたけれど、40歳を目前にして物事を現実的に考えなければならない年代。この役を演じながら自分の人生を改めて考えるきっかけにもなるのかなと思います。

小島聖
小島聖

―ジュリーさんはイサム・ノグチの母、レオニーを演じていますね。

ジュリー:レオニーは実在した人物です。イサムの著書を読むと、彼の記憶の中ではレオニーのネガティブな部分も残っているのですが、一方でレオニーが当時書いた手紙を読むと、その印象が全然違って見えるんです。イサムとレオニーとの関係がどのようなものだったか、本当のところは誰にもわかりません。稽古では、子ども時代のイサム役と毎日やり取りをしながら、イサムとレオニーとの距離を測っています。仲がよすぎてもいけないし離れ過ぎてもいけない。宮本亜門さんのリードのもと、毎日その距離感を変えながら試行錯誤を繰り返しているところです。

美波:女性三人はそれぞれ、違う時代の違う空間にいますが、同じ舞台で同じ作品を創作している関係でもあります。だから、一人の演技が変わったら、他の全員がバランスを取らなきゃいけないのが大変です。今はまだ自分とイサムとの関係で手一杯になってしまっているのですが、本番までには、他の共演者にもしっかり意識を漲らせて演技をしないと……。どんな作品になるのかまだ見えていないけど、楽しみな部分が多いです。

―美波さんが演じる山口淑子(李香蘭)は、イサムが唯一結婚生活を送った女性ですね。以前のインタビューで、宮本亜門さんも「山口淑子は特に重要」とおっしゃっていました。

美波:プレッシャーです……。この役を演じるのはとても難しいんです。まだご存命の方ですし、女優として出演している映画を見ると、とても独特な喋り方をしていますよね。けれども、その口ぶりを真似して、ただの真似事をしても意味がないじゃないですか? アーティストとしても、アイデンティティーに葛藤した生き方にしても、イサムや淑子は、現代の私たちが経験しないような孤独を味わっています。それを乗り切った二人が惹かれ合っているわけだから、その関係はただの恋愛よりも、もっと強いものなんだろうと思います。だから、演じるのではなく、二人の強い魂を理解して、感じながらステージに立たないといけない。そうしないと大切なものを取りこぼしてしまうような気がするんです……。

美波
美波

―「ただの恋愛よりももっと強いもの」というと、例えば「運命」といったような関係でしょうか?

美波:淑子は、ずっと一人でホテルや撮影所で生活を送ってきました。戦争の時代に中国人と偽りながら歌手として活動を行なっていたり、スパイの疑惑をかけられてしまったり。そんな淑子が抱える孤独とイサムの孤独が結びついたとき、それは単なる恋愛以上のものになると思うんです。言葉にするととてもチープになってしまうような気がして嫌なのですが……。

―イサム役の窪塚洋介さんと、役について議論をすることはありますか?

美波:かなりしていますね。イサムと淑子を演じるにあたって、まず信頼し合っているというのが大前提として必要なんです。壁をなくして、相手に自分を委ねなければなりません。その信頼が強ければ強いほど作品の展開にも説得力が増すと思っています。

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イベント情報

パルコ劇場40周年記念 パルコ・プロデュース公演
『iSAMU〜20世紀を生きた芸術家 イサム・ノグチをめぐる3つの物語〜』

原案・演出:宮本亜門
脚本:鈴木哲也、宮本亜門
出演:
窪塚洋介
美波
ジュリー・ドレフュス
小島聖
大森博史
ボブ・ワ―リー
犬飼若博
神農直隆
植田真介
天正彩
池袋遥輝
ほか

東京公演
2013年8月21日(水)〜8月27日(火)全9公演
会場:東京都 渋谷 パルコ劇場(渋谷パルコパート1 9F)
料金:一般7,800円 U-25チケット4,000円(25歳以下対象)

神奈川公演
2013年8月15日(木)〜8月18日(日)全4公演
会場:神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 ホール
料金:S席6,800円 A席4,500円 高校生以下割引1,000円(枚数限定) U24チケット
3,400円 (24歳以下、枚数制限、S席のみ) シルバー割引6,300円(65歳以上、枚数限定)

高松公演
2013年8月30日(金)19:00開演(18:30開場)
会場:香川県 サンポートホール高松 3階 大ホール
料金:一般6,000円 会員5,500円

プロフィール

美波(みなみ)

1986年、東京都出身。2000年、深作欣二監督作映画『バトル・ロワイアル』への出演で注目を集め、その後も映画やドラマ、CMで活躍。また2005年には舞台『贋作・罪と罰』(演出:野田秀樹)や『エレンディラ』(演出:蜷川幸雄)にも出演する。

ジュリー・ドレフュス

パリ出身。大阪外国語大学に留学し、NHK教育テレビ『フランス語講座』に出演。日本でモデルやタレントの活動を始める。女優として、『キル・ビル』『イングロリアス・バスターズ』などの映画に出演する。

小島聖(こじま ひじり)

1976年、東京都出身。89年、『春日局』(NHK)でデビュー。99年に、映画『あつもの』で第54回毎日映画コンクール女優助演賞を受賞。以降、数多くの映画、TVドラマに出演。情感溢れる演技力と存在感には定評があり、09年には、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイトディレクターを務める英国人演出家ジョン・ケアード演出の舞台『錦繍』に出演し話題となった。近年の主な出演作品に、舞台『かもめ』(赤坂ACTシアター)、『温室』(新国立劇場)、『ハーベスト』(世田谷パブリックシアター)、『テイキングサイド』(天王洲 銀河劇場 他)、映画『シーサイドモーテル』、『劇場版タイムスクープハンター』、TVドラマ『ラブシャッフル』(TBS)、『トッカン 特別国税徴収官』(NTV)、『熱海の捜査官』(EX)などがある。

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